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レフト・ビハインド

聞いたこともなかった深夜アニメの劇場版『ラブライブ!』が
映画ランキングで三週連続一位になりましたが、日本の映画市場は狂ってます。
どうやら週替わりの来場者特典を用意してオタクをリピートさせているみたいです。
(しかも各週3種類の特典をランダムで配布しているらしいです。)
映画ランキングは土日の動員数で決まるのですが、
来場者特典も土日、いや土曜日になくなるくらいしか用意されてないため、
オタクが土曜日に殺到し、映画ランキングに反映されるわけで、
たぶん一位の作品なのに平日はガラガラなんでしょうね。
そんな姑息な商売で映画ランキングを荒らしてほしくないし、
そんなことをすればファン以外から反感を買うだけです。
収益だけを考えるなら、週替わり特典を月曜日から配布すればいいです。
平日でもオタクは観に来るし、映画ランキングには大きな影響は与えないので、
どこに迷惑かけることもなく、丸く収まると思うのですが…。
週替わり特典は4週目で終了するみたいなので、
5週目は一気にランキング圏外に落ちると思われます。
まぁ4週目となる今週末はいよいよ『アベンジャーズ2』が封切られるので、
特典終了を待つまでもなく連続一位記録は止められそうかな。

日本の映画ランキングは異常な三週連続一位が記録されましたが、
全米ボックスオフィスでも先週末に三週連続一位が記録されています。
三週連続一位になったのは『ジュラシックワールド』ですが、
こちらは真っ当に一位になっているものの、その記録はある意味異常で、
すでに5億ドルも稼ぎ、『アベンジャーズ2』を抜き今年暫定一位です。
『インサイド・ヘッド』や『テッド2』でもその快進撃は止められず、
まだまだ記録を伸ばしそうな予感です。
現在、史上5位の記録ですが、4位の『ダークナイト』越えは間違いなく、
3位の『アベンジャーズ』にも届くかもしれませんね。

ということで、今日は全米ボックスオフィス初登場6位だった映画の感想です。

レフト・ビハインド
Left Behind

2015年6月27日日本公開。
ニコラス・ケイジ主演の終末映画。

何の前触れもなく、世界各国で数百万もの人間が消失するという異常な事態が発生。各種通信網やエネルギー網といったライフラインのシステムはダウン、さらに消失を逃れた人々は不安に駆られて混乱し、一部が暴徒化してしまう。そのころ、パイロットのレイ(ニコラス・ケイジ)が操縦するジャンボジェット機でも、多くの乗客が荷物と衣類だけを残して姿を消す。管制塔との連絡もつかない状態に陥りながらも、彼は地上に残してきたまな娘との再会を信じて帰還を果たそうとするが……。(シネマトゥデイより)



今月12日に公開された『ザ・レジェンド』は検討する間でもなくスルーしましたが、
ニコラス・ケイジの主演作って、なんだか観る気が起きないんですよね。
別に嫌いな俳優というわけでもないんだけど、安っぽく感じるというか、
金銭問題で出演作を選ばない尻軽俳優という印象があるので、
彼に出演を依頼する映画の出来なんて推して知れると思ってしまいます。
本作も彼の顔がこれ見よがしに大きく印刷されたポスターを見ただけで、
観る気を失っていたのですが、観る予定だった映画『悪党に粛清を』が、
ほぼ満席でロクな席が残ってなかったので、
急きょ同じ劇場で上映されていた本作を観ることにしました。
他の上映作は『ストレイヤーズ・クロニクル』とか、
本作以上に観る気が起きない作品ばかりだったので…。

で、いざ観たのですが、期待してなかったわりには楽しめたかも。
端から観る気がなかったので、どんな映画かも全く知らずに、
よくある旅客機パニック映画だろうと思って観ましたが、
全く予期せぬ内容で、なかなか興味深かったです。
どんな内容かと言えば、主演の印象もあって『ノウイング』を思い出したけど、
簡単に言えばキリスト教の布教を目的としたクリスチャン映画です。
ボクは無宗教で無神論者、というか筋金入りの宗教嫌いなので、
キリスト教のプロパガンダであるクリスチャン映画なんて軽蔑してますが、
本作は信仰の大切さを説いたクリスチャン映画なはずなのに、
作中のクリスチャンの扱いが酷すぎて面白いです。
主人公の妻など、信心深い登場人物が数人出てきますが、
どいつもまるで頭がおかしい人のように描かれているんですよね。
むしろ反クリスチャン映画じゃないかと思うほどです。

しかしそれも仕方のないことで、現実でも宗教に嵌る人というのは、
信心深さに比例して変人化してしまうものです。
これは本作に限ったことではなく、熱心なクリスチャン映画であればあるほど、
異常な内容となり、逆にクリスチャンを貶めるような作品になりがちです。
クリスチャン映画がキリスト教関係者からも批判されがちなのもそのためで、
本作も批評家からも馬鹿にされ、ラジー賞3部門ノミネートされたけど、
キリスト教関係者からもそれ以上に最悪な評価を受けています。
クリスチャンにとって不愉快な映画ということは、裏を返せば、
反クリスチャンであるボクにとっては愉快な映画ということになります。
ストーリーも褒められたものではないけど、そんなことは二の次で、
とにかくクリスチャンおよびキリスト教の扱いが酷くて満足です。
以下、ネタバレ注意です。

アーカンソー大に通うクローイは、父親の誕生日パーティのため、
ニューヨークの実家に帰省しますが、航空機の機長である父レイは、
「急な仕事が入った」と自分の誕生会なのに不参加のようで…。
クローイはせっかく来たので、JFK空港でロンドン行きに搭乗する父に会うが、
数週間前から父がU2のロンドン公演のチケットを手配してたことを知り、
母を避けるために急な仕事が入ったと嘘を付いていることに気付きます。
どうも母は宗教に嵌っているみたいで、信仰心の薄い父レイは
「牧師に洗脳された」とウンザリしているみたいです。
クローイも信仰心が薄いけど、彼女がわざわざ遠くの大学の寮に入ったのも、
信仰を家族にも強要する母がウザくて家を出たかったからでしょうね。
母は娘クローイが帰省してくれたのも「神の御意志よ」と言いますが、
父を祝うために自分の意思で帰省した娘にとっては不愉快で…。
母は悪い人ではないでしょうが、なかなかイライラする人ですね。

クローイは空港で被災地を取材する記者バックに会い、母の話で意気投合します。
バックは津波の被災地で、子供3人を失った女性に会いましたが、
クローイの母のように信心深い女性は、災害は神の御意志と考え、
逆に神に感謝していたことに強い違和感を覚えた、という笑い話をします。
この時はまだ本作がクリスチャン映画だとは思っていなかったので、
わざわざこんなエピソードを挟むなんて、
本作は作り手はよほどキリスト教が嫌いなんだろうなと思いました。
その後、バックはレイが機長を務めるロンドン行きの257便に搭乗し、
クローイは母と10歳の弟レイミーが待つ実家に帰ります。
飛行機パニック映画だとも思っていたので、ヒロインが搭乗しないのも意外でした。

クローイはレイミーを連れて、近所のショッピングモールに遊びに行きますが、
ショッピングを楽しんでいると、急に弟が服だけ残して消滅するのです。
弟だけではなく、モール中の子供が一斉に服の抜け殻になります。
同時刻、大西洋上空を飛行中の父レイが操縦する257便でも、
乗客の子供が全員消滅するという怪現象が発生します。
…いや、消滅しているのは子供だけではないようです。
記者バックの横の席だった黒人客も消滅しました。
彼は実は少年だったのだろうかと思ったけど、お爺さんの客も消滅していたので、
どうやら年齢が関係しているわけではなさそうです。
子供は全員消滅したけど、子供のような体格の小人症の男は消えてないし、
普通の大人である副機長やCAまで消滅しています。
一体消滅した人々の共通点は何なのか、気になるところですよね。

モールでは怪現象の混乱に乗じて、火事場泥棒が大量発生。
街中で略奪や殺人が横行し、ニューヨークは混沌と化します。
その中、クローイは弟レイミーを探しまわり、実家にも電話しますが、
家にいるはずの母が電話に出ず…。
ボクもこれで漸く気付きました、神を信じる人だけが消えたのですね。
終末の前に神が信者を天国に救出するキリスト教の終末論、
患難前携挙説を描いたクリスチャン映画だったみたいです。
子供が全員神を信じているとは思えませんが、
サンタを信じるような純粋な心があれば携挙されるのかな?
でも何も考えてなさそうな新生児まで全員消えてしまうのは変な気が…。
それなら257便に乗っている痴呆症のお婆さんも携挙されるべきでは?
旦那さんは消えたんだから、彼女も元は神を信じてたと思うんだけど…。

神を信じていれば消えるというのも、少し語弊があり、
どうやらキリスト教の神に限られるみたいで、
257便に乗っているムスリムの青年は消えません。
イスラム教が信仰する神はユダヤ教の神と同じはずなのに、
患難前携挙説だからプロテスタントオンリーってことなのかな?
ボクが宗教を嫌いなのは、本作でムスリムの男性を救わなかったように、
自宗教を肯定するために他宗教を否定するする自分勝手なところですが、
本作が面白いのは、このムスリムの男性がまともな好青年ということです。
母とかクリスチャンは変人のように描かれているのにね。
まぁ他の消滅しなかった人々は、機内で大騒ぎしたり、
街で火事場泥棒しているので、ロクな奴が残ってない感じに描かれますが。
母を洗脳したバーンズ牧師も、実は神を信じてなくて携挙されませんでしたが、
布教には貢献したんだから大目に見ればいいのに、なんと狭小な神なのか。

というか、「神を信じないと終末が来ても携挙されませんよ」と警告することで、
信者を増やそうとするクリスチャン映画なわけだけど、
これを見て携挙されたいと思う観客がいるとは思えませんよね。
携挙された人々は、7年間の大患難時代が訪れる前に、
神が天国へと救出してくれたわけだけど、天国ってあの世なイメージだし、
天国に連れてかれるなんて殺されるも同然じゃないですか。
普通だったらどんな悲惨な時代になっても、家族と一緒にいたいと思うのが人情で、
きっと携挙された弟レイニーも大好きなお姉ちゃんと離れたくなかったはずです。
この怪現象を目の当たりにしたレイは、妻は正しかったと考えを改めます。
乗客も聖書が正しかったと思うのですが、たしかにこんなことが起きれば
神の存在は認めざるを得ないけど、神を崇拝する気にはならないよね。
残された人にとっては単なる誘拐犯、いや、悪魔も同然じゃないですか。
まるで神を信じないと酷い目に遭うと脅しているようなもので、
この映画からは神に対してネガティブな印象しか受けません。
なにしろ神の所業の被害者の視点から描かれていて、
携挙された人々がどうなったのかは全く触れられてないから、
これで携挙されたいなんて思う観客がいるはずないです。

大西洋上空を飛行中だった257便は不測の事態を受け、
JFK空港に引き返すことになりますが、
その途中でコックピットが空っぽな旅客機に接触してしまいます。
相手の旅客機はその衝撃で墜落しますが、
257便は右翼を少し損傷しただけで済みます。
神がいなくなった世界なのに、神憑り的な幸運ですね。
でも右翼から燃料が漏れ出し、沿岸のJFK空港まで到着できるか微妙です。
しかもJFK空港の滑走路は同じように緊急着陸した旅客機で埋まっていて、
257便が着陸できるだけのスペースは残されていません。
でも燃料に内陸のシラキュース空港まで飛べる余力はなく…。
レイは最期に声が聞きたいと、娘クローイに電話します。
クローイは母と弟が消滅し、父の257便も墜落したと思っていたので、
飛び降り自殺しようとしていましたが、父が生きているとわかり自殺中止。
父の状況を知った彼女は、空港の代わりに着陸できそうな場所を探し、
建設工事中の新しい道路を発見して、重機など障害物を退かし、
火を起こして、父の257便を誘導します。
燃料もすでに尽き、計器類や着陸装置も故障した状態でのランディングとなり、
神にでも祈りたいところですが、レイは見事な腕前で着陸に成功するのです。

結局、クローイの機転と、レイのテクニックにより助かったわけで、
人間の努力によってハッピーエンドが迎えられたという展開で、
クリスチャン映画なのに神なんて必要ないんじゃないかと思っちゃいますね。
もし大患難時代なんてものが本当に訪れたとしても、
神の力に頼らずとも人間の力で乗り切ることが出来そうです。
無事着陸し、再開することが出来た父と娘。
記者バックは混沌状態の街を見て「まるで世界が終ったみたいだ」と言いますが、
クローイは「終わりじゃない、始まったばかりよ」と返して、本作は幕を閉じます。
彼女の言うように、これから身勝手な神のいない新しい世界が始まる、
という希望に満ち溢れたハッピーエンドですね。
街が混沌と化したのも人間のせいでも自然災害でもなく神の仕業だし、
神は終末から人々を救ったのではなく、神が終末を起こしているので自作自演。
こんな神ならいない方が人間にとって有難いです。
実際、テロとか戦争とか、宗教のせいで起こる問題ってかなり多いし、
クリスチャンが消滅した世界はけっこう平和かもしれませんよね。

…と思ったら、最後の彼女の台詞「始まったばかりよ」は、
「世界が始まったばかりよ」という意味ではなかったらしく、
「世界の終わりが始まったばかり」、つまり今後大患難時代に突入して、
世界はもっと悪くなる、という意味だったらしいです。
なんでも本作の原作はある牧師が書いた十数巻を数えるシリーズで、
ヨハネの黙示録の預言が実現する世界を描いた内容らしく、
信仰に目覚めたレイが、携挙されなかったバーンズ牧師らと共に、
クリスチャン集団を形成して大患難時代に備える超大作らしいです。
本作もシリーズ化を目論んでいて、三部作を予定しているそうです。
まぁ全米初登場6位、しかもラジー賞候補になるほどの不評で、
キリスト教関係者にまで総スカンを食らっては、続編製作なんて不可能です。
なのでラストのクローイの台詞も、ボクの勘違いの解釈の方が、
単発映画の締めとしては相応しいかもしれません。

神不要論を説いた、なかなか興味深いアンチ・クリスチャン映画でした。

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