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ボーダーライン

書くネタがなかったので、更新間隔が少し空いてしまいました。
先日、二階堂ふみ主演『蜜のあわれ』を観に行きましたが、
今年から日本映画の感想はあまり取り扱わないことにしたので…。
なぜかわからないけど、日本映画は感想を書くのが難しいです。
『蜜のあわれ』も一度は感想書いてみようと挑戦したのですが無理でした。
書ける日本映画があれば書いてみたいと思いますが、
そもそも日本映画はほとんど観なくなったので、なかなかないかな。

ということで、今日も外国映画の感想です。

ボーダーライン
Sicario.jpg

2016年4月9日日本公開。

本作は全米ボックスオフィス最高3位になったクライムスリラー映画です。
第68回カンヌ国際映画祭のコンペ部門にも出品されましたが、
第88回アカデミー賞で3部門にノミネートされたことでも注目されましたね。
といっても、主要部門には一切絡んでなくて、
撮影賞、音響編集賞、作曲賞の裏方部門でのノミネートですが。
とはいえ、アメリカの批評家や観客の評価はすこぶる良く、
逆に評価でなぜ主要部門にノミネートされなかったのか不思議なくらいです。
ただ麻薬戦争を扱った本作は、日本人に馴染みの薄い内容なため、
日本でも同様の高い評価を受けられるかどうかは微妙かも。
少なくともヒットすることはあり得ないと思われますが、
かく言う私も、あまりオススメできる作品ではないと思いました。

まず躓いてしまったのが邦題による誤解です。
FBI女性捜査官が麻薬カルテルを殲滅するための作戦にリクルートされ、
ルール無用の麻薬戦争に巻き込まれてしまう物語ですが、
邦題が「ボーダーライン」、つまり「境界線」という意味で、
「その善悪に境界はあるのか」というキャッチコピーだったため、
それを真に受けて、主人公のFBI女性捜査官が、
非人道的で超法規的な麻薬カルテル殲滅作戦に直面し、
善悪の境界で苦悩する、というような内容だと推測していました。
ところが実際は、彼女はクソ真面目なので、
非人道的で超法規的な作戦に対して常に反発するだけ。
しかし彼女はある事情で作戦に同行しているだけの傍観者なので、
彼女が反発しようが作戦に何か影響があるわけでもありません。
そもそも本作は「シカリオ」という原題で、意味はスペイン語で「暗殺者」。
単に麻薬カルテルのボスを暗殺する作戦を描いただけの物語で、
善悪の境界を問うような内容ではないんですよね。
推測した内容と全く違ったため、観る姿勢を間違えて楽しめませんでした。

そもそも相手は麻薬カルテル、殺人も厭わない犯罪者です。
そんなやつらがどんな非人道的な目に遭わされても、
どんな違法な扱いを受けても、身から出た錆なので気の毒とも思わないし、
法を犯す犯罪者が法から守ってもらおうなんて烏滸がましいです。
幼い子供がいる汚職警官やカルテルのボスの家族まで無慈悲に殺されるが、
どんな事情があっても麻薬に関わる奴は殺されて当然です。
彼らの肩を持てるのは同じ犯罪者だけで、ほとんどの客は
彼らがどんな非人道的で超法規的なことをされても善悪なんて揺らぎません。
むしろその作戦に反発する主人公の頭の固さにイライラするはず。
しかも反発することによって何かが変わるわけでもないのに、
いい加減いちいち噛み付くのやめろよ、と物わかりの悪さに辟易します。
なので主人公に全く共感することができない作品なんですよね。

あと、序盤の掴みが良すぎて、中盤以降に退屈さを感じました。
主人公のFBI女性捜査官ケイトは誘拐即応犯のリーダーで、
麻薬カルテルによる誘拐事件を追い、アジトを奇襲し殲滅します。
そのアジトの壁に少なくとも35体以上の遺体が塗り込まれていて、
ビニール袋に覆われた遺体の映像がなかなかショッキングでした。
その後もアジトの倉庫の爆弾が爆発し、捜査員2名が死亡しますが、
爆発で千切れ飛んだ腕の映像なんかも衝撃的です。
冒頭から衝撃的なグロいシーンが満載だったので、
これはなかなか攻めたスラッシャー映画かもしれないと期待しましたが、
それ以降のグロいシーンは、メキシコの高架下に吊るされた遺体くらいで、
ほとんどショッキングな映像がないんですよね。
むしろカルテルの関係者を銃殺したり、射殺したり、拷問するシーンは、
銃声のみとか悲鳴のみとか、直接描写を避けているようにさえ思えます。
犯罪者が無残に殺されるのが痛快なのに…。
掴みが衝撃的だっただけに、その後の温い演出に期待を裏切られました。

その誘拐事件での活躍でCIAの麻薬カルテル殲滅部隊に
リクルートされたケイトでしたが、麻薬事件は専門外なので、
部隊の役に立っている様子もなく、なぜリクルートされたのか謎でした。
後でわかるのですが、CIAは海外活動が単独では出来ないため、
FBIのケイトを部隊に加えたということがわかります。
つまりFBIだったら誰でもよく、彼女が傍観者になるのも納得です。
CIAマット率いる部隊には、所属不明のコロンビア人アレハンドロがいて、
主に彼が残虐非道で超法規的な行為を行い、
カルテル関係者を次々捕まえて、用が済んだら殺害します。
彼が原題の示しているシカリオ(暗殺者)なのでしょうね。
後でわかるのですが、彼は麻薬カルテルに妻子を殺された元検察官で、
つまり彼の目的は麻薬事件解決ではなく単なる復讐です。
ケイトではなく彼が主人公だったら本作はもっと楽しめた気がします。
アレハンドロを中心にした続編も計画されているそうです。

アレハンドロの不法行為を止めようとした時に、ケイトは彼から撃たれます。
防弾ベストを着ていたので死なないし、彼もわかってて撃ったのですが、
本当に彼女は正論吐きのいい子ちゃんでの鬱陶しかったので、
そこで本当に撃たれて死ねばよかったのにと思ってしまいました。
カルテルのボス殺害後、アレハンドロがケイトの前に現れ、
今回の作戦が法規に準じたものだと認める書類にサインするように要求。
ケイトは拒否しますが、彼に銃を突き付けられて不本意ながらサイン。
彼女は去るアレハンドロに拳銃を向けるが、やっぱり撃つことができません。
結局最後に加担するわけですが、所詮彼女の正義なんてその程度のもの。
ここで殺されても断固拒否するか、或いはアレハンドロを撃っていれば
少しは見直したけど、やっぱり単なる偽善者でしたね。

地下トンネル突入時の暗視映像やメキシコの街の俯瞰映像など、
さすがはオスカー撮影賞にノミネートされただけのことはあると思いましたが、
それ以外は特に観るべきところはない内容でしたね。
麻薬戦争の実態をリアルに描写されていると評判ですが、
実際にはそうでもないらしく、市長などメキシコ関係者に批判され、
ボイコットを促す新聞広告まで出たそうなので、話し半分で観た方がいいです。

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