ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

台風のノルダ

ジブリ最終作『思い出のマーニー』が現在アメリカで公開中です。
宮崎駿最終作『風立ちぬ』、高畑勲最終作『かぐや姫の物語』に続いて
3年連続でアカデミー長編アニメ賞のノミネートが期待されていますが、
日本でも初登場3位で全然ヒットしなかった作品だし、まず無理だろう、
と思いきや、意外にもけっこう評判がいいみたいで…。
たぶん日本公開時よりも評判がいいんじゃないかな?
原作が英国の小説だし、アメリカ人にも感性が合うのかも。
それか日本人は宮崎駿が絡まないジブリ作品に対して関心がないけど、
アメリカ人は監督が誰かよりも内容の良し悪しで判断するからかも。
宮崎駿なき後、日本での訴求力を完全に失ったジブリですが、
まだ海外では勝負できるかもしれませんね。
まぁ『思い出のマーニー』の米林宏昌監督もジブリを退社しちゃってるし、
ジブリに新作を制作できるだけの人材が残っているかは疑問ですが。

ということで、今日はジブリ出身の新人監督によるアニメ映画の感想です。

台風のノルダ
台風のノルダ

2015年6月6日公開。
新進気鋭の制作会社スタジオコロリドによるオリジナルの劇場アニメーション。

観測史上最も大きな台風が接近しつつある中、離島にある中学校では生徒たちが翌日に控えた文化祭の準備に追われていた。東は幼少時より野球に打ち込んできたもののやめることを決め、そのことで親友の西条と仲たがいをしてしまう。そんな東の前に、突如ミステリアスな赤い目の少女ノルダが姿を現し……。(シネマトゥデイより)



本作は2011年に設立されたアニメ制作会社スタジオコロリドの新作アニメです。
本作で初監督を務めた新井陽次郎は、あのスタジオジブリの出身らしく、
コロリドはポスト・ジブリだとでも言わんばかりの宣伝がされています。
ワンマンだった宮崎駿なき後のジブリはもう立ち直れない状態なので、
ボクもポスト・ジブリが早く現れてほしいと願っています。
そんな中公開された、ジブリ出身監督を謳う本作には期待しましたが、
ジブリの足元にも及ばない作品で、ポスト・ジブリなんて滅相もない、
オリジナリティも皆無の単なるジブリのフォロワーでした。
よくよく新井陽次郎の経歴を見ればそれもそのはず、
ジブリ時代は大勢いるアニメーターのひとりにすぎなかったみたいです。
(しかも参加作品は『アリエッティ』と『コクリコ坂』と二流どころです。)
こんなものは三ツ星レストランの皿洗いとして働いた男が、
「三ツ星レストランで修業したシェフの店」と謳って開店するようなもの。
そもそもプロデューサー以外誰も監督に意見すらできないジブリの
ワンマン体制では人材が育つはずもないです。
もし本当に育つならジブリは今でも安泰なはずですからね。

ちょっと監督を愚弄しすぎちゃってるかもしれませんが、
本作はそれほどに頭にくる内容で、我慢できません。
いや、監督に対してと言うよりも、コロリドの姿勢に対してです。
本作の上映時間は45分ほどしかないので、
料金が1200円と低めに設定されているのは有難いと思いましたが、
いざ観に行ってビックリしてしまいました。
なんと45分のうち20分ほどは、1年半ほど前に上映された短編アニメ
『陽なたのアオシグレ』が流されるんですよね。
つまり初出である表題作『台風のノルダ』の上映時間は25分ほどで、
実質、テレビアニメ一話分程度ボリュームの作品で
1200円もの料金を徴収しやがったことになります。
『陽なたのアオシグレ』の初公開当時は短編アニメ『寫眞館』と2本立てで、
上映時間35分ほどで料金は1000円でした。

例えば既発作品であったとしても『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』と同時上映された
『巨神兵東京に現わる』のように、過去に劇場公開されていない短編を
長編映画のオマケとして付けてくれるなら有難いサービスですが、
本作は過去に劇場公開した短編を短編映画と同時上映してしまっているので、
オマケでもなんでもなく、完全なニコイチです。
たしかに『陽なたのアオシグレ』を観たことがない客もいると思います。
しかし本作は同作を製作したスタジオの最新作であることも頻繁に謳われており、
同作を気に入ってくれた客を動員しようという意図が伝わってきます。
既発作品で料金を二重取りしてやろうという魂胆が見え見えで、
コロリドが客に対して如何に不誠実な会社かは明らかです。

まぁ既発の『陽なたのアオシグレ』が同時上映されることを知らずに
表題作『台風のノルダ』が45分の中編アニメだと勘違いしたボクも非はあるかも。
でもたしかに公式サイトにはそのことが小さく書かれているものの、
ポスター等には明記されてないし、映画サイトの作品紹介や、
劇場のサイトにも明記されていません。
本作は東宝営業事業部が配給しているので、主な上映館はTOHOシネマズですが、
通常TOHOシネマズの上映スケジュールでは、例えば『シンデレラ』の場合だと、
「シンデレラ <同時上映短編「アナと雪の女王/エルサのサプライズ」>」と
ちゃんと明記されているのに、本作は意図的に同時上映を伏せている感じです。
『アナ雪』の新作短編付きなら客も喜んでくれるけど、
ただでさえ上映時間の短い作品に既発の短編なんて付けてるとバレたら
客が寄り付かなくなるだろうとわかっていて客を騙しているとしか考えられません。
コロリドも相当性質が悪いが、上映劇場も同罪です。

もうこんな不誠実な制作会社の映画なんて絶対に観ませんが、
どのみちそんな不誠実なことをしていれば近々潰れて、
観たくても観れなくなるに決まっています。
そんな会社の姿勢は仕事にも影響するので、出来た作品も駄作になるんだよ。
本作ももちろん駄作で、単に絵が綺麗なだけで脚本は悲惨です。
所詮アニメーターが作った作品感が丸出しで、
「こんな絵が描けるので仕事ください」って感じのプロモーション映像でしかなく、
客から料金を取れるようなシロモノではありません。
『陽なたのアオシグレ』にしても、初上映時には絵の綺麗さに感心もしたけど、
二度見せられると物語の粗に嫌と言うほど気付いてしまいました。
あの主人公は小学校低学年の設定だからまだ許されるけど、
言動のキモさが半端ないです。

初出となる『台風のノルダ』の方ですが、冒頭から客を愚弄にしてます。
冒頭のシーンは主人公の中学生男子・東が教室に入ると、
なぜか全裸の女子中学生がいるというもので、
「全裸のJC出せばロリコンのアニオタどもを取り込めるだろう」という
客をバカにした低俗で薄汚い魂胆が見え見えです。
その証拠にその冒頭のシーンをノーカットで公式サイトで動画配信し、
「もっとJCの裸見たければ劇場に来いよ」と言わんばかりです。
実際はその後は全裸どころかパンチラすらもないんですけどね。
ツカミにエロを持ってくる時点で、その作品の程度は推して知れます。

その全裸少女は誰かの制服を盗んで窓から出て行きますが、
次のシーンでは東が同級生の西条とケンカする様子が描かれます。
例の全裸少女のことで何か揉めてるのかな、と思いきや、
東が野球部を辞めたことで西条が怒っているみたいで…。
前のシーンから脈絡がなさすぎる展開で、変な構成だと思いましたが、
要はツカミにエロを持って来たかったので、無理な構成になっているのでしょう。
そんな折、学校が台風の暴風域に入り停電し、避難勧告が出されて、
生徒たちは台風が去るまで学校内で待機することになります。
窓から大荒れの外を眺めていた東は、鉄塔の上に例の少女がいて、
落雷が直撃して落ちてしまうのを目撃します。
普通なら先生でも呼ぶところだけど、東はひとりで様子を見に行き、
倒れている少女を保健室ではなく、なぜか旧体育館に連れ込むのです。
短編なので余計なことは描きたくないのかもしれないけど、
東の行動は筋が通らず、かなり不審に思えます。

少女が空腹のようなので、東は食べ物を調達に行きますが、
旧体育館に戻ってくると、少女が謎のメカに乗り込み、床に穴を掘っていて…。
ガンダムのビグロっぽいメカで穴掘りに向かなそうな形だけど…。
きっとメカ的なものも無理やり登場させて、
「メカも描けるので仕事ください」ってことなのでしょう。
少女曰く、この穴は「地の渦」で、接近中の台風が「空の渦」。
地の渦と自分と天の渦が繋がると地球が再構築される、と…。
少女も本当は繋がりたくないらしいですが、何者かに首輪で支配されており、
朝になったら強制的に天と地を繋ぐ柱になるそうです。
意味のわからない中二病発言ですが、東は彼女を助けて、
地球の再構築を阻止しなくてはいけないと考えます。
少女を支配し、地球の再構築を目論む何者かは宇宙人でしょうが、
再構築されたら何が起きるのか、何が問題なのかが明白に説明されず、
それを阻止することが果たして正しい事なのかも疑問です。
少女は阻止しようとする東に「逃げて」と言っているので、
再構築されても別に人類が滅びるわけではなさそうだし…。

東は旧体育館の床に開いた地の渦を塞ごうと考え、
西条に協力を頼みますが、全く信じてくれず無視されてしまいます。
まぁそんな中二病発言は相手にされなくても当然です。
しかし東もわざわざケンカ中の西条に頼まなくても、
他の同級生とか先生方に頼めばいい、というか頼むべきですよね。
あんな大きな穴、大勢で取り掛からないと塞がるはずないです。
結局、東は少女とふたりで障害物を置いて穴を塞ごうとしますが、
少女は首輪で支配されてるくせに、穴を塞ぐ作業は出来るのか。

朝方、教室の窓から雷鳴轟く外を見た西条は、
屋上に見知らぬ少女と東がいることに気付き、
何事かと屋上に向かいますが、目の前で少女に落雷が…。
少女は浮き上がり、旧体育館の方に飛んで行き、光の柱に包まれます。
東の話を全く信じてなかった西条も、目の前でこれを見たら信じる他なく、
東と協力し、光の柱に飛び込んで、少女から首輪を引き剥がします。
そして東が剥がれた首輪に野球ボールを投げつけ粉砕。
地の渦は凍り、天の渦は霧消し、地球の再構築を阻止します。
子供2人に引き剥がされたり、子供にボールをぶつけられて砕けたり、
この首輪は地球を再構築できるほどの技術で作られたとは思えないチャチさです。
首輪が取れた少女はノルダと名乗り、ビグロに乗って宇宙に帰り、チャンチャン。

コロリドは事業を続ける気なら、早急にまともな脚本家雇った方がいいです。
アニメだろうと実写だろうと、最も大切なのは物語です。
いくら絵が上手かろうが、物語がクソなら駄作にしかなりませんからね。
まぁもしコロリドがまともな脚本家を雇って作品を制作したとしても、
或は脚本を用意してある仕事を受注して作品を制作したとしても、
料金の二度取りを平然とする不誠実な会社の作品は
金輪際観ることはありませんけどね。

関連作の感想
寫眞館/陽なたのアオシグレ

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1548-db8598c3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad