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クリーピー 偽りの隣人

先週末のボックスオフィスで『ファインディング・ドリー』が、
アニメーション映画史上最高のオープニング成績でデビューしました。
当時オープニング記録を打ち立てた『ファインディング・ニモ』の続編で、
大ヒットは間違いないだろうと思ってはいたものの、
まさかこれほどまでに待ち望まれていたとは意外でした。
なにしろ前作から13年も経っての続編ですからね。

しかし日本人にとってそれ以上に意外かもしれないのは、
今回『ファインディング・ドリー』に抜かれるまで記録を守ってきたのが
日本では全くヒットしなかった『シュレック3』だったことでしょう。
実に9年間もトップを守り続けていましたが、
その間に公開された『トイ・ストーリー3』や『アナと雪の女王』といった
全米興収4億ドル越えの作品にも明け渡さなかったわけです。
『ファインディング・ドリー』も4億ドル越えを狙える好スタートを切ったわけですが、
『シュレック3』は滑り出しこそ最高でしたがその後大失速し、
『ズートピア』も下回る3億ドル強で終わったので、まだ楽観はできません。
オープニング記録は『トイ・ストーリー4』の公開までは守れそうですが。

ということで、今日は週末興行ランキングで公開3週目の『植物図鑑』にも負け、
オープニング6位になってしまった不人気映画の感想です。
(『植物図鑑』が3週目で1位に返り咲いたのも意外でした。)

クリーピー 偽りの隣人
クリーピー 偽りの隣人

2016年6月18日公開。

私は節約のために映画の鑑賞本数を減らしているのですが、
先週末からTOHOシネマズで始まった会員料金1100円均一の
「シネマイレーズ・ウィーク・キャンペーン」のせいで鑑賞ハードルが下がり、
普段ならスルーする映画まで観に行ってしまいます。
スルーするといっても全く興味がないわけではなくて、
少し待ってレンタルで観れば十分かな、ってくらいの映画ですが。
本作はそんな映画だったのですが、お得なキャンペーンのせいで、
ついウッカリ劇場まで足を運んでしまいました。
そして案の定、後悔しております。

今思えば本作に期待できる要素なんてほとんどなかったので、
なんで少し鑑賞ハードルが下がったくらいで観に行ってしまったのか謎です。
ダンディだが大根と評判の西島秀俊、イケメンだが大根と評判の東出昌大、
そして低視聴率女王の川口春奈と、主要キャスト5人中3人が残念な人選。
まぁ残る2人が個人的に好きな竹内結子と、実力派の香川照之なので、
前3人のマイナスを覆せるくらいのキャストではあるのですが…。
(西島と香川の共演が多いのも西島の大根を香川でフォローするためかも。)
更に私はもともと黒沢清監督作品とは相性が悪く、
全作観たわけではないけど彼の監督作を面白いと思ったことはありません。
でもなぜか国際的評価は高く、『Seventh Code』ではローマ映画祭監督賞、
『岸辺の旅』ではカンヌ映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞し、
本作もベルリン映画祭に正式出品され、次作『ダゲレオタイプの女』では
ついに海外進出が決まり、注目せざるを得ない日本人監督のひとりで、
映画ファンとしては無視できないと考えていたこともあり、
お得なキャンペーンの後押しでウッカリ観てしまったのかな。
あと本作は予告編の出来がよかったんですよね…。

観終って後悔した本作ですが、鑑賞中はそれなりに楽しめてました。
特に序盤の香川のクリーピーな演技が素晴らしく、引き込まれもしましたが、
中盤以降で急激に失速してしまった印象です。
何がダメかといえば、サイコスリラーなのに全く予想を裏切らない展開です。
以下、ネタバレ注意です。

刑事の高倉は、8人殺したサイコパスの取り調べでミスを犯し、
刑事を辞めて、得意の犯罪心理学を活かして大学教授に転職します。
一年後、妻の康子と愛犬マックスと共にある一軒家に引っ越しますが、
隣人の西野がなんだか感じ悪い男で…。
…と高倉夫妻は思ったのですが、私は西野にそんな印象は受けませんでした。
たしかに会話がかみ合わず、ちょっと変な人だとは思いましたが、
あのくらいのコミュ障の人はザラにいますよね。
うちのマンションの隣人のキモいオヤジなんて挨拶しても無視されるし、
それに比べたら西野は気さくないい人に思えます。
別の隣人の田中の方が露骨に近所付き合いを嫌がって感じ悪いですが、
なぜか高倉夫妻は西野の悪口ばかり言うんですよね。
西島の棒読み台詞のせいで高倉自身もコミュ障に見えるし、
引越しの挨拶に手作りチョコを持って行ったり、
昨夜の残り物のシチューをお裾分けしたりする康子もかなり変人です。
だからあまり主人公の高倉夫妻に感情移入できませんでした。

大学で犯罪心理学を教える高倉は、6年前の日野市事件に関心を持ちますが、
それを知った元部下の野上刑事から、一緒に調べないかと持ち掛けられます。
事件は日野市に住む本田家が中3の娘だけを残して失踪したというもので、
高倉はなぜ事件性もないのに「日野市事件」と呼ばれるのか気になり、
学術的興味から趣味で事件を調べ始めたのは理解できますが、
野上刑事が警察も手を引いた事件をなぜ今更調べ始めたのか、
いまいち納得できる理由が描かれなかったので、彼にも感情移入できません。
それだけではなく、野上の行動は理解に苦しむところが多いです。

高倉と野上は日野市事件の現場である本田家(空き家)に行き、
そこでたまたま本田家の娘、早紀に出会うのです。
事件当時の記憶がほとんどなく、当時は証言能力なしとされた早紀ですが、
最近急に当時の記憶が断片的に蘇ってきたそうで、実家を見に来たとか。
高倉が調べ始めた途端に6年間思い出せなかった記憶が急に蘇るなんて、
ちょっと都合が良すぎて不気味です。
警察やマスコミには当時のことを話したがらない早紀でしたが、
高倉は単なる大学教授なので話してくれることになります。
しかし「捜査や取材じゃなくて趣味」なんていう面白半分な輩に
なぜ早紀は辛い思い出を話すのか理解できません。
で、話しを聞く時は野上も身分を隠して同席しますからね。
結局警察に漏らしているわけで高倉の不誠実さにも腹が立ちます。

早紀の話では、彼女が修学旅行中に家族は失踪したそうだが、
修学旅行前に家族は何者かとコンタクトを取っていたらしく、
その人物が家族の失踪に関係していたのではないか、と。
そして彼女はその人物のことを隣の水田家の庭で見た気がする、と。
野上が水田家(空き家)を捜索すると、5体の遺体を発見します。
遺体は水田夫婦と失踪した本田家3人で間違いないようで、
日野市事件を解決した野上はお手柄でしたが、
警察には漏らさない条件で早紀は話してくれたのに、
なにを勝手に警察として捜査してるんだと不愉快に思いました。
高倉は水田家の庭にいたという男が犯人だと確信しますが、
更にその男が隣人の西野ではないかと疑うのです。
その根拠は、本田家と水田家の位置関係が自宅と西野と同じだから。
そんな根拠にもならないような薄い根拠で隣人を殺人鬼扱いするとは、
高倉はどこまで性根が腐っているのか…。
西野のような変わり者の隣人も困ったものですが、
隣人を詮索する高倉のような隣人の方がよほど気持ち悪いです。

高倉は野上に西野の素性についてこっそり調べさせます。
すると野上は何を思ったのか、直接西野の家を訪ねるんですよね。
こっそり調べないと意味ないのに、警察を名乗って会いに行くなんて…。
野上は西野に会って、免許証の写真と違うことに驚きますが、
たまたま別人だったけど、もし西野本人だったら訪問理由をどう説明するのか。
というか、私としても西野が別人だったことは少し驚きました。
西野の娘の澪が「あれは父じゃありません」と高野に言ったり、
西野の言動の数々から、序盤から西野がサイコパスであることを匂わせる
怪しい演出が沢山ありすぎて、逆に西野は単なる変人でサイコパスではない、
というどんでん返しになるだろうと予想していたので、
まさかストレートにサイコパスだったとは拍子抜けしました。
最も犯人らしい人物が実際に犯人なミステリーなんて前代未聞、
というか、何が面白いのかわかりませんよ。
また手柄をひとり占めしたい野上は西野家に侵入し、偽西野に殺されます。
その夜、田中家で火災があり、田中家親子と野上の焼死体が発見されます。
本田家の遺体は6年間も隠し果せた偽西野が、
なぜそんなすぐに見つかる雑な遺体処理をしたのか不思議です。
自分が犯人だと高倉に教えるようなものだが、サイコパスに理屈は通じないか。

偽西野は西野家の地下室のような場所で、
本物の西野を西野の娘・澪に殺させ、遺体を処理させていました。
(もう西野に成り済ましてかなり経ってると思うけど、今ごろ死体処理?)
澪の母も何か薬品を注射され、廃人のようになってそこにいます。
その薬品を使うと、他人をマインドコントロールすることができるようですが、
薬品名とか成分も不明なので、そんなものが本当に存在するのかわからず、
なんだか急にSF的なものが出てきたという印象を受けました。
それに最も従順な澪にはその薬品を使っている描写はなく、
偽西野が一体どのようにマインドコントロールしているのか不明瞭です。
それに一般家庭にこんな完全防音の大きな地下室あるのも妙です。
偽西野が西野に成り済ましてから家を改装したとは思えないし…。

澪の母のマインドコントロールが解け、偽西野は彼女に殺されそうになり銃殺。
その遺体の処理を澪と康子にやらせます。
高倉の知らないうちに康子も薬でマインドコントロールされていたようです。
康子を探しに西野家に入った高倉は、彼女を助け偽西野を追いつめるも、
マインドコントロールされている彼女に背後から薬を注射されてしまい…。
偽西野はマインドコントロールした高倉夫妻を従兄夫婦として家族にして、
違う家族に成り済ますためみんなで引越ししますが、
高倉の愛犬マックスが邪魔になり、高倉に殺すように指示して銃を渡します。
すると高倉は「これがあんたの落とし穴だ」と偽西野を撃ち殺すのです。
そこで本作は幕を閉じますが、結局高倉にはあまり薬が効かなかったのかな?
そもそもどんな薬なのかわからないので、いまいちピンとこない結末です。

はじめのうちは楽しめたものの、当たり前すぎる西野の正体に拍子抜けし、
謎の薬品の登場で興味を失い、納得できないオチで観たことを後悔した本作。
期待できないとわかりながら観てしまった自分の落ち度です。
せっかく普段より安く観れても、金をドブに捨てては意味ないな。

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