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Mr.ホームズ 名探偵最後の事件

今週末は観たい映画が一本も公開されませんでした…。
大手映画会社が一斉に春休みでも取っているのでしょうか。
今月中旬からはGWに向けての公開ラッシュで大変ですが、
できればもっと分散させてほしいです。

ということで、今日は先月公開の映画の感想です。

Mr.ホームズ 名探偵最後の事件
Mr Holmes

2016年3月18日日本公開。

本作は全米ボックスオフィス最高9位で、あまりヒットしませんでしたが、
評価はかなりよかったみたいなので、ちょっと期待していました。
この全米興収ならば、日本での公開は難しい成績だと思いましたが、
主人公シャーロック・ホームズの知名度や、真田広之も出演するとあって、
無事、日本でも劇場公開されましたね。
日本公開された先月中旬に観に行こうかとも思いましたが、
3月末に観たい映画が少なく、お得なファーストデーに観るものがなかったので、
本作を温存し、予定通り昨日のファーストデーで鑑賞しました。

興収は低いが評価は高い映画にありがちな、少し玄人ウケする作品で、
大衆向け作品が好みな私には少々退屈なところもあった気がします。
特に、1947年のサセックスに住む93歳のホームズのエピソード、
その少し前の広島旅行中のホームズのエピソード、
1910年代のロンドン時代のホームズのエピソードが、
並行に描かれる演出には、まどろっこしさを感じてしまいます。
エピソード間の往来が激しくて、なかなか物語が前に進まずイライラ。
サセックスとロンドンのエピソードは関連性が高いのでまだいいけど、
正直、広島旅行のエピソードは「これいるか?」って感じで…。
日本人の私がそう思ってしまうのだから、他国の客は尚更でしょう。
日本の描写もかなりトンチンカンで、取って付けたような感じでした。
以下、ネタバレ注意です。

1947年、30年以上前に探偵業を引退したシャーロック・ホームズは
ど田舎サセックスで養蜂しながら、家政婦母子と生活しています。
御年93歳で痴呆症も始まりますが、あのホームズがボケるなんて、
名探偵も寄る年波には勝てないのかと寂しい気持ちになりますね。
ホームズは自分の事件をモデルにワトソンが書いた小説が、
大衆向けに脚色されすぎていることに不満があるようで、
自分で書き直して発表したいと思っているみたいです。
ワトソンは実際よりも英雄的に書いてくれてるんだからいい気がしますが、
本当は鹿撃ち帽ではなくシルクハット、パイプではなく葉巻が好きだったのに、
変なキャラ付けしやがって…、とか思ってるみたいですね。
本作で描かれる実際のホームズは、黒のハットに黒のコート、
杖もついていて、まるでモリアーティ教授みたいな風貌ですよね。
これでは読者もガッカリでしょう。

特に彼は最後の小説『The Adventure of the Dove Grey Glove』の結末に
強い不満を感じており、事実に基づいて書き直そうとしているのですが、
ボケが進んでしまっているので自分でも当時のことが思い出せず…。
その事件での失態で探偵業の引退することになったようなので、
そんな忘れた苦い経験なんて、あえて思い出すこともないのにね。
ちなみに本作の原作はドイルの小説ではなく、第三者の二次創作小説。
劇中作『The Adventure of the Dove Grey Glove』も架空の小説です。
ホームズはなんとしても思い出して執筆したいので、
ボケ改善に効果あるローヤルゼリーを沢山摂取しようと養蜂してます。
ドイルによる原作設定でもホームズは晩年養蜂していますが、
それがまさかボケ治療の研究のためだったとは面白い解釈です。

しかしローヤルゼリーでもあまり効果が認められなかったため、
ホームズはもっとボケに効果があると噂のヒレザンショウを試そうと、
今のように渡航が簡単ではない昭和22年に、93歳の老体に鞭打ち、
わざわざ日本まで採りに行くんですよね。
うーん、ちょっとあり得ないくらいの執着心です。
山椒が日本の特産品だったとは知りませんでしたし、
ヒレザンショウ(鰭山椒)なんて聞いたことないので少し調べてみると、
沖縄や小笠原諸島に分布する山椒の仲間みたいです。
しかし本作では広島で自生しているものを採ります。
本作鑑賞中は調べる前なのでその事実誤認は気付きませんでしたが、
それ以上に違和感を覚えることが…。
昭和22年の広島と言えば原爆投下されてから2年後ですよね。
なんと原爆ドームとほど近い焼け野原で自生していたんですよね。
ボケには効くかもしれないが、そんな植物食べたら別の病気になりそう。
レストランでも普通に山椒のスープが提供されてるんだから、
わざわざ焼け野原に採りに行く必要もないし、せっかく日本まで来たのに、
一株だけ鉢植えに入れて持ち帰るんだから滅茶苦茶。
ワトソンの小説の脚色を嘆くわりに、実際の出来事の方がファンタジーです。

結局、ヒレザンショウもそれほどボケに効果はありませんでしたが、
家政婦マンローの幼い息子ロジャーとの交流が刺激となり、
当時の記憶がどんどん蘇ってくるのです。
簡単に事件を説明すると、まだロンドンで探偵業をしていた約30年前、
ケルモットという男から妻アンの素行調査を依頼されます。
ケルモットは二度流産したアンを慰めるため、楽器アルモニカを習わせるが、
アンが演奏しながら生まれてこなかった子供と交信しているみたいで、
彼はアルモニカの先生、シルマーが黒魔術師ではないかと疑い、
アンにアルモニカの演奏とシルマーに会うことを禁止します。
しかしアンはこそこそ出掛けてはシルマーの店に行っているようで、
ホームズにその事実を突き止めてほしいという依頼です。
たかが妻の素行調査を有名なホームズに依頼するなんてね。
ホームズはアンを尾行し、彼女はシルマーの店を通り抜け、
夫の口座から金を引き出し、薬局で有毒な薬を買って、
法律事務所で遺言書の確認をし、駅である男に金を渡しているとわかります。
どうやら夫の暗殺を謀っているみたいですね。

…と思わせるのはアンの作戦で、ホームズは実はそう思わせておいて、
彼女自身が服毒自殺するつもりだと気付きます。
そのことをホームズから指摘され、アンは「私の気持ちがわかる人だ」と感動。
六十路を過ぎたオッサンに、一緒に駆け落ちしてほしいと言い出すのです。
ホームズは「夫のところに戻りなさい」と彼女を説得。
アンは納得してくれたようで毒薬を捨てて立ち去りますが、
実は全く納得しておらず線路に飛び込んで轢死してしまいます。
ホームズはそのことを後悔し、探偵業を引退したみたいです。
うーん、なかなかツッコミどころの多い事件ですね。
ワトソンは落ち込むホームズに気を使い、その事件をマダム・シルマーによる
アン毒殺未遂事件に脚色して小説にしてくれるのですが、
まだファクションの小説の方が筋が通ってると思うほど奇妙な話です。

ホームズはロジャーとの交流で当時のことを完璧に思い出せましたが、
ある日、ロジャーが養蜂の手伝い中に蜂に全身刺されてショック状態に。
慌てて病院に搬送されますが、命に係わる重傷で…。
当然、母のマンローは激怒し、ミツバチの巣箱を燃やそうとしますが、
ホームズは「ミツバチに責任はない」と止めます。
彼はロジャーと刺したのはミツバチではなくスズメバチと推理。
ミツバチの巣箱ではなくスズメバチの巣を燃やすことになります。
でもロジャーはミツバチをスズメバチから守ろうとして刺されたので、
直接的ではないにせよ、ミツバチのせいだとも言えますよね。
もっと言えば、養蜂を手伝わせたホームズのせいなのは間違いないのに、
スズメバチのせいだとわかるや否や、マンローは彼を許してしまい…。
結果的にロジャーは一命を取り留めるのでよかったものの、
この事故は完全にホームズの過失、監督不行届ですよ。

しかもスズメバチの伏線張り過ぎで、私もロジャーが倒れてるの見た途端に、
「これはスズメバチの仕業だな」とわかってしまいました。
いくら歳で耄碌していたとはいえ、ホームズは気付くの遅すぎ。
ロジャーがミツバチ12匹死んでるの発見した時点で、
近くにスズメバチの巣があることに気付くべきです。
ついでにスズメバチの巣を焼くシーンで、ホームズもマンローも、
何の防護対策をしてなかったのには目を疑いました。
スズメバチの巣に水を掛けただけでロジャーは死にかけるほど刺されたのに。

ロジャーは退院し、ホームズは家政婦母子と再び暮らすことに。
あんな事故があったのに母子はまだ養蜂手伝うのも信じがたいです。
そもそもヒレザンショウの入手時点で、ローヤルゼリーの摂取はやめたので、
養蜂を続けている理由がよくわかりません。
もうヒレサンショウの摂取もやめているのに、ホームズのボケが
いつの間にか改善されているっぽいのも要因がわからず謎です。
最大の謎は、こんな本作が高く評価されていることですが…。

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