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イット・フォローズ

第88回アカデミー賞のノミネート作品が発表されました。
作品賞候補は『マネー・ショート 華麗なる大逆転』『ブリッジ・オブ・スパイ』
『ブルックリン』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『オデッセイ』
『レヴェナント 蘇えりし者』『ルーム』『スポットライト 世紀のスクープ』の8本。
うち7本が日本未公開、或は公開中の作品ですが、
残る1本、日本公開済みの『マッドマックス』もちゃんと観ていたため、
今回も作品賞候補全て劇場で鑑賞できそうなのでよかったです。
受賞予想は最多12部門ノミネートの『レヴェナント』かなと思いますが、
最も面白そうなのは『オデッセイ』ですかね。
第73回ゴールデングローブ賞はその2本が作品賞受賞なので、
順当に行けば、この二強の戦いになりそうかな?

さて、今日も映画の感想です。

イット・フォローズ
It Follows

2016年1月8日日本公開。

本作は全米ボックスオフィス最高5位になったホラー映画です。
5位なんて大したことないじゃないか、と思うでしょうが、
当初はわずか4館で公開され、バイラルで話題となり1600館まで拡大したとか。
つまり誰も期待してなかったけど、観てみたら面白かった映画ってことですね。
多くのエンタメ誌で2015年のベスト10やベスト20にも選ばれており、
あのタランティーノも大絶賛し、批評家のレビューも抜群にいいです。
その好評を受け、すでに続編の製作も示唆されています。
しかし日本では全く注目されていませんね。
公開館数も少なく、私の近所のシネコンでは上映してくれていたものの、
今週末(公開二週目)から一日一回上映になるほどの不人気っぷりで…。
私も今週見逃したらもう劇場鑑賞できなくなると思い、慌てて観に行きました。
うーん、邦題がよくないのかもしれませんね。
原題ママですが、あまり怖そうなホラー映画の印象を受けませんから。
「それは憑いてくる」的なオドロオドロしい日本語タイトルにした方が…。
以下、ネタバレ注意です。

冒頭、ある若い女性がスーパーナチュラルな何かに惨殺されます。
足のあり得ない方向に折られており、異様すぎる変死です。
そのスーパーナチュラルな何かは、名前も特に付けられてなく、
霊なのか悪魔なのか妖怪なのかもわからないので、
便宜上「それ」と呼びます。(便宜上というか公式な呼び名かも。)

女子大生ジェイは、ヒューという21歳の男と交際中です。
知り合って間もないのか、まだエッチはしてないみたいです。
ある日、ジェイはヒューと映画館デートに行くのですが、
劇場で彼が黄色いドレスの女の子を発見し、慌てた様子で劇場を出ます。
しかしその女の子の姿はジェイには見ることが出来ず…。
後日、2人は浜辺でデート中にいい雰囲気になり、カーセックスします。
初めて結ばれて喜ぶジェイでしたが、事後ヒューが豹変し、
彼女をクロロホルムで気絶させ、車椅子に縛り付けるのです。
目を覚ましたジェイにヒューは、俺は何かにつきまとわれている、
「それ」に捕まれば死ぬ、車で「それ」を君に感染(うつ)した、と説明します。
「それ」は知人や他人など変幻自在に姿を変えて感染者に近づいて来て、
もし「それ」に捕まってしまったら殺されるみたいです。
しかし感染者は誰かとセックスすることで「それ」を相手に感染(うつ)せるらしく、
「それ」に追われていたヒューはジェイとカーセックスすることで
「それ」を彼女に感染(うつ)したようです。
性感染する呪いって感じで、なんだか興味深い設定ですね。
避妊具付けたら感染(うつ)らなかったりして…。

「それ」は感染者と元感染者にしか見えませんが、実体はあるので、
壁を抜けたり瞬間移動したりして追ってくることはないし、
動きも徒歩のみなので、気付けば走って逃げるのは容易いです。
しかしゾンビなんかとは違って知性はあります。
人間の姿ではあるけど不気味な姿のことが多いので、意外と気付けます。
知人に化けられると面倒ですが、喋ることが出来ないので見分けやすいかも。
注意さえしていれば、そんな脅威にもならない気がしますが、
絶望的とまでいかない微妙な厄介さが、なんだかリアルですね。
「それ」は感染者を殺したら、遡って前感染者を再び追ってくるので、
前感染者ヒューは、君も誰かとセックスして感染(うつ)せ、とジェイに頼みます。
恋人に対して他人とセックスしろなんて、とんだ下衆野郎ですが、
ヒューはもともとジェイに感染(うつ)す目的で交際していただけか。
ジェイを拘束したのは、実際に追ってくる「それ」の姿を見せて、
話しが本当だとわからせるためで、裸の女の姿の「それ」が現れた直後、
彼女を解放し、ヒューは雲隠れしてしまいます。
「それ」を感染(うつ)されて焦るジェイですが、
ヒューは偽名だったので彼を探すことも出来ず途方に暮れます。

ジェイは大学での講義中、近づいてくる不気味な老婆に気付き逃げ、
妹ケリーのバイト先のアイスクリームショップに逃げ込みます。
妹に何かにつきまとわれていることを説明すると、
幼馴染ポールと友人ヤラが心配して家に泊まり込んでくれることになります。
まぁ妹や幼馴染はストーカーのような不審者だろうと思ったようですが。
「それ」は知人にも化けれるんだから一人でいた方が安全な気もするけど、
見張りもいなかったら寝ることも出来ないか。
その夜、4人が家にいると窓が割れる音がして「それ」が侵入してきます。
実体があるからこんな泥棒みたいな侵入しか出来ないんですね。
片乳ポロリして失禁している女の姿や2メートル越える大男など、
異常すぎる姿で現れた「それ」ですが、もちろんジェイにしか見えません。
ヒュー曰く「それ」は動きは鈍いが頭がいいはずなんだけど、
それならなぜ裸の女とか不気味な老婆とか大男とか、
あからさまに「それ」とわかる怪しい姿で現れるんでしょうね。
ジェイは二階の窓から飛び降りて逃げ出し、妹たちも後を追いますが、
その様子を見た斜向かいの家の青年グレッグが、心配して声を掛けてくれ、
ヒュー探しのために車を出してくれることになります。

グレッグの運転でヒューが偽名で借りていた家に行くと、やはりモヌケの空。
「それ」対策のために全ての窓に鳴子が仕掛けられていたので、
ここにヒューが住んでいたのは間違いなさそうです。
「それ」から逃げるために、忍者屋敷のように抜け穴も沢山あります。
命を狙われる極限の状況でも、性欲は無くならないみたいで、
部屋にはエロ本と使用済みティッシュが散らかってますが、
ポールがエロ本の中から、ヒューの高校時代の写真を発見します。
その写真からヒューの出身校が判明し、出身校に問い合わせ、
彼の本名がジェフだとわかり、ジェフの実家に押しかけるのです。
ジェフは実家にいて、意外と呆気なく再会できましたが、
彼に会ったからといって何か解決するはずもなく、
また「早く誰かに感染(うつ)せ」とお願いされただけです。
なぜジェイがヒューことジェフを探そうと思ったのか謎ですが、
どうせ会ったなら、何の情報も得られなくても一発ぶん殴ればいいのにね。
ちなみにジェフはナンパした女の子から感染(うつ)されたそうですが、
逆ナンされたわけじゃないのは意外ですね。

その後ジェイたちは、グレッグの別荘に隠れることにします。
別に「それ」はジェイを探して追ってくるわけじゃないんだから、
隠れても何の意味もない気がしますけどね。
別荘でジェイはグレッグに拳銃の撃ち方を教わります。
実体のある「それ」には銃弾が有効かと考えたのでしょう。
ただグレッグは他の子と違って「それ」の存在を眉唾だと思っているので、
なぜ真面目にジェイに拳銃の撃ち方を教えるのか少し不思議かも。
案の定、別荘にも「それ」は現れますが、今度は友人ヤラに化けており、
ジェイも間近まで接近されるまで気が付きませんでした。
接近というか、もはや髪の毛を掴まれてしまってました。
鬼ごっこみたいに「それ」にタッチされたらそこでお仕舞かと思いきや、
触れられるくらいではどうってことないのは意外でした。
というか、なぜ「それ」はわざわざ気付かれるように髪なんて引っ張るのか?
接近したらすぐに襲い殺せばいいのにね。
ジェイは拳銃を発砲し、「それ」は被弾して倒れるが、すぐに起き上がります。
予想していたことだけど拳銃くらいでは殺せないみたいですね。

ジェイはグレッグの車に飛び乗り逃げようとしますが、運転ミスで交通事故。
腕を怪我し頭を打って気絶して病院に運ばれ、入院することになります。
病室でジェイはグレッグとセックスして、彼に「それ」を感染(うつ)します。
ヒューとも交際してすぐにセックスしてないし、身持ちが固い子かと思ったので、
ちょっと意外な展開でしたが、入院中はベッドから動けないし、
「それ」を遠ざけるためには仕方ない決断だったのかも。
相手は幼馴染のポールでもよかったはずだけど、隣人グレッグを選んだのは、
グレッグは「それ」の存在を真に受けてないし、
幼馴染に感染(うつ)すのは可哀想だというジェイの優しさかな?
…と思ったら、過去にもうグレッグとは一発ヤッたことがあったみたいで、
単に頼みやすかっただけの、とんだ尻軽女でした。
まぁ「それ」の存在を信じているポールは頼まれても拒否しそうだしね。

グレッグに「それ」を感染(うつ)したジェイでしたが、
彼が死ねば遡って自分に戻って来るので気が気じゃないけど、
何日経っても彼に何の異変も起こらず、ついに退院してしまいます。
うーん、「それ」を信じてない人は殺されない設定なのかな?
と思ったけど、やっぱりそんな甘い設定なはずもなく、
ジェイが窓から家の前の通りを見ていると、
自宅の窓を叩き割って侵入するグレッグの姿を発見。
すぐにそのグレッグが「それ」の化けた姿だと気付いたジェイは、
彼に警告しに行くが、彼は彼の母に化けた「それ」に殺されており…。
この殺し方が強烈で、なんと腹上死させるんですよね。
「それ」はグレッグを騎乗位で殺すのですが、その姿が彼の母ですからね。
自分の母親に腹上死させられるなんて、今まで見た数々のホラーの中でも、
最も嫌な死に方のひとつかもしれません。
冒頭の殺された女性の遺体も下半身だけグチャグチャだったのは、
「それ」に強引すぎるレイプされて死んだためだったんですね。
レイプで殺すスーパーナチュラルな殺人鬼なんて、なんか斬新です。

グレッグが死んで「それ」が自分に戻ってきたジェイは、
もう手段を選んでられず、その場しのぎで適当に逆ナンしてセックス。
しかし相手に「それ」の説明をしてないためか、相手は早々に死んだようで、
すぐに戻って来て、「それ」はフルチン男の姿で現れます。
ポールはジェイを助けるため、「それ」を殺すための一計を案じ、
ケリー、ヤラにも声を掛け、4人で夜の大学の屋内プールに侵入します。
ジェイがプールに浸かり、「それ」が彼女を追ってプールに浸かったら、
彼女をすぐに上げ、プールサイドに並べておいた家電をプールに放り込んで
「それ」を感電死させる計画です。
いやー、銃殺できない「それ」が感電死するとは思えないけど…。
計画通り、ジェイの父に化けた「それ」がプールサイドに現れますが、
「それ」はプールに浸かろうとはせず、なんとプールサイドの家電を
プールで泳ぐジェイ目掛けて次々と投げつけてくるのです。
「それ」を倒すために用意した家電を「それ」に利用されるとはまさかの展開。
やっぱりちゃんと知性がある(ポールより賢い)みたいですね。

ポールは焦って「それ」を拳銃で撃とうとしますが、如何せん見えないので、
狙いが定まらず流れ弾が友人ヤラに被弾する散々な状況で…。
そこそこ賢い妹ケリーが「それ」にシーツを被せることで居場所が特定でき、
ポールの銃弾がヒットして「それ」はヨロケてプールにダイブします。
ジェイはすぐにプールサイドに上ろうとしますが、「それ」に足を掴まれ…。
地上では走れず動きが鈍かった「それ」ですが泳ぎは得意なようです。
ポールはジェイの足元あたりを当てずっぽうで撃ちまくり、
そのうち一発が「それ」に被弾し、その隙にジェイはプールから上がります。
うーん、「それ」に実体があるなら、プールに入れば水の動きで
ポールたちにも「それ」の姿形が見えるようになると思うんですけどね。
もう家電はないので感電死計画は失敗しますが、ひとまず撃退できたようで、
その間にポールは自分に感染(うつ)すためにジェイとセックスするのです。
もちろんジェイを助けたいのでしょうが、ポールは彼女に片想いしていたので、
たとえ感染(うつ)っても彼女とエッチしたかったのもあるかも。
ジェイはポールに感染(うつ)しても心が痛まないのか?

その後、ジェイとポールは2人でデートしますが、そこで本作は幕を下ろします。
結局「それ」との決着はつかなかったわけで、中途半端な幕引きですが、
2人のロマンスが実って、めでたしめでたし、なのかな?
感染しているポールは依然として危険な状態のままですが…。
売春婦にでも感染(うつ)すつもりなのかな?
まぁ「それ」は感染者が死ねばどんどん遡って来るんだから、
一度でも感染すれば完全に安全になることはないので辛いですね。

面白い設定の物語でしたが、その設定が活かしきれてない気もします。
「それ」を感染(うつ)す方法は性感染しかないというのは興味深いが、
ヒロインをはじめ、感染した登場人物が美男美女なので、
その気になればいつでも誰かに感染(うつ)せそうなので悲壮感がない。
簡単にセックスする機会がないブスやブ男が感染したら面白いかも。
でもそれじゃコメディ映画になっちゃうかな?
恋人や知人に感染(うつ)してしまう葛藤なんかも描けてたら、
ロマンスとしてももっと面白くなったかも。
あとこの手のホラー映画としては死人が少なすぎる気がしますね。
劇中で死んだのは冒頭の女性とグレッグだけだし、
主人公4人グループのうち、半分くらいは死んでもよかったかも。
「それ」の正体も、もっと迫ってほしかったけど、それは続編でのお楽しみかな。

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