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ドローン・オブ・ウォー

お久しぶりです。約半月ぶりの更新になります。
先月は5本しか映画感想記事が書けませんでした。
ブログ開始以来、最低更新本数ですが、映画自体は20本ほど観ました。
TOHOシネマズのフリーパス期間中なので手当たり次第観まくっています。
そのせいで記事を書く時間がなくなっちゃった感じです。
劇場で観た映画はほぼ全て感想を書こうというスタンスでやってきましたが、
それはもう無理そうなので、これからは書きたいものだけ書きます。
半月放置でサボリ癖が付いたけど、頑張って週2本は書きたと思います。

ドローン・オブ・ウォー
Good Kill

2015年10月1日日本公開。
イーサン・ホーク主演の戦争ドラマ。

アメリカ空軍に所属するトミー・イーガン少佐(イーサン・ホーク)は、ラスベガスの基地にあるコンテナにいながら、コンピューターで無人機ドローンを遠隔操作し、遠く離れた異国の地の爆撃を行っている。任務が終われば郊外の自宅に戻り、妻のモリー(ジャニュアリー・ジョーンズ)と子供たちと一緒に過ごすのがトミーの日常だった。(シネマトゥデイより)



第71回ヴェネツィア国際映画祭のコンペ部門に出品された本作。
けっこう注目作だと思うけど、メジャー作品ではないためか、
製作国のアメリカでもかなり小規模公開だったみたいです。
金獅子賞を争うだけあって、なかなか興味深い作品なので、
規模は小さいですが日本でも公開されてよかったですね。

「ドローン・オブ・ウォー」という邦題が付けられた本作。
今年4月には首相官邸にドローンが落下した事件などがあり、
他にもドローンを使ってのイタズラなどが頻発したことで、
日本でもドローンが話題になったため、それを受けての邦題でしょう。
まあ本作で登場するドローンは日本で事件を起こしているような
小型の無人機(マルチコプター)なんかではなく、軍用無人攻撃機です。
厳密にはヘルファイアミサイルを搭載したMQ-9リーパーで、
日本人がよく知るドローンとはワケが違います。
なのでこれがドローンと言われると、ちょっと違和感があるので、
この感想ではドローンではなくUCAV(無人戦闘航空機)と称します。
そもそもドローンとは、自律する無人機という意味だったはずなのに、
いつの間にか遠隔操作できる無人機という意味になってるし…。
(遠隔操作できる小型無人機は単なるラジコンですよね?)
以下、ネタバレ注意です。

アメリカ空軍は対テロ戦争でUCAVを配備して、
中東のテロリストを爆撃しており、それを標的殺人と言います。
本作は標的殺人が最も激化した2010年が舞台です。
主人公のアメリカ空軍少佐イーガンは、チームと共にUCAVを操り、
上空3000メートルからアフガンのカヒリ地区を監視するのが仕事です。
標的となるタリバンの戦闘員を発見したらヘルファイアを撃ち込み殺害します。
なんと彼らはUCAVをアフガンから1万2000キロも離れた、
ラスベガスの空軍基地で遠隔操作しているのです。
危険を冒して戦闘地域に行かなくても、自宅から通える場所で
敵国を爆撃できるなんて凄い時代になったものです。
もちろん現地に派兵されて戦闘機に乗って戦う空兵もいるんですけど、
UCAVを操って戦う方が命の危険がなくていいですよね。
「椅子に座った軍」ってことで、エア・フォースならぬチェア・フォースなんて
揶揄(批判)されたりもしているみたいです。
たしかにFPSみたいですが、これはゲームではなく殺人なので、
世間から批判されるのもわかる気がします。
(嘘か本当かX-BOXのゲームがモデルなんだとか…。)
でもゲーム感覚だろうが殺人を意識していようが結果は同じなので、
ボクはUCAVの使用に批判的な感情は湧かないかな?
むしろ自軍の死傷者が減るのはいいことだと思います。

ところがイーガンはアフガンに派兵され、実機で戦いたいと懇願しています。
命の危険もなく、自宅から通え毎日妻子にも会えるラッキーな職場なのに、
なぜわざわざ1万2000キロも離れた危険地域に行きたいと望むのか、
当初ボクには全く理解できませんでした。
今までの6回の派兵経験でスリルに病みつきになったのか、
それともただ飛行機を操縦するのが好きなだけなのか、なんて思いましたが、
本作を観進めるうちに、イーガンの気持ちも理解できるようになります。

標的殺人においてUCAVは非常に有効ですが、誤爆も多いです。
なにしろUCAVは3000メートル上空を飛んでいるので、
ヘルファイア発射から着弾までに8秒~12秒ほどの時間差があり、
その間に着弾地点に非戦闘員が近づいてしまうと巻き添えにしてしまうことも。
イーガンはテロリストの即製爆弾工場を爆撃する命令を受けるのですが、
その時もたまたま通りかかった子供2人を巻き添えにしてしまうのです。
別に誰から咎められるわけでもありませんが、これは責任感じますよね…。
だからUCAVでの任務が嫌なのかな、と思ったのですが、
誤爆くらいは普通の戦闘機でも頻繁に起きているので関係ないかな。
上官のジョンズ中佐は「子供がいるのは知らなかったから仕方がない」
「子供が2人乗っているのを知っていた9.11のテロリストよりマシだ」と
イーガンを励ましますが、なんだか都合のいい理屈だけど、
ボクもこれは運が悪かったとしか言いようがないと思いますね。

イーガンのチームはCIAの特別ミッションに参加することになります。
自分たちは空兵なのに、なんでCIAの命令で動かなきゃならないのか、
と不満に思いますが、命令なので仕方がないです。
空軍は特定の個人を標的にする個人攻撃ですが、CIAは特徴攻撃。
雑に言えば、テロリストっぽい奴は全員爆撃するというものです。
しかも空軍と違って非戦闘員を巻き添えにすることも厭いません。
「女子供を盾にするテロリストが悪い」という考え方です。
なんというか目的のためなら非人道的な手段も厭わないCIAらしいですね。
イーガンはCIAの命令で、アルカイダの爆弾製造者が帰宅したところを
妻子もろとも自宅を爆撃、そして救助に来た人々も立て続けに爆撃します。
もう非戦闘員とか関係なしで完全に戦争犯罪ですが、
表向きは存在しない極秘作戦なので、やはり誰も咎められません。
ちょっと酷い気もしますが、戦争はスポーツじゃないので、
ルールなんてないと思うので、それを責める気にはならないかな。
イーガンは不満を感じていますが、命令なので渋々従います。

今度はCIAからアルカイダの市場を爆撃するように言われますが、
なんとその場所はイエメンです。
アメリカはイエメンと戦争していないので、勝手に爆撃したらマズいですが、
CIAは「だってそこにテロリストいるし」とお構いなし。
市場にいた未成年を含む集団を適当に爆撃して、イエメン領空から逃げます。
うーん、日本にもアルカイダの隠れ家があったら爆撃するってことか?
他にもCIAの命令でどう見ても畑の倉庫を、爆弾工場と決め付け爆撃したり、
誤爆の大半はCIAのせいじゃないのかと思うほどやりたい放題です。
イーガンはそんなCIAのやり方に不満ですが、チームの中には
普段のカヒリ地区の監視任務より楽しいと感じている者も。
彼にとってはそれこそFPS感覚なのでしょうが、イーガンじゃなくて、
こういう能天気な奴にUCAVは任せた方がいいですね。

時には派兵された兵士から、睡眠取りたいから見張りしてくれと頼まれます。
UCAVで上空から野宿する兵士に危険が迫らないか見張るのですが、
彼らが寝ている間、6時間もモニターと睨めっこなんて退屈そう。
でも人を殺さず守る任務なので、イーガンは満更でもないみたいです。
まぁ見張り中に兵士が即製爆弾踏んで爆死したりもするので、
その時は凄い罪悪感を感じそうですけどね。

ある時、CIAの任務でテロリストの司令官を爆撃することに。
いつも通り、帰宅したところを妻子もろとも爆撃しますが、
更に司令官の遺体が棺桶で運ばれるのも監視し、
葬儀で参列者が祈っているところを爆撃するのです。
戦争にルール無用だと思うボクでも、そこまでやるかと思いました。
葬儀を爆撃するなんて、まさに死者に鞭打つ非情な行為ですよね。
イーガンもさすがに罪悪感に苛まれたのか、その話を妻にします。
その時、なぜイーガンが安全なUCAVよりも
危険な戦場で戦闘機に乗ることを望むのかわかりました。
戦闘機で爆撃するよりもUCAVで爆撃する方が結果がはっきり見えるんですね。
攻撃成果評価で何人殺したかも自分で確認しなければならず、
意外にも殺人の実感はUCAVの方が強烈なのかもしれません。
なんでも現地の兵士よりもPTSDになる割合も高いんだとか。
妻は夫が空軍でどんな仕事をしているのか知らなかったみたいで驚き、
「あなたとはやってけない」と子供を連れて実家に帰ってしまうのです。
普通なら妻は夫の苦悩を知って支えてあげるものだと思うけど…。

ある時、CIAから非戦闘員を乗せたテロリストのトラックを爆撃しろと言われ、
我慢限界のイーガンはリンクが途絶えたふりをして、わざと標的を見失います。
しかしそれが意図的だったとばれ、命令不服従で降格処分を受けるのです。
CIAの特別ミッションから外され、カヒリ地区の監視任務に戻れたので、
この処分はイーガンにとっては本望だったかもしれません。
カヒリ地区の監視に戻ったイーガンは、監視中にレイプ魔を発見。
今までも何度もこの男の卑劣な行為を目撃していたのですが、
この男は個人攻撃の標的ではないので勝手に爆撃できません。
でも何か吹っ切れたイーガンは、この男を勝手に爆撃します。
CIAの命令で何の罪もない非戦闘員を爆撃しまくっていたのに比べたら、
こんなレイプ魔を殺すのなんて全然悪くないよね。
でも、あわやレイプ被害者の女性まで巻き込みそうになります。
運よく女性は助かりますが、もう少しマシなミサイル発射のタイミングあるだろ。
その後、イーガンは基地を後にし、妻の実家に向かいます。
たぶん空軍は辞めたのでしょうね。
まぁ自分から辞めなくても解雇されたでしょうが。
いや、違反行為で罪に問われるかもしれませんね。

全く戦場に行かない戦争映画と言うのも珍しいし、
UCAVがどう運用されているかも初めて知ったので、興味深い作品でした。
でも同盟国アメリカがUCAV使ってるのは心強いけど、
テロリストも使い始めたら怖いし、そうなるのも時間の問題ですよね。

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