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ザ・ガンマン

第66回ベルリン国際映画祭が開幕しましたね。
今年はメリル・ストリープが審査員長ということで注目されてますが、
残念ながらコンペ部門に日本映画のノミネートはなく…。
ビートたけし主演の『女が眠る時』がパノラマ部門に参加してますが
香港人監督だし日本映画とは思いにくいかな…。
あとはフォーラム部門に桃井かおり監督、主演作『火 Hee』と、
ベルリン史上最年少参加の杉本大地監督、主演作『あるみち』。
ベルリナーレ・スペシャル部門に黒沢清監督の『クリーピー』が参加してます。
『クリーピー』は少し気になるけど、黒沢清作品苦手だからどうかな。
他の日本映画はあまり興味ないけど、賞でも取れば観に行くかも。
いや、やっぱり観に行かないかな。

ということで、今日はベルリン男優賞受賞経験者の主演作の感想です。

ザ・ガンマン
The Gunman

2016年2月6日日本公開。

大失敗作。

『96時間』のピエール・モレル監督の新作ですが、
『96時間』と同じことをやってるだけの作品です。
具体的に言えば、中年アクション、というか初老アクション映画とでも言うべき、
演技派ベテラン俳優にアクション映画の主演をさせたら面白いんじゃないか、
という趣向の作品なのですが、たしかにリーアム・ニーソン主演の『96時間』は
彼がアクション映画に主演するなんて意外で、更に予想外に嵌り役だったので、
意外性と新鮮味があって大ヒットしました。
その後ニーソンはアクション俳優としても注目されるようになって、
『特攻野郎Aチーム』など数々のアクション映画で主演しています。
『96時間』はニーソンの新たな面を発掘したと言っても過言ではない作品で、
私もその点は高く評価している作品でした。

しかしモレル監督の次の作品『パリより愛をこめて』。
今度は演技派ベテラン俳優ジョン・トラボルタを主演に引っ張り出して、
初老アクション映画を撮りました。
これは完全に『96時間』の二番煎じ、二匹目のドジョウで、客にもそれがバレ、
評価はもちろん低く、興収も『96時間』の二割にも満たずコケました。
そしてその次が本作になるのですが、またしても初老アクションに手を出し…。
もはや『96時間』の三番煎じ、三匹目のドジョウというよりも、
モレル監督はこれしか芸がないのではないかと思われます。
『パリより愛をこめて』であんな手痛い失敗したら、普通は方針転換するけど、
それをしない、…いや、それができないわけですからね。
その結果、本作の興収は『パリより愛をこめて』の半分にも満たず、
『96時間』と比べたら一割も大きく割り込む成績の大コケになりました。
評価ももちろんかなり低いです。

モレル監督も『96時間』の栄光を再び得ようと、
内容も『パリより愛をこめて』以上に『96時間』に近い物語にしてますが、
それ以上に力を入れているのが、主演のキャスティングです。
リーアム・ニーソン以上にアクション映画なんかに主演しなさそうで、
ジョン・トラボルタ以上に演技派なベテラン俳優ショーン・ペンを主演に起用。
たしかにこれは意外すぎるキャスティングですよね。
だけどその意外性が、いい裏切りならいいけど本作の場合は…。
世界三大映画祭の全てで主演男優賞を受賞(計4回)し、
オスカーも2回受賞している超演技派俳優ショーン・ペンに、
演技力は二の次のアクション映画に出てほしいと思う人がどれだけいるのか。
監督業も忙しいのか、俳優としては寡作で久しぶりの映画出演なのに、
それがこんな彼の能力が活かされないアクション映画だったなんて、
役不足も甚だしく、ショーン・ペンの無駄遣いでしかありません。
それでも面白い作品だったなら結果オーライだったかもしれないけど、
在り来たりすぎる設定、既視感バリバリの眠たい物語で…。
ショーン・ペンのアクションが凄いかと言えば「別に…」って感じだし…。

まぁ在りがちな物語ではあるものの、ちょっと意外な展開もありました。
ネタバレになりますが、シューン・ペン演じる元暗殺者ジムの元仲間で、
ハビエル・バルデム演じるフェリックスの顛末です。
ジムの指揮下でコンゴ民主共和国の鉱業大臣を狙撃したジムは、
8年後、武装した暴漢たちに襲われて返り討ちにします。
その黒幕がフェリックスだと疑ったジムは、バルセロナに会いに行きます。
ハビエル・バルデムも、ショーン・ペン同様ヴェネチア2回とオスカーを受賞した
演技派ベテラン俳優で、ショーン・ペンの相手役としては申し分なく、
2人の対決を期待して、私もフェリックスが黒幕で間違いないと思いました。
ところがジムがフェリックスと再会した直後、また武装集団が襲撃してきて、
フェリックスは射殺されてしまうのです。
フェリックスが黒幕じゃなかったことはたしかに意外でしたが、
そんなことよりもまだ物語も中盤だと言うのに、早くもバルデムが退場なんて、
2人の対決を楽しみにしていたのに、この後何を楽しみに観ればいいのか、と。
意外な展開を楽しめたというよりも、残念さが勝ってしまって…。

まぁフェリックスもジム襲撃に全く関わってないわけではないけど、
更なる黒幕がいたわけで、彼の死後はその黒幕との対決になります。
この黒幕がバルデム以上の大物キャストならばそれでいいけど、
黒幕コックス演じるのはマーク・ライランス…。
昨年までなら名前を聞いただけでは「誰?」って感じの脇役俳優です。
昨年までなら、というのは彼が今年のアカデミー賞で、
助演男優賞(『ブリッジ・オブ・スパイ』)にノミネートされているからです。
オスカー候補俳優で演技派ベテラン俳優なのは間違いないですが、
ショーン・ペンやハビエル・バルデムに比べると、如何せん知名度が…。
アカデミー賞にノミネートされたことでこれから人気が出るかもしれませんが、
現時点ではまだ地味な俳優で、ショーン・ペンの相手役としては力不足です。
しかも本作の全米公開時は、もちろんアカデミー賞のノミネート発表前だし、
『ブリッジ・オブ・スパイ』の公開前で全く注目されてなく、
アメリカの観客は私以上にハビエルの喪失感、
ライランスの力不足感を覚えたことだろうと思われます。
これではヒットするはずありませんね。
ライランスに重要な役を与えた先見の明は感心しますが…。

都合のいい時だけ発症する脳震盪後症候群とか、
黒幕の最期が闘牛の一撃とか、あまりにも酷い脚本で、
なぜこの脚本でショーン・ペンが主演を引き受けてしまったのか不思議です。
バルデムも彼が出演しているから出演を快諾したと思われ、とんだトバッチリ。
まぁ2人とも素晴らしいキャリアがあるので、この程度で汚点にはならないが、
モレル監督は二度とメガホンを取ることは無理なんじゃないかな?
キャストに負んぶに抱っこの駄作なので、観に行かないようにしましょう。

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