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ブラックハット

ヒュー・ジャックマンが2017年公開の『ウルヴァリン』シリーズ3作目を最後に、
主演ウルヴァリン役を降板することを名言しました。
噂はあったし本人も仄めかしていたので覚悟はしていましたが、やはり残念。
でもアメコミヒーローの俳優交代は遅かれ早かれ起こる避けられないことだし、
彼は17年もこの役を演じ続けたそうで、数少ない円満降板だと思います。
最近でも『アメイジング・スパイダーマン』のアンドリュー・ガーフィールドみたいな
ソニーの都合による志半ばの可哀想な降板なんかもありましたしね。
あまりにも早すぎるスパイダーマン役の再交代は
『アベンジャーズ』シリーズとのクロスオーバーが決まったためでしたが、
『X-MEN』シリーズは今後、新『ファンタスティック・フォー』などの
20世紀フォックス系マーベル映画とのクロスオーバーも始まるし、
ウルヴァリンを新キャストに変えるにはいいタイミングかもしれないです。

でもウルヴァリンの後釜を誰にするかは難しいですよね。
ボクとしては末永く続投してくれるためにも若手がいいです。
(ウルヴァリンはオッサンキャラなので若手は無理かな?)
最近、アメコミ映画のヒーローたちが高齢化しているのが気になるんですよね。
特に『アベンジャーズ』シリーズは、『アントマン』がポール・ラッド、
『ドクター・ストレンジ』がベネディクト・カンバーバッチと、
初登場からアラフォー俳優を起用しちゃってるのが心配です。
続投メンバーも『アイアンマン』のロバート・ダウニーJr.も50歳の大台に乗ったし、
いつ降板しちゃわないかとヒヤヒヤしています。
初登場時は20代だった『マイティ・ソー』と『キャプテン・アメリカ』こと
クリス・ヘムズワースとクリス・エヴァンスはまだ30代前半なので、
まだ暫くは続けられそうですが、降板の噂がないわけでもなく…。
キャップは『キャプテン・アメリカ3』で死ぬと囁かれているし、
ソーも『アベンジャーズ3』を最後に女性キャストに変更する可能性があるそうで、
今のビッグ3揃い踏みは今年の『アベンジャーズ2』で最後になるかも。

ということで、今日はソー役でお馴染みの俳優の主演作の感想です。

ブラックハット
Blackhat.jpg

2015年5月8日日本公開。
クリス・ヘムズワース主演のアクション・スリラー。

ネットワークに不法侵入されたことで香港の原子炉が破壊されてしまい、さらにアメリカの金融市場も被害を受ける。アメリカと中国の合同捜査チームは事件解決のため、現在獄中生活を送るすご腕ハッカーで天才プログラマーのニコラス(クリス・ヘムズワース)に協力を要請。犯人は以前彼が開発したプログラムを応用しており、正体・目的共に不明の犯人のしっぽをつかむべくニコラスは捜査チームと一緒に世界中を駆け巡るが……。(シネマトゥデイより)



クリス・ヘムズワースが主演だったので観に行った本作。
ボクはアメコミ映画が大好きなので、各ヒーローを演じる俳優も大好きになって、
彼らの他の出演作もチェックせずにはいられなくなります。
本作の主演であるヘムズワースは、もちろん『マイティ・ソー』の主演で、
今年最大の話題作『アベンジャーズ2』の主人公チームのひとりです。
これは観ないわけにはいかないと思いましたが、
もし本作の主演が別の俳優だったら、完全にスルーしてました。
なぜなら本作は歴史上最悪級の大コケ作のひとつだからです。

本作の全米ボックスオフィスで初週ランキングが、なんと11位。
初週興収なんとたったの440万ドルでした。
製作費7000万ドル、公開関数2500館以上の大作としては記録的な大惨敗で、
映画館もさぞ期待外れだったみたいで、なんと公開2週目には
上映関数が2300館以上も減らされ、3週目には上映終了してしまいました。
その結果、全米最終興収は800万ドル以下で大赤字に…。
後世に語り継がれそうなほど気持ちいいコケっぷりで、
逆に映画ファンとしては後学のために観ておいた方がいいくらいです。

なぜ本作が記録的な大コケになったのかですが、
おそらく本作が中国向けに製作されたハリウッド映画だったからでしょう。
現在ハリウッドにとって海外の最大のお客様は日本を抜き中国です。
中国市場の規模は凄まじく、なんと『トランスフォーマー4』などは、
本国アメリカを凌ぐ大ヒットを記録しているくらいです。
極端な話、別にアメリカでヒットしなくても、中国でさえヒットしてくれれば、
大儲けできる状況で、当然ハリウッドとしても中国市場を重視しています。
最近のハリウッド映画の多くが中国を舞台にしたり中国人俳優を起用したり、
無駄に中国贔屓なのはそのためで、その最たるものが本作です。
本作は中国を舞台にしており、主演はヘムズワースですが、準主演とヒロインに、
『ラスト、コーション』のワン・リーホンとタン・ウェイを起用しています。
どちらも世界的には特に人気があるわけでもない俳優で、
中国以外での集客力は期待できない、完全に中国市場頼みの配役です。
準主演が無名中国人なのはまだマシですが、ヒロインまで無名中国人なのは論外。
映画にとってヒロンの存在がどれだけ大切か理解してないのではないでしょうか。

というか、本作は完全に本国でのヒットは端から期待しておらず、
中国でさえヒットすればいいと思っているように感じますが、
本作の誤算は、本作が中国本土で公開されなかったということでしょう。
本作が中国で公開されないのは、内容的な問題もあるでしょうが、
中国を扱って全米で大コケした作品なんて、中国も屈辱的で公開したくないでしょう。
頼みの中国に無視された結果、世界各国でも大惨敗で、
世界興収も1800万ドル程度で依然として5000万ドル以上の大赤字です。
そんな失敗作が日本公開されたのも奇跡ですが、日本の興収も焼け石に水でしょう。
やはり世界でも成功するためには全米で成功した実績は不可欠です。

本作の主な敗因は中国人キャストだと思いますが、
そもそも脚本に自信があれば、そんな中国頼みも必要ないわけで、
本作の物語の出来も推して知れるというものです。
しかもそれが2時間13分もあるんですよね…。
中身が詰まってるなら長くなるのも仕方ないかもしれないが、
冗長なシーンが多すぎるので、もっと短くできるはず。
特に必要も人気もないのに中国人女優のアップが多すぎます。
以下、ネタバレ注意です。

香港の柴湾原発が爆発します。
どうやら何者かが遠隔操作ツール「RAT」でハッキングし、
冷却装置を破壊されたのが原因のようですが、中国当局では手に負えず、
FBIに協力を依頼するため、チェン大尉が訪米します。
普通ならFBIが中国なんかに協力するはずありませんが、
ちょうどその頃、マーカンタイル先物取引所もハッキングを受け、
大豆の先物相場が改竄され、2.5倍に高騰する事件が起き、
同じRATが使われたことから同一犯と想定されたため、連携することになります。
中国政府も原発爆発なんていう大事件の捜査を大尉一人に任せるなんて、
原発事故の恐ろしさを全然わかってないのでしょうね。
先物取引所のハッキングなんかとは比べ物にならないほどの大問題なのに。

このチェン大尉が不遜なやつで、勝手に自分の妹リエンを同行させ、
FBIの分析官を「中学生並だ」とダメ出しし交代を要求するのです。
それでプログラムに強い妹リエンを分析官に推薦するのか、
…と思いきや、なんと大学時代の親友だった囚人ハサウェイを
釈放して協力させろと言い出します。
中国の意向でアメリカが囚人釈放するわけないだろうと思ったら、
FBIはなぜかあっさりとハサウェイに協力要請するんですよね。
ハサウェイはカード詐欺なんてチンケな罪で懲役13年くらったみたいですが、
実は天才ハッカーで、RATを開発したのも彼らしいので、
FBIとしても協力してほしかったのはわかりますが、
それなら分析官にもならない妹リエンは何の役に立つのか疑問で、
FBIが彼女を何の疑いもなくチームに加えるのが納得できません。
事実、彼女は本当に役立たずで、金魚のフンのようにハサウェイに同行し、
彼のベッドのお相手をするだけの存在です。
まぁそれでハサウェイが協力的になるなら、多少は価値があるか。
むしろ兄チェンの方が、ただ文句を言うだけの役立たずかもしれません。
捜査はハサウェイとFBIのバレットだけでも進展している気がするし…。

取引所で取引データ調べたり、韓国料理店で悪い韓国人の顔面切り裂いたり、
紆余曲折あって、みんなで香港に行くことになります。
香港に着くなり、カサールという傭兵が捜査線上に浮上し、
中国特殊部隊を送り込むも、銃撃戦の末に返り討ちに遭い、逃げられます。
一方、原子炉が安定したので、ハサウェイたちは破損した原発に入り、
制御室からデータドライブを持ち出します。
…って、事故った原発がそんなに簡単に安定するわけないだろ。
一応防護服は来てますが、その程度で放射線が防げると思っているのか。
どうも本作は事故った原発内はただ高温なだけだと思っているみたいで、
それだけなら福島もチェルノブイリもこんなに何年も苦労してないだろ、と…。

制御室のドライブから犯人が作ったマルウェアが見つかりますが、
かなり破損しているので修復が必要です。
そこでハサウェイはNSAの超高性能データ修復ツール「マイティ・ソー」
…じゃなくて「ブラックウィドウ」を借りて修復しようと提案しますが、
NSAが中国なんかにそんな機密技術を貸してくれるはずなく…。
そこでハサウェイはNSAをハッキングして、勝手にブラックウィドウを使い、
修復したマルウェアのIPからサーバがジャカルタにあることが判明します。
しかしNSAもそれに気付かないほどバカではなく、
中国に機密を漏らしたハサウェイを今すぐ引き渡せとチームに命令。
FBIバレットがハサウェイを拘束に動いた時には時すでに遅く、
中国人兄妹と一緒に車で逃げた後で、急いで追いかけます。
ところがハサウェイの車に追いつく直前、レバノン傭兵カサールの襲撃を受け、
チェンとバレットは殺害されてしまうのです。
主要キャラがまさかこんなに呆気なく殺されるとは意外な展開でした。
特にチェンは準主演どころかW主演だと思っていたので…。
今後の展開上邪魔なのはわかるけど、これでは中国公開は難しいだろうな…。
ハサウェイとリエンはチェンやバレットが殺されている間に
地下鉄に逃げ込み、間一髪助かります。

2人は犯人が購入していた衛星写真に映っていう場所である
マレーシアのペラに行き、そこで錫鉱山を発見します。
その鉱山で使われていたポンプが柴湾原発の冷却装置のものと同じことから、
ハサウェイは、犯人は原発を爆破することが目的ではなく、
錫鉱山のポンプを破壊するのが目的で、原発は予行演習ではないかと推理。
犯人は河床に作られた錫鉱山のポンプを破壊し錫鉱山を水没させることで、
錫の先物相場を高騰させて儲けようと企んでいるのではないか、…と。
その推理は的中しているのですが、「はぁ?」ですよね。
どう考えても鉱山なんかより原発のポンプ破壊する方が困難に決まってるし、
本番よりも圧倒的に難しいところで予行演習する意味がわかりません。
というかハサウェイたちでも簡単に錫鉱山のポンプを見つけられるんだから、
別にRATでハッキングなんてしなくても、物理的に破壊できるし…。
犯人はその錫の商品先物を購入する費用を得るために、
先物取引所をハッキングして大豆を高騰させて費用を捻出してますが、
それができるなら錫も取引所をハッキングして高騰するように改竄すればいい。
なぜ原発爆発なんて最悪な回り道をするのか意味不明です。

犯人の目的を掴んだハサウェイとリエンは、今度はジャカルタに行き、
犯人のサーバを見つけて物理的にアクセスし、
犯人が大豆先物で儲けた金を別の口座に転送して隠してしまいます。
金を盗まれた犯人はハサウェイに取引を持ち掛けるのです。
ハサウェイは親友チェンたちの復讐のために犯人の金を盗んだはずですが、
電話交渉で犯人に「錫先物で儲けた金額の2割をよこせ」と要求するんですよね。
犯人が渋ったのでよかったものの、もしそれで取引成立したらどうするつもりなのか。
それに電話で「会って直接交渉したい」と言う犯人に対して、
「俺は取引相手とは会わない主義だ」とか言っちゃうし、
それでも犯人が強引に面会を要求してきたのでよかったものの、
犯人が引き下がれば、チェンの仇を取る機会もなくなるのに…。

結局、マレーシアのパプワ広場で会うことになりますが、
ハサウェイは武器を持ってないので防弾チョッキ代わりに懐に雑誌を入れ、
左手にドライバーを潜ませます。
たしかに拳銃を調達するのは無理でしょうが、武器がドライバーって…。
金は十分に持ってるみたいなので、せめてナイフでも買えばいいのに…。
パプワ広場は謎のお祭りの真っ最中で、人でごった返しています。
そこでハサウェイは犯人を発見するのですが、普通こんなサスペンスって、
知人が黒幕だったりするものなのに、この犯人は初対面で…。
ずっと「リエンが黒幕では?」と思っていたので拍子抜けです。
彼は犯人に接近しますが、手下カサールに気付かれ銃を突き付けられます。
謎なのはあんなに堂々と銃を突き付けている男がいるのに、
祭りに来ていた大勢の人々が全く無関心なことです。
まぁ百歩譲って銃はオモチャだと思ったのかもしれないけど、
ハサウェイが反撃して、カサールの頭にドライバーをぶっ刺し血が飛び散っても、
周りの人々はやっぱりノーリアクションなんですよね…。
もうひとりの手下が銃を乱射したら、さすがに大パニックになりましたが、
マレーシア人は自分に危害が及ばない限りは無関心な国民性なの?

ハサウェイも被弾したり、いろいろありましたが、
犯人をドライバーでめった刺しにして、ぶっ殺すことに成功します。
ハサウェイとリエンは犯人から盗んだ金で幸せに暮らしましたとさ、
めでたしめでたし、です。

…うん、コケるべくしてコケた駄作ですね。
全米公開時には同日公開の記録的ヒット作『アメリカン・スナイパー』の
割を食って成績が低迷したみたいなことも言われてましたが、
いやいや、こんなものはいつ公開してもコケますよ。
むしろ当時は北朝鮮のソニーへのサイバー攻撃が話題になっていたので、
公開時期としてはこの上なくタイムリーでしたからね。
ヘムズワースも自分の価値を下げないように、出演作は慎重に選ぶべき。
いつまでもソーできるわけじゃないんだから。

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