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攻殻機動隊 新劇場版

先日、たてかべ和也さんが亡くなりました。
彼は2005年まで『ドラえもん』でジャイアンの声を務めた声優として有名ですが、
有名人の訃報というのは、どう転んでも悲しい気持ちになるので、
出来れば知りたくないし、あまり大々的に報じてほしくないです。
『ドラえもん』だって、こういう事態が近々訪れることを恐れて、
声優を一新して若返りを図ったはずですしね。
マスコミも面白がって「さらばジャイアン」とか「ジャイアン死す」なんて
ヘッドラインを流していますが、死んだのはジャイアンではないだろ。
ジャイアンは生きてるし、ジャイアンの声優も元気なのに、
変な報じ方でジャイアンに陰を背負わせるんじゃないよ。
正直、2005年までのドラえもん役の大山のぶ代さんにも
認知症の公表なんてしてほしくなかったと思っています。
そういうショックを視聴者に与えないための声優一新じゃないのか、と。

ということで、今日は声優が一新されたアニメ映画の感想です。

攻殻機動隊 新劇場版
攻殻機動隊 新劇場版

2015年6月20日公開。
士郎正宗原作の人気SFアニメ『攻殻機動隊』の劇場版。

2029年、総理大臣が殺害され、草薙素子はバトーやトグサらと捜査を開始。その過程で、義体開発の技術的な障害となっている「デッドエンド」をめぐる政治的な動きや、洗脳、ゴーストへの侵入、疑似記憶の形成を行うことができる電脳ウイルス「ファイア・スターター」の存在が浮かび上がる中、素子はある手掛かりを得るが……。(シネマトゥデイより)



押井守、神山健治が手がけた劇場版アニメやテレビアニメで人気を博した
士郎正宗のSFコミック『攻殻機動隊』を新たにアニメ化し、
シリーズの主人公である草薙素子率いる攻殻機動隊の結成前夜を描き、
2013~14年にかけて劇場上映された『攻殻機動隊ARISE』の劇場版です。
『攻殻機動隊ARISE』は「border:1 Ghost Pain」「border:2 Ghost Whispers」
「border:3 Ghost Tears」「border:4 Ghost Stands Alone」の中編アニメ4部作で、
初の長編アニメとなる本作の劇場公開に先駆けて、4部を8話に分割し、
更に完全新作2話「Pyrophoric Cult」を足して全10話にしたテレビアニメ
『攻殻機動隊 ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE』が放送されました。
本作はそのテレビアニメの完結編とも言えるので、「あのね商法」ですね。
一度劇場公開されたものを分割しテレビアニメとして放送し、
その後完全新作の長編アニメを劇場公開する手法は、
『宇宙戦艦ヤマト2199』でも行われたけど、こういう作品が増えてるのでしょうか?
アニメ映画とテレビアニメの線引きが曖昧になるの、あまり好ましくないです。

でも本シリーズはテレビアニメ化してもらってよかったです。
ボクはborder:2とborder:4を公開当時劇場で鑑賞しましたが、
(border:1とborder:3はDVDで鑑賞しました。)
非常に複雑で難解な設定で、あまり内容を理解できなかったんですよね。
これを理解するには2度、3度と見直さないとダメだと思っていたので、
テレビアニメとして放送され、無料で見直せる機会を得たことは有難いです。
普通なら1度観て意味が解らなければ、自分とは相性が悪いのだろうと考え、
もうシリーズも見続けようとは思わないところですが、
本作にはどうしても鑑賞を諦め切れない理由があります。
それは『攻殻機動隊』のハリウッド映画化が決定しているからです。
しかもドリームワークス製作のディズニー映画で、スカヨハ主演です。
ボクはハリウッド映画が大好きで、特に日本原作のハリウッド映画となれば、
絶対に見逃せませんが、そのハリウッド版『攻殻機動隊』を楽しみ切るためには、
原作を知っている方がいいに決まっています。
そんな折、声優も一新されたリブートとも言える『攻殻機動隊ARISE』がスタートし、
これは新参者がシリーズに入るには絶好の機会で、渡りに船だと喜びました。

ところが『攻殻機動隊ARISE』の敷居は新参者には高すぎました。
作品の世界観をある程度理解していないと、非常に難解な内容で、
リブートとはいえ旧作の前日譚であり、既存ファン向け作品だったのです。
ボクもDVD鑑賞したborder:1は完全に理解できないながらもついて行けましたが、
その後劇場鑑賞したborder:2は絶望的なほど理解が追い付かず、
これはダメかと思いながらもborder:3をDVD鑑賞したらある程度理解できたので、
再び劇場でborder:4を観ると、また見事に振り切られてしまい…。
理解できるか否かは、難解なシーンにぶつかれば巻き戻せるDVD鑑賞と、
理解できないまま見続けるしかない劇場鑑賞の違いですかね。
もちろんテレビアニメの場合は録画さえしておけば、いくらでも巻き戻せるし、
一度鑑賞しているので理解しやすかったです。
しかもテレビアニメ8話と9話の間に、これまでの物語を解説してくれる回があり、
それもとても理解の助けになりました。

テレビアニメも全10話、最後まで見て、万全と思って本作に挑みましたが、
またしても複雑で難解で、あまり理解できない内容だったという印象に…。
やっぱり巻き戻せない劇場鑑賞は、ボクにはまだ早かったのもあるけど、
なにより万全で挑んだと思っていたことが勘違いで、
実際はテレビアニメの方も理解した気になっていただけのようです。
なにしろシリーズ通しての最重要ワードと思われる「ゴースト」すら、
正確に理解できているとは言い難いですからね。
(単純に魂くらいに考えていたけど、実際はもっと深い概念のようです。)
「ゴースト」の他にも、「疑似記憶」や「ネクストエポック」「防壁迷路」
「第三世界」など、本作固有の意味の用語が頻出しますが、
テレビやDVDだったら、そこで一時停止してググればある程度わかるけど、
映画館だと一時停止はもちろん、携帯電話OFFなのでググることも出来ず、
文脈から意味を憶測するしかありません。

その上、作品用語ではないけど、カタカナ語も使い過ぎです。
カタカナ語は、意味は何となくわかるけど、普段聞き慣れていないので、
その台詞の理解に一瞬のロスが生じてしまい、それが積み重なって、
会話についていけなくなることもしばしば…。
例えば主人公の草薙素子が部下のバトーらに対して、
「パフォーマンスを発揮しないなら、いつでもパージしてやる」と言いますが、
普通に「しっかり働かないとクビよ」と言ってくれたらわかりやすいのに。
「ドミネ実行する」じゃなくて「制圧する」の方がすぐにピンと来るし、
カタカナ語じゃないけど、「枝を付ける」より「監視する」の方が明朗なのに、
わざわざ持って回った言い回しをしないでほしいです。
でもこの辺は、時間がかかるけどまだ意味がわかる方なのでいいですが、
「電脳とウイルスのパッケージ化」なんて、どういう状態なのか全然ピンと来ず…。
本シリーズでよく使われる「パッケージ化」という言葉ですが、意味が多岐に亘るので、
どういうニュアンスで使っているのか判断できず、違う言葉に置き換えてほしいです。
本作ではついに「トリプル・パッケージ」なんて言葉まで飛び出しましたが、
何と何と何のパッケージなのか全然わからず、考えている間にも物語は進み、
いつの間にか展開についていけなくなってしまいます。
え、「パイロ・リバース・メジャーメント」? 素直に「爆発を再現」と言いましょうよ。

賢ぶりたいのか、台詞が意図的に難解にされているのは間違いないけど、
そんなことをしなくても、本作は設定だけで十分難解、というか複雑です。
特に人間同士や組織間の関係性が複雑で、
しかも登場人物や登場する組織の数が無駄に多すぎ、
その全ての関係性を把握するのは非常に困難を極めます。
後の攻殻機動隊となる草薙素子の部隊7名の関係性や、個々の経緯も、
『攻殻機動隊ARISE』からの新規客には把握しきれるものではないが、
彼らを専属化しようと目論む荒巻課長率いる公安9課、
同じ公安だが9課とは関係なさそうな外務省条約審議部、情報部など警察関係者。
素子の古巣501機関、国防省、陸軍大佐、軍事ネットの管理者など軍部。
総理大臣、副大臣、総理補佐官、事務次官など政府関係者。
民間企業ハリマダラ社、東亜連合、極東通商部代表、CIAなどなど、
それぞれの組織、更に組織内の個人の利害や思惑が複雑に絡みまくり、
もう何が何やらチンプンカンプンです。
相関図を綺麗にまとめて、余計なキャラを「パージ」するのも、
製作サイドの腕だと思いますが、わざと無駄に複雑化させて、
コアなファンを篩に掛けているような気がするんですよね。
まぁグッツや円盤購入したり、リピート鑑賞してくれるコアなファンは、
普通の客の何倍も金落としてくれるからね。

以下、ネタバレ注意な感想、…をいつものように書きたいところですが、
如何せん内容を正確に理解できていないので書けません。
むしろどんな物語だったのか、他人の感想を読みたいくらいです。
まぁ本作を細部まで正確に解説できる人なんて、
観客の一割にも満たない、いや、一厘にも満たない気がしますが…。

まぁボクも一切理解できなかったわけでもないです。
様々な組織の利害が絡んだ総理大臣暗殺の顛末に関しては、
半分ほどしか把握できませんでしたが、
『攻殻機動隊ARISE』シリーズを通しての主題である
ウイルス(或は開発者)「ファイア・スターター」の顛末に関しては、
八割ちかくは理解できたつもりです。(つもりなだけで勘違いかも…。)
ただ、その顛末に関しても納得できているわけではないです。

要するにウイルスの開発者は、素子の古巣501機関の上司である
クルツ中佐だったわけですが、彼女自身は遠隔操作されたアンドロイドで、
操作していたのは、素子と同じ孤児院の少女クリスです。
納得できないのは、そのクリスが本作で初登場ってことで、
本シリーズの主題はファイア・スターターの正体を突き止めることなのに、
正体(真犯人)が最後の最後まで登場してなかったというのは、
物語として如何なものかと思うんですよね。
まぁクリスの分身であるクルツ中佐はシリーズ初期から登場してるけど、
中佐が黒幕ということは、かなり早い段階で見当が付いてました。
なので誰が犯人かよりも、その動機に注意が向けられます。
動機は「デッドエンドを回避すること」であると本作で明らかになるけど、
その「デッドエンド」というものも本作が初出なんですよね…。
動機や犯人はちゃんと伏線を張っていて初めて驚けるものなので、
ポンと出の動機や犯人では全然面白くないです。

でもデッドエンドという設定はなかなか興味深いです。
パソコンで言うところのサポート切れみたいなものが、
電脳や義体にもあるってことですよね。
義体はどうだかわからないけど、脳を取り換えるのは不可能なので、
電脳がサポート切れになれば朽ちるのを待つしかないわけだね。
それくらいのこと、電脳を導入する前に気付きそうなものですが…。
そうじゃなくても、みんな抵抗なく電脳化しているのが不思議です。
トグサも義体化は嫌なのに電脳化はしてるんですよね。
疑似記憶ウィルスのファイア・スターター開発した動機が、
デッドエンド回避ですが、その関連性はわかったようなわからないような…。
これまでのエピソードがどう関係しているのかもイマイチよくわからず、
伏線が張られてないことも含め、本作の物語が場当たり的なものに感じます。

本作のラストで素子の部隊は攻殻機動隊になりますが、
前日譚として旧作と繋げるためか、素子の前髪が伸びてます。
『攻殻機動隊ARISE』から見始めたボクとしては妙に違和感があり、
オンザ眉毛な今までの髪型の方が似合ってる気がしました。
この素子をハリウッド版ではスカーレット・ヨハンソンが演じるんですね。
どんな風貌になるのか、そしてどんな名前になるのか楽しみです。
ハリウッド大作なのでポピュラリティが重視されるのは間違いないため、
本作のようなマニアックで難解な設定や展開は避けられ、
誰でも楽しめるサイボーグ・アクション娯楽映画になるはずです。
きっと『攻殻機動隊』のファンからは厳しい批判が出るでしょうが、
ボクとしては単純明快な娯楽映画化はウェルカムです。
楽しみだけど、再来年の春ごろ全米公開される予定らしいですが
撮影もまだ始まっていないので、本当に実現するのか少々不安です。

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