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ストレイト・アウタ・コンプトン

今日は以前からなんだか面白そうだと目を付けていたドイツ映画
『帰ってきたヒトラー』の公開日だったので、観に行こうかと思いましたが、
明日から一週間、TOHOシネマズで映画1100円均一で観ることができる
「シネマイレージ・ウィーク・キャンペーン」がスタートするので、
映画を観に行くのは明日以降にします。
『帰ってきたヒトラー』も含め、期間中に4本くらい観ようかなと思っています。

ということで、今日はDVDレンタルで観た映画の感想です。

ストレイト・アウタ・コンプトン
Straight Outta Compton

2015年12月19日日本公開。
2016年6月3日DVDリリース。

本作は伝説的HIPHOPグループ「N.W.A」の伝記映画です。
全米ボックスオフィス初登場1位を獲得、全米興収1億6000万以上を稼ぎ、
これはミュージシャンの伝記映画としては史上最高額となる
爆発的大ヒットとなったみたいです。
私は一時期J-HIPHOPに傾倒し、その関連で本場のHIPHOPも齧りましたが、
ホントに少し齧っただけなので、N.W.Aのこともメンバー名と数曲知ってるだけ。
(Ice Cubeに至っては俳優のイメージの方が強いです。)
如何せん英語が苦手なので洋楽にのめり込むことが出来ないんですよね。
でもやはりN.W.AはJ-HIPHOPにも多大な影響を与えたグループなので、
どんな人たちなのか常々興味は持っていました。
そんな折、本作が製作され、昨年末には日本でも劇場公開されたのですが、
上映時間も長く、かなり濃そうだという予感があって劇場鑑賞を諦めました。
興味のある内容だけにじっくり観たかったので、あえてレンタルを待つことに。
そして今月ついにレンタル開始され、ようやく鑑賞したのですが、
予感通りかなり濃い内容で、自分の判断は間違ってなかったです。

とても興味深い内容でN.W.Aについて勉強にもなりましたが、
これがN.W.Aの伝記として適切かどうかは微妙なところかも。
そもそも存命中の人物の伝記というのはいろいろ配慮されてしまうため、
真実を描きにくいと思っているのですが、本作はそれに加え、
N.W.Aの中心人物Dr. DreとIce Cubeが製作に携わっているのです。
(ついでに故Eazy-Eの奥さんまで…。)
本人が伝記を製作することで本人たちしか知り得ないこともあるけど、
当然都合の悪いことは描かれないし、かなり美化されるはず。
N.W.Aの功罪には賛否あり、けっこう社会的な展開もあるので、
第三者が公平中立に描く方が伝記としてはいいかもしれません。
まぁ本人たちが描く方がファンは楽しめるだろうし、
その方がヒットしたであろうことは間違いないでしょうが。
以下、ネタバレ注意です。

1986年カリフォルニア州コンプトン。
DJを目指して仕事もしないドレー(Dr. Dre)は、母から実家を追い出されます。
ドレーは友人の麻薬売人E(Eazy-E)に自分の音楽に出資してほしいと相談。
Eも常に危険と隣り合わせの売人から足を洗いたいと考え承諾し、
新レーベル「ルースレス」を立ち上げるのです。
そんな簡単に会社起こすなんて、やっぱり売人は儲かるんですね。
音楽レーベルがそれ以上に儲かるのはかなり難しい気がしますが…。
ドレーは友人の高校生ラッパー、キューブ(Ice Cube)にリリック執筆を依頼。
声はいいがリリックはクソなNY出身のグループH.B.Oに
キューブのドープなリリックでラップさせたらヒットすると考えたのです。
HIPHOPってラッパーが自分でリリック考えるのが普通と思っていたけど、
他人に作詞を任せることもあるんですね。
しかし地元コンプトンをリアルな現実をネタにしたリリックを見たH.B.Oが、
「コンプトンなんて誰も興味ねぇだろ」とラップするのを拒否。
ドレーはレーベル社長Eに「おまえがラップしろ」と無茶ぶり。
始めはド下手だったEもドレーのプロデュースで上達し、
E初シングル曲「Boyz-n-the-Hood」が完成するのです。
別グループで活動中のキューブ本人にはラップさせられなかったけど、
彼のリリックはギャングスタ系なので、高校生の本人よりも
元売人のEがラップした方がリアルなのかもしれません。

「Boyz-n-the-Hood」はラジオで6週連続リクエスト1位の大人気となり、
Eに目を付けた中年ユダヤ人ジュリーが「マネージャーをしてやろう」と接触。
自分たちだけではマネジメントは難しいと考えたEはジュリーを雇います。
そして地元の仲間DJイェラ、MCレンも加わりN.W.Aの新曲「Dopeman」が完成。
大ヒットし、プライオリティ・レコードとの契約が決まります。
いつの間にかキューブもN.W.Aに加わってますが、別グループは脱退したの?
あとD.O.Cもサブメンバーみたいですが、彼はダラス出身だから仲間ハズレ?
やっぱり本作はドレー、キューブ、Eが中心の物語だから、
本作だけではN.W.Aの全容はよくわかりませんでした。

N.W.Aはアルバム『Straight Outta Compton』の制作のためスタジオ入り。
本作のタイトルは初アルバムのタイトルから取ってるんですね。
ただジェリーはメンバーとの契約を先送りにし、キューブは不信感を抱きます。
ジャリーは金の臭いがする黒人グループに寄生する強欲白人なのかな、
と思ったら、彼はN.W.Aが警官に不当な職質を受けているのを目撃し、
「黒人だからって見た目でギャングと決め付けるな」と警官を叱責し、
意外といい奴なのかもとも思えました。
しかし黒人と言うだけで犯罪者扱いするロス市警は酷いですね。
まぁEは実際に元犯罪者(売人)だったわけだし、仕方ない面もあるけど。
キューブはその時に警官から受けた横暴をリリックにし、
強烈な警察ディス曲「Fuck tha Police」を制作しアルバムに収録。
その曲が大反響となり、アルバムは大ヒットします。
賛同だけではなく、「暴力賛美だ」という批判もあったみたいですけどね。
更にその曲のせいでFBIからもマークされることになります。
私もその曲は若干攻め過ぎかなと思いましたが、
国家権力が弾圧してくるのは憲法違反だしおかしい気がしますね。
ツアーで行ったデトロイトでは条例でその曲が禁止されますが、
無視してライブで披露し、N.W.Aは逮捕されたりもしますが、
逆にそれが話題になり、彼らに賛同する人が増えたでしょうね。

そんな折、やっとジェリーがキューブに契約書を持って来ます。
ジェリーに不信感を持つキューブは「まず弁護士に見せたい」と言うが、
「他のメンバーはすぐにサインした」と拒否され…。
おそらく弁護士に見られるとマズい不公平な内容なのでしょう。
やっぱりジェリーはN.W.Aに寄生する強欲白人だったみたいです。
キューブはN.W.Aの曲の半分は自分が書いているのに、
マネージャーのジェリーと社長のEばかり儲かっていることに勘付き、
ルースレス(とN.W.A)を脱退し、プライオリティ・レコードから
1990年にアルバム『AmeriKKKa's Most Wanted』でソロデビューします。
これが大ヒットし、キューブはN.W.Aも凌ぐ大人気となります。
ソロになって大正解だったわけですが、N.W.Aファンは残念じゃないのかな?
優秀な作詞家を失うと同時に最大の敵が現れ、Eは焦ります。

MCレンにリリックを書かせて活動を続けるN.W.Aは新曲「Real Niggaz」で
キューブのことを「ベネディクト・アーノルド」と揶揄しディスります。
キューブもすぐさまアンサーソング「No Vaseline」を作り、
N.W.Aメンバーを名指しでディスり、ジェリーは法的手段に訴えると激怒。
ビーフに法的手段を持ちだすなんてダサいにもほどがありますが、
「It's a case of divide-and-conquer Cause you let a Jew break up my crew」
(訳:分割統治の法則 ユダヤ人が仲間を引き裂く)
というユダヤをヘイトするラインが許せなかったみたいです。
過度な人種差別はマズいですが、やっぱりビーフはHIPHOPの華ですよね。
ディスソングってなんであんなに面白い上にカッコいいんでしょうね。
そんなマジギレするジェリーに、Eは「俺たちのやり方がある」と止めますが、
更なるアンサーソングでキューブをディスるのかと思いきや、
ルースレスの手下を使って殴り込みに行かせるという…。
ラッパーならラップでバトルしろよ。

そんな折、D.O.Cが交通事故を起こし、喉を潰してしまう重症を負います。
それを目の当たりにしたドレーは自分の福利厚生も気になったのか、
契約に不信感を抱き、やはりルースレスとN.W.Aを脱退し、
同郷のシュグという男と新レーベル「デスロウ・レコード」を立ち上げます。
プロデューサーであるドレーを慕い、スヌープ・ドッグや2パックも所属。
なかなかいいスタートでしたが、シュグがかなり暴力的な下衆野郎で…。
すぐ拳銃取り出すシュグに比べたらジェリーの方がまだマシとさえ思えますね。
しかしドレーのソロアルバム『The Chronic』は500万枚の大ヒットします。

一方、キューブに続きドレーにも脱退され、N.W.Aは解散状態。
ルースレスは経営悪化し、Eは大麻を現物支給するほど落ちぶれます。
やっぱり売人はどこまでいっても売人なんですね。
Eは経営立て直しのため、N.W.A再結成を目論みます。
ロドニー・キング事件によるロス暴動があった後だったので、
「Fuck tha Police」のN.W.A復活の機運も高まっていたみたいです。
Eはキューブに会いに行きますが、険悪な再会になると思いきや、
軽口叩き合ってあっさり和解してしまうのです。
やっぱりラッパーにとってビーフは曲の上のことなんですね。
EからN.W.A再結成の話を聞いたキューブは、
「ジェリー抜けてドレーも戻るなら俺も戻る」と快諾。
賢い妻の助言で自分も騙されていたと気付いたEはジェリーを解雇。
ドレーにも連絡して詫びを入れ、再結成を快諾してもらいます。
儲け話から外されたジェリーの悔しそうな姿が痛快でしたね。
それにしてもまさかEのことまで騙していたとはマジで強欲ユダヤ人です。

しかし再結成の初顔合わせの日、体調不良の続くEが卒倒します。
病院で血液検査を受けるとHIV陽性で…。
「俺はゲイじゃない、何かの間違えだ」と絶望するEですが、
いやいや、あんな乱交ばかりしてたらHIVにも感染ますよ。
N.W.A再結成の話も流れてしまったのが悔やまれますね。
超大物になったキューブとドレーが戻った新生N.W.Aは凄かっただろうに…。
Eなしでの再結成ではダメだったのかな?
ちなみに今年4月のキューブのステージで、ドレー、レン、イェラが出演し、
27年ぶり一夜限りのN.W.A再結成となったみたいです。
それが実現したのも本作がヒットしたお蔭でしょうね。

1995年、EはAIDSにより死亡するのです。
同性愛を蔑視するギャングスタ・ラッパーがAIDSで死亡とかダサいです。
故人のことなのであまり悪くは書けないけど…。
でも死ぬ前にキューブとドレーと和解していてよかったかもね。
もしまだ険悪だったら本作のEの描かれ方は悲惨だったかも。
Eの死後、ドレーはデスロウを辞め、新レーベル「アフターマス」を立ち上げ、
そこで本作は終了しますが、Eが死んだことと新レーベルの関連が
いまいちわからないので、あまりピンとこない幕引きでした。
やっぱり本作はN.W.Aの伝記というよりもドレーの自伝なのかも。
エンドロールの映像でもエミネムや50セントがドレーを賛美したり、
アップルがドレーの会社を3億ドルで買ったエピソードが紹介され、
そんな自慢話をここでする必要ないだろと思ったし…。
やはり第三者が描いた方がよかった気がします。
中途半端だったロドニー・キング事件ももっとちゃんと扱えただろうし、
人種差別や同性愛のことも公平に描けたはずです。

でも美化されていたとしても、なかなか波乱万丈で面白かったし、
N.W.Aや各ソロでの挿入歌のパフォーマンスもカッコいいので楽しめました。

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