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海街diary

この投稿で、映画の感想記事1500本目になるみたいです。
我ながらよく書いてきたものだと思いますが、
これだけ書いても文章力が身に付かないのはどうしたものかな。
ただ書くスピードだけはかなり上がり、どんどん書けちゃうから、
感想がどんどん長文化しちゃってます。
我ながら200行を超える感想なんて、誰が読んでくれるんだと思うし、
周期的に短く書くように心掛けなきゃと思い立つのですが、なかなか難しいです。

長くなる原因はわかっていて、ストーリーを追ってしまうせいです。
これだと半分は粗筋を書いてるようなものになってしまうので、
長くなるのも当然なのですが、わかっていてやめられないのは、
この書き方が非常に楽だからなんですよね。
ストーリーに沿ってリアルタイムで観ているような感じで書くと、
記事全体の構成を考えないでいいので場当たり的に書けます。
それに読み返すと映画の内容も詳細に思い出せるので、
自分自身の覚書としても役立ちます。
でも実際には読み返すことなんてほとんどありません。
(なので誤字脱字も気付かないまま放置され放題です。)
シリーズものの新作を観に行く前に、前作の記事を読み返すくらいなので、
単発作品は読み返す機会がありません。
なので単発作品はストーリーを書くのはやめようと思うのですが、
今のスタイルに慣れてしまって、楽な書き方をしてしまいます。

ストーリーを追って書くスタイルは、書きやすいけど読みづらく、
ネタバレも必至なので、読んでくれる人には不親切な感想だから、
なんとか別のスタイルを見つけて、2000本、3000本と続けたいです。
ということで、今日は映画感想記事1500本目を記念して、
ストーリーをなるべく書かない感想に挑戦してみます。
挑戦というか、4年ほど前はこんな感じで書いていたので、戻しただけですが。

海街diary
海街diary

2015年6月13日公開。
吉田秋生の漫画を是枝裕和監督が実写映画化。

鎌倉で暮らす、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)。そんな彼女たちのもとに、15年前に姿を消した父親が亡くなったという知らせが届く。葬儀が執り行われる山形へと向かった三人は、そこで父とほかの女性の間に生まれた異母妹すず(広瀬すず)と対面する。身寄りがいなくなった今後の生活を前にしながらも、気丈かつ毅然と振る舞おうとするすず。その姿を見た幸は、彼女に鎌倉で自分たちと一緒に暮らさないかと持ち掛ける。こうして鎌倉での生活がスタートするが……。(シネマトゥデイより)



是枝裕和監督の前作『そして父になる』は日本で32億円の大ヒットを記録しましたが、
カンヌ国際映画祭でコンペ部門に出品され、審査員賞を受賞したりと、
国内外の評価もかなり高い佳作でした。
そして2年ぶりの新作となる本作も、カンヌのコンペ部門に出品され、
何か受賞してくれるのではないかと期待しましたが、
残念ながら今回は箸にも棒にも掛からず…。
それどころか、日本の報道ではひた隠しにされていますが、
現地フランスでの評価もかなり悪かったようです。
コーエン兄弟ら審査員の半数が駄作と裁定したみたいだし、
現地メディアの評判もあまり芳しくなかったらしいです。
批判の主な論調は「退屈だった」というものですが、
ボクも本作を観て、その評価も仕方がないかもしれないと思いました。

ボク自身は本作がそれほど退屈な作品だとは思いませんが、
それはボクが日本人だからでしょう。
本作の魅力の大きな割合を占めるものはキャスティングの妙だと思います。
綾瀬はるか、長澤まさみという二大人気女優の共演や、
脇を固める豪華俳優陣の演技で、面白味が底上げされていますが、
それを味わえるのは日本人だけですからね。
外国人にとっては綾瀬はるかも長澤まさみも無名のアジア人女優でしかなく、
この共演による面白味なんてわかるはずなく、完全な内容勝負になります。
例えば、もし余所の国(ハリウッド以外)で本作が製作され、
出演者も馴染みのない外国人俳優だったとしたら、
日本人もきっと退屈な作品だと思うに違いないです。
なぜなら、本作はキャスティング度外視されてしまうと、
残るのは本当に坦々とした物語だけだからです。

まず前作『そして父になる』が佳作だっただけに、
それと比較されてしまうのは已むを得ません。
その上で前作とのテーマがあまりに被りすぎています。
いや、被るだけならまだしも、かなり弱体化しているのは否めないです。
これは完全に原作選びのミスで、前作がウケたから、二匹目のドジョウを狙い、
似たようなテーマの作品を原作に選んでしまったことが裏目に出た気がします。
前作と本作に共通するテーマは「家族になる」だと感じましたが、
前作は取り違えによって起こった血の繋がらない親子が家族になる話で、
本作は離婚した親の他界で血の半分繋がった姉妹が家族になる話です。
血縁だけでも全く繋がらないのと半分繋がっているのでは、
前者の方が家族になるための障壁は大きいです。
なにより前作の事例はかなり珍しいものであり、それだけ衝撃的ですが、
本作のような腹違いの兄弟姉妹なんて、このご時世珍しくも何ともないです。
特に日本以上に離婚率が高い海外では尚更珍しくはなく、
そんなごく当たり前の物語が国外で評価されるはずありません。

腹違いの兄弟姉妹でも、問題なく家族として生活している家庭は多いけど、
本作も例外ではなく、特に問題が起きるわけでもないんですよね。
問題が起きなさ過ぎて本当に坦々と物語が流れるだけ。
映画なんだから、もっと事件が起きてもよさそうなものだけど…。
というか、早く事件が起きろよ、と思ってるうちに終わってしまい拍子抜けです。

本作の姉妹は普通の腹違いの兄弟姉妹よりかは状況が複雑なので、
事件が頻発してもおかしくなさそうなものなのに、
受け入れる側の姉たちが寛容すぎるためか、
むしろ両親とも同じな兄弟姉妹よりも問題がないくらい円満です。
いや、腹違いの3人の姉に受け入れてもらう側の妹にとっては、
完全アウェーだし、悩みや苦労も沢山抱えているはずなので、
その妹が物語の中心であれば、内面的な問題は頻発していたはず。
ところがどういうわけか、本作は受け入れる側の姉たち、
特に長女が中心に描かれてしまっているんですよね。
これはおそらく、誰を主演にするかと言う製作サイドの思惑の結果で、
本来ならば物語的には妹すず役の新人・広瀬すずが主演になるべきところを、
長女幸役の人気女優・綾瀬はるかを主演にした方が客が呼べるという
興行的な理由からだと邪推してしまいます。
製作サイドはすず役なんて誰でもよく、単に名前で選んだのかとさえ思えます。

とにかく本作は、長女幸ばかりがクローズアップされており、
特に長澤まさみ演じる次女佳乃と妹すずの関係なんてほとんど描かれません。
ツーショットも、佳乃がすずにペティキュア塗ってあげるシーンとか
申し訳程度にあるくらいで、ほとんど絡みがないです。
夏帆演じる三女千佳は、すずの所属する少年サッカークラブのサポーターなので、
それなりに絡みが用意されていますが、佳乃とすずは接点が少ないです。

一方で長女幸は、すずとの絡みも多いですが、人物背景も描き込まれています。
彼女は看護師ですが、ターミナルケア病棟の話とか、仕事のこともしっかり描かれ、
恋愛のこともかなり時間が割かれていた印象です。
長女幸は勤め先の医者と、次女佳乃も勤め先の銀行の課長と、
三女千佳も勤め先のスポーツ店の店長と、妹すずも同級生とのロマンスがあるけど、
一応の決着が付くのはやはり幸だけで、他の3人は始まってすらない感じです。
ちょっと幸への偏重が酷すぎるように思いますが、
そもそもロマンスを描くこと自体が間違っているようにも思うんですよね。

前述のように本作の根幹的なテーマは「家族になる」なので、
姉妹の関係性にもっと焦点を当てるべきです。
はじめは3人の姉と壁があり、他人行儀だった妹すずが、一枚一枚壁を乗り越え、
打ち解けて家族になる過程を丁寧に描くべきだと思いますが、
ロマンス描写にウツツを抜かして肝心の家族になる過程を疎かにし、
時間経過でいつの間にか打ち解けてしまっていた感じになっています。
まぁ人間同士の関係なんて本来そういうものかもしれませんが、
物語としてはメリハリがないと平坦で退屈なものになります。
原作はレディースコミックらしいので、おそらく4姉妹それぞれの恋愛がメインで
物語が展開しているのだろうと思いますが、そんな恋愛漫画を、
どういうわけか家族愛をテーマに映画化してしまったことで、
家族愛も恋愛も中途半端な、薄くて平坦な作品になってしまったのかも。
あと、原作がまだ途中なのが原因なのか、ラストも特に盛り上がらないまま、
緩く幕を降ろしてしまうのも退屈に思える要因かもしれません。

結論としては前作『そして父になる』とは比べるべくもない凡作でした。
是枝監督自身は本当に才能ある映画監督なはずですが、
本作が凡作になってしまった最大の要因は、原作選びの失敗に他ならず、
フジテレビの誰が持ち込んだ企画かは知らないけど、
是枝監督はオリジナル脚本で映画を撮るべきです。
なぜ今回に限って原作ものなんかに手を出してしまったのかが悔やまれます。
それにしても、綾瀬はるかの主演作の残念率の高さは何でしょうね。
好きな女優なので、それも悔やまれます。

関連作の感想
そして父になる

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