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イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密

線虫とかいう寄生虫で癌の早期発見が出来ることを
九州大学の研究チームが発見したことが話題になっていますが、
これって凄い発見ですよね。
何が凄いって線虫を使った癌診断が数百円で出来るという安さです。
まぁ実際に実用化された時にはもう少し高くなるかもしれないけど、
きっと庶民でも手が届く程度だと思われます。
iPS細胞の発見とかも凄いとは思ったけど、きっと実用化されても高額で、
そんな先進医療はボクなんかには縁がないだろうと思ってたけど、
線虫の癌検診なら受けられそうで、個人的にはiPS細胞の発見よりも有難いです。
まぁ実用化に10年はかかるらしいので、それまでに癌にならなければの話ですが。

ということで、今日は凄い発見(発明)をした研究チームの物語の感想です。
彼らがいなければ、こうしてブログも更新できてなかったかもね。

イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密
The Imitation Game

2015年3月13日日本公開。
ベネディクト・カンバーバッチ主演の伝記スリラー。

第2次世界大戦下の1939年イギリス、若き天才数学者アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)はドイツ軍の暗号エニグマを解読するチームの一員となる。高慢で不器用な彼は暗号解読をゲーム感覚で捉え、仲間から孤立して作業に没頭していたが、やがて理解者が現れその目的は人命を救うことに変化していく。いつしか一丸となったチームは、思わぬきっかけでエニグマを解き明かすが……。(シネマトゥデイより)



本作は第87回アカデミー賞で作品賞をはじめ8部門でノミネートされ、
脚色賞を受賞したオスカー作品です。
脚色賞は主要部門ではないけど、映画は物語が最も大事だと考えるので、
ボクとしては脚色賞は作品賞、脚本賞に次いで価値のある賞だと思います。
なので本作は作品賞・脚本賞受賞の『バードマン』に次いで、
日本公開を楽しみにしていた作品で、公開初日にさっそく観に行きました。
いやー、期待通り面白い作品でした。
でも面白いのは娯楽性が高かったためですが、
あまり娯楽的な作品だとアカデミー賞では倦厭されそうなものなのに、
8部門もノミネートされるなんて不思議だな、と思いながら観てましたが、
最後まで観て納得、本作は本年度のゲイ映画枠だったのですね。

ただ、ゲイ映画が苦手なボクでも難なく楽しめたのは、
そこまでゲイ映画でもなかったからかもしれません。
主人公の天才数学者アラン・チューリングは同性愛者ですが、
本作では彼の男性関係は匂わせる程度の演出で、
主に婚約者の女性ジョーン・クラークとの男女関係に重点を置いています。
そのことは同性愛者などから「事実と違う、アランの同性愛を薄く描いている」と
批判もあったみたいですが、事実と異なっていたとしても映画として見易くなり、
誰でも楽しみ易くなっていることは大切なことですよね。
事実を改変してでも映画として面白いものにしたからこそ、
アカデミー脚色賞を受賞できたのでしょう。

それにしても、アランを演じたベネディクト・カンバーバッチの演技は素晴らしいです。
変わり者の天才を演じさせたらカンバーバッチの右に出るものはいませんね。
企画当初はレオナルド・ディカプリオがアランの演じる予定だったようですが、
ディカプリオではこの魅力は出せなかったと思います。
(ディカプリオの伝記ゲイ映画『J・エドガー』は微妙だったし。)
カンバーバッチが演じるキャラは、なぜかゲイっぽく見えてしまうことが多いけど、
そこにイヤラシさを感じさせないんですよね。
彼にはゲイというよりブロマンス的な爽やかさがあるんですよね。
それにイギリス人を演じるのは、やはりイギリス人俳優の方がいいです。
もちろんアカデミー賞でも主演男優賞にノミネートされましたが、
日本同日公開の『博士と彼女のセオリー』のエディ・レッドメインに敗れました。
本年度の主演男優賞候補5人のうち4人が実在の人物を演じたわけですが、
その再現度で競えば、ホーキング博士を演じたレッドメインに軍配が上がるよね。
前述のようにカンバーバッチのアランは脚色されて魅力的になっているわけだし。
ちなみに婚約者ジョーン演じるキーラ・ナイトレイも助演女優賞候補でしたが、
こちらは実物よりも美化されまくってるみたいです。
以下、ネタバレ注意です。

1939年、イギリスがドイツに宣戦布告。
そんな折、ケンブリッジ大学で特別研究員をしている数学者アランは、
ナチスの無線の暗号を解読を試みるブレッチリー無線機器製造所に入ろうと、
英国海軍デニストン中佐の面接を受けます。
パズルが得意だがドイツ語は出来ないというアランに、中佐は呆れますが、
彼が機密のはずのナチスの暗号機「エニグマ」のことを知っているとわかり、
チェス王者ヒュー率いる暗号解読チームに迎えることになるのです。
暗号解読のチームのリーダーが学者じゃなくチェス王者なんて意外ですね。
チェスの思考力が暗号解読にも活かされるんでしょうか。
ボクはパズル解くのはけっこう得意なんだけど、数学は全然ダメだし、
暗号を解くのにあまり職業や知識は関係ないのかもね。

チームが挑むナチスの暗号機エニグマの暗号は、
159000000000000000000通りの多表式暗号で、
普通に解読しようとすれば2000万年かかる上に、
解読の鍵が毎日午前零時にリセットされてしまうため、
人間が解読しようとしても無理だと考えたアランは、
エニグマに対抗する暗号解読マシンを開発しようと考えます。
ただ10万ポンドもかかるマシンの開発予算も下りません。
そこで彼は自分をリーダーにするようにチャーチル首相に直訴の手紙を書き、
その要求は通って、彼がリーダーになり開発予算も下りるのです。
なんで首相が実績のないアランを抜擢し、開発費まで捻出してくれたのか、
そのあたりが不明瞭でしたが、手紙を託したMI6のミンギスが動いたのかな?
ミンギスはアランを買っているみたいですが、その理由もよくわからないけどね。

もともと変人のアランとは反りが合わなかった同僚たちですが、
アランがリーダーになるや否や、2人の同僚を解雇したことに不満を持ち、
非協力的なので、彼はひとりで暗号解読マシンを作ることになります。
2人解雇しちゃったからか、普通に人手も足りなくなったみたいで、
募集することになるのですが、新聞の募集広告をクロスワードパズルにして、
それを10分以内に解けば応募資格が得られるようにします。
10分以内に解いたなんて証明できないと思うんだけど、
ちゃんと二次の筆記試験もあるから大丈夫なのかな。
二次試験もパズルですが、今度の制限時間は6分のかなり短く、
しかもそのパズルはアランでさえ解くのに8分かかるイジワル問題です。
ところが唯一の女性応募者ジョーンが5分34秒で解いてしまい、
彼女ともう一人をチームに迎え入れることになります。
ジョーンは接客業の女性店員だったので、やっぱり暗号解読には、
特殊な教育は関係なくセンスが大事なのかもしれませんね。

ところがジェンダーにより、女性が男性の中で働くのは体裁が悪いと、
ジョーンはチーム入りを断ってしまうのです。
アランは彼女の家まで行って説得し、女性の多い通信傍受係として、
ブレッチリーで働いてもらえることになります。
二次試験の時は女性だからという理由で受験を一度拒否されて
あんなに不満そうだったのに、なぜ今更って感じですが、
そういう男尊女卑の時代だから仕方なかったのかな?
選ばれし暗号解読チームより誰でも出来る傍受係を方がいいなんてね。
そんな彼女から、「マシン開発にも同僚の協力は必要」
「嫌われないようにした方がいい」と諭されたアランは、
ヒューたち同僚に差し入れしたり、小粋なジョークを言ってみたり、
柄にもない努力が実を結び、ヒューからもマシンの処理速度を上げる
アイディアを貰ったりと、みんな協力的になってくれます。
うんうん、やっぱり何事も協調性は大事ですよね。
「野球は9人でやるんだ」的なちょっと熱い展開でしたが、
もっと深い溝がありそうだったのに、同僚も手のひら返すの早すぎな気も…。

1941年、ついに暗号解読マシン「クリストファー」が完成します。
「クリストファー」という名前はアランの学生時代の唯一の友達の名前です。
変わり者でイジメられっ子だったアランに優しくしてくれた男子で、
アランは彼に友情以上の感情を抱いていたみたいですが、
彼は休暇明けから学校に来なくなり、どうやら結核で亡くなったそうで…。
彼への想いを13年も持ち続け、暗号解読マシンに彼の名を付けたわけです。
うーん、プラトニックな同性愛ですね。
しかし完成したクリストファーですが、やはりエニグマの解読は出来ず…。
クリストファーがどんなシステムで暗号解読しているのかわかりませんが、
見た感じだとたぶんパターンを総当たりしているような感じですね。
人間よりも早いのは間違いないだろうけど、まだまだ処理速度は遅いし、
159000000000000000000通りの総当たりでは焼け石に水か…。

結果が出ないまま月日は流れ、痺れを切らしたデニストン中佐が、
内務省の担当官を連れて、アランのクビを宣告しにやって来ます。
しかしアランと和解した同僚たちが「彼が辞めるなら私も辞める」と言い出し、
チームが解散するのは困る中佐は「あと1カ月待つ」と…。
暗号解読には至らないにしても、クリストファーで効率が上がってるんだし、
元の手作業に戻すなんて意味ないので、アランを解雇しても仕方ないけど、
どうやら中佐は結果が出ないことだけを問題視しているのではなく、
アランがソ連の二重スパイではないかと疑っているみたいなのです。
同僚たちもチーム内にスパイがいるらしいということは聞いているので、
ちょっと前まで険悪だった彼らがアランを信用するのは少し不思議かも。
まぁもしスパイだったら、仲間にもっと溶け込むのも上手いだろうし、
アランほどスパイに向いてない人物もいないけど、それがまた怪しくもあり…。
正直ボクもアランがスパイの可能性をちょっとだけ疑ってました。

そんな折、急にジョーンがブレッチリーを辞めると言い出します。
両親から「25歳なのにまだ結婚もしないなんて」と言われたらしく、
実家に帰ってくるように命じられたらしいのですが、
今なら25歳独身なんて当たり前なのに、やはり時代ですね。
アランは「それなら婚約者がいれば残れるんだね」と、彼女にプロポーズします。
でもアランは同性愛者なので、彼女のことは確かに好きですが、
恋愛感情ではないため、求婚したものの交際に不安を抱き、
同僚のジョンに「彼女にカミングアウトするべきか」と相談します。
するとジョンは「同性愛は違法だから面倒なことになるぞ」と反対するのです。
そんな法律があったのは聞いたことがあるけど、1940年代にもまだったんですね。
ジェンダーもそうだけど、たかだか70年ほど前のことなのに、
現在とは全く時代が違うんですね。
だからこそ、そんな時代に後のコンピューターを作ったアランは凄いんだけど。

アランは同性愛を隠してジョーンと婚約します。
期限も迫ったある日、アランはジョーンの同僚の無線傍受係と話す機会があり、
彼女からナチスの無線士には各々、信号の打ち方に癖があると聞きます。
ある無線士は暗号文の初めに「CILLY」と恋人の名前らしき文字を打つと…。
それを聞いたアランは「繰り返される言葉」を重視すれば、
試す必要のないパターンを除外し、効率化できると考え、
毎朝6時の天気予報には、必ず「天気」「ハイル」「ヒトラー」の3語が
使われるのがわかっているので、そこからパターンを絞り込むことができると…。
その考えは的中しており、ついにエニグマの解読に成功するのです。
まさかナチスも決まり文句「ハイル・ヒトラー」を逆手に取られるなんて
全く考えてなかったでしょうね。

翌日、早速傍受した暗号を解読してみると、
ナチスの潜水艦Uボートが旅客船団を攻撃しようとしていることがわかり、
このままでは民間人500人が犠牲になってしまいます。
すぐにデニストン中佐に報告しようとする同僚をアランが阻止。
ここで船団が進路を変えたらエニグマが解読されたことがナチスにばれ、
更に複雑な暗号にされてしまうかもしれないので、
報告する情報は統計で判別し、あえて無視することも必要だと…。
なるほど、確かにその通りですが、それって人名の取捨選択を、
アランらチームが行うということで、倫理的にはかなり際どい話です。
その船団には同僚ピーターの兄が砲手として乗っていましたが、
それでも無視するんだから、その覚悟は相当なものです。

連合国はもちろん、軍部にもエニグマを解読に成功したことは秘密にし、
もし報告すべき情報はMI6経由でリークすることになります。
ところが、ある日アランは同僚ジョンがソ連のスパイだと気付いてしまうのです。
そのキッカケはビール暗号がどうとか言ってましたが、よくわかりませんでした。
ジョンは「私の正体をばらせば、君が同性愛者だとばらす」と脅し…。
しかしMI6ミンギスが婚約者ジョーンをソ連のスパイと考えていると思ったアランは、
ミンギスに同僚ジョンがスパイだったと密告してしまうのです。
ところがミンギスは「初めから知ってた」と…。
ミンギスはソ連を利用するために、あえて情報を流していたのでした。
まぁソ連は連合国だし、ナチスを倒すのは共通の目的なので、
情報を悪いようには使わないだろうと思いますが…。
スターリングラード攻防戦でもエニグマの解読情報は大活躍したようです。
他にもノルマンディー上陸作戦の成功の裏にも解読情報があり、
クリストファーは戦争の終結を二年早めたと評価されているみたいです。
ボクの印象では二年どころではない功績な気がしますけどね。
日本としては原爆落とされて決着が付いたような印象なので、
エニグマ解読で第二次世界大戦の終戦が早まったというのはピンとこないけど。

ミンギスに不信感を覚えたアランはジョーンをブレッチリーから離れさせるために、
自分が同性愛であることをカミングアウトし、婚約解消を申し出ます。
しかしジョーンは「知ってた」と拒否し、チーム解散までブレッチリーに残るのです。
ジョンにもばれてたけど、アランの同性愛はばればれなんですね。
解散時には全ての証拠を燃やし、チームの存在は闇に葬られ、
50年後に公表されるまで機密だったらしいです。
ソ連(ロシア)は知っていたはずなのに、律儀に黙ってたんですね。
一番残しておいたらマズそうなクリストファーだけは、
アランが自宅で保管していたみたいですが…。

1951年、ケンブリッジ大学の教授になっていたアランの自宅に、
何者かが盗難を働いたそうで、気付いた近所の住人が警察に通報。
ところが、当のアランは「何も盗まれてない」とノック刑事を追い返します。
不可解に思った刑事はアランを経歴を調べますが、彼の軍歴は機密扱いで、
何も情報が残ってなかったため、どこかの国のスパイではないかと考えるのです。
そんな折、アランの自宅に侵入したという同性愛者が逮捕され、
アランはスパイではなく、同性愛者だと判明します。
ノック刑事は納得できず、アランに最後の尋問を行い、
アランはブレッチー時代のことを彼に話して聞かせるのです。
国家機密なのに三下の刑事なんかに話しちゃって大丈夫かと思いましたが、
アランも誰かに聞いてもらいたかったみたいですね。
特に人名の取捨選択をしていたことについて、
「私は国の英雄なのか犯罪者なのか」と悩んでいたみたいです。
まぁ刑事はその問いに答えてくれなかったので話し損でしたが…。
でもその判断は確かに難しいですよね。
多くの人を見殺しにしてはいるけど、戦争を二年早く終わらせて
1400万人を救ったと言われているので、やっぱり連合国にとっては英雄かな?

同性愛者のアランはわいせつ罪で有罪になりますが、
刑務所に入るとクリストファーが没収されてしまうと考え、
同性愛を薬物治療することで収監を免除されます。
1950年代でも同性愛は病気と考えられていたってことですね。
ホルモン投与による科学的去勢らしいのですが、そんなの効果あるの?
でも何だか手は震えてたし、精神的にも不安定になってる感じで、
1954年、アランは41歳の若さで自殺してしまいます。
ノック刑事が踏み込んだ時に青酸カリを床にこぼしていたようですが、
たぶん服毒自殺したのでしょう。
でもこの最期だと薬物治療による同性愛の闘病が自殺の原因か、
戦時中に多くの人を見殺しにしたストレス障害が自殺の原因か、
ちょっと不明瞭な気がします。

まぁ自殺する数年前に元婚約者ジェーンが訪問して、
彼の偉業を褒め称えてくれたので、戦時中のストレス障害は緩和されてそうだし、
どちらかといえば同性愛の自殺の原因かな?
アランは2013年に女王から死後恩赦を与えられますが、
そもそも同性愛なんて罪じゃないし、恩赦というのも変な話です。
当時、彼の他にも4万9000人もの同性愛者が罪に問われたみたいですが、
恩赦を受けたのはアランだけだったみたいで、本作をキッカケに
同性愛者の権利団体が全員の恩赦を求める活動をしているそうです。
たしかにアランが偉人だったから同性愛が許されるというのは変な話なので、
その活動に対し政府や王室がどうするのか見物ですね。

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