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チャイルド44 森に消えた子供たち

今週は今年最も期待していた映画『アベンジャーズ2』が公開され、
最もリリースを待ち望んだ『ヒックとドラゴン2』もリリースされ、
どちらも早速観て、ちょっと一段落つけた感じです。
正直、ここ数週はその日本に対する期待と不安でピリピリしていたけど、
まぁ2本とも大満足とまで言わないけど、悪くはなかったので安心しました。
今年の映画生活の山場は無事越えたって感じだけど、
なんか急に気が抜けちゃって、何だかやる気が起きないです。
もうブログだけチャッチャと書いて寝ちゃおう。

ということで、今日はいつもより短めな映画の感想です。
映画が短いんじゃなくて感想がいつもより短いです。
むしろ映画は長くてウンザリしました。

チャイルド44 森に消えた子供たち
Child 44

2015年7月3日日本公開。
トム・ハーディ主演のミステリー・スリラー映画。

スターリン政権下にある1953年のソ連。9歳から14歳までの子供たちが変死体となって発見される事件が発生する。現場は山間の線路沿いに限定され、全ての被害者は裸で胃が摘出されており、直接の死因は溺死であった。秘密警察の捜査官レオ(トム・ハーディ)は、親友の息子が犠牲となったことから捜査に乗り出すことに。だが、それを契機に元同僚に追われ、妻ライーサ(ノオミ・ラパス)にいわれのない犯罪の容疑が掛けられてしまう。窮地に立たされる状況で、真相をつかもうとする彼だが……。(シネマトゥデイより)



全く観る予定じゃなかった本作ですが、
時間を潰す必要に迫られたので、飛び込みで観ました。
ポスターを見たら「このミステリーがすごい!」海外編第1位と書いてたし、
今、やたらと高評価で絶賛公開中の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の
トム・ハーディ主演作のようなので、面白いかもしれないと思い、
何の予備知識もないまま席に着いてしまいました。
しかし本作が始まった途端に後悔することになってしまいます。

本作は1950年代のソ連が舞台らしく、冒頭スターリン政権がどうとか、
ウクライナがどうとか、ホロドモールで孤児がどうとか、テロップで軽く説明され、
ソ連の歴史なんてほとんど知らないボクには、かなり難しい内容な予感がして、
開始1分で挫折してしまいそうになりました。
しかも本作は上映時間が137分もある長めの映画なので、
初っ端で躓いたまま、137分も見続けるなんて拷問じゃないかと…。
しかし観終ってみたら、冒頭の小難しいテロップは、本作にほとんど関係ないです。
ただ主人公が孤児だったと説明しただけのもので身構えて損しました。
ついでに主人公が孤児という設定も、物語にはほとんど関係ないです。

とはいえ、1950年代の特殊な状況のソ連が舞台なので、
当時のソ連にある程度明るくないとわかりにくいのは間違いないです。
主人公はMGBという聞き慣れない組織に属しているのですが、
それがどういう活動をする組織なのかもちゃんと説明されないので、
同僚との人間関係なんかも非常に掴み難いです。
後で調べたらMGBはKGBの前身だったみたいですね。
関係ない内容のテロップを冒頭に流すくらいなら、
一言「MGBは後のKGBです」と流してくれていたらどれだけ有難かったか。
時代背景はややこしいですが、内容としては至極単純なもので、
連続殺人事件を捜査するだけのミステリーです。
以下ネタバレ注意です。

モスクワで裸の少年の遺体が線路脇で発見されます。
近くに水場はないのに死因は溺死で、外科手術で内臓が切り取られており、
明らかに他殺のはずが、当局は事故死として片付けようとします。
どうやらスターリン政権は「楽園に殺人はあり得ない」と謳っているため、
国内での殺人事件を認めたくないみたいです。
その後、同様の手口でまた少年が殺害されますが、
「連続殺人は資本主義の弊害なのでソ連では起こらない」と関連性は否定されます。
MGB捜査官レオは2つの少年殺人が同一犯によるものと確信していますが、
捜査は許されず、別件でヴォリスクという村に民警として左遷されてしまいます。
しかしヴォリスクでも沿線の森の中で同様の手口の少年の遺体が発見され、
第一発見者のゲイ男性が逮捕されますが、レオはモスクワの事件と同一犯と考え、
地元のゲイ男性ではなく旅行者の犯行だと推理。
過去に同様の事件がないか調べると、43件もの類似事件が見つかります。
この国では連続殺人は存在しないことになっているので、
全ての事件で犯人が捕まり、解決扱いになっていますが、全部冤罪なのでしょう。
その事件現場は沿線に広く分布していますが、特にロストフという村に多く、
犯人は列車で出張の多いロストフの会社の営業マンではないかと推理。
ロストフの会社の管理事務所で社員の出張履歴を事件の日時と照合し、
ヴラドという男が浮上し、彼を追いつめるも、被疑者死亡で事件解決です。

という非常に単純な事件なのですが、こんなの1時間もあれば十分なのに、
本作はそれを137分も使って描くので、当然かなりの水増しが行われ、
存在しないスパイ探しや、上司や部下との確執、夫婦間の問題など、
メインプロットとは全く関係のないエピソードが挿入されまくり、
肝心の連続殺人事件の捜査が遅々として進まず、冗長で退屈で瞼が重くなります。
それを見越してか、時折妙に過激なアクションシーンをぶち込んで来るので、
少し目が覚めるけど、そのアクションシーンも取って付けただけのものなので、
物語の流れをぶった切っていて、結局は物語の進行の妨げでしかなく、
その結果137分もの長すぎる上映時間になっちゃってる悪循環です。
サブプロットは部下との確執だけに絞って、90分くらいに纏めてくれたら、
もっと見易い作品になると思うんですけどね。

メインプロットの連続殺人事件も、結局犯人の動機がよくわからない、
というか納得しかねるものなので、解決してもスッキリしません。
追いつめた時の犯人ヴラドとの会話から、彼は大戦中に軍医として働き、
過酷な戦場で生き残るためにネズミやネコも捕まえて食べますが、
時には人間(弱った仲間)も食べて飢えを凌いでいたらしいです。
なので、たぶん人間の味が忘れられなくて戦後も殺人を繰り返し、
外科手術で遺体から内臓を取り出して食べていたのでしょう。
でもそれだと少年しか狙わない理由にはならないし、
まだゲイのペド野郎の犯行の方が納得できます。
ヴラドはマスコミから「ロストフの狼男」と称されますが、
鑑賞後に調べたところ、1978年から1990年にソ連で52人を殺害した殺人鬼、
「ロマノフの殺し屋」ことアンドレイ・チカチーロがモデルだそうです。
その実在の殺人鬼の事件もよく知らないし、彼の動機も知りませんが、
モデルを知っている上で観たら多少は納得できるのかな?

鑑賞後に調べてわかった衝撃の事実がもうひとつあります。
本作は全米で今年5月に公開されましたが、初登場17位と躓き、
批評家からも酷評され、全米総興収はなんとたったの122万ドル。
製作費は5000万ドルなので、責任者が切腹してもおかしくない大コケです。
海外興収合わせても330万ドル程度なので、悲惨な大赤字ですね。
比べたら悪いけど、同じくトム・ハーディ主演で2週後に全米公開された
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は、制作費は本作の3倍だけど、
世界興収は本作の100倍以上稼いでますから、どれだけ本作が不人気か…。
そんな成績も評価も最悪な駄作だと事前に知っていたら、絶対に観なかったのに、
やはり映画なんて飛び込みで観るものじゃないですね…。
時間はちゃんと潰せたけど、どうせ潰すならもっと有意義に潰したかったです。
ポスターに釣られて痛い目に遭ったけど、「このミス」第一位が本当なら、
原作はもう少しマシなミステリーなのかもしれません。

コメント

ありがとうございます。実際のチカチーロ事件の本を昔読んだので、
観に行こうかなと気になっていたところです。

>メインプロットとは全く関係のないエピソードが挿入されまくり、
>肝心の連続殺人事件の捜査が遅々として進まず、冗長で退屈で瞼が重くなります。

これ、ミステリー映画ではで一番ツライですよね。。
この言葉が全てを物語っているようです。

ちなみに実際のチカチーロ事件も一向に捜査が進展せず、
ほとんど偶然の結果で逮捕されたので、そのあたりの影響でしょうか。。

なので事件本ではチカチーロの異常さや、
世間に対する屈折した怒りの描写をメインにして、読み応えがありました。

  • 2015/07/06(月) 21:06:57 |
  • URL |
  • モチスイ #iAXwXlSY
  • [ 編集 ]

モチスイさんへ。

メインプロットは、ボクが無駄なエピソードだと思っている
夫婦間の物語の方だという見解もあるみたいで、
MGBが怖くて嫌々結婚した妻が、夫との事件の捜査を通して、
本当の夫婦になっていく物語だと考える人もいます。
たしかにそちらの見方の方が本作を楽しめるかもしれません。
ただ実際の事件に興味があって本作を観るのは、
絶対に期待ハズレになるので、やめて正解だと思います。

  • 2015/07/07(火) 18:28:56 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

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