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ムカデ人間3

先週日曜日にシネ・リーブル梅田に『ムカデ人間3』を観に行きました。
作品が作品だけに、レイトショーのみでの上映でしたが、
たまたまその回に、出演者による舞台挨拶がついていたんですよね。
ボクは映画を楽しみたいだけなので、舞台挨拶なんてあると混雑するし、
すぐに帰り難いからあまり好きではないのですが、その日しか観る時間がなく…。
案の定、日曜レイトではあり得ない満席で、落ち着いて観れませんでした。

しかし何より落ち着けなかったのは、人が多かったからではなく、
上映後の舞台挨拶で何をやらされるか不安だったからです。
その前日に東京の新宿武蔵野館でも舞台挨拶があったみたいなのですが、
それを報じるサイトを見ると、ムカデ人間を模すように、壇上した出演者を先頭に、
お客さんが隣の人の肩を掴んで一列に繋がって撮影された写真が載っていて…。
ボクは知らない人の肩なんて触りたくないし触られたくないので、
もしこれを強要されるような状況になったら嫌だなと思って、
本編上映中も気が気ではありませんでした。
結局、映画館の入っている施設の閉館時間が迫っていたため、
舞台挨拶も巻き気味で行われ、撮影もなく解放されたので助かりましたが、
やっぱり舞台挨拶付きの回は選ばない方がいいなと思った次第です。
あ、でもその出演者・北村昭博のトークは面白かったですよ。
ただ上映された『ムカデ人間3』よりも前々作『ムカデ人間』の話ばかりでしたが。

ということで、今日は落ち着いて観られなかった映画の感想です。
やはりその心境は映画の印象にも影響を及ぼすのか、あまり楽しめず…。

ムカデ人間3
The Human Centipede 3 (Final Sequence)

2015年8月22日日本公開。
バイオロジカル・ホラー映画『ムカデ人間』シリーズ第三弾。

暴動の発生回数に始まり、医療費や職員の離職率などがアメリカ最高を誇る刑務所。所長のビル(ディーター・ラーザー)は、それを州知事(エリック・ロバーツ)に叱責(しっせき)された上に状況改善が見られなければクビにすると宣告される。さまざまな方法を実施するも効果が得られないことに落胆するビルに、腹心のドワイト(ローレンス・R・ハーヴィー)は『ムカデ人間』という映画から得たアイデアを告げる。それは500人に及ぶ囚人の肛門と口を接合してムカデ状にし、食費の節約や行動の管理をするというものだった。(シネマトゥデイより)



世界に衝撃を与えたオランダ産インモラル・ホラー『ムカデ人間』。
ボクは度胸がなくて劇場には観に行けず、ビデオで鑑賞しましたが、
その嫌悪感溢れる強烈な内容に衝撃を受けました。
その続編となる『ムカデ人間2』は、劇場まで足を運んだのですが、
前作を遥かに凌駕する強烈すぎる内容に再び強い衝撃を受けます。
『ムカデ人間2』のインモラルっぷりは、ボクが今まで観た映画の中でも、
三本の指に確実に入るほどの超問題作です。
しかし監督のトム・シックスは、その行くところまで行ったと思える2作目をして
「3作目に比べればディズニー映画みたいなもの」と言っており、
シリーズ完結編である3作目が2作目を超えるものであると予告していました。
2作目が限界ギリギリ究極のインモラル映画だと思えたので、
それを超えるなんて想像できませんが、そんなことを言われると、
なんだか怖いけど期待してしまいますよね。
で、ついに日本公開されたその3作目こそが本作です。

更なる衝撃と嫌悪感に襲われることを覚悟して、恐る恐る観に行ったのですが、
結論から言ってしまえば、全く期待ハズレでした。
2作目の更に上を行く強烈なホラー映画になっているかと思いきや、
上ではなく全く見当ハズレな方向に行っちゃってます。
どんな方向に行っちゃったのかといえば、コメディの方向で、
本作はもはやインモラル・ホラーなどではなく、単なるお下劣コメディで、
2作目の進化形を期待すると肩透かしを食らうこと間違いなしです。
まぁ2作目は本当に限界ギリギリを攻めていたので、
それを正攻法で超えるなんて絶対不可能なのは間違いなく、
別方向に活路を見出すしかなかったのはわかります。
でもこの裏切りはちょっと酷いんじゃないかな…。

三部作構想だった『ムカデ人間』シリーズですが、
本作は三部作の完結編というよりは、過去2作のオマケみたいな感じ。
ファンサービスのお祭り作品というか、お遊びセルフパロディって感じです。
本作の最大の売りは、1作目でムカデ人間を作ったマッドサイエンティスト、
ハイター博士を演じるディーター・ラーザーと、
2作目でハイター博士の真似をしてムカデ人間を作った精神病質者、
マーティンを演じるローレンス・R・ハーヴェイの共演でしょう。
ラーザーとハーヴェイは前とは別のキャラとして出演し、
今度は2人協力してムカデ人間を作る展開になるわけです。

しかし2人とも、前の強烈なキャラに比べると本作でのキャラは弱すぎます。
ラーザー演じる刑務所の所長ビル・ボスはイカレた野郎ですが、
ハイター博士のように狂気を感じるイカレ方ではなく、ただ単に頭がおかしいだけ。
台詞も終始叫んでいる感じで、怖いというかただただウザいです。
ハーヴェイ演じる刑務所の会計士ドワイトは、そんなバカ所長のツッコミ役で、
ムカデ人間に執着すること以外は比較的常識人で、
前作で演じた映画史に残るような精神病質者マーティンと比べると
全てにおいてあまりにもパワーダウンしすぎています。
強烈だったキモすぎる外見も、すっかり普通の中年になっちゃって拍子抜けです。
ハイター博士とマーティンの二大サイコ・スターの共演を楽しみにしていたのに、
単なる変態2人って感じで期待ハズレでした。

肝心のムカデ人間ですが、1作目では3人、2作目では12人(実際は10人)、
そして今回は500人を繋げますが、こんなものは出オチなので、
やはり衝撃度では1作目の初登場時が最高潮で、
数を増やせば衝撃度も増えるというものでもないです。
むしろ人数の少ない方が一人ひとりの苦痛も伝わってくるけど、
これだけ多くなると、個々の人間なんて物にしか見えなくて、
可哀想という感情すら湧かないし、人数と衝撃度は反比例してそうです。
2作目の場合は人数は3~4倍になり、やはり反比例してますが、
ムカデ人間を作る過程にそれを補って余りある衝撃を付与しているので、
作品としては前作を凌駕するものでしたが、本作のムカデ人間の作り方は、
むしろ3作中で最も生易しいもので、人数以外何ひとつ前作を超えていません。
更に今回ムカデ人間の材料となるのが刑務所の囚人なので、
自業自得であまり同情する気にもなれませんね。
また男女混ざった前作までと違い、本作のムカデはひとりを除き全員男なので、
性的なインモラルさという面でもパワーダウンは否めません。
それに500人も繋げると、ビジュアル的にもムカデというよりもゲジゲジですよ。
以下、ネタバレ注意です。

ある刑務所の所長ビル・ボスは、非常に暴力的な男で、
従わない囚人に対して、腕を折ったり熱湯攻めしたりなど、
暴力的な制裁を加えていますが、それによって医療費が嵩み、
ヒューズ知事からも刑務所の予算削減の厳命を受けていて、
刑務所の会計士ドワイトは頭を抱えています。
ある日、ドワイトは大好きな映画『ムカデ人間』『ムカデ人間2』を真似て、
囚人をムカデ人間にしてしまえば、食費やら排泄物の処理費用やらを節約でき、
更に反抗的な囚人もいなくなるとビル・ボスに提案するのです。
前作も映画『ムカデ人間』を大好きなハーヴェイ演じる男が、
映画の真似をしてムカデ人間を作ろうとするメタ的な話でしたが、
本作も同じくハーヴェイ演じるドワイトが映画を真似てムカデ人間を作りたがる
メタ的な展開になっているわけですね。
前作のセルフオマージュかもしれないけど、同じような展開は安易な気もします。
それに過去2作が傑作だと自画自賛しているような印象も受けますね。

ドワイトからムカデ人間を提案されたビル・ボスですが、それを却下。
それよりも囚人を去勢するのが効果的だと考え、
反抗的な囚人のひとりを自らナイフで去勢するのです。
なんとビル・ボスはその睾丸を料理させて食べるんですよね。
彼は割礼されたクリトリスの干物も取り寄せて食べているのですが、
本作はそんな別に笑えないバカっぽいシモネタが多すぎる気がします。
しかし去勢された囚人が大人しくなるわけもなく、むしろ更に反抗的に。
ある日、ビル・ボスは食堂でその囚人からレイプされるのです。
肛門にナニを突っ込まれるのではなく、なんと腹に穴を開けられ、
腎臓にナニを突っ込まれて中出しされるというデス・レイプです。
グロいというかエグいというか、本作中ではなかなか衝撃的展開でした。
…が、それは酔っていたビル・ボスの悪夢だったみたいで、
実際にデス・レイプされたわけではなかったのですが、
それを機に彼はドワイトの提案を受ける決心をするのです。

さっそくドワイトは『ムカデ人間』のトム・シックス監督を刑務所に招き、
監督からムカデ人間の実現性が医学的に正確であると保証されます。
監督は本人役で登場しますが、こんなインモラル映画の監督だから
どんな変態野郎かと思えば、なかなかスタイリッシュな青年ですね。
まぁ本当にムカデ人間を作るのが可能だとは思ってないでしょうけど。
監督の登場もファンサービスのひとつでしょうが、
たしかに本作で観客が一番沸いたシーンだったと思います。
でもボクとしては笑いよりも悲鳴が上がるような作品を期待しました。
映画監督が医学的に保証したところで何の意味があるのかって感じですが、
刑務所の医者も医学的に可能だと断言し、ムカデ人間作りに取り掛かるのです。
まぁこの医者もモグリの医者みたいですけどね。

本作のムカデ人間作りですが、前述のように生易しいです。
材料となる人間が囚人であるため、刑期を終えれば釈放できるように、
いつでもムカデ人間から着脱できるようにする必要があるのですが、
そのために前作までのように歯を抜き肛門と口の周りの肉を切り裂いて、
貼り合わせるようなことは出来ず、ただ肛門と唇を縫い合わせるだけ。
少し痕は残るが抜糸すればいつでもムカデの列から切り離せます。
更に前作までだと、立ち上がれないように腕や足の腱を切ってましたが、
それも釈放する時に都合が悪いので、薬で麻痺させるだけです。
一度ムカデ人間になったら二度と元には戻れない恐怖がないので、
生易しく感じますが、それ以前に人体を切るような描写がないので、
映像的なインパクトもあまり感じられません。

ただそのムカデ人間は、いずれ釈放される囚人で作ってるから、
着脱自在にする必要があるだけで、死刑囚や終身刑囚はその限りではありません。
なんとビル・ボスは死刑囚と終身刑囚をひとつに繋げて、
着脱できないムカデ人間を作るのです。
着脱できないだけではなく、なんと手足まで切り落とし、
達磨状態で繋げた、ムカデ人間ならぬイモムシ人間です。
このビジュアルは強烈で、500人を生易しく繋いだムカデ人間なんかより、
よっぽど衝撃的でしたが、出番はワンシーンのみなんですよね…。
イモムシ人間を中心に描けば、あるいは前作越え出来たかもしれないのに…。

そしてビル・ボスは自信満々でヒューズ知事にムカデ人間をお披露目。
画期的な囚人管理方法を絶賛されると期待していましたが、
知事は当然ドン引きし、ビル・ボスとドワイトを批難して帰っちゃいます。
絶望したビル・ボスは自殺しようとしますが、考え直した知事が引き返して来て、
斬新で画期的な方法だと彼らを絶賛するのです。
この知事もまともかと思いきや、とんだイカレ野郎ですが、
たしかに囚人をムカデ人間にする刑務所があれば、犯罪率が減りそうかも。
ある意味、死刑より嫌な懲罰ですもんね。
褒められたビル・ボスは全て自分の手柄にするため、
ムカデ人間を提案したドワイトを殺害し、本作は終了です。
ハイター博士とマーティンでは圧倒的にマーティンの方が強烈だったので、
最後に殺されるのも含め、本作のドワイトの扱いが悪すぎる気がしました。
正直、ほとんどの客もラーザーよりハーヴェイの活躍に期待してたと思います。

これで『ムカデ人間』シリーズ完結ですが、
こんな微妙な完結編ならなかった方がよかったかも…。

関連作の感想
ムカデ人間
ムカデ人間2

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