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誘拐の掟

第68回カンヌ国際映画祭のパルムドールの受賞結果に関し、
主に現地マスコミや批評家から批判が沸き上がっているそうです。
移民問題を扱ったフランス映画『ディーパン』が受賞し、
コーエン兄弟ら審査員は「満場一致ですぐに決まった」と大絶賛してますが、
批評家からの同作への評価はかなり低く、主要メディアの評価でも
ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラー主演のハリウッド映画『キャロル』が
大本命だったみたいで、納得できない結果だったみたいです。
数人の審査員で最高賞を決める映画祭では、個人の嗜好が反映されるし、
下馬評通りにならないのも仕方がないとは思いますが、
カンヌのような権威のある映画祭の受賞作品は日本でも上映されるので、
なるべくなら大衆が観ても面白いと思えるものが選ばれてほしいです。
その点では作り手であるコーエン監督ら審査員よりも、
マスコミや批評家の方が大衆に近い立場なので、彼らの総意が批判的なら、
たぶん今回のパルムドール『ディーパン』はボクが観ても面白くないはず。
きっと『キャロル』の方が面白いだろうと思います。
ここ数年のパルムドール受賞作は駄作ばかりなので、もともと期待してませんけどね。
(昨年の『雪の轍』は来月日本公開なので、まだ駄作かわかりませんが。)

ボクも映画の感想なんて公開しているので間々批判されますが、
結局は映画の評価なんて人それぞれ千差万別なので、
他人の評価を批判しても仕方ないです。
ということで、今日も映画の感想です。

誘拐の掟
A Walk Among the Tombstones

2015年5月30日日本公開。
リーアム・ニーソン主演のクライム・スリラー。

ニューヨーク中が連続誘拐殺人事件におびえていた1999年、元刑事のマット(リーアム・ニーソン)のところにある依頼が舞い込む。それは妻を誘拐された夫からの、犯人を見つけ出してほしいというものだった。マットはこれまでの刑事人生で身に付けた全てのスキルを総動員して誘拐犯の捜索に挑むが、相手もなかなか尻尾を出さず……。(シネマトゥデイより)



本作はローレンス・ブロックの小説、
「探偵マット・スカダー」シリーズの『獣たちの墓』を映画化したものです。
このシリーズは過去に一度映画化(『800万の死にざま』)されており、
その時は探偵マット・スカダー役をジェフ・ブリッジスが演じたそうですが、
今回はリーアム・ニーソンが演じています。
ニーソン主演のスリラーは半年前に『ラン・オールナイト』を観たばかりで、
「またニーソンか」と思うところもありますが、彼はけっこう好きなので、
短いスパンで続けて観られるなんて、ある意味贅沢なのかも。
どちらもアル中役で似通ったところのある役柄でしたが、
本作では長髪で無精ヒゲを生やしたワイルドな姿も披露していて、
それがかなり渋くて、いつものニーソンよりかっこいいです。
まぁその姿は数年前の回想でしか見られないので、
ほとんどはいつも通りのニーソンで出演してますけどね。

『ラン・オールナイト』も本作も全米ボックスオフィスは2位スタートで、
全米総興収もほぼ同じくらいだったみたいですが、
面白さもほぼ同じくらいな気がしました。
『ラン・オールナイト』はけっこう楽しめたので、当然本作も楽しめましたが、
やはり探偵ものなので、ちょっと複雑な物語だった気がします。
あと残酷な描写も多いので、苦手な人は注意が必要です。
ボクは特に苦手ではないけど、あまりに残酷すぎて、
可哀想で胸が苦しくなるところがありました。
そこが尾を引いてしまってるため、鑑賞後感も若干重いです。
スカッと楽しみたいなら『ラン・オールナイト』をオススメします。
以下、ネタバレ注意です。

世間で2000年問題が危惧されている1999年のNY。
元刑事の私立探偵マットは、数年前に殺人犯と銃撃戦をして、
流れ弾で7歳の少女を死なせたことを悔やんで刑事を辞めます。
その時、酒が入っていたので、酒も断つために断酒会に通いますが、
アル中だったのはたしかにマズいけど、その日は非番だったし、
酒が入っていたのは仕方ない気がしますね。
まぁ死んだ少女やその家族にしてみたら、堪ったものじゃないけど。

ある日、断酒会仲間のピーターから「弟ケニーを助けてほしい」と相談されます。
ケニーから話を聞くと、妻キャリーを何者かに誘拐され、身代金40万ドル渡したのに、
妻はバラバラ遺体で発見され、復讐のために犯人を見つけてほしいと言うのです。
マットは誘拐はFBIの管轄なのに、なぜ私立探偵なんか雇うのか疑問に思いますが、
ケニーが建設業のわりに裕福な暮らしぶりなので、彼が麻薬の仲介人だと気付き、
そのせいで誘拐犯の標的になったと推理し、面倒そうなヤマなので一度断るも、
結局依頼を受けることになり、聞き込みを開始します。
誘拐犯にしてみれば、人質を生きたまま返すのはリスキーなので、
金だけもらって殺しちゃうのも理解できますが、わざわざバラバラにするなんてね。
バラバラ殺人なんて遺体の身元をわからなくする手段ですが、
このケースの場合はその意図もなく、ただ単にバラバラにしただけみたいで、
誘拐犯が如何にサイコ野郎かわかりますね。
身代金要求の電話でも、ケニーに妻が生きていることを確認したいと言われ、
「体の一部を切り取って送ってやろうか」なんて言いますが、
脅しではなく、本当にするつもりだったのでしょう。
というか、実際は電話した時点で妻はすでに殺されていたみたいです。

聞き込みをすると、バンに乗った作業服を着た3人組が
女性をバンに連れ込むところを見たという証言が複数ありましたが、
どの証言もバンに書かれている社名が食い違っていて…。
どうも誘拐犯は毎回バンの塗装を変えているみたいですが、
つまり彼らの被害者はひとりではなかったということに。
マットは図書館で過去にバラバラ殺人がなかったか、新聞記事を調べます。
その時、図書館にいた黒人少年TJに手伝ってもらいますが、
探偵になりたいTJはそのまま押し掛け助手(相棒)になるのです。
助手が少年の探偵なんて、明智小五郎みたいですね。
TJは鎌状赤血球症という難病を患って親に捨てられたみたいです。
TJが押し掛け助手になるまでは、マットは一匹狼ですが、
なんでも相棒役としてルース・ウィルソンが起用され、
撮影までしていたそうですが、彼女のシーンは全てカットしたそうです。
たしかに女性相棒がいない方がハードボイルド感があっていいし、
TJの活躍も際立つのでいい判断だったかもしれません。
お蔭でヒロイン不在で華のない映画になっちゃいましたが…。

TJが見つけた過去の記事で、レイラという女性のバラバラ遺体が
墓地で発見されていたことがわかります。
マットはレイラの婚約者ルーベンを訪ねますが、いい暮らしをしており、
彼もケニー同様、麻薬の仲介人だったみたいです。
向かいのビルに墓地の管理人ジョナスが住んでいるとわかり、
マットが彼を問い詰めると、誘拐犯3人組のひとりだと白状します。
ただ彼はバンの運転役で、殺害には関与しておらず、
むしろサイコな他の2人のことを恐れていたみたいで…。
ジョナスは「片方の名はレイで、元DEA関係者らしい」と教えてくれ、
その後、2人に殺されると思ったのか飛び降り自殺してしまいます。
なるほど、誘拐犯は元DEA関係者だから、DEAの売人リストを使って、
たんまり稼いでいる売人を標的に誘拐していたわけですね。
売人なら警察に通報する心配もなく、考えたものです。
でも売人自身を誘拐して殺すというのなら、ちょっと義賊っぽいけど、
関係ない家族を誘拐して殺すのは酷いかな。

マットは新聞記事で見つけた、マリーという女性のバラバラ殺人事件を調べに、
マリーの勤めていた店に行きますが、彼女も売人だたみたいで…。
今度は売人の家族ではなく、売人自身が被害に遭っているので自業自得だな、
…と思いきや、彼女は潜入捜査中のDEA捜査官だったみたいです。
誘拐犯はDEA関係者ではなく、彼女を殺して売人リストを手に入れたのかな。
はじめにマットに相談を持ち掛けた断酒会仲間のピーターは、
アル中なだけじゃなくヤク中だったみたいで、彼は過去にマリーに捕まり、
その時に弟ケニーが麻薬の仲介人だと密告したらしく、
そのせいで弟がDEAのリストに載り、誘拐犯の標的になったわけで、
弟の妻が誘拐殺人されたのは自分のせいだと、彼は落ち込みます。
いやいや、大本は弟ケニーが麻薬の仲介なんかしているのが悪いので、
兄ピーターはそこまで責任を感じる必要もないと思いますけどね。

そんな折、ケニーの売人仲間ランドーの14歳の娘ルシアが誘拐され、
マットはケニーとピーターと共にランドー宅に行きます。
ちょうど誘拐犯から身代金要求の電話がかかってきますが、
マットが出て「娘が死んだら金はやらん」と強い口調で言うのです。
ランドーは誘拐犯を刺激するんじゃないかと焦りますが、
手口を知るマットは、どのみち殺す気だとわかっているので、
生きたままじゃないと絶対金は払わないと強調したわけですね。
それはわかるけど、誘拐犯はバラバラ殺人をするほどのサイコ野郎なので、
金よりも殺しが目的なんじゃないかなとも思いましたが、
意外にも金の方が大事らしく、娘のことは生かしたままにしておいてくれます。
しかし、いざ身代金受け渡しの時に、生きたまま連れて来られたルシアですが、
すでに指が何本か欠けていて…。
どうやら誘拐犯は身代金要求電話前にバラし始めていたみたいで…。
人質交換は成立し、彼女は生きたまま父親の元に帰ることができましたが、
14歳の少女が指を何本も失くしちゃうなんて、可哀想で可哀想で見てられません。
このあと誘拐犯に復讐成功しても、彼女の指は戻らないので、痛快感もありません。

人質交換は成立後、マットは隠し持った拳銃で誘拐犯レイを銃撃。
しかし用心深く防弾チョッキを着ていたので、致命傷は与えられず、
もうひとりの誘拐犯アルバートがマシンガンで応戦してきます。
マットも元軍人のピーターに狙撃の用意をさせていましたが、
アル中の震える手ではライフルなんてまともに扱えず、彼は撃ち殺され、
誘拐犯2人はバンで逃げてしまいます。
しかしバンにはTJがこっそり乗り込んでいて、到着先の誘拐犯の家を連絡。
マットとケニーは乗り込みますが、なんとレイが絞殺されていて…。
サイコな誘拐犯の中でも特にサイコなアルバートは、
防弾チョッキを着ていたものの怪我をした相棒レイが邪魔で、
治療するのも面倒だから殺しちゃったみたいです。
なるほど、金が目的なのは主にレイで、殺人はアルバートの趣味なのかも。

そんなアルバートを一時は柱に縛り付けることに成功しますが、
マットが目を離した隙に、どうやったのか拘束を解いていて、ケニーを殺害。
アルバートはマットにも襲い掛かりますが、スタンガンを食らってダウン。
マットはアルバートの頭を拳銃で撃ち抜き、ぶち殺します。
アルバートは撃たれる直前に「俺はただ…」と何かを言おうとしますが、
無口なサイコ野郎が最期にどんな言い訳をするつもりだったのか気になり、
トドメを刺すのはもう少し待って欲しかったです。
マットはTJの待つ自宅に帰り、本作は幕を閉じますが、
サイコな誘拐犯はぶち殺せ一件落着ですが、ルシアの指の件が尾を引いて、
あまりスッキリした気分で席を立つことは出来ませんでした。
それとマットの少女を死なせた苦悩も解決したわけじゃないのも、
いまいちスッキリしない原因かもしれません。
結局今回の事件でも犯人と銃撃戦しちゃってるし…。

さて、立て続けに主演作が公開されたリーアム・ニーソンですが、
この後は来年までは主演作はないみたいです。
まぁ今年は『96時間 レクイエム』も含めて、すでに3本あったので十分かな。
(出演作としてはコメディ映画『テッド2』が8月に公開になります。)
次の主演作は遠藤周作が江戸時代初期のキリシタン弾圧を描いた
日本の歴史小説『沈黙』で宣教師役をするらしいです。
日本ではなく、台湾でロケしているみたいのは残念ですが、
どんな作品になるのか楽しみですね。

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