ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

ソロモンの偽証

本日、全国の松竹系シネコンで行われた、
「『ソロモンの偽証』前後篇イッキ魅1日限りのプレミア上映会」に行きました。
そのイベント名通り、3月7日公開の『ソロモンの偽証 前篇・事件』と
4月11日公開の『ソロモンの偽証 後篇・裁判』を1日限りで連続上映し、
イッキ見できるという上映会です。(でもプレミア上映ではないです。)
鑑賞料金も2本で2400円なので、普通に観るよりはちょっとお得。
でも今日はファーストデイなので、映画1本1100円で観れるので、
2本で2400円は1本あたり100円の損なのかな?
まぁ前篇は約1週間、後篇は約6週間の先行上映になるので、
その程度の割り増しなら払う価値はあるかな。

ボクにとっては先行して観れることももちろん嬉しいですが、
前後篇を一気に観れることの方が有難いです。
なにしろボクは明日をも知れぬ身だから…。
…というわけでもないけど、後篇まで待つのが面倒臭いんですよね。
本作は前篇を春休み映画、後篇をGW映画にしようという
興行的意図があるようですが、その間1カ月も空きがあり、
前篇を観た時のモチベーションを持続したまま後篇に臨むのは難しく、
更に言えば、前篇の内容を覚えておくのもちょっと大変です。
ボクは記憶力が悪い上、1カ月も開けばその間に20本くらい映画を観るので、
よほど印象的な映画でもない限りは、どんどん記憶が上書きされてしまいます。
実際丸1カ月前に観た凡作『繕い裁つ人』なんて忘却の彼方ですからね。
だから前後篇にするにしても、なるべく間隔は短めでお願いしたいです。
本作は5カ月もある『寄生獣』の間隔に比べたらマシですが、
できれば3週間、いや2週間、いやいや翌週、やっぱりイッキ見が一番いいです。
特に登場人物が多い上に、メインは無名の若手俳優ばかりで覚えにくい本作は、
続けて観ないと登場人物の顔と役名が一致せず混乱しそうです。
(中学生役で知ってる子は「まえだまえだ」の兄だけでした。)

ということで、今日はイッキ見した『ソロモンの偽証』の感想です。
実質2本なので感想も前篇、後篇に分けて書こうかなとも思いましたが、
すでに後篇も観ているのに、前篇の感想書くと白々しい内容になりそうなので、
前後篇まとめての感想を書くことにしました。

ソロモンの偽証
ソロモンの偽証 前篇・事件ソロモンの偽証 後篇・裁判

2015年3月1日公開。
宮部みゆきの小説を映画化したミステリー。

クリスマスの朝、雪に覆われた中学校の校庭で柏木卓也という14歳の生徒が転落死してしまう。彼の死によって校内にただならぬ緊張感が漂う中、転落死の現場を目にしたという者からの告発状が放たれたことによってマスコミの報道もヒートアップ。さらに、何者かの手による殺人計画の存在がささやかれ、実際に犠牲者が続出してしまう。事件を食い止めようともせず、生徒たちをも守ろうとしない教師たちを見限り、一人の女子生徒が立ち上がる。彼女は学校内裁判を開廷し、真実を暴き出そうとするが……。(シネマトゥデイより)



前述のように前後篇一挙公開の上映会でイッキ見することができたのですが、
たぶんこんな機会でもなければ観なかった作品です。
全く興味がなければ、どんな機会だろうと観に行かないはずなので、
多少気になっていたのは間違いないけど、本作で気になった点は、
中学生が学校内裁判を行うという異色の法廷ものだったからですが、
タイトルでもわかる通り、学校内裁判が行われるのは後篇です。
それを観るためだけに学校裁判の行われない前篇を観に行きたいとは思わないし、
前篇を観なければ、当然後篇を観に行くはずもありませんからね。

実際に観てみても、やっぱり面白いのは異色法廷ものだった後篇でした。
というか、前篇だけでは解決しない事件の話なので面白いはずないです。
きっと松竹も、学校内裁判の行わない前篇が面白くないから、
後篇まで観ないと面白くないということを口コミで広めてほしくて、
全国でイッキ見上映会を行ったのだと思われます。
普通ならネタバレを恐れて、前篇公開前に後篇を上映したくないだろうし、
ましてやネタバレ厳禁のミステリーなら尚更なはずですが、
ネタバレのデメリットよりもバイラルのメリットを選んだのでしょう。
まぁ宮部みゆきのベストセラー小説が原作だから、
きっと有名で、今更ネタバレを恐れても仕方ないかもしれませんね。
以下、ネタバレです。

ソロモンの偽証 前篇・事件

1990年12月25日クリスマス、そして二学期終業式の朝。
城東第三中学校の2年A組学級委員長・藤野涼子は、
不登校の飼育委員・柏木卓也の代わりに、ウサギ小屋の世話をするため、
同じく飼育委員代理の同級生・野田健一と共に朝早く登校します。
通用門から学校に入った2人は、校舎の裏に積もった雪の中から、
人の手が生えていることに気が付き、慌てて雪を掘り返すと、
屋上から飛び降りたと思われる柏木の遺体を発見してしまい…。
学校から通報を受けた警察は柏木の死を投身自殺と断定します。
同級生の遺体の第一発見者になるなんてトラウマものですよね。
ボクだったら絶対に掘り返せないですが、2人は根性があるというか、
たしかに驚いてはいたけど、意外なほど冷静でしたね。
しかしイブの夜に死んだとして、翌朝に雪で隠れるほど積もるものかな?
ミステリーなのでちょっとした疑問が疑念になりますね。

しかし春休み最終日、「大出俊次ら3人が柏木を突き落した」という内容の、
同級生からと思われる匿名の告発状が藤野の家に届くのです。
藤野に告発状が届いたのは、彼女の父親は刑事だからです。
他にも校長にも同様の告発状が届くが、警察と学校は自殺と断定しているため、
告発状はデタラメだと決め付け公表は控え、告白状の差出人を特定するため、
カウンセリングと称して2-A生徒から聞き取り調査を行います。
その調査中の態度から、三宅樹理と浅井松子が差出人だとほぼ特定します。
しかし告発状はもう一通、2-A担任・森内先生にも配達されていましたが、
森内先生が読む前に、何者かによってHBS報道局の茂木ディレクターに投書され、
学校と警察が告白状を隠蔽したことがマスコミにバレてしまうのです。
同封された手紙には「担任が破り捨てたものを拾った」と書かれており、
茂木Dは森内先生を糾弾し、容疑者・大出を調べるため突撃取材を始め、
告発状の存在が職員や生徒、保護者にもバレてしまい、
森内先生は同僚から批難され退職、大出は犯人扱いされることになります。
その事件は後にテレビでも放送されてしまい…。

マスコミの正義を気取ったハイエナっぷりには嫌気が差しますが、
森内先生への糾弾は酷いけど、大出を犯人扱いしたのはグッジョブです。
大出は酷いにも程があるイジメっ子で、過去に(差出人と思われる)三宅を、
「顔が汚いバケモノ」の罵り、顔面を踏みつけるなど流血沙汰の暴行していて、
三宅を助けに入った浅井までも男子3人がかりでリンチしてます。
そんな反吐が出るイジメを女子にするなんて…。
いや、これはもうイジメではなく暴行事件ですよね。
なぜ三宅たちが学校や警察にチクらないのか不思議ですが、
大出は金持ちで、過去にも何度も暴行事件を金で握り潰しているらしく、
チクっても無駄、報復されるだけと考えたみたいです。
三宅が復讐のために匿名の告発状を書いたとしても無理からぬことだし、
大出が例え柏木殺しの犯人ではないにしても、報道で犯人扱いされ、
人生が滅茶滅茶になるのは自業自得でいい気味です。
でも茂木Dに投書したのは、差出人本人じゃないみたいで、
森内先生が雇った探偵の調査で、彼女の郵便受けから隣人が盗み、
嫌がらせのために投書したみたいです。
てっきり学校や警察に無視された差出人がマスコミにリークしたのかと思いました。

事件が報道され、学校は緊急保護者説明会を開かねばならなくなります。
壇上にはこの件を担当する佐々木刑事が上り、柏木の死は自殺で、
告発状はデタラメであるとする警察の見解を説明。
告発状によれば、差出人は目撃者のはずだが、
深夜の学校の屋上の出来事に目撃者がいるとは考えにくいし、
もし目撃者がいたとしても、通報しないかったのは不自然だ、という見解ですが、
まさにその通りで、ボクも差出人が目撃したのかは半信半疑でしたが、
これを聞けば、告発状がデタラメなのは間違いないと思えました。
保護者たちもその非の打ち所がない見解に納得して帰ります。
その保護者の中に浅井の両親もおり、帰宅して娘に説明会で聞いた話をします。
それを聞いた浅井は慌てて家を飛び出しますが、事故に遭いそのまま帰らぬ人に。
彼女の友達だった藤野は倒れるほどのショックを受けますが、
親友だった三宅はショックから喋ることができなくなってしまい…。
いやー、ボクも彼女の死はショックでした。
浅井は体型通りホントに大らかな優しい子で、性格に難のある三宅からも
「デブ」とからかわれても、一切怒らず、逆に嫌われ者の三宅を庇っています。
あの狂犬・大出からも身を挺して助けようなんて、普通は出来ませんよね。
本作は腐った登場人物が多いので、オアシス的な子だったのに…。

校長も浅井の死を受け、対応を誤ったことを悔い、自ら退職します。
でも浅井の死は自殺でもなければ殺人でもなく、交通事故なので、
当事者を除けば誰に責任があるって話じゃない気がしますが、
校長だけじゃなく、藤野も責任を感じてるんですよね…。
実は藤野は浅井と三宅が大出らにリンチされていたところを目撃していたけど、
怖くて止めに入れず、友達の浅井を助けられなかったと後悔し続けています。
その現場に柏木もいて、「口先だけの偽善者は一番悪質だ」と罵られ、
電車に飛び込み自殺を謀ったほど傷付いたみたいです。
柏木も浅井たちを助けなかったくせに、よく他人にそんなことが言えたものですが、
こんな嫌なやつが被害者の事件なんて、何だかどうでもよくなりますね。

藤野は浅野の弔うために「逃げずに戦おう」と心に決め、取材に来た茂木Dも、
「全部、私たちで調べるから、もう関わるな。」と追い返すのです。
藤野は野田から別の中学校の生徒・神原和彦を紹介されます。
彼は有名進学校の生徒で、被害者・柏木の小学校時代の知り合いらしく、
例の報道を見て柏木の死を知り、第一発見者の2人に会いに来たみたいです。
3人は「容疑者・大出と告発者・三宅のどちらかが嘘を付いている」
「学校では2人とも有罪扱いだ」「2人とも有罪なんて本当の裁判じゃありえない」
と話し、藤野は「それなら私たちで裁判しよう」と学校内裁判を2-A生徒に提案。
しかし優等生・井上康夫ら一部の生徒は「先生を怒らせて内診に響く」と反対。
実際に先生たちも学校内裁判を快く思わず、体罰を使ってまで阻止しようとするが、
逆にそれが生徒の反感を買い、反対していた井上も協力してくれることに。
井上は判事役も任されますが、その重役は満更でもないみたいで…。
井上って頭がいいのに乗せられやすい面白い性格で、なんかいいキャラです。
賛成してくれる北尾先生の助力もあり、学校内裁判は容認されます。

浅井の事故死以来、引き籠った三宅を被告人として出廷させるのは難しいので、
大出を被告人にして、彼と利害関係のない神原が弁護人をすることに。
検事は藤野が請け負い、判事・井上の負担を軽くするため、陪審員裁判にします。
1991年なので、裁判員制度が始まるずっと前だから、時代を先取りですね。
ただ、あの超不良・大出を被告人として出廷させるのも三宅以上に無謀な気が…。
そんな折、大出の家が火事になり、彼の祖母が焼死します。
大出にしてみたら、ますます学校内裁判どころではないけど、
神原が「犯人扱いされて悔しくないのか。僕が弁護して無罪を証明してやる」
と説得し、大出は心を動かされますが、彼の暴力的な父が反対し…。
被告人の出廷が決まらないまま、裁判の準備を始めることになります。
で、なんやかんやあって後篇に続きます。

イッキ見でもちゃんと前篇にエンドロールは流れますが、それを見て驚いたのは、
主人公・藤野涼子を演じる若手女優の名前が藤野涼子だったことです。
本名を役名にしているのかと思ったけど、彼女は本作がデビュー作で、
どうやら三國連太郎のようにデビュー作の役名を芸名にしちゃったみたいです。
そりゃそうですよね、もしこれが彼女の本名だったら、
オーディション時に原作の主人公の同姓同名だから選ばれたことになるもんね。
中学生役はほぼオーディションみたいですが、大人役はベテラン揃いで、
そんなベテラン俳優を脇に従えての堂々とした演技は只者ではないです。

前篇を終えて、10分間の休憩がありましたが、正直もう帰りたかったです。
後篇分の料金も払ってるので、何とか思い留まりましたが、
やっぱりもし一般上映で観ていたら、約1カ月後の後篇は観に行かなかったかも。
前篇はホントに後篇への助走なので、何も盛り上がりがなく退屈だったし、
内容的にもイジメとか嫌がらせとか鬱屈した不愉快な展開が続いてしんどいし、
登場人物も好感が持てない奴が多すぎます。
特に最低な被告人・大出はもちろんですが、告発者と思われる三宅も、
更に被害者の柏木までも、当事者全員嫌な奴って設定ですからね。
裁判で誰を守るにしても、気持ちいい展開になるとは思えません。

しかもせっかく前後篇に分けたミステリーなのに、
前篇を観た客が推理できる要素なんてほとんどありません。
裁判の目的は「大出と三宅のどちらが嘘を付いているか」を明らかにすることで、
争点は主に柏木と浅井の死の真相、告発状の差出人の正体ですが、
浅井がトラックに撥ねられたシーンは明確に描かれているし、
三宅が告白状を投函したシーンも描かれているので
差出人が誰かなんて疑問を挟む余地はなく、その動機も完璧に描き済み。
残る謎は大出が本当に柏木を殺したのかですが、
被告人がそのまま真犯人なんてミステリーは考えにくいです。
別の意外な真犯人が明らかにという展開も期待できますが、
ミステリーでは警察が自殺と断定した場合は、大概本当に自殺なんですよね。
つまり本作は、前篇では表向き、何も謎なんて残していないんですよ。

ただ裁判に関係するかはわかりませんが、不可解な点はあります。
それは弁護人・神原がなぜ柏木に執着するかです。
前篇で彼の父が母を殺したという壮絶な生い立ちが語られますが、
そんな設定を意味もなく付けるはずないので、柏木の死と何か関係あるはずだと。
更に神原は誰でも気付くような明らかに矛盾した言動も見せており、
裁判で何かしようと企んでいるのは間違いないですが、
彼の正体や目的を推理できるほど、前篇にはヒントがありません。
つまり前篇には解けてしまっている謎と、解きようのない謎しかなく、
その状態で解決編とも言える後篇に期待できるはずないです。
しかも後篇は、けっこう長く思えた前篇を超える146分もの長尺なので、
たった10分の休憩でハシゴするのは辛く、帰りたかったです。
以下、後篇の感想に入りますが、引き続きネタバレ注意です。
通常公開で鑑賞し、4月公開の後篇を楽しみにしている人は引き返してください。

ソロモンの偽証 後篇・裁判

裁判初日から始まるのかな?と思ったら、裁判の数週前から後篇スタートです。
検事・藤野は大出家の火災が、大出父の保険金目当ての自作自演だと考えます。
放火犯は大出父に頼まれて放火したのですが、
イブに放火の打ち合わせで大出家を訪れており、その時、息子に会っていたら、
被告人・大出のアリバイが立証されることになります。
放火犯はすでに逮捕されているため、藤野は刑事である父に、
放火犯を出廷させてほしいと無茶なお願いをします。
いくら真相追及とはいえ、検事が被告人の無罪を証明する証人を捜すなんて、
そんな狎れ合い裁判はなんだか釈然としません。
父は熱意に押され、放火犯出廷は無理だが、何か手は打つと約束。
裁判に反対する大出父も逮捕されたことで、大出は出廷できることになります。
一方、森内先生がサイコな隣人から瓶で殴られ病院送りになる傷害事件も発生。
どうでもいいけど、これから柏木の自殺の裁判が始まる前に、
本当の刑事事件である放火殺人事件とか凶悪傷害事件とかが起こっちゃったら、
メインの裁判がショボく感じちゃう気がするんだけど…。
どんどん裁判への期待感が薄くなってしまいます。

検事側は被害者・柏木の両親にも会い、事件当日の通話記録を提供されます。
息子を失った両親が、こんな一見お遊びみたいな裁判に協力するなんて意外。
通話記録には両親の知らない着信履歴が立て続けに4件残されており、
いずれも別々の公衆電話からかけられたみたいです。
大出が柏木を呼び出すのに使ったのではないかと考え、
各電話ボックスの周りで聞き込みをすると、近くの電気店店主が、
その時間にそこで電話をかけている少年を見たと言いますが、
大出の写真を見せると、たぶん違うと思う、と…。
藤野は弁護人・神原に通話記録の見解を聞きますが、(狎れ合いすぎ。)
彼は柏木本人がかけたのではないかと持論を展開。
そこで店主に柏木の写真も見せますが、やはり違う、と…。
藤野はなぜ神原がそんな推理をしたのか疑念を感じ、色々思い返してみると、
神原が柏木の葬式に来ていたことを思い出し、
「彼は茂木の報道番組で柏木の死を知ったと言ってたのに矛盾している」
と気付き神原を詰問し、彼は「今はまだ話せない」と言葉を濁し…。
弁護人・神原の正体に疑念を抱いたまま、ついに学校内裁判が開廷します。
疑念のお蔭で裁判直前に狎れ合いから対決ムードに移行したのはよかったです。
これで裁判の成り行きも少しは楽しめそうだなと思いました。

初日に証言台に立つのは、一貫して大出の無罪を主張する警察・佐々木刑事。
弁護側の主尋問で佐々木は、大出のことは何回も補導してよく知っているが、
単純馬鹿なので、わざわざ屋上に呼び出して殺したりはしないと主張。
しかし反対尋問で、大出を無罪と決め付けアリバイも調べてなかったと認めます。
2日目、元校長が証言台に立ち、不登校の柏木を家庭訪問した際、
人生に悲観したようだったので、自殺で間違いないと思ったと証言。
午後には森内先生が証言台に立ち、柏木は面倒な生徒だったと言い、
自殺はショックだが安堵もしたと証言します。
あまりに正直すぎる証言でビックリですが、彼女もちょっと変な人ですもんね。
自分は死んだ柏木に呪われていると本気で思っているみたいだし。
それにしても予想外に裁判がトントン進みますね。
テンポがよくていいけど、実際は真相に向けて何も進展していない気も…。

3日目、検事・藤野の呼びかけに応じ、三宅が証言台に立ちます。
彼女は意外にも、事件当日は家にいて、殺害現場は見てないと言い出します。
現場を見たのは浅井で、告発状も浅井が書き、自分は投函に付き添っただけと証言。
「疑うなら死んだ浅井に聞いてよ」と言い、反対尋問も拒否して、退廷します。
死んだ大親友に罪を着せようなんて、ホントに性根が腐ってます。
4日目、藤野の父が連れて来てくれた、放火犯の弁護士が証言台に立ち、
私の依頼人は事件当日の夜に大出家で被告人に会ったと言っていると証言し、
大出のアリバイが立証されるのです。
藤野は傍聴席の父に「ありがとう」とアイコンタクトしますが、
被告人の無罪立証されて検事が感謝してどうする、さっさと反対尋問しろよ。

4日目の午後はいよいよ大出が証言台に立つ本人質問ですが、
アリバイ立証されて気が大きくなった彼の態度は最悪で、
傍聴席には彼に酷い目に遭わされた生徒やその保護者も多く、
野次が飛び交い法廷は騒然となります。
弁護人の主尋問で神原は、君はデタラメな告発状にハメられたが、
なぜハメられなければいけなかったのか心当たりはないか、と質問し、
三宅と浅井に対する暴力の他、これまでの大出のイジメ歴、
…いや犯罪歴を読み上げ、事実かどうか問います。
証言台の大出は激高しますが、結局は事実と認め…。
でも誘導尋問で認めただけなので反省の色も見えないし、
大出が酷い人間ということは公然の事実なので、一見やりこめた風だが、
実際には大出に大してダメージを与えられてないような気も…。

しかし神原は、差出人がデタラメな告発状を書いたのは、
大出が追いつめたからだ、と三宅を擁護したことで、
死んだ親友・浅井に罪をなすりつけた三宅は改心するのです。
浅井は三宅が本当に柏木殺しの現場を目撃したと信じていて、
告発状を投函するのに付き添いましたが、事故当日の夜、
両親から緊急説明会の内容を聞き、三宅に事実確認に行ったところ、
三宅はあっさりデタラメだと認め、「あんたも共犯よ」と言われ、
それがショックで駆け出し、道路に飛び出して車に轢かれたようです。
浅井は自分が共犯にされたことよりも、図らずも無実の大出を
犯人扱いしてしまったことを悔いており、本当に優しい子です。
一方の三宅は自分の一言で親友が死んでしまったようなものなのに、
共犯どころか死んだ親友に罪を着せたんだから本当に最低な女。
神原もこんな女なんて擁護する必要ないだろと思ってしまいましたが、
そのために依頼者である被告人を叩くなんて弁護人としてどうなの?
被告人を攻撃する弁護人と被告人が無罪が立証されて感謝する検事、
ここまで変な構図の裁判だと、逆に興味深いです。

最終日、検事・藤野は新たに2人の証人の召喚を申請。
1人目は例の電話ボックスで少年を見かけた電気店店主で、
証言台に立った店主は、弁護人席を指さし、彼が電話をしていた少年だと証言。
藤野は2人目の証人として、弁護人・神原を証言台に立たせます。
神原もまさか自分が証言台に立たされるとは、予想外の事態だろうな、
と思ったら、これは事前に藤野と神原が示し合わせていた展開のようで、
やっぱり狎れ合い裁判で終わるのかとちょっとガッカリです。
神原は自分の正体や弁護人を引き受けた動機など真相を話すために、
証言台に立ちたかったみたいで、実際に真相を全て証言するのですが、
最後に本人が全て語って解決するミステリーってどうなの?
神原の正体も主人公である藤野が推理で明らかにしてほしかったです。

神原は4か所の電話ボックスから柏木に電話を掛けたのは自分だと認めます。
柏木は「こんな下らない世界もういいや」と中二病丸出しの理由で自殺を仄めかし
友達だった神原は「死ぬのだけは駄目だ」と思い留まらせようとしますが、
柏木の口癖「口先だけの偽善者が一番最悪だ」が炸裂。
口先だけでないことを証明させるために、両親が酷い亡くなり方をしたので、
両親のことを忘れたい神原に対し、両親との思い出の場所4か所を周り、
その都度、電話で感想を聞かせろ、という残酷なゲームをさせるのです。
被害者・柏木も嫌な奴っぽいとは思ってましたが、まさかこれほどとは…。
すぐ暴力を振るう単純な大出よりも、心の傷口を抉る柏木の方が陰湿で、
こんな奴は死んだ方が世のためだなと思っちゃいますね。

そんなクソ野郎の唯一の友達である神原は、それでも彼の自殺を止めようと、
そのゲームを渋々了承するが、神原の古傷を抉りたい柏木の思いとは裏腹に、
神原はそのゲームをしたことで、辛い記憶も蘇ったが、
逆に両親との楽しかった思い出も蘇り、前向きな気持ちになるのです。
柏木から夜の学校の屋上に呼び出された神原はゲームの感想を話しますが、
そんな前向きな結果は期待してなかった柏木は納得せず、
「空っぽで鈍い人間は存在価値なし」「アル中の人殺しの息子のくせに偉そうに」
と罵り、神原も流石に愛想が尽き「僕にはもう無理」と去ろうとします。
慌てた柏木は「お前が帰るなら飛び降りるぞ」と脅しますが、
神原は「好きにしろ、勝手に死ね」と吐き捨てて帰ってしまい、
その後柏木が本当に飛び降りて死に、そのことを翌日のニュースで知って、
「僕が殺したようなものだ」と酷く後悔したらしいです。
いやー、この屈折しまくった柏木の自殺を食い止めるなんて、
神原じゃなくてもインポッシブルなミッションですよね。
まぁ柏木も神原を甚振りたくて自殺を仄めかしただけで、
実際はそこまで死ぬ気はなかったのかもしれませんが、
やりすぎて唯一の友達にも見放されたら、死にたくもなるかな。

罪悪感に苛まれた神原ですが、この出来事を警察に話しても
自分が裁かれないので意味がないと考え、ずっと隠していたのですが、
そのせいで無実の大出に濡れ衣がかかったことを申し訳なく思います。
更に自分が裁かれる機会になればいいと考え、
事件の真相を知りたがっている藤野や野田の気持ちを利用し、
学校内裁判を計画して、大出の弁護人になるのです。
…ってことだけど、どう考えても裁判を提案したのは神原ではないです。
前述のように3人で話した時、野田が「大出と三宅のどちらかが嘘を付いている」
藤野が「学校では2人とも有罪扱いだ」と言ったのを受けて、
神原が「2人とも有罪なんて本当の裁判じゃありえない」と言ったことで、
藤野が「学校内裁判をしよう」と思い立ったわけですが、
一見すると神原が学校内裁判の開くように誘導しているとも言えなくはないが、
「有罪」なんて裁判用語を先に持ち出したのは藤野ですからね。
百歩譲って神原の発案だとしても、学校の反対などを乗り越えて、
開廷に漕ぎ着けたのは奇跡に近いことで、そんなことを計画できるはずないです。

あと神原の話が本当だとして、ちょっと疑問に思ってしまったのは、
裁判初日の佐々木刑事の尋問で明らかになった、
現場の屋上にも柏木の遺体にも、屋上の鍵がなかったということ。
これにより柏木ひとりで自殺したとは考えにくいと証明され、
大出犯行の可能性が強まる展開だったわけですが、
柏木に愛想を尽かして帰った神原がわざわざ鍵を持ち帰るわけはないし、
それならなぜ現場に鍵がないのか疑問に思います。
まぁ柏木が事前に屋上の鍵を開け、鍵を保管場所に戻したのでしょうが、
それならひとりで自殺した場合でも同じことが言えるはずだし…。

神原の証言を受けて、判事・井上は最終弁論、最終論告は必要ないと判断。
陪審員の評議に入ますが、普通ならどんな評決に達するかドキドキだけど、
ここまで全てが詳らかになった事件だと、満場一致で評決なんて決まっています。
別に陪審員裁判にする必要はなく、裁判長が判決を下せばいいくらいです。
もちろん評決は被告人・大出は無罪です。
彼が柏木殺しに関わっていないのは間違いないけど、
最終日でも暴れて廷吏が止めに入るほど最後まで態度が悪く、
他の犯罪的イジメ行為を反省したとも思えなかったので、
こんな奴は例え冤罪でも有罪にするべきだろと思っちゃいますよね。
心象で判決が左右されるところが、陪審員制度の面白いところなのに、
なぜ満場一致で無罪評決になる展開にしたのか納得できません。
原作執筆当時に裁判員制度が話題になったから、ただ便乗したとか?

判事・井上は裁判を閉廷を宣言しようとしますが、
神原は「まだ僕が裁かれていない」と続行を要求。
「これで終わったら裁判した意味がない」と閉廷を阻止しようとしますが、
藤野が「私たちは裁判で未来に立ち向かう勇気を得た」と
裁判が無駄ではなかったと説得し、閉廷することができます。
結局、被害者・柏木がどれだけ嫌な奴かを明らかにしただけの欠席裁判で、
大出も三宅も神原も、誰も裁かれてないのは少し釈然としませんが、
大出と三宅は閉廷後に改心の素振りを見せているのがせめてもの救いか。
でも釈然としないから面白くなかったということもなく、
前篇よりも後篇の方が圧倒的に面白いと思ったし、その証拠に、
前篇よりも長いはずなのに、あっという間に終わった気がしましたから。
後篇の半分以上は裁判のシーンで、舞台も法廷がメインで絵変わりしませんが、
それでもなぜか退屈しないのが法廷ものマジックですね。

裁判から23年後、教師となった藤野は城東三中に赴任してきます。
藤野は当時、高木主任とか教師連中に裁判を妨害されそうになったし、
担任・森内先生や津崎校長など、志はともかく無能な教師ばかりだったので、
なんで教師を目指したのか不思議ですが、まさに反面教師ってやつかな?
当時の裁判のことは校長が代々語り継ぎ、伝説になっているようで、
裁判以来、この学校ではイジメも自殺も起こってないと校長が言うけど、
自殺はともかく、イジメが全くない学校なんてものは存在しません。
それはただ教師が気付いていないだけで、相変わらず無能教師揃いの中学校です。
校長にその後の話を聞かれ、藤野は「普通の教師で普通の母親です」と答えたので、
上映終了後、連れが「神原と結婚したのかな?それとも同級生かな?」
と言いましたが、たしか校長は藤野のことを中原先生と呼んでいたので、
そんな名前の同級生がいたかは覚えてないけど、たぶん関係なさそうですね。

あー、やっぱり2本分の感想書くと長くなりますね。
これでは書くのも疲れたけど、読むのも疲れるので、
時間かけて書いた割には誰も読んでくれないかも…。
やっぱり2本に分けて書くべきだったかな…。

コメント

ちゃんと感想読みましたよ。

相変わらず鋭い洞察ですね。
確かに疲れました。
屋上のカギも伏線と思い、ずっと期待してましたが、あれれ、という感じでしたね。
ただ、藤野涼子さんが、裁判の場面という長回しのなか、あれだけのセリフをこなしたことに感心しながら観ていました。

  • 2015/03/03(火) 20:46:02 |
  • URL |
  • とおりすがり #-
  • [ 編集 ]

Re: ちゃんと感想読みましたよ。

上映会に行ったのですね。お疲れ様でした。

原作は9年がけで連載された小説らしいので、きっと膨大な内容で、
映画2本分使っても完全に描き切ることが出来なかったのかもしれません。
鍵の件も原作にはもっと詳しく書いてあるのかも?

藤野涼子は映画初出演だと思いますが、
さすが一万人の候補から主演に選ばれただけあります。
他の子たちも総じてよかったです。

  • 2015/03/04(水) 21:26:46 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1489-8b1a5af9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad