ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

ラザロ・エフェクト

フロリダ州オーランドでの銃乱射事件ですが、
日本の報道での扱いが小さい気がします。
犠牲者の多さはもちろん、銃規制、宗教、同性愛なども絡む複雑な状況で、
大統領選の結果も左右しかねない大事件だと思うのだけど、
日本ではハゲ都知事のセコい話の方が大きく報じられるんだね。

今日も映画の感想です。

ラザロ・エフェクト
The Lazarus Effect

2016年6月11日日本公開。

全米ボックスオフィス初登場5位、全米興収2500万ドルの本作。
低予算ホラーを得意とするブルムハウス・プロダクション製作で、
本作も低予算、短期間で撮られているので、十分な成績ではありますが、
ヒットしたとは言えない数字で、評価もお世辞にもいいとは言えません。
いざ観てみると、その成績、評価も納得の微妙なホラー映画で…。
本作を一言で表すなら、SF風味の劣化版『ペット・セマタリー』で、
目新しさの全く無い在り来たりなリザレクション・ホラーです。
まぁ撮ったのがドキュメンタリー監督デビッド・ゲルブなので不慣れなのかも。
前監督作のドキュメンタリー映画『二郎は鮨の夢を見る』では
世界的に高い評価を受けており、ドキュメンタリー監督としては一流ですが、
(本作中で鮨を食べるシーンがあるのはセルフ・オマージュなのかも。)
フィクションのホラー映画はやはり畑違いだったのかもしれません。
せめてフェイク・ドキュメンタリーにすれば多少腕も活かせるかもしれないが、
急にフィクション映画を任されても難しいですよね。
劣化版『ペット・セマタリー』な脚本では専業ホラー監督でも手こずるだろうに。
これに懲りたのかゲルブ監督の次回作はまたドキュメンタリーになるそうです。

タイトルは『ヨハネによる福音書』などに登場する聖人ラザロから由来します。
ラザロは死んで葬られた4日後、イエスの力によって蘇ったらしいです。
こういう眉唾な逸話が多いから聖書は信用できないんですよね。
本作もラザロのように死人が蘇る物語ですが、せっかく宗教的なタイトルだから、
神の是非とか禁忌とか宗教的な内容に踏み込むと面白くなりそうなのに、
どちらかと言えば宗教とは逆の医学的な内容となっています。
もちろん疑似科学なのでリアリティはほぼありませんが、それにしてもやりすぎ。
やりすぎ感を控えれば、そこそこのホラーになる気がするので勿体ないです。
ドキュメンタリー監督なんだから演出過多には気を付けそうなものなのに。
以下、ネタバレ注意です。

聖パテルヌス大学の研究室で医学研究者フランクと婚約者ゾーイは、
友人の研究者ニコとクレイ、そして撮影係の学生エヴァの協力を得て、
「ラザロ計画」と称する動物実験を行っていました。
ラザロ計画という名称から、死んだものを蘇らせる研究のように思えますが、
実際は昏睡患者の心肺蘇生時間を少しでも延ばすための方法を研究です。
まぁ後にその実験の副産物的にラザロのような蘇りに成功するわけですが、
まるでそうなることがわかっているようなプロジェクト名ですよね。
彼らは開発した「ラザロ血清」を豚や犬など死んだ動物の脳に注入し、
「パルス・アレー」なる除細動器で死骸に電気ショックを与えることで、
蘇生時間の引き延ばしを実現できると考えています。
ある時、クレイが画期的な改良案を思い付きます。
医学用語の連発で私にはどんな改良案だったか理解できませんでしたが、
彼らにとってはコロンブスのタマゴ的なアイディアだったみたいで、
さっそく死んだ犬の死骸で実験すると、なんと犬が蘇ってしまうのです。
フランクは「生還した負け犬」だから「ロッキー」と命名し、犬を飼い始めます。
ロッキー・バルボアはまだ死んでませんけどね。
ロッキーは蘇っただけではなく、患っていた白内障まで完治するオマケ付き。
死者蘇生より白内障完治の方が実用的だし素晴らしい成果ですよね。

蘇ったロッキーは『ペット・セマタリー』の蘇った猫と同じように、
動きが鈍く、水すらも飲もうとしません。
さらに蘇った猫と同様、凶暴性が増し、ケージを破り、クレイに襲い掛かります。
幸い大事はありませんでしたが、どうも体内に残るラザロ血清の影響で、
新しい神経回路が出来、脳が異常活性化しているみたいです。
襲われたクレイは安楽死を提案するも、フランクは却下し飼い続けます。
でもなぜか破られたケージと同じケージに再び入れるんですよね…。

フランクは学長に呼び出され「動物蘇らせて神を気取るな」と注意されます。
ミッション系の大学なので、神の領域に踏み込む実験に否定的なのでしょう。
ミッション系大学の禁断の実験という設定をもっと活かしてほしかったですが、
この設定はこれ以降全く活かされず残念です。
仲間しか知らないはずの実験をなぜ学長が知ってるか不思議でしたが、
どうやら実験が成功した事実は漏洩しているみたいで、
研究室のスポンサーであるワーナー・ゴス社を買収したクライロニス製薬が、
研究室に乗り込んで来て、フランクたちを追い出して研究を横取りします。
フランクはクライロニスに手柄を横取りされる前に実験を再現して公表しようと、
その夜仲間たちと共に研究室に侵入します。
なぜか実験に役に立つと思えないロッキーも連れて行くので、
ロッキーを再び殺して再び蘇らせるのかなと思ったのですが、
再現実験は別の犬の死骸でやるみたいで、なぜロッキーを連れて行くのか…。
実験中に暴れられでもしたら全て台無しになるのにね。

犬の死骸にラザロ血清を注入し、ゾーイがパルス・アレーのスイッチオン。
しかし焦っていた彼女は指輪を外し忘れていたため感電死。
婚約者の死んだフランクは、ラザロ計画で彼女を蘇生させようとします。
「一線を越えてる」と及び腰だった仲間も仕方なく手伝うことになり、
ゾーイにラザロ血清を注入し電気ショックを与え、見事に彼女を蘇らせます。
起き上がったゾーイは「私死んでた?」と…。
すぐにMRIで精密検査すると、普段10%しか使われてないはずの脳が、
全体的に使われている状態で、彼女の様子もどこかおかしく…。
おかしくなるのは『ペット・セマタリー』の蘇った息子も同じですが、
別の何かになってしまったわけでもなく、意識はゾーイのままのようです。
ただなんと彼女は超能力が使えるようになってしまったのです。
超能力者は脳の普段使わない部分を使っていると言われますが、
彼女も脳が異常活性したことで超能力者になっちゃったんでしょう。
ホラーとは思えないSF展開ですが、人の心が読めるようになったり、
念力が使えるようになるのは脳の進化としてあり得なくない気もするけど、
瞬間移動まで出来るようになるのはちょっとやりすぎな気がします。

臨死体験に興味があるエヴァはゾーイに天国を見たか聞きます。
フランクは臨死体験は脳内DMTによる幻覚だと考えています。
あの世否定派の私も彼の説は科学的で正しいと思いますね。
信仰心が厚い生前のゾーイは脳内DMTは魂の移転を助ける物質で
天国は実在すると考えていたみたいですが、彼女が実際に見たのは、
自分のトラウマ経験が何年もループする悪夢で…。
これが事実なら地獄に堕ちるより地獄で、絶対死にたくないです。
でもそんな悪夢も脳内DMTによる幻覚で説明がつきますね。
ところがエヴァが寝ているゾーイに近づくと、
彼女はゾーイの悪夢の中に引きずり込まれてしまうのです。
ゾーイがテレパシーで悪夢をエヴァに送っているだけかと思ったけど、
目覚めたエヴァの腕には悪夢内で付けられた傷があり、
そうなると脳内DMT幻覚説では説明がつかなくなります。
しかし悪夢に誘い込んで危害を加えることが出来るなんて、
フレディ・クルーガーみたいなことしますね。
その一件から、フランク含め仲間たちはゾーイを危険視するのです。

超能力が使えるようになったことに戸惑うゾーイですが、
やはりロッキー同様、凶暴性も増しているみたいで、
なぜか(蘇り仲間なのに)自分に敵意を向けてくるロッキーを殺害します。
でもロッキーが殺されたことにフランクたちは全く気付かないんですよね。
次にニコをロッカーに閉じ込めて、ロッカーごと念力で押し潰し圧死。
ニコが消えたことには皆さすがに気付き、クレイから疑われたゾーイは、
彼の口に念力でiQOS(次世代タバコ)を捻じ込み、窒息死させるのです。
流行りのiQOSを早くも取り入れるなんて、さすがホラー映画は流行に敏感。
それを目の当たりにしたフランクは安楽死用鎮静剤を
ゾーイに注射して殺そうとしますが、逆に殺されてしまいます。
残るはエヴァだけですが、フランクが主人公だと思っていたし、
最後のひとりは彼だろうと思っていたので意外な展開です。

ゾーイはラザロ血清を再注入しパワーアップし、エヴァとの決戦に挑みます。
別にあんな小娘殺すのに、パワーアップは必要ない気がしましたが、
パワーアップしたゾーイが再び悪夢にエヴァを誘い込むも、
なんと彼女はゾーイのトラウマを取り除き、悪夢を終わらせて脱出に成功し、
ゾーイの胸に安楽死用鎮静剤を注射し倒すのです。
まさかの大逆転、と思いきや、やはりその程度でゾーイは死なず、
レスキュー隊に化けて、救出に来たふりをしてエヴァの首をへし折ります。
なぜそんな回りくどい殺し方をするのか謎ですが…。
その後ゾーイはラザロ血清を含む自分の血をフランクの死骸に輸血し、
彼を蘇らせて本作は幕を閉じます。
自分をバケモノ扱いして殺そうとした裏切り者フランクをなぜ生き返すのか、
ちょっと不思議な気もしますね。
あとクライロニス製薬に持ち去られたラザロ血清がどうなるのかも気になるが、
続編でもあればその辺りから物語を派生させるつもりだったのだろうけど、
成績はともかく、この評価では続編は絶対無理です。

特に観る価値なし。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1671-542c2576
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad