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へイル、シーザー!

またかなり更新間隔が空いてしまいました。
先週末公開の映画に観たいものがなかったので、
書きたいと思っても、ネタがなくて書くことができず…。
鑑賞のハードルを下げて『64 ロクヨン』でも観に行こうかと思いましたが、
前後編の二部作だけど後編の公開時期には他に観たい映画が多く、
たぶん後編を観に行く余裕はないと思い断念しました。
あと『64 ロクヨン』って2時間ドラマの劇場版らしいという話も聞いたので、
そのドラマ知らない人が観に行く価値はないかなと…。
先々週公開の『テラフォーマーズ』や3週前公開の『アイアムアヒーロー』も
考慮したのですが、どちらもdtv(BeeTV?)で前日譚が配信されていて、
dtvと契約してない人が観に行く価値はないかなと…。
やはりテレビドラマやネット動画に連動した映画というのは敷居が上ります。

ということで、昨日やっと観たい新作が公開されたので、その感想です。
映画に飢えていたので、正直これも少しハードル下げて観に行ってます。

へイル、シーザー!
Hail, Caesar!

2016年5月13日日本公開。

本作は第66回ベルリン映画祭のオープニング作品で、
全米ボックスオフィス2位だったコメディ映画です。
映画批評家からは大絶賛されましたが、一般客の評判は悪く、
好スタートを切ったものの翌週から急降下で、あまりヒットしていません。
それもそのはず、コーエン兄弟が監督・脚本のコメディなので、
いつもどおり批評家ウケするけど、一般ウケしません。
一般客の私も正直、あまり面白くないと思ってしまいました。

『トゥルー・グリッド』以降、一般客に歩み寄り気味だったコーエン兄弟ですが、
本作は悪い意味で久々に彼ららしい、人を選ぶコメディ映画となっています。
コーエン兄弟のコメディは、客が好意的に観ないと楽しめませんが、
私はコーエン兄弟に好印象を持っていないので、
どうしても斜に構えて観てしまうため、全っ然楽しめないんですよね。
むしろ一昨年までは彼らに好意的でしたが、
彼らが反日映画『アンブロークン』の脚本を務めたことを根に持ってます。
ただ、反日映画に関わったことに対する遺恨なんてない米国人客も、
本作を楽しめてないんだから、普通に面白くない作品なのでしょう。
本作を絶賛する批評家連中は実績のあるコーエン兄弟の作品なら
褒めておけば安牌だとしか考えてないので彼らの評価は信用できません。

ただハリウッド映画に造詣が深い人であれば、本作は楽しめるのかも。
というのも、本作の登場人物は全て架空の人物ではありますが、
造詣が深い人ならピンと来る実在の人物をモデルにしているらしいのです。
そして実在の人物や実際の出来事に対して揶揄しているのです。
例えば主演ジョシュ・ブローリン演じる主人公エディ・マニックスは
MGMの幹部だったE.J.マニックスなる人物が元ネタで、
ジョージ・クルーニー演じる中心人物ベアード・ウィットロックは、
ロバート・テイラー、チャールトン・ヘストン、カーク・ダグラスがモデルだそうな。
そんなの一般客は言われないとわからないから楽しめませんよね。
いや、ベアード・ウィットロックのモデル俳優たちはまだしも、
MGM幹部E.J.マニックスなんて裏方、一般人は知りませんよ。
つまり本作は業界関係者と業界に詳しい人にしか面白さが伝わらない
内輪ノリの物語ということです。
スカーレット・ヨハンソンやチャニング・テイタムなど豪華キャストに釣られて、
私程度の俄か映画ファンが観に行くと痛い目に遭うかもしれません。

とはいえ、別に退屈な作品でもないです。
物語は面白げな感じで進んで行くので、どうなるかとワクワクします。
しかし終わってみれば、全然面白い流れにはならず、
竜頭蛇尾というか腰砕けというか、特に盛り上がりもない幕引きで拍子抜け。
いったい何が描きたかったのかとモヤモヤします。
好意的な客ならそれでも勝手に主題を導き出せるのでしょうが、
私はそこまでやってやろうとは思わないので、何の主題も伝わらず、
ただただ2時間近くオチのない話を聞かされたような印象です。

どんな内容かと言えば、映画製作会社キャピトル・ピクチャーズの
製作管理部部長(問題解決請負人)ベアード・ウィットロックが、
映画製作上で次々起こる問題に奮闘するという物語です。
彼はその問題解決能力を買われ、ロッキード社のスカウトから
楽で高給な好待遇のヘッドハンティングを受けていて、
大変すぎる映画製作会社を辞めるかどうか悩んでいます。
最終的にベアードがどちらを選択するのかという展開ですが、
(時代設定はビキニ環礁水爆実験の直後なので1950年代と思われる)
客はロッキード社が後にロッキード事件を起こすことはわかっているので、
どちらの選択が正しいのかはわかりきってますし、
展開的にベアードがロッキードを選ぶのもわかりきってます。
なにしろスカウトが映画業界を蔑むような男ですから、
映画の主人公が彼に靡くとは考えられないので。
だからベアードがどんな選択をするのかには興味が湧きません。

それ以前にロッキード社からヘッドハンティングされるくらいだから、
ベアードは敏腕で、様々な問題に奮闘してどんどん解決するのだろう、
と思っていたのですが、彼は全くと言っていいほど活躍しません。
例えば、イエス・キリストを扱う映画が製作されるので、
各教派から批判を受けないように、予め各教派の審査機関の人を集めて、
脚本について意見を求めますが、どの教派からも全く批判されず…。
例えば、未婚の専属女優が妊娠した時に、未婚の母はイメージが悪いので、
ベアードは子供が生まれてすぐに秘密裏に養子に出してしまい、
再び養子として迎えることで世間から出産を隠そうと画策しますが、
結局女優は相手の男と結婚して未婚の母ではなくなり、無駄な徒労に。
例えば、上層部の意向で西部劇しか出来ない大根役者を
ドラマ映画に起用することになるが、監督が頑張って台詞を削り、
なんとか成立させますが、別にベアードは何もしてません。
例えば、撮影中の主演俳優が共産主義者たちに誘拐されるが、
件の大根役者がたまたま監禁場所を発見して事無きを得ます。
結局、ベアードの腕に関係なく、諸問題は勝手に解決されるのです。

少しベアードが貢献したものがあるとすれば、ゴシップ記者が件の主演俳優の
過去のネガティブなネタを記事にするのを説得して止めたくらいですが、
そもそもそのネタも書かれたところで誰も信じないようなものらしく、
やっぱり彼のお蔭で問題が解決したかは微妙ですね。
そのネタというのも、一体どんな内容なのか終盤まで引っ張りますが、
ただ件の主演俳優が昔、枕営業して役を掴んだというだけのもので、
あんなに引っ張ったわりには大して面白くないネタでしたね。
真偽も不明のままだし…。

結局は自然解決する問題で主人公が右往左往するだけの物語で、
問題解決する痛快感とかは全くありません。
主演俳優の誘拐事件なんて、どんな下手な脚本家が書いたとしても、
もっと盛り上げられそうな気がするんですけどね…。
まぁコーエン兄弟が意図的にスカしているのはわかっていますが、
それに対して「コーエン兄弟らしいな」と面白がってくれるような
彼らに好意的な客しか楽しめない作品になっています。
『シーザー万歳/キリストの物語』や『我らは踊る』など、
劇中劇として製作中の何本か映画の撮影シーンが出てきますが、
それらの劇中劇の方が本作よりもよほど面白そうです。
いや、劇中劇『ものぐさなお月様』(西部劇)は面白くなさそうだったかな。
劇中の試写会シーンでは客が異常なほど爆笑してたけど…。
なお私が観に行った映画館では、本作で誰ひとり笑ってませんでした。
静まり返った中でコメディ映画を観ると面白くなさも一入ですね。

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