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本日ついに昨年度のオスカー作品賞『スポットライト』が公開されましたが、
やっぱりちょっと公開が遅すぎますよね。
授賞式は2月末ですが、4月のもなると授賞式の熱も冷めてしまいます。
年何十本もハリウッド映画を観るハリウッド映画好きの私でもそうなのだから、
たまに映画を観る程度の人だとほとんど興味を失ってそうです。
オスカー関連作を楽しむのに最も適した時期(期間)は、
候補発表から授賞式までの約1カ月半の間だと思うので、
(公開済み作品は別として)なるべくその間に日本公開するようにしてほしい。
それが無理でもせめて3月中には日本公開してほしいです。
ある意味オスカー関連作は旬なものなので、候補に選ばれたら、
他の作品の配給予定を先送りしてでも早く公開した方が客も楽しめるし、
配給会社も儲かる気がします。

ということで、今日はオスカー関連作の感想です。
授賞式から間を空けない方がいいと言いながら、
公開から一週間近く経ってから鑑賞するのは矛盾してますが、
TOHOシネマズ・デイにお得に観たかったので…。

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2016年4月8日日本公開。

本作は第88回アカデミー賞で主演女優賞オスカーに輝いた作品です。
作品賞や監督賞にもノミネートされていましたが、
作品賞候補8作の中でも2番目に面白そうだと思い期待していました。
実際に観てみても、期待に違わぬ面白い作品でしたが、
これが主演女優賞受賞というのは、ちょっと解せないかも…。
たしかに主演女優ブリー・ラーソンの演技は非の打ちどころがないけど、
本作では彼女より子役の頑張りが光っていたので…。
まぁ子役が主演男優賞候補になるのはまずあり得ないことなので、
(『ハッシュ・パピー』のように過去に例がないわけではないけど…。)
その子役の頑張りもラーソンに加点されての受賞だった気がします。
それか(本作含めまだ2本しか観てないけど)他の主演女優賞候補が
たいしたことなさすぎた可能性もありますが。

変質者に7年間も監禁された女性とその5歳の息子が逃げ出す話ですが、
日本でも先月末に、2年間監禁された女子中学生が逃げ出し、
犯人が逮捕されるという事件が世間を騒がせたばかりです。
図らずもタイムリーな内容になりましたね。
そんなことを言うと不謹慎とも思われそうですが、
本作を観てその監禁事件を思い出したのは私だけではないはずです。
ただ事実は小説より奇なりといいましょうか、実際の監禁事件の衝撃が強く、
本作の監禁もかなり特殊なケースのはずなのに衝撃が薄く感じられて、
タイムリーだったことが良かったのか悪かったのか微妙なところです。
以下、ネタバレ注意です。

女子高生のジョイは下校途中に男オールド・ニック(本名不明)に
猥褻目的で誘拐され、彼の自宅の納屋に監禁されます。
監禁から2年ほど経ち、ジョイはレイプで孕まされて息子ジャックを出産。
ジャックは狭い部屋から一歩も出ることなく5歳の誕生日を迎えるのです。
もちろん母ジョイも7年間外に出たことがありませんが、
つまり19歳で自力出産し、ひとりで息子を育てたってことですね。
(現在24歳には見えない老け方ですが、監禁の影響か?)
生活に必要なものはニックがレイプしに来た際に差し入れてくれますが、
彼女はニックに息子を触られるのが嫌みたいなので…。
ニックが来たらジャックを洋服ダンスに入れ、会わせないようにしています。
ジャックは洋服ダンスの中で母がレイプされる音を聴いてますが、
生まれてからずっとそんな状況なので何も疑問を持ってないみたいです。
もちろんニックを父だとも思ってなく、差し入れに来る怖い人くらいの感覚です。
ジョイも息子が監禁されていると知って絶望しないようにか、
部屋の外は何もない宇宙空間で、テレビに映るものも本物ではないと説明。
幼く無知なジャックはそれを信じています。
でももう少し成長したら、そんなこと信じてられなくなりそうな気がしますが、
私たちが行ったこともないのに地球の外は宇宙空間だと信じてるのと同じか。

それにしても本当に5~7年間も一歩も外に出ないで生活できるものかな?
食事は玉子とシリアルとビタミン剤くらいしか差し入れられてなさそうだし、
栄養失調とかで病気になりそうなものですが、医者にも行けないし…。
ジョイも虫歯は抜けるまで我慢するしかありませんでしたが、
もう大人の彼女はまだしも幼いジャックが一度も病気にならないのは不思議。
窓も天窓しかなく、部屋の衛生状態も決して良好とは言えない状況なのにね。
食事は粗末とはいえ何年も母子を監禁し、ある意味養っているニックの経済力も
気になるところですが、前職はわからなかったものの半年前に失業したようで…。
ついに部屋の電気も止められてしまい、すでに逃げることを諦めていたジョイも、
生活費がなくなることに不安を覚え、逃げる覚悟を決めます。
でも今までも逃げようと思ったら逃げられそうな気がするんですよね。
入室するニックをトイレの蓋で殴打して逃げる作戦は失敗したようですが、
ドアが見たところ4ケタの数字による暗証番号式の鍵だったので、
たったの1万パターンなら番号総当たりで開けられそうな気がするんですが…。
さすがに暗証番号だけじゃなく二重三重のロックになってるかな?

ジョイは息子ジャックに仮病を使わせて、ニックに病院まで連れて行かせ、
医者に助けを求める計画を立て、熱湯で息子を拭き高熱を装います。
そんな高熱くらいで医者に行けるなら、今までも本当の風邪で行けただろ、
と思ってしまいますが、案の定、ニックは市販の薬を買って来るだけで…。
杜撰な計画のせいで、ただ熱い思いをしたジャックが可哀想ですね。
仮病作戦失敗したジョイは、今度はジャックに死んだふりさせ、
ニックに遺体をトラックで外に捨てに行かせる計画を立てます。
体は絨毯で包むから見えないけど、持ち上げられた時に死後硬直を装うため、
ジャックにカチカチに固まっていろと、5歳児に無茶振りします。
そんなことで誤魔化せるわけないだろ、また失敗するだろう。
…と思いきや、なんとニックはジャックが本当に死んでしまったと信じて、
部屋から運び出し、トラックの荷台に積むのです。
ジョイに中を見るなと言われたからって、本当に見ないのはあり得ないでしょ。
仮にも自分の息子なんだから、その遺体くらい確認したいと思うはずだし、
ジョイの言葉を鵜呑みにしてしまうなんて犯罪者とは思えないお人好しです。
本作は全体的にはよく出来ていて興味深いんだけど、
ここのニックの行動だけはどうにも納得できないのが残念です。

トラックが減速した時に、荷台から飛び降りたジャックでしたが、
物音を立ててしまい、運転していたニックに気付かれ捕まります。
しかしジャックは通りすがりの犬の散歩中の男性に「助けて」と叫び、
女の子が変態に浚われそうだと思った男性が「通報するぞ」と言うと、
(ジャックは髪を切ったことがないので見た目は女の子っぽい。)
ニックはジャックを放って慌てて逃げて行きます。
見事に脱出成功したジャックは警察に保護されます。
ところが女性巡査から「ママの名前は?」と聞かれたジャックですが、
なんと母親の名前を覚えておらず…。
ずっと「ママ」と呼んでるし、2人だけの世界では名前なんていらないのでしょう。
これでは警察はどこの子かもわからず、ジョイを救出できないと思ったけど、
ジャックが話した「天窓」と「納屋」というヒントだけで、
その日のうちにニックの家を特定し、ジョイも救出、保護されるのです。
ジャックに逃げられたニックが監禁発覚を恐れてジョイを殺すかもと思ったけど、
どうやら発覚を想定して逃亡したみたいですね。
けっこう優秀な警察なので、すぐに捕まえるんですけどね。
死刑でも甘いニックがどんな量刑になったのか気になります。

病院に運ばれたジャックとジョイ。
そこで医師からサングラスとマスクと日焼け止めを渡されます。
ずっと陽の光や外気に晒されてなかったので、その対策らしいです。
納屋の方が不衛生だと思ったけど、母子には外の方が健康に悪いんですね。
病室でジョイは両親と7年ぶりの感動の再会を果たします。
ジャックは祖父母に会うのは初めてで極度の人見知りをしますが、
(まぁ祖父母に限らず母ジョイとしか話さないのですが。)
祖父の方も初めて会う孫を避けるような態度を取るのです。
愛する娘が憎き誘拐犯に孕まされて生まれた子なので複雑なんでしょうね。
たぶん娘が誘拐されたことが原因か、両親は離婚しており、
ジャックはジョイと一緒に祖母の家(母の生家)で生活することになるのです。
祖母には後夫がいるので、祖父があんな態度でなければ、
祖父と暮らした方がいいんじゃないかと思いましたが、
後夫レオは見た目はゴツいけど、めっちゃいい人でした。
用意されたご馳走も食べないジャックに、シリアルを出すなど気が利く男です。
生まれてからほとんどシリアルしか食べたことがないジャックが、
食べたことない食事出されても食べられるはずありませんもんね。
あとレオは犬を飼っていて、犬好きのジャックとも意気投合し、
レオと話せるようになったことで、ジャックの人見知りも快方に向かいます。

家にはマスコミやら野次馬やらが押し寄せていて、こんな状況では、
せっかく自由になったのに家から出ることもできませんね。
監禁場所が納屋から家に、少し大きくなっただけのようなものです。
マスコミも被害者の家に押しかけるような真似はやめろと思うけど、
けっこう日本のマスコミも似たようなものですよね。
ただ少し違うのは、被害者が進んでテレビの取材を受けることです。
出演料が払われるので生活費の足しにするためのようです。
ジョイは自宅でテレビ局のインタビューを受けるのですが、
このインタビュアーがかなり酷い質問をするクソババアで…。
「将来、息子さんに父親が誘拐犯だと話しますか?」とか、
「生まれてすぐに病院の前に捨てた方が息子のためだったのでは?」とか、
たしかに視聴者としては気になることだけど、普通なら憚られるような、
日本なら炎上間違いなしの不謹慎な質問を連発します。
強いショックを受けたジョイは自殺未遂を起こして入院します。
このインタビュアーはお咎めを受けるべきでは?

母ジョイが入院してしまって、祖母と一緒に生活するジャックは、
ときどきあの納屋に帰りたいと感じる時があります。
生まれてからずっといた愛着のある場所ですもんね。
それになによりいつもママと一緒だったのが嬉しかったので、
外に出たことで離ればなれになってしまい悲しいみたいです。
でもさすが子供、騒ぎが収まって外出できるようになると、
隣人と挨拶したり、犬を飼ったり、同年代の友達が出来たりしながら、
生活に順応し、普通の子供のようになっていきます。
それでも納屋には帰ってみたいと思い続けていたみたいで、
ジョイが退院すると、「少しだけ部屋に帰ろう」とお願いして、
母子で5年間生活した納屋を見に行くのです。
納屋の中はほとんど証拠品として押収されており見る影もありませんが、
ジャックは一度見て満足したみたいで、部屋に「サヨナラ」して去ります。
特殊な生い立ちのジャックの心境の変化こそが本作の面白味なのですが、
なかなか筆舌に尽くし難く、伝えられないのでもどかしいです。

前半は監禁からどう脱出するかを描いたスリラー、
後半はジャックの成長を描いたヒューマンドラマって感じで、
一粒で二度美味しいお得感もあり、かなり楽しめましたが、
スリラーのクライマックスである脱出方法がもう少し納得できるものなら、
作品賞オスカーも狙えた傑作になったような気がします。
あと贅沢を言えば、孫を避ける祖父との和解も描けていれば、
さらに感動的で後味のいい作品になったと思います。

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