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パージ

集団的自衛権を認めるなどの安保法案が16日に衆院で可決され、
連日のように安保法案の是非が話題になっています。
というか、マスコミは概ね否定的で、それが世論のような印象も受けますが、
実際には賛否半々くらいな気がします。
ボクの周りでも確かに反対する人もいますけど、賛成の人の方が多いです。
ボク自身も賛成なので、反対派の人を説得するのは難しいけど、
どうでもいいと思っている人を説得して賛成派にする活動を地道に行ってます。
賛成派のボクでも安保法案が憲法違反なのは間違いないと思うけど、
そもそも改憲派なので「だから何?」って感じです。
他にも在日の生活保護とか一票の格差とか憲法違反はあるし「何を今更」です。
そんなことよりも領土を守るため、特アの脅威に備えることの方が大切です。
安保法案に中韓が反対するのを見れば、何が正しいか推して知れそうなもの。
日本を戦争できない国から普通の国にするだけの話です。
いや、実際は安保法案が本決まりになっても制限多すぎて、
今までとあまり変わらないような気もするし、普通の国には程遠いです。
やっぱり改憲する必要がありそうです。

ということで、今日は日本唯一の同盟国製作のトンデモ法映画の感想です。
こんな法案だったら反対するのもわかるけど…。

パージ
The Purge

2015年7月18日日本公開。
イーサン・ホーク主演の社会派SFアクションホラー。

年に12時間だけ、殺人を含む全ての犯罪行為を合法にする法律が定められたアメリカ。パージと呼ばれるその日を迎えたジェームズ・サンディン(イーサン・ホーク)は、最先端のセキュリティーシステムによって保護された自宅で妻子たちと夜を過ごすことに。だが、パージがスタートするや、ある男がジェームズの家に助けを求めてやって来る。息子がセキュリティーシステムを解除して彼を家にかくまうが、男を殺そうとする近隣住民が続々と集結。暴徒と化した彼らに囲まれたジェームズたちは反撃に挑むが……。(シネマトゥデイより)



2013年6月に全米公開され、初登場一位になった本作ですが、
当初は日本での劇場公開を見送るつもりだったのだろうと思われます。
ヒットはしたものの、そこまで評価が高かったわけでもないし、
日本で劇場公開しても客入りは見込めないと判断されたのかも。
しかしヒットを受けて早くも翌年全米公開された続編『パージ:アナーキー』は、
前作を上回るヒットとなり、評判も上々だったため、
これは日本でも上映すべきと判断され、続編を8月1日に劇場公開するために、
急きょその直前(2週間前)に本作を公開することになったのかもしれません。
「日劇スリルナイト」なる企画で連続公開されるみたいだったので、
近所の映画館でも上映してもらえるか不安でしたが、
思ったより公開規模が大きく、難なく観れてよかったです。
3作目の製作も決まっていますが、それが日本でも劇場公開されるかは、
本作と続編の成績次第でしょうね。
その前に全米でコケたら意味ないですが…。

経済崩壊後のアメリカは「新しい建国の父」によって統治され、
1年に1度、1晩だけ殺人が合法化される夜「パージ」が導入されます。
…というトンデモ法SFスリラーです。
政府により全ての犯罪が合法化される期間(或は地域)があるというのは、
映画や漫画で在りがちな設定ですが、それをどう料理するかが腕の見せ所。
仮にも全米1位の作品なので、きっと美味しく料理されていると期待しました。
パージ法による人々の狂乱が描かれるかと思いましたが、
意外にも一家族の自宅での攻防戦が描かれるだけで、
コジンマリした印象を受けましたが、それは別に悪いわけではなく、
シチュエーション・スリラー的でよかったと思います。

ただ、登場人物たち、特に主人公一家の言動にあまりにも現実味がなく、
シチュエーション・スリラーで最も重要な緊張感がありません。
簡単に言えば、彼らは道徳的な正しさを基準に行動しているのですが、
普通の人間は非常時にそんな考え方は絶対にしません。
家族を守るためなら道徳的に間違ったことでもやる、それが人間です。
しかし本作の主人公一家は、間違ったことをするくらいなら、
家族が死んでも仕方がないと言わんばかりの人間味のない奴らで、
偽善者を通り越して精神障碍者、いや一家心中志願者と思えるほどで、
やること為すこと、わざと殺されにかかっているようにしか見えず、
もうお前らまとめてさっさと死ねよ、と思ってしまいます。
当然そんな彼らに感情移入できるはずもなく、緊張感が伝わりません。

まぁそれ以前にパージの趣旨からしてあり得ないものです。
パージを導入で、普段の犯罪率と失業率は低下し、経済も改善されるのですが、
それはBR法やハンガーゲームのような国民の不満のガス抜きではなく、
パージで殺されないように普段から品行方正に務めるというわけでもなく、
身を守るためのセキュリティを導入できない貧困層や病人を標的にして、
失業者など社会のお荷物を浄化(パージ)するのが目的です。
(『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』の設定とほぼ同じですね。)
たしかにいくらでも身を守れる金持ちが殺されにくいのは間違いないですが、
貧乏人が殺されやすいかは微妙なところです。
なぜなら貧乏人をパージする金持ちは家に閉じこもっているはずですからね。
あえて反撃のリスクを冒してまで貧乏人狩りする金持ちなんていません。
そもそもそんな無謀な奴が富を守れるはずもなく、金持ちなはずないです。
しかし本作の殺人者は高学歴でセレブな若者たちですが、
貧乏人狩りに街に繰り出すなんて、本当に高学歴なのか疑わしいです。
銃持ってる男たちはまだしも、鉈とか斧持ってる女たちはアホすぎます。
クラス4以上の武器は使用できない規則らしいので、
(クラス4が何かは知らないけど)戦車とかは無理なのだろうと思うけど、
近接武器なんかでは銃を買えない貧乏人でも簡単に反撃できちゃうよね。

そもそも法律で禁止されずとも、命を奪いたい人間なんて滅多にいません。
人間を殺したいと思うサイコ野郎は法律に関係なく殺します。
金持ちなら尚のこと自分の手が汚れることは嫌がるはずです。
パージはまるで殺人が合法化される法律のようですが、
実際は全ての犯罪が合法化される法律です。
もしそれが施行されても、その機会を人殺しなんて無駄なことに使うかな?
ボクならとりあえず車で公道を暴走してみたいですが、
人によってはドラッグを試すとか、堂々と賭博や淫行するのに使いそうです。
特に金持ちだったら、詐欺的なもっと大きな犯罪に使う気がします。
社会派ホラーと謳っている本作ですが、せっかく何しても罪に問われないのに、
殺人にしか使われないなんて、もっと社会派な使い方がありそうなものだけど…。
まぁ殺人でもいいけど、もっと社会派な殺人の描き方もあるはず。
本作では黒人ホームレスがセレブの若者たちの標的になりますが、
貧困層だから殺されるというのも多少は社会派かもしれないけど、
黒人だから標的になったみたいな、ヘイトクライム的アプローチも出来たし、
その方が現実的にあり得るし、もっと社会派だと思うのですが…。
以下、ネタバレ注意です。

2022年3月21日、午後7時からパージが行われます。
3月21日といえば春分の日ですが、これは日本の祝日なので、
なぜその日に近未来のアメリカで変なイベントが開催されるのか不思議です。
まぁ祝日かどうかは別として、天文学的に定められる日ですけどね。
イラン歴では元旦らしいので、そちらから取られたと考えるのが自然かも。
年またぎに浄化を行い、新しい年を迎えるって感じで、
パージを制定した新しい建国の父が実はイランのイスラム教テロリストだった、
みたいな裏設定があるのかもしれませんね。
そのあたりのことはパージの初開催を描いた3作目で語られるかも。

主人公ジェームズはロスの富裕層が住む町で暮らす防犯装置のセールスマン。
パージのお蔭で、防犯業界はウハウハみたいで、彼も大儲けして家を増築。
もちろん自宅には自社の最新で最高の防犯装置を導入していて、
パージの夜も余裕で家族と家でのんびり過ごす予定です。
午後7時直前、ジェームズは防犯装置を起動させ、扉や窓を封鎖。
自宅周囲を監視するカメラも全て起動させ、準備万端です。

しかしこれでは装置起動前に侵入されていたらアウトだなと思いましたが、
案の定、娘ゾーイの恋人ヘンリーが彼女の部屋に侵入しており、
2人は部屋でイチャイチャします。
何もこんな日に逢瀬することもないのにと思いましたが、やはり理由があり、
ヘンリーは娘との交際に反対するジェームズを殺すつもりだったのです。
ゾーイには「君のパパを説得するために来た」と言いますが、
わざわざこんな日に交際を許してもらうために話し合いに来るなんて、
どう考えても嘘なのに、ゾーイは信じちゃうんだからあり得ません。
ヘンリーも父を殺されたゾーイと交際を続けられると思うなんて頭がおかしいし、
逆にこんな日に侵入なんてしたら、自分をよく思ってない彼女の父に、
娘と別れさせる絶好の機会(つまり殺される)を与えるようなものですよね。
結局ヘンリーはジェームズに背後から発砲するも命中せず、
反射的に反撃されて被弾し、絶命してしまいます。
恋人が死んで悲しむゾーイですが、仮にも父親を殺そうとした男なのに?
初っ端からこんな感じで、登場人物の言動がおかしすぎるのです。

ゾーイの場合は恋人なので、ヘンリーを信用するのもまだわからなくもないけど、
彼女の弟チャーリーの言動は微塵も理解できません。
彼は監視カメラのモニターを見て、自宅前の道に黒人男性がいるのを発見。
どうやら誰かに追われていて、助けを求めているみたいです。
するとチャーリーは、なんと防犯装置を一時的に停止させ、
その黒人を家の中に招き入れてしまうのです。
見ず知らずの人を家に入れるなんて、普段でも御法度なのに、
わざわざパージの夜にしちゃうなんて、あまりに異常すぎる行動です。
案の定、この黒人は家に入るなり姿を消してしまいます。
増築してかなり広い一戸建てなので簡単には見つかりません。
チャーリーはせっかく助けたのにさっそく裏切られたわけですが、
この後も何かとこの黒人を家族などから守ろうと奮闘するのです。
もはやこの子は知的障害児かもしれないと思ってしまうほどあり得ませんが、
あまりに犯罪率が低すぎる社会が生んだ、ゆとりモンスターかもしれません。

その後、銃やら鉈やらで武装した正装の若者たちがこの家を包囲。
匿っている黒人を引き渡せ、さもなくば侵入して家族皆殺しだ、と要求します。
彼らは高学歴で高収入なボンボンたちみたいで、パージの理念に共鳴し、
社会の浄化を名目にホームレス狩りをしているようです。
チャーリーが家に招いてしまった黒人はホームレスで、一度襲ったのですが、
仲間をひとり殺害されて逃げられてしまったみたいです。
この若者たちの行動があり得ないのは前述の通りですが、
黒人も(常時でも)正当防衛とはいえ人殺しだったみたいで、
やはりかなり危険人物に侵入を許しちゃったんですね。
まぁ侵入された黒人は厄介でも、外の若者たちについては、
自慢の防犯装置で侵入されないので要求飲まなくても大丈夫かな。
と思いきや、この防犯装置は無理やり侵入されることを想定しておらず、
侵入しようと思えば侵入できるとジェームズは断言…。
全ての犯罪が許される日だから想定外のことが起きるのは当然なのに、
こんな防犯装置、ザルじゃないですか…。
当然要求を飲んでお帰り願いたいですが、肝心の黒人が見つからず…。
若者たちは警告のつもりか、配電を切り、家は停電するのです。
野外から簡単に電源落とされるなんて、どんな防犯装置だよ…。

真っ暗な家の中、必死で黒人を探すジェームズと妻メアリーでしたが、
息子チャーリーも暗視カメラ搭載したラジコン「ティミー」で黒人探しのお手伝い。
…と思いきや、ティミーで黒人を発見したチャーリーは、
黒人を親も知らない自室の隠し部屋に誘導するのです。
黒人を引き渡さないと自分も家族も皆殺しにされるかもしれないのに、
このバカガキはどれだけ家族を窮地に追い込むんだとイライラしました。
家族よりも知らない黒人の命の方が大切なんて、親不孝にもほどがあります。
ましてやさっき裏切られたばかりなのに、またいつ恩を仇で返されるか…。
と思った矢先、案の定、またしても裏切られます。
隠し部屋を知っている姉スージーが、黒人が隠れているとは知らずに
隠し部屋に隠れようとして、黒人に捕まり人質になるのです。
スージーの持っていた(元ヘンリーの)拳銃まで奪われてしまいます。
もう本作の危機はだいたいチャーリーのせいです。

部屋に駆け付けたジェームズも娘が人質になり迂闊に手を出せず睨み合いに。
しかし黒人は後ろから近づく妻メアリーに気付き、一瞬注意が逸れた隙に、
ジェームズが黒人の腹を銃撃し、ガムテープで拘束します。
これで若者たちに引き渡せば、万事解決だなと思いましたが、
なんと引き渡しにメアリーが「そんなことは間違ってる」と猛反対するのです。
ガキで世間知らずなチャーリーがお人好しなのは千歩譲って認めても、
いい大人のメアリーまで、この期に及んで道徳を持ち出すのかと…。
黒人を引き渡さなければ子供たちを含め家族が皆殺しになるかもしれないのに、
しかもこの黒人はついさっきまで娘に拳銃を突き付け、
怪我までさせた憎むべき男なのに、それでも母親かと…。
もちろん反省しない息子チャーリーも黒人を引き渡すのに反対です。
「此の親にしてこの子あり」で、この家でマトモなのはジェームズだけかと思いきや、
なんと彼まで妻の猛反対に押し切られ「俺が間違ってた、戦おう」と…。
どう考えても他人を守るために家族を危険に晒す妻の方が間違ってるよね。
てかどの道、若者たちに侵入されたら、命懸けで守ってる黒人も殺されるだろ。

黒人引き渡しの時間切れで、若者たちが玄関のバイケードを破壊し侵入します。
どんな重機でバリケードを破壊するかと思いきや、車のウィンチで引っ張るだけ。
こんな程度の防犯装置なら貧乏人にだって侵入されちゃいますよ。
本当に安全を確保するなら、家を増設する前にもっと頑丈にして、
監視カメラに機関銃付けるとか、要塞化するべきです。
若者たち侵入のゴタゴタで、黒人も拘束から脱出し、また姿を消します。
若者たちの侵入を許すも、地の利か家主が優勢。
ショットガンで次々と若者たちを撃ち殺します。
若者たちもよくあんな無防備で侵入してくるものですね。
相手は当然武器も持ってる金持ちなのに…。
しかし善戦虚しく、ジェームズは若者のリーダーにナイフで刺され、死にます。
え、主人公が死ぬのか?と驚いてしまいましたが、これはいい展開です。
このまま若者たちを撃退しちゃったら、チャーリーを筆頭にアホな家族が、
己の判断を後悔する機会がなくなるし、正直「様はない」と思っちゃいました。
まぁ家族より見ず知らずの黒人の命が大事な奴らだから、
夫や父が死んでも大して後悔なんかしないかもしれないけどね。

ジェームズが死んで形勢逆転、若者たちに皆殺しにされそうになるが、
そこにご近所さんたちが乱入してきて、「お困りのようだから助けるわ」と、
若者たちを排除してくれるのです。
いやー、持つべきものは地域の繋がりですね。
…と思いきや、ご近所さんたちは「あなたたちは私たちのものよ」と言い…。
どうやら彼らはジェームズから防犯装置を売りつけられていたらしく、
それで家を増築したり、いい暮らしをしているこの一家に対して、
「私たちから儲けたくせに態度がデカい」と妬んでいたようで、
皆で集まって一家をパージする機会を窺っていたらしいです。
殺したいほどかは別にしても、この妬みの気持ちはわからないでもないです。
「出る杭は打たれる」というか、出る杭を打ちたいと思うのが人間で、
実際パージなんて施行されたら、殺されやすいのは貧乏人ではなく、
妬まれやすい金持ちじゃないかと思いますからね。
国のために貧乏人なんて殺しても、個人的には一銭にもならないし、
利権絡みとかで金持ち殺す方が個人的にはメリットがありそうですもん。
まぁご近所さんの妬み程度では殺す動機としては薄い気がしますが、
ボクならむしろこんなザルな防犯装置売りつけられたことに怒るかな。

ご近所さんたちに取り囲まれ、殺されそうになるアホ一家3人でしたが、
そこにあの黒人が颯爽と現れ、中国人ご近所さんを銃殺。
メアリーもご近所さんから武器を奪い、形勢逆転です。
結局黒人に助けられ、温情をかけた甲斐があったわけですが、
だからといって引き渡さなかった判断が正しかったかは微妙かな。
そのせいでジェームズは死んじゃったわけだし、
もともとこの黒人が持ち込んだ危機だったわけですからね。
いや大本は黒人を招き入れたバカ息子のせいか。
形勢逆転するも、メアリーはご近所さんを殺そうとはせず、
翌朝7時を待ち、パージが終了してから解散させます。
ついさっき殺されかけたのに、どこまでお人好しなんだと…。
生かして返せば、翌年のパージの時にまた狙われるに決まってるのに…。
そこで本作は幕を降ろしますが、登場人物の行動には
最後の最後まで納得できませんでした。

まぁもともと評価の低い作品だとわかっていたので、この程度の出来は想定内。
むしろ本番はもうすぐ公開の続編『パージ:アナーキー』です。
本作からは黒人だけが続投するみたいですが、
イーサン・ホーク演じる死んだジェームズ含め主人公一家は登場しない模様。
こんなアホ一家を見るのは二度と御免なので有難いです。

コメント

最高に笑えて的を得てるレビューでした。素晴らしい。

  • 2016/05/04(水) 17:16:03 |
  • URL |
  • かずち #-
  • [ 編集 ]

かずちさんへ。

ありがとうございます。
ツッコミどころの多い映画で書きやすかったです。

  • 2016/05/05(木) 20:54:22 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

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