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ジュピター

今週末は観たい映画が一本も封切られません。
公開本数自体は多いのですが、メジャー配給会社が一斉に休みでも取るのか、
日本映画、ハリウッド映画共に大作や話題作が全く封切られないんですよね。
まぁ週末ではないけど、今週1日に封切られた東宝の『エイプリルフールズ』は
それなりに話題作だったと思いますが、タイトルがタイトルだけに、
エイプリルフールが過ぎたら旬が過ぎたような気がして、
そこで見逃したらあまり観に行きたいと思えなくなりますね。
クリスマス映画はクリスマスの1カ月前くらいに公開されますが、
なぜエイプリルフール映画をエイプリルフール当日に公開するのか…。

このままでは再来週末まで映画館に行く機会がありませんが、
必然的にブログを更新する機会もなくなってしまいます。
あまり間をあけると執筆意欲が減退するので嫌なんですよね。
今日感想を書く映画も、実際は4月1日に観ていたのですが、
執筆間隔をあけすぎないように、あえて2日間温存してから書きました。
2日あくだけでも、けっこう筆が重くなります。
なんとかビデオの感想でも書いて、来週末まで更新を続けないと…。

ジュピター
Jupiter Ascending

2015年3月28日日本公開。
ウォシャウスキー姉弟によるスペースオペラ。

遺伝子操作された元兵士のケイン(チャニング・テイタム)は、ある女性を守るという任務のために宇宙から地球に派遣される。シカゴで清掃員として働くジュピター(ミラ・クニス)は、殺伐とした大都会での暮らしに嫌気が差していた。だが、実は彼女こそが、地球のみならず宇宙を変化させる可能性のある遺伝子を備えた唯一の人物だった。(シネマトゥデイより)



本作は『マトリックス』三部作のウォシャウスキー姉弟によるSF映画です。
(『マトリックス』三部作の時はまだ兄弟でしたが。)
SF映画は人気シリーズや人気原作の映画化でもない限り、
ヒットするのが困難な昨今ですが、本作は姉弟によるオリジナル脚本。
しかも破格の1億7600万ドルもの予算で製作されている超大作です。
ヒットする見込みが薄いオリジナルSF映画にそんな製作費を投じるのは
とてもリスキーなことで、例えばクリストファー・ノーラン監督のような、
実績があり、よほど信頼されている監督の作品でもない限りあり得ません。
ウォシャウスキー姉弟は『マトリックス』三部作という実績はあるものの、
『スピードレーサー』『クラウドアトラス』で成績、出来共に失敗しているので、
彼らにこんなオリジナルSF超大作を撮らせるのは、リスキーどころか無謀。
実際に全米初週は製作費半分以下の『スポンジ・ボブ』に
トリプルスコアの大敗を喫し、初登場ランキングは3位と大誤算。
全米最終興収も約4700ドルと全く振るいませんでした。
まぁ世界興収でなんとか製作費分だけは回収できたみたいなので、
大コケ映画にならずに済んだようで、ホッとしているでしょうね。
ロシアでは初登場1位の大ヒットだったみたいですが、
ヒロインをアメリカ人とロシア人のハーフにしておいてよかったですね。
物語的には全く意味のない設定な気もしますが、策を講じておくものですね。

でも別に無謀だったことを馬鹿にしているわけではないです。
オリジナル脚本が減りつつあることは憂慮すべきことだし、
困難に果敢に立ち向かった気概は評価されるべきものです。
ただ、出来れば結果が伴ってほしかった。
ヒットするかは別としても、せめて巨費を投じる価値がある
出来のいい脚本であってほしかったです。
つまり本作は『スピードレーサー』『クラウドアトラス』に続き、
成績も出来も悪い作品だったということです。
たしかに金は掛かっているので、それに見合う程度のVFXではありますが、
『マトリックス』三部作のような画期的な映像には程遠いです。
『マトリックス』当時は本当に最先端なVFXで驚かされましたが、
本作程度のVFXなら、今のご時世だと並みの上くらいで全く新鮮味がないです。

VFXは製作費に比例するので、もっと巨額な人気SF超大作には敵わないので、
映像が期待ハズレなのはある程度仕方がないことかもしれないけど、
やはり問題は脚本の出来の悪さでしょうね。
たぶん流行を追った結果だと思うけど、まるで昨今乱発されている
ヤングアダルト小説の映画化作品みたいなストーリーや設定で、
在りがちで面白味に欠ける気がします。
もし本当にヤングアダルト映画として勝負する気だったのなら、
ヒロイン役をミラ・クニスするのは大人すぎます。
もっとティーンに共感されやすい可愛い新人女優にするべきで、
内容は若年者向けなのにキャストは大人すぎてバランスが悪いです。
相手役のチャニング・テイタムも同様で、もっと若手俳優使って、
青春ロマンスを描いた方がウケると思います。
まぁ巨額を投じているので、無名の若手使う危険は冒せなかったのかな?
ただ良かったのは、シリーズ化を目論む多くのヤングアダルト映画と違って、
本作だけである程度完結しているのは好印象です。
ヤングアダルト映画は完結しないのにコケて未完で終わる場合が多いからね。
もちろん本作もあわよくばシリーズ化しようとしていたとは思いますが、
結果的にこの成績では続編は不可能なので、完結してよかったです。
以下、ネタバレ注意です。

宇宙はアブラサクス家の長男バレム、長女カリーク、次男タイタスという
三兄弟によって支配され、兄弟間の権力争いが繰り広げられています。
地球はもともと三兄弟の母である女王陛下の持ち物でしたが、
女王陛下が殺されてしまい、今は長男バレムが相続しています。
地球は宇宙一の良質な資源があるため、長女カリーク、次男タイタスも
兄を出し抜いて地球を手に入れたいと思っていて、そのカギを握るのが、
本作のヒロイン、地球人のジュピターです。
宇宙の資源争いという壮大な世界観の反面、
実際は単なる兄弟ゲンカにヒロインが巻き込まれる矮小な物語です。

ジュピターはアメリカ人の父が強盗に殺されてしまい、
ロシア人の母と一緒に叔母の家で生活しています。
一家はハウスキーパーで生計を立てていますが、
ジュピターは金持ちの家のトイレ掃除をする毎日にウンザリしています。
まるでそれが不幸なことのように描かれていますが、
ボクなんかはそれも立派な仕事だと思いますけどね。
ジュピターはネットで望遠鏡を買いたいのですが、給料の前借を拒否され、
卵子提供の報酬で買おうと考え、不妊治療センターに行くのですが、
医者たちからベットに縛り付けられ、殺されそうになるのです。
医者たちの正体はグレイ型エイリアンで、長男バレムの手下(番犬)です。
しかし次男タイタスの手下ケインが飛び込んで来て、ジュピターを救出します。

ケインはなんでもオオカミと地球人の交配種らしいのですが、
本人は自らを「人間より犬に近い種族」と称しているわりには、
耳がスポックのように若干尖っているだけで、ほとんど人間です。
昔は人工の翼が生えていたみたいで、犬より鳥に近いくらいです。
そもそも犬との交配種なんて設定は物語上、全く不要なものなので、
もし続編が製作されたら掘り下げようと考えていたのかもね。
(しかもアルビノだったらしいけど、それなら本来の色は?)
ケインは宇宙警察イージス軍の精鋭スカイジャッカーの隊員でしたが、
王族を襲撃したため、翼と地位を剥奪され収監されていましたが、
次男タイタスとジュピターを連れ帰る契約を結び、釈放されます。
彼が王族を襲った理由も本作では明確には描かれておらず、
それも続編への伏線のつもりだったのかもしれません。
翼を失った彼は、今は反重力装置を搭載したフライングブーツで
空を自由に駆け回ることができます。

ジュピターを救出した後、フライングブーツで駆け回るケインと
番犬の戦闘機とのドッグファイトのVFXはかなり気合が入った映像で、
これが続けば本作は凄かったと思いますが、
残念ながら本作のVFXはここがピークで、クライマックスに向かって、
映像がどんどん尻つぼみになる気がします。
そのドッグファイトで街はボロボロになりますが、
地球人に宇宙人の存在を知られてはいけないので、数時間で修復され、
人々に記憶も改竄されるという都合のいい設定です。
でもあんなに破壊したら死人も出るだろうし、人を生き返すこともできるの?
もし蘇生できるとなると物語上いろいろ不都合な点があるんだけど…。

ケインはジュピターを連れて、元イジース軍人スティンガーに会いに行きます。
スティンガーはケインの王族襲撃事件のとばっちりで、
翼と地位を剥奪され、地球で隠居生活を余儀なくされているみたいです。
スティンガーは養蜂でもしているのか、家の周りはミツバチだらけですが、
なぜかジュピターはミツバチを自在に操ることができて…。
なんでも蜂は女王を識別し、女王に従うようになっているそうです。
蜂が英国女王に従うわけでもないし、何をもって女王と識別するのか疑問ですが、
とりあえずジュピターはアブラサクス家の女王陛下だったようです。
彼女はアメリカ人とロシア人のハーフで生粋の地球人のはずなのに、
なぜエイリアンであるアブラサクス家の女王なのか不思議ですが、
どうやらDNAの配列がたまたま三兄弟の母と同じだったみたいです。
一卵性双生児でもない限り、同じDNAを持つ人間はいないはずですが、
宇宙規模だとたまたま一致することもあるってことかな。
ジュピターは前女王陛下と血の繋がりは全くないけど、DNAが同じなので
輪廻転生として女王陛下になる権利があるみたいで、
即位すれば前女王陛下の所有物である地球も所有できるそうな。
なんか変な世襲制度ですが、宇宙ではよくあることらしいです。

ジュピターを匿うスティンガーの家を、
長男バレムの密偵三人と番犬たちが襲撃してきます。
密偵の紅一点が青い髪のアジア人でしたが、よく見たらペ・ドゥナですね。
『クラウドアトラス』から続投ですがウォシャウスキー姉弟は本当に新韓派です。
『スピードレーサー』や製作作『ニンジャ・アサシン』でも、
(本来は日本人キャラなのに)韓国人ピを起用してたしね。
どうせなら中国人でも起用した方が、巨大市場中国での興収が見込めるのに、
市場も小さければ金もない韓国なんて相手にするだけ無駄です。
密偵のリーダー格の眼帯男がジュピターを捕まえ、殺そうとしますが、
他の二人の密偵が眼帯男を撃ち殺します。
仲間割れか、と思ったら、どうやらその密偵二人はスパイで、
本当の雇主は長男バレルではなく長女カリークだったみたいで、
彼らはジュピターをカリークの所に連れて行きます。

長男バレルは保身のために女王候補のジュピターが邪魔ですが、
長女カリークは彼女が女王になるのを歓迎していて、
彼女と一緒に地球を支配したいみたいです。
地球には「活性の泉」と呼ばれる細胞を入れ替えて若さを保つ資源が
豊富にあるそうで、何よりも時間が大切な宇宙人には必需品です。
なんでも活性の泉は人間を収穫して搾り取るみたいで、
地球人から取れるものは良質で、100人で1リットルくらいになるようです。
地球人を家畜にしているわけですが、在りがちな宇宙人ですね。
カリークも活性の泉で若さを保ち、現在1万4004歳らしいです。
活性の泉の材料を知らないジュピターは優しそうなカーリクに心を許しますが、
彼女は不信感が人一倍強いという設定のはずなのに…。
そういえばスティンガーにもすぐに心を許したし、
ケインに至っては会ってすぐに恋しちゃってますが、
これでは不信感が強いどころか、人を信じやすい性格ですよね。

ジュピターは迎えに来たケインと共にイージス軍の宇宙戦艦で、
宇宙コロニー都市に向かいます。
カリークがジュピターをあっさりケインに渡したのが意外でしたが、
コロニーで女王即位の手続きをする必要があったためでしょうね。
この手続きはちょっと面白くて、宇宙弁護士と一緒に役所を回るのですが、
お役所仕事で盥回しにされ、埒が明かないので最後は賄賂を使うんですよね。
賄賂で即位するための紋章印が買えてしまうなら、
金さえあれば誰でも女王になれちゃうんじゃないかな?
役人たちが次期女王ジュピターに全く敬意を持っていないのも不思議ですが、
逆に王族に恨みを持つケインはなぜあんなに敬意を持って接するのか…。

ケインの雇主である次男タイタスですが、彼はスティンガーを使って、
ケインを拘束し、女王になったジュピターに結婚を申し込みます。
彼女と結婚し、その後彼女を殺せば、地球の所有権が相続できると考えたのです。
ケインはその計画を知らずにタイタスと契約していたみたいです。
ケインの釈放と復職を条件にタイタスとの結婚を承諾するジュピターですが、
不信感が強いはずなのに、どこまでお人好しなのか…。
もちろんタイタスはケインを釈放する気なんてサラサラなく、
彼を宇宙空間に放り出してしまうのですが、ケインは即席宇宙服で身を守り、
酸素切れになる前にイージス軍に救助され一命を取り留め、
結婚式を襲撃して、ジュピターを奪還するのです。
タイタスの計画も明らかになり、タイタスはイージス軍に逮捕されます。

ジュピターは地球の自宅に戻りますが、家族が長男バレルに拉致され、
取り返すためにバレルのいる木星に向かいます。
バレルは王位を放棄すれば、家族を無事に地球に返すと言うので、
ジュピターはその条件を受けようと思うのですが、
彼女はバレルが明日にでも地球の収穫を始めることがわかってるのに、
家族が地球に返されても、すぐ収穫されて命が一日延びるだけなのに、
不信感が強いどころか、本当に騙されやすいバカ女ですね。
結局、王位放棄の調印の直前に、またしてもケインが
イージス軍と共に乗り込んで来て、バレルを倒し、家族ともども救出され、
地球人収穫計画も阻止し、地球に戻ることが出来るのです。

バレルを倒したと言っても、わざわざ生死不明で描かれているので、
逮捕された次男タイタス共々、続編で再登場させるつもりだったのでしょう。
地球を狙っている長女カーリクも野放しなので、
実際には地球の危機は全く去っていませんよね。
それにしてもわざわざ王位放棄させなくても、数十年でジュピターは死んで、
王位はバレルに戻ってくるんじゃないのかな?
まぁジュピターの子孫に相続されるのかもしれないけど、
彼女は不信感が強く、地球人の恋人は出来ないという謎の設定なので、
子供が生まれることはないだろうし…。
収穫が数十年遅れるけど、少なくとも1万4000年は生きてるんだし、
数十年なんて彼にとってはスグでしょ。

地球に戻ったジュピターは、不満だったトイレ掃除も嫌がらなくなります。
平凡な人生も悪くないと思うようになったのかもしれませんが、
仮にも宇宙の女王なんだから、女王としての公務をしないのは、
あまり褒められたものではないんじゃないの?
ケインはスカイジャッカーに復職し、人工翼も再び装着してもらいます。
でもそんなデカくて邪魔そうな翼より、フライングブーツの方が便利ですよね。
本作の失敗で『マトリックス』三部作で得た名声も使い果たしたし、
ウォシャウスキー姉弟はもう終わりかもしれません。

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