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マジック・イン・ムーンライト

今週末は大変です。
観たい映画が一気に8本も封切られてしまいます。
来週末も話題作目白押しなので、来週末までには全部観たいところですが、
週7日しかないので、例え1日1本観ても追いつきません。
休日にハシゴでもすれば全部観ることも可能ですが、
さすがに感想記事は1日1本しか書けないと思います。
たぶん1~2本スルーすることになりそうですが、何を諦めるか悩ましいです。
先週末までの数週間は観たい映画の封切が少なすぎて悩んだのに、
もっと分散させてほしいものです。
今年は映画の鑑賞本数を150本ほどに抑えたいと思っていましたが、
週に観たい映画が8本も公開されているようでは無理かも…。

ということで、今日は今年劇場鑑賞した映画50本目の感想です。
4月半ばで50本だから、年間170本ペースかな。
年間200本観た昨年よりは少し抑えられそうです。

マジック・イン・ムーンライト
Magic in the Moonlight

2015年4月11日日本公開。
ウディ・アレン監督のロマンティックコメディ。

魔法や超能力など信じない皮肉屋のイギリス人マジシャン、スタンリー(コリン・ファース)は、ある大富豪をとりこにしているアメリカ人占い師の正体を暴いてほしいと頼まれる。南フランスの富豪宅を訪ねるも占い師ソフィ(エマ・ストーン)が発揮する驚異的な透視能力にただただ驚かされ、それまでの人生観を覆される羽目に。その上、かれんな容姿で明るく活発な彼女に魅了されてしまい……。(シネマトゥデイより)



いつの間にかウディ・アレンの新作が公開されていたので観に行きました。
本作は全米ボックスオフィスの上位にも入ってなかったし、
あまり話題にもなってなかったみたいなので、
ボクも先週までその存在に気付かなかったくらいです。
ウディ・アレン作品でもアカデミー賞に絡まないとなかなか注目されませんね。
なので何の予備知識もなく観に行ったのですが、
ウディ・アレンの作品であれば、少なくとも駄作ではないはずで、
きっとお洒落で笑えるロマコメに仕上がっているはずと期待しましたが、
見事に期待に応えてくれた、とても面白いロマコメです。
以下、ネタバレ注意です。

中国人に扮し、ウェイ・リン・スーという芸名で活躍する
世界的マジシャンの英国人スタンリー。
マジックの腕は超一流なのに、なんで辮髪のズラ被って、
中国人奇術師のふりしながら活動するのか不思議ですね。
まぁ時代が1928年の設定なので、オリエンタルな風貌のマジシャンは珍しく、
欧州人客にウケがいいのかもしれませんが、下手するとイロモノ扱いで、
ちゃんとマジックの腕が評価されないような気がするのですが…。
まぁ日本でも変なキャラ作りしているマジシャンは多いし、
腕がいいだけでは売れない業界なのかもしれません。
ちなみにウェイ・リン・スーにはモデルがいるみたいで、
20世紀前半に活躍した中国人に扮した英国人マジシャンの
チャン・リン・スーという人物が元ネタらしいです。
もちろん元ネタなだけで、本作はチャン・リン・スーの伝記ではありません。

ウェイ・リン・スーことスタンリーがベルリンで公演をしていると、
幼馴染でマジシャン仲間のハワードが楽屋に訪ねてきます。
ハワードは知人の大富豪カトリッジ夫人の妻の弟と母親が、
読心術と交霊術を使うという美人占い師に騙されているので、
占い師のインチキを暴いて助けてほしいとスタンリーに依頼します。
理論的で無神論者のスタンリーは、霊や超能力など全く信じておらず、
霊媒師みたいなペテン師も許せない性格なので、その依頼を承諾し、
占い師のトリックを暴くため、ハワードと共にカトリッジ邸がある南仏に向かいます。
超能力のイカマサを暴くマジシャンなんて、脱出王フーディーニみたいですね。
ボクも彼同様、神や天国の存在や心霊術も超能力も全く信じてないので、
超能力者や霊媒師なんて全員ペテン師だと確信しているので、
スタンリーのことも応援したくなります。
ちょっと皮肉屋で性格が曲がっているのが玉に瑕ですが…。

もちろん奇術師ウェイ・リン・スーで会うと占い師に警戒されるので、
今回は中国人には扮さず、ハワードの知人の英国人貿易商として訪問。
いよいよ件の占い師ソフィと対面します。
ソフィは噂通り美人で、夫人の弟ブライスが彼女に嵌ってしまったのは
別に読心術など超能力のせいじゃないような気がしますね。
ブライスは彼女に求婚までしちゃってますし…。
一方、夫人の母がソフィに嵌っているのは交霊術を信じているからで、
亡き夫の霊と交霊術でコンタクトを取りたいと願っているからです。
ソフィの母が運営する霊媒師研究財団にも多額の支援をするつもりのようで、
もし交霊術がインチキだったらとんでもない詐欺ですよね。

スタンリーは交霊術はもちろん、読心術も全く信じていませんが、
初対面でソフィから「出身は中国ですか?」と聞かれてドキッとします。
今は中国人の扮装はしてないし、どこから見ても白人なのにね。
さらに最近ドイツ(ベルリン公演)に行ったことも言い当てられますが、
筋金入りの超能力否定派スタンリーは「単なる偶然」と考えるのです。
ボクは偶然というよりも、彼女の読心術はインチキ占い師が用いる
典型的なホットリーディングの手口だと思いました。
彼女はスタンリーが人気奇術師ウェイ・リン・スーだと気付いて、
事前に彼の情報を集めていたに違いないと。
まぁなぜ正体に気付いたのかはわかりませんでしたが…。

スタンリーの亡き伯父はインチキ交霊術師に騙されたことがあるようで、
それも彼がソフィに猜疑心を抱く理由のひとつですが、
その話を聞いたソフィは「伯父さんは溺死したのね」と言い当てます。
これはかなりプライベートな情報なので、もしスタンリーの正体に気付いていても、
インターネットもない時代に得ることは不可能と思われ、
ボクももしかしたら単なるホットリーディングではないかもしれないと思いましたが、
スタンリーの彼女に対する猜疑心も少し揺らいだみたいです。
そしていよいよ交霊会が行われます。
ソフィが夫人の亡き父の霊に質問すると、霊からラップ現象(ノック音)で合図が…。
さらに交霊術の最中にロウソクが宙に浮かび上がるという怪奇現象も…。
ハワードが浮かんでいるロウソクを捕まえて調べますが、
何もトリックは仕掛けられていなかったみたいで、
その場にいた天才マジシャンのスタンリーもタネが見破れません。
これにはボクもソフィは本物の霊能力者というオチなのかと思いました。

スタンリーはそんなソフィをプロヴァンスの伯母の家に連れて行き、
「伯母のことを何か言い当ててみろ」と言います。
これはスタンリーがソフィの能力をまだ疑っているからではなく、
彼も「もしかして本物かも?」と思い出していて、
本物である確信を得たかったからみたいです。
ボクにはよくわからない感性ですが、
交霊術が実在すればあの世の存在が実証されることになり、
死んでも別の世界があるということに希望を感じる人がいるみたいで、
どうやらスタンリーもそんなタイプだったみたいで、
あの世の存在を否定しながらも、内心あの世に存在してほしかったのです。
反宗教なスタンリーにはシンパシーを感じていたのに、
まさかあの世の存在を願うなんて幻滅しちゃいました。
ソフィは伯母のネックレスをサイコメトリーして、
本当に親しい人しか知らないような過去の秘め事を言い当て、
スタンリーも完全に彼女の能力を信用してしまい、
彼女の能力を公表しようと記者会見をセッティングするのです。

記者会見でスタンリーは集まった記者に対し、
「今まで超自然現象を否定して面目ない」と謝罪し、
ソフィを本物の霊能力者として紹介します。
もちろん世界的マジシャンとして彼女にお墨付きを与えるのが目的ですが、
中国人奇術師の扮装で会見するわけじゃないんですよね。
つまりスタンリーがウェイ・リン・スーということは周知の事実だったのかな?
それとも浮かれすぎて会見でついでにカミングアウトしちゃったのかな?
ソフィも普通に会見に出席して、自分の能力を公表されちゃってるけど、
そんなことしたら千里眼の御船千鶴子(貞子のモデル)みたいに、
マスコミからインチキだと誹謗中傷されそうなのに、
嬉々として会見に臨んでいるのが意外でした。

その会見の途中、伯母が交通事故に遭ったという連絡を受け、
スタンリーは慌てて病院に向かいます。
伯母は危険な状態で、無神論者だったスタンリーも、
伯母が助かるように神に祈るのです。
その一方で、もし伯母が死んでもソフィの交霊術でまた会えると考え、
ちょっと気が休まったりもしますが、懸命に祈っている最中に、
「こんなデタラメな寝言あるか?」と急に我に返るのです。
たぶんボクでも神頼みしたくなるタイミングなのに、
急に無神論者に戻ったスタンリーの心境はよくわかりませんが、
「伯母を救うのは神ではなく医師だ」と気付いたのかもしれません。
神を否定しても優秀な医師のお蔭で伯母は一命を取り留めます。
元に戻ったスタンリーは、もちろんソフィのこともペテン師だと再認識し、
彼女のいるカトリッジ邸に戻ります。

ソフィに再会したスタンリーは、「疲れたから一休みする」と部屋に戻る、
…ふりをして十八番の瞬間移動マジックで椅子の陰に隠れます。
スタンリーが部屋に戻ったと思ったソフィは、
スタンリーの旧友ハワードと驚きの密談をするのです。
なんとスタンリーや伯母の情報をソフィに流していたのは、
ソフィのインチキを暴くことを依頼したハワードだったのです。
それなりのマジシャンであるハワードは占い師をソフィのインチキを見抜き、
それを秘密にする代わりにスタンリーを騙すのに手を貸す密約を結んでました。
平凡なマジシャンのハワードは天才マジシャンである幼馴染スタンリーを妬み、
偽の霊能力で騙し、出し抜いてやろうと思ったみたいです。
種明かしされてみれば「なんだ、そんなことか」って感じですが、
実はハワードが裏切り者だったなんて全く思いもしませんでした。
これなら宙に浮いたロウソクのトリックも完全に説明が付くし、
これしか考えられない真相だったのに、なぜそこに考えが及ばなかったのか…。
マジックさながらの上手いミスディレクションが仕掛けられてたのかな?
ソフィはスタンリーを騙すことに気乗りしてなかったみたいですが、
インチキをバラされると死活問題なので手を貸すしかなかったみたいで…。
いやー、ソフィの器量があればそんな詐欺行為に手を染めなくても
それなりに幸せな生活は出来そうな気がしますけどね。

そのソフィとハワードの密談の途中で隠れていたスタンリーは姿を現し、
2人のインチキを厳しく批判します。
このスタンリーの瞬間移動マジックのタネは全くわかりません。
やはり高度なミスディレクションを使っているのだろうと思いますが、
何気に本作で解けない唯一のトリックですよね。
批判されたソフィは「ただのジョークよ、誰も傷付けてない」と反論しますが、
たしかに交霊術で夫人の母を亡き夫に会わせるのは、
たとえ嘘でも彼女が喜んでいるなら構わないかもしれませんが、
それで自分の冷媒研究財団に支援させているんだからやはり詐欺で、
ジョークでは済まない列記とした犯罪ですよね。
スタンリーも「誰も傷付けない?私の評判が傷付いた」と吐き捨て、
訂正会見の準備を始めるのです。

いやー、やっぱりペテン師を追いつめる展開は痛快ですよね。
スタンリーが許しを請うソフィに「許すのは神の仕事だ」と吐き捨て、
彼女から「神はいないんじゃないの?」と上げ足を取られますが、
「だから許されない」と切り返すところなんて渋すぎます。
このどんでん返しのクライマックスで幕引きでもよかったのですが、
本作はロマコメなので、このあとロマンス展開に突入します。
正直その部分は蛇足で退屈だと思ってしまいました。
なにしろスタンリーがソフィと恋に落ちるのですが、
いくら美女でもペテン師なんかと結ばれる展開は納得できません。
スタンリーには素晴らしい婚約者オリヴィアもいるのに、
わざわざ婚約者をふって若くて綺麗なだけのペテン師と引っ付くなんて…。
きっと彼女のインチキを暴く訂正会見もしなかったんじゃないかな?

とはいえ、種明かしまでは面白いミステリーだったし、
けっこう笑えるところも多い楽しいコメディでした。
超自然現象やキリスト教神秘主義を否定する展開も期待通りでよかったです。
でも一点だけ、ソフィの能力が本物かもしれないと思うところがあって…。
伯母の家から帰る時に雷雨に見舞われて天文台で雨宿りするけど、
ソフィはその雷雨も直前に予言していたんですよね。
これはハワードからの情報では絶対に言い当てられないことだし、
ボクが彼女は本物かもしれないと思った最大の要因でもあります。
まぁ彼女が天気に詳しく、湿度の変化とかを感じ取っただけかもだけど…。

ロマンスはイマイチでしたが、なかなか面白いミステリーコメディでした。

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