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マネー・ショート 華麗なる大逆転

昨日、日本アカデミー賞の授賞式が開催され、
『海街diary』が最優秀作品賞を含む四冠に輝きました。
…が、『海街diary』ってそんなに素晴らしい映画でしょうか?
まぁ感性は人それぞれですが、私は凡作だと思います。
是枝裕和監督は好きですが、彼の監督作の中でも最低の出来で、
ただキャストが豪華なだけの退屈なドラマだった印象があります。
カンヌに出品された時もかなり不評だったみたいですが、
それが仮にも昨年度の邦画ナンバー1に選ばれるなんて、
邦画は相当悲惨な状況になってるみたいですね。
最近、全く邦画を観れてないから実際のところはわからないけど…。

ということで、今日は本家アカデミー賞の受賞作の感想です。

マネー・ショート 華麗なる大逆転
The Big Short

2016年3月4日日本公開。

内容とは特に関係ないのですが、
本作は東宝ピクチャーズの記念すべき初配給作品です。
東宝ピクチャーズは東宝東和が新しく設立した子会社で、
主にパラマウント映画の配給を行うみたいです。
気になるのは、なぜパラマウント映画が自社配給を諦めたのかですよね。
なんとなく日本人が邦画ばかり観て、洋画がヒットし難くなった日本市場を
見限ったような印象を受けてしまうのですが…。
別に東宝ピクチャーズが配給を受け継いでくれるのであれば、
日本でパラマウント映画が観れなくなるわけでもないですが、
パラマウント映画の公開本数は確実に減ると思われます。
なにしろ親会社の東宝東和はユニバーサル映画を配給してますからね。
競合しないように配給することが予想されます。
つまりパラマウント映画もユニバーサル映画も日本公開が減る予感です。
本作は東宝ピクチャーズの初配給作品ですが、あまり祝える気分じゃないです。
そんな日本の事情は置いといて、本作の感想に移ります。

本作は第88回アカデミー賞で、作品賞を含む5部門にノミネートされ、
見事に脚色賞を受賞したオスカー作品です。
しかし本作が脚色賞オスカーなんて正直納得できません。
脚色賞は小説などから起こされた映画脚本に贈られ、
その名の通り、脚色の巧みさを称える賞なはずですが、
本作の脚本はそんなに素晴らしいとは思えないんですよね。
なぜなら、非常にわかり難いからです。
経済的な内容だけに、難しくなってしまうのは仕方ないかもしれませんが、
脚色賞を貰うくらいの作品なら、もっとわかり易く脚色しておくべきです。
いや、もちろん経済や投資にある程度関心がある人なら理解できるし、
わかり易く作られてると思えるのかもしれませんが、
経済や投資に全く疎い人は、かなり難しく感じられると思います。
誰でも楽しめるわけではなく、かなり人を選ぶ映画です。
サブプライムローン問題を発端とした2007年の世界金融危機について、
ある程度語れるくらいの知識がない人にはオススメ出来ません。

本作はどのように金融危機が起こったのかを描いた内容であり、
特にそこに人間ドラマや感動的な物語があるわけでもありません。
ドキュエンタリーではないけど、再現ドラマみたいな感じです。
この金融危機が発端で、世界的な経済不況に陥り、
日本も株価暴落や失業率の上昇、倒産が相次ぐなど、
かなり酷い目にあったわけで、その発端が再現された本作は
決して楽しいストーリーではありません。
それなのに「華麗なる大逆転」なんて痛快娯楽映画のような副題を付けた
東宝ピクチャーズの奴は頭がおかしいんじゃないかと思います。
主題の「マネー・ショート」も、単にブラピが製作・出演というだけで、
痛快スポーツ映画『マネー・ボール』からモジッているのは間違いないです。
(原題は『The Big Short』で、原作者も『マネーボール』と同じです。)
こんな痛快娯楽映画と誤認させるような不誠実な邦題を付けていると、
いずれ騙された客からソッポ向かれるようになりますよ。
せっかくの新配給会社なのに、先が思いやられます。

私も投資に関心が薄く、世界金融危機にも疎いので、難しく感じました。
難しい業界用語が頻出し、それを正しく理解しないと内容が捉えにくいです。
難しい語句が出てくると、料理人やセレーナ・ゴメスなどが、
その語句の意味を料理やブラックジャックなどに例えて、
ユーモアたっぷりに解説してくれるのですが、それでもまだ難しいです。
例えるなら、サッカーがボールをゴールに蹴り入れるスポーツと知らない人が、
オフサイドの説明をしてもらうようなもので、基本がわかってないので、
いくら噛み砕いて説明されても、絶対に理解できないのと同じです。
私の場合は「空売り」という金融用語を正しく理解してなかったために、
それを知っていることを前提とした他の難しい金融用語の説明もピンと来ず、
内容をちゃんと理解することができませんでした。

あまり投資や金融に詳しくない人は、観るのを控えた方がいいですが、
それでも観たいなら、観る前に頻出用語の予習をした方がいいです。
とはいえ観ないことには何が頻出用語なのかもわかりませんよね。
そこでそんな人のために、ここにいくつか書いておくので参考にしてください。
簡単な意味も書いておくけど、如何せん経済に疎い人間が書いているので、
間違っている可能性もあるのはご了承ください。

まず私の躓いた用語「空売り」は、投資対象を所有せずに売る契約を結ぶこと。
信用取引の一種で、この説明でわからないなら本作は諦めてください。
「MBS(モーゲージ債)」とは住宅ローン担保証券のことで、
銀行などが保有する住宅ローン債権を証券化したもの。
このMBSを切り刻み束ねて証券化したものが「CDO(債務担保証券)」で、
さらにCDOを切り刻み束ねて証券化した「合成CDO」なるものもあります。
切り刻まれたものを「トランシェ」と呼ぶようです。
このCDOに「サブプライムローン」の債権が組み込まれていたことが、
世界金融危機の原因ですが、さすがにサブプライムローンは説明不要かな?
一応、信用が低い低所得者向けローンで、その債権も信用が低いです。
CDOと名前が似ててややこしいけど全く違うものが「CDS」。
これはクレジット・デフォルト・スワップの略で、
債権のデフォルト(債務不履行)をヘッジ(回避)する金融商品です。
買った債権がデフォルトした場合、売った人から損失分を補填してもらえるが、
プレミアム(保険料)を払い続ける必要があり、一種の保険のようなものです。
本作はこれを空売りする話になります。
とりあえず、これくらい押さえておけば大丈夫かな?

私は予習もせずに挑んだため、見事に躓いてしまいましたが、
そもそも経済にも金融にも興味がないのに、なぜ本作を観たのかですが、
やはり豪華すぎるキャストに魅了されてしまったんですよね。
特にクリスチャン・ベール、ライアン・ゴズリング、スティーブ・カレル、
ブラッド・ピットの超豪華揃い踏みに、観ずにはいられませんでした。
この4人のクアドラプル主演な本作ですが、
いずれも大作で主演を張るクラスの大人気スターですよね。
それが本作に集結するとあっては、見逃すことは出来ませんでした。
正直クリスチャン・ベールは抗日中国映画『金陵十三釵』に主演して以降、
嫌いですが、当代きっての演技派なので、作品の箔には十分です。
難しい内容なのも覚悟の上で、4人の共演を楽しみに観に行ったのですが、
何のことはない、共演するシーンはほとんどありません。
ライアン・ゴズリングとスティーブ・カレルがたまに絡む程度で、残念でした。
てっきり4人で手を組んだりすると思っていたのですが、
4人が演じる4人の人物が、逸早く世界金融危機の兆候に気付いて、
それぞれどのような行動を取ったのかを描いたアンサンブル・プレイです。
豪華キャストには違いないけど、共演しないのであれば価値半減です。

以下、ネタバレ感想になりますが、如何せんちゃんと理解してないので、
この感想で正しいのかはわかりません。

ファンド「サイオン・キャピタル」のマネジャー、マイケル(ベール)は、
人気の証券MBSやCDOの担保の詳細を調べることで、
この証券に危険なサブプライムローン債権が組み込まれていると気付き、
デフォルトになると予想し、空売りで儲かると考え、CDSを買いまくります。
おそらくこれに気付いたのは彼が最初でしたが、先見の明がありすぎて、
顧客の投資家から全く理解されず、資金を引き揚げられそう。
引き揚げられたらプレミアムを払えず、CDSを維持できませんが、
なかなかデフォルトにならず、焦って引き揚げ制限するのです。
その結果、数年後に金融危機が起こって、彼は大儲けしますが、
自分が儲けるために世界金融危機を望むなんてイケ好かない奴です。
サヴァン気味の変人で何だか気持ち悪いし、ベールにはお似合いの役か。

個人証券投資家ジャレド(ゴズリング)は、CDSの買い漁るマイケルの噂を聞き、
彼の予測が正しいと考え、自分もその賭けに乗ります。
更にモルガン・スタンレー傘下のファンド「フロント・ポイント」のマネジャー、
マーク(カレル)にもその情報を教えるのです。
ジャレドも自分が儲けるためにCDSを買うのですが、
マークもCDSを買い漁るけど、正義感が強く、自分が儲けるためというよりも、
詐欺まがいの方法で信用できないCDOにAAAの格付けを行う、
銀行や格付け会社に一杯喰わせようと考えているみたいです。
「投資家や銀行の間違いのツケを一般人が払うのはおかしい」と。
結局は金融危機を望んでいるわけですが、ちょっと義賊的ですよね。
主演の中ではカレルが最も好きなので、比較的いい役でよかったです。

若手投資家チャーリーとジェイミーは、たまたまジャレドのメモを発見し、
そこに書かれていたCDSの儲け話に乗ることにします。
しかしCDSの取引にはISDA(国際スワップデリバティブ協会)の同意書が必要で
同意書を持つJPモルガンの元トレーダー、ベン(ブラピ)に協力してもらうことに。
彼らは証券化フォーラムに行き、安く手に入るAAのCDSを買い漁るのです。
ところが思い通り取引できて喜ぶ若手2人を、ベンは一喝します。
「俺たちが勝てば国民は家や職や年金を失うんだぞ」と。
さすがブラピ製作だけあって、自分の演じるキャラは善人ぽく描いてますね。
彼らがCDSを買ったベアー・スターンズが集団訴訟され破綻しそうになりますが、
なんとかその前に売り抜け、そこそこ儲かったみたいです。

主人公たちは金融危機のお蔭で儲けて、めでたしめでたしですが、
実際は我々を含め彼ら以外が悲惨な損害を受けたんだから、
全くめでたくないし、全く痛快でもなく、ただ苦々しいだけです。
本作はそれを意図して制作されており、本作の最後には、
銀行が昨年売り出した新しいデリバティブ商品に警鐘を鳴らして終わります。
あまり理解できなかったけど、たぶんそんな感じの映画でした。

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