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ブリッジ・オブ・スパイ

ゴールデン・ラズベリー賞のノミネートが発表されました。
通称ラジー賞、最低映画の祭典ですが、
毎年「なんでこれが選ばれるの?(選ばれないの?)」ということが多いけど、
今年のノミネートはけっこう妥当な気がします。
ワースト作品賞候補は『ファンタスティック・フォー』『ジュピター』
『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』『モール・コップ』『ピクセル』の5作。
『ピクセル』はけっこう好きですが、恒例のアダム・サンドラー枠ですね。
私的にはダントツで『ファンタスティック・フォー』がワーストですね。
アメコミ映画が好きで期待してただけに、あの出来には怒りを覚えます。

早速『ファンタスティック・フォー』を批判してしまいましたが、
今年はあまり酷評しないようにしようと思っています。
もう読者さんに叩かれるのは嫌だし、褒めてた方が気持ちいいので。
というか、時間的制約から観る本数をかなり絞る必要があるので、
酷評しそうな映画は極力避けるつもりです。
まぁ『ファンタスティック・フォー』のように期待してたのに駄作の場合は、
やっぱり酷評しちゃうことになると思いますが…。
それに期待してなくても避けられない映画もあるんですよね。
例えばアカデミー賞関連の話題作とかね。

ということで、今日は期待してなかったアカデミー賞関連作の感想です。

ブリッジ・オブ・スパイ
Bridge of Spies

2016年1月8日日本公開。

『戦火の馬』や『リンカーン』などに続き恒例となった
スティーブン・スピルバーグ監督がオスカー狙いで撮った歴史ドラマです。
アカデミー賞の候補発表はまだですが、ゴールデングローブ賞を始め、
数々の映画賞にノミネート、或は受賞しており、
本作がオスカーレースの一角になることは間違いないでしょう。
スピルバーグ監督と主演トム・ハンクスのタッグは『プライベート・ライアン』、
『ターミナル』、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』に次ぐ4度目となり、
間違いない鉄板タッグではあるものの、いまいち期待できないのは、
脚本がコーエン兄弟ってことですよね…。
コーエン兄弟もオスカー受賞経験のある優秀な脚本家だけど、
アンジーの反日映画『不屈の男 アンブロークン』の脚本を手掛けたことで、
もともとは好きな監督(脚本家)だったけど、今は大嫌いです。
とはいえ反日映画に加担したから心象が地に堕ちただけで、
手腕を評価してないわけではないんですけどね…。

今はコーエン兄弟の名前がクレジットされてるだけで吐き気がしますが、
オスカー争いに絡んでくるとなれば映画ファンとして観ないわけにもいかず、
重い足を引き摺りながら観に行きました。
彼らが脚本だと意識しなければ、けっこう楽しめる映画でしたね。
ポリティカルな内容な上に上映時間が長い(142分)ので、
少し敷居が高く感じられましたが、いざ観始めたら夢中で楽しめます。
とはいえ、オスカーを受賞できるほどの傑作とは思いませんけどね。
作品賞や脚本賞は無理でしょうが、助演男優賞の可能性はあるかな?

なかなか面白い作品ではあるものの、オススメはしたくありません。
反日映画に加担すると世界3位の映画消費国である日本で
総スカンされることを、コーエン兄弟をはじめハリウッドにわからせるため、
本作を日本でヒットさせたくないので、是非観に行かないでほしいです。
日本で初登場5位と低調なスタートだったので、この調子でお願いします。
まぁアメリカでもそんなにヒットはしてなさそうですね。
批評家の評価だけは激烈にいいみたいですが。
以下、ネタバレ注意です。

冷戦真っ只中で、米ソの諜報合戦が繰り広げられていた1957年。
NYブルックリンでソ連のスパイと思われる男アベルがFBIに逮捕されます。
法曹協会は保険専門の弁護士ドノヴァンにアベルの弁護をするように依頼。
たぶん国選弁護人みたいな感じでしょうが、敵国のスパイの弁護なんて、
まるで売国奴みたいだし嫌われ者になっちゃうので嫌ですよね。
米国政府としては我が国の司法制度は誰でも弁護される権利があると
国内外にアピールしたいだけなので、実質アベルの処刑は決定しており、
いくら弁護しても絶対に勝ち目のない裁判です。
ところがドノヴァンはアベルの弁護を引き受け、全力で弁護しようとします。
しかし地方裁判所の判事も「形式的なものだ」とドノヴァンを無視し、
陪審裁判でアベルの有罪があっさり決まります。
まぁ例え判事が公平に裁判したとして、ドノヴァンがどんなに弁護したとしても、
陪審員の心象で決まる陪審裁判で敵国のスパイが無罪になるわけないです。
実はアベルはスパイではなく冤罪の可能性があるなら話は別だけど、
序盤でアベルが諜報活動している様子が描かれちゃっているので、
当然の判決で、この法廷劇には私も全然ドキドキできませんでした。

裁判員と違って陪審員は有罪か無罪か決めるだけ。
量刑は判事が決めるため、ドノヴァンは死刑にしないよう判事に直訴。
「生かしておけば捕虜の交換要員になる」と説得し、
納得した判事はアベルを30年の禁固刑に処します。
しかし死刑で当然と考えていた世論は全く納得せずに軽い量刑に大反発し、
その怒りは弁護士ドノヴァンとその家族に向けられ、
妻子のいる彼の自宅に銃弾が撃ち込まれるような過激な抗議も…。
それでも世論も警察もドノヴァンの自業自得だと同情してくれません。
それにしてもなぜドノヴァンが世間から白い目で見られたり、
愛する家族を危険に晒してまでアベルに肩入れするのか謎ですよね。
アベルを冤罪だと思ってるわけではないし、なぜ必死に弁護するのか、
その心境が本作ではいまいち描き切れていないのです。
人道的見地からアベルを助けたいと思っているならわかるけど、
ドノヴァンは別に人道的な弁護士でもないんですよね。
なぜならアベルを弁護する前の交通事故のケースでは、
保険会社(被疑者?)の肩を持ち、被害者を蔑ろにしているので…。
どうもドノヴァンの信念がわからないので彼の行動も納得できません。

ドノヴァンはアベルが死刑免れて満足したかと思いきや、
なんと無罪を諦めておらず最高裁判所に上訴します。
FBI捜査官が令状を持ってなかったのは憲法修正第4条違反だと訴え、
減刑と引き換えに二重スパイになる提案を受けなかったアベルを
信義に厚い敵ながら天晴な兵士だと称賛します。
しかし敗訴し、アデルは有罪のままです。
当然だと思うけど、僅差で敗れたというのは意外ですね。
ドノヴァンの屁理屈に納得する米国人もいたんですね。

そんなある日、CIAの仕事をしている米空軍のパワーズ中尉が、
ソ連領空を偵察機U-2で撮影飛行している時に撃墜されます。
高度2万1000メートルを飛んでいれば安全という話だったのに、
ソ連の地対空ミサイルで簡単に撃墜させられます。
上官からもしもの時は偵察機ごと自爆しろと言われていましたが、
パワーズは自爆に失敗し、パラシュートで脱出し着地したところを拘束。
彼はスパイ容疑で10年の禁固刑を受けるのです。
禁固30年で批難されたアベルの量刑に比べるとソ連は優しい気がしますが、
単なる禁固刑ではなくシベリア送りだったみたいなので厳しいかな。
刑務所内でのん気に絵を描いているアベルと違って、
パワーズは連日のように尋問もされるみたいだし…。
ただトンデモ映画『アンブロークン』のコーエン兄弟が書いた脚本なので、
その真偽はかなり怪しいと思いますけどね。

CIAはパワーズから国家機密が漏れることを懸念し、
ドノヴァンが想定していた通り、アベルとの捕虜交換を計画します。
しかし表向きは捕虜交換に政府やCIAが関与してないことにするため、
ドノヴァンに民間人として捕虜交換交渉してきてほしいと依頼し、
承知した彼はソ連が指定した交渉場所、東ベルリンへと向かうのです。
しかし同じ頃、米国人学生プライヤーが東ベルリンで秘密警察に拘束され、
ドノヴァンはパワーズと一緒にプライヤーも交換してもらおうと考えます。
ドノヴァンがアベルに肩入れするのもわからないけど、
なぜ会ったこともなく依頼人でもない学生まで救出しようとするのか不思議。
CIAも機密を知っているパワーズは是が非でも取り返したいが、
単なる学生のプライヤーなんてどうでもいいと考えているけど、
私もそんなCIAの考えは正しいと思います。
冷戦中に東ドイツでソ連経済を学ぶなんて、捕まりに行ってるようなもので、
これはもう自業自得で見捨てられても仕方ない気がします。
それに一対二の捕虜交換なんて厚かましすぎる無茶な要求だと思います。

ドノヴァンは東ベルリンのソ連大使館に行き、
第二書記官(実はKGB)と捕虜交換を交渉します。
しかしソ連はアベルとパワーズの交換に応じる用意があるが、
プライヤーは東ドイツの管理下で拘束されているから知ったことではない、と。
東ドイツはソ連の占領地域に建国された国だけど、
東ドイツ政府はソ連政府と完全に一枚岩ではないみたいです。
そこでドノヴァンは東ドイツの司法長官の友人という弁護士とも交渉し、
アベルとプライヤーを交換する約束を取り付けます。
ところが後日、東ドイツはアベルがソ連の捕虜とも交換されることを知り、
「一枚の絨毯を2人の客に売っているようなものだ」と不快感を示し、
プライヤーとの交換を拒否するのです。
まぁ普通に考えたら当たり前の不満ですよね。
特に東ドイツはアメリカに国家承認されたいので二国間交渉に拘っています。
しかしドノヴァンは東ドイツの司法長官と直接面会し、
「一対二じゃないと交換なし、ソ連から責任問われるぞ」と脅し、
東ドイツは折れ、プライヤーの交換に応じることになります。
むしろソ連がパワーズではなくプライヤーとの交換を言い出しそうなものなのに、
なぜ一対二の不平等交換に易々と応じたのか不思議ですね。

ソ連は捕虜交換場所としてグリーニッケ橋を指定しますが、
東ドイツはあくまで自国で決断したという建前を貫くため、
グリーニッケ橋でアベルとパワーズが交換されたと同時に、
米軍チェックポイント・チャーリーにてプライヤーを解放すると約束。
早朝、ソ連との捕虜交換がグリーニッケ橋で行われようとしますが、
交換直前になってもチェックポイント・チャーリーに東ドイツは現れず、
一対二に拘るドノヴァンは東ドイツが現れるまでソ連との捕虜交換を渋ります。
CIAはソ連との一対一の交換できれば御の字なので、
アベルを解放しようとしますが、ドノヴァンを信頼するアベルは「私も待つ」と。
アベルは下手すれば東ドイツが現れなくて交換が決裂し、
解放されなくなるかもしれないのに奇特なことです。
しかし間もなくチェックポイント・チャーリーに東ドイツが到着し、
プライヤーを解放し、米軍が彼を確保。
それを受けてアベルとパワーズの米ソ捕虜交換も無事行われます。
結局東ドイツの建前も虚しく、同時ではなくプライヤーが先に解放されたので、
アベルとパワーズの一対一交換みたいな感じになっちゃいましたね。

無事解放されアメリカに帰国することになったパワーズですが、
自害せずに拘束された彼への風当たりは厳しいです。
ドノヴァンはアベルも酷い目に遭わされるのではと心配しますが、
本作の最後にアベルは帰国し妻子に再会したと言及されたので、
そんなに酷い目には遭わされてないと思われます。
(少し調べてみると史実では諜報活動に復帰したみたいです。)
アベルを弁護したことで裏切り者扱いされていたドノヴァンも、
この捕虜交換の立役者であることが報じられ、汚名返上し、
ケネディ大統領の依頼でキューバのカストロとの交渉でも活躍したとか。
何千人も救ったそうで、たった数人救った本作の話より、
その時の話の方が凄そうな気もしますね。

実話でなければ荒唐無稽な物語で、全く面白くないでしょうが、
これが実話と言うのだからなかなか面白いですよね。
でももう少し登場人物の心境を丁寧に描いてほしかったと思います。
いくら思い返しても、なぜドノヴァンがアベルやプライヤーに固執するのか、
よくわからなかったので、そこが納得できるものであれば、
更に何倍も面白くなった気がします。
それでは是非、観に行かないでください。

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