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ANNIE アニー

昨日、選挙に行ってきました。
兵庫県議西宮市選挙区補欠選挙でしたが、
昨年話題になった号泣県議こと野々村竜太郎の後任を決める選挙です。
野々村の釈明会見は、まるで面白ニュースのように扱われていましたが、
彼を当選させてしまったボクたち西宮市民としては痛恨の極みで、
ただただ恥ずかしいだけで、全く笑えなかったです。
その後任を選ぶ補欠選なので、同じ轍を踏まないためにも、
ちゃんと選んでちゃんと投票しなければいけないとは思いましたが、
全然盛り上がっておらず、補選があること自体知らない市民も多そうで…。
西宮って1月に盛り上がるイベント事が多い街なので、
そんな時に選挙なんてしても誰も注目しませんからね。
投票皆勤中のボクも今回ばかりは投票に行くのが面倒だなと思っちゃいました。
誰が当選しようが野々村よりはマシなのは間違いないので、結果はどうでもいいし、
そもそも春には統一地方選があるはずだから、それまで空席でもかまわないし。
野々村よりも空席の方が仕事しますからね。

ということで、今日は市長選挙の候補者の物語の感想です。

ANNIE アニー
Annie.jpg

2015年1月24日日本公開。
名作ブロードウェイ・ミュージカルの映画化。

現代のニューヨーク。アニー(クヮヴェンジャネ・ウォレス)は4歳のときに姿を消した両親に、いつの日か会えるときが来ることを夢見て、両親と別れたレストランに足しげく通っていた。ある日、アニーはIT長者でニューヨーク市長の有力候補とされるスタックス(ジェイミー・フォックス)に出会う。選挙スタッフに提案されてアニーを引き取ったスタックス。そんな中、アニーの両親に関わる知らせが届き……。(シネマトゥデイより)



本作は何度か映画化もされたミュージカル『アニー』の再映画化です。
そのミュージカルは日本でも毎年公演されているけど、
ボクは観に行ったことがありませんが、映画化されたものは一本観ました。
たぶん一番有名な1982年版だったと思います。
リアルタイムではなく、昨年テレビ放映されていたのをたまたま観ました。
そこで初めて『アニー』という作品を知ったのですが、
30年代のNYが舞台で「ニューディール政策のキッカケはアニーだった」という
突拍子もない話で、なかなか面白かったです。
(別にそこがメインではないのですが…。)
その再映画化となる本作は、舞台を現代に移しているため、
当然ながら面白かったニューディール政策ネタもなしになります。
(冒頭でちょっとだけオマージュが描かれていますが。)
まぁどうせリメイクするなら内容を現代的にするのは正しい判断ですね。
大富豪スタックス(原作ではウォーバック)も大手IT企業の経営者だし、
彼の家も大豪邸ではなく、スマートハウスなペントハウスです。
こういう改変はリメイクの醍醐味で、なかなか興味深いですね。

ミュージカル映画として現代的にするなら、
音楽ももっと現代的にアレンジしてもよかったかもしれません。
いや、実際には現代的にアレンジされていると思うのですが、
せっかく製作にラッパーのJay-Zも加わっているんだから、
もっとヒップでホップなアレンジをしてほしかったかも。
劇中曲にラップ・ミュージックが一曲もないのは寂しいです。

しかし最大の改変は、主人公のアニーの人種の変更でしょう。
本作冒頭で「アニー」という名前の赤毛の白人少女が登場しますが、
その子のアニー像がパブリックイメージに近いけど、
本作の主人公アニーは、赤毛の白人少女アニーのクラスメイトである
黒人少女アニー・ベネット。(担任からは区別してアニー・Bと呼ばれてました。)
これは本作を製作する黒人俳優ウィル・スミスの意向でしょう。
彼は1984年の『ベスト・キッド』も2010年にリメイクしていますが、
その時も主人公の白人少年を黒人少年に変えていましたよね。
(まぁ『ベスト・キッド』はもうひとつの大きな改変の方が注目されましたが。)
たぶん彼は、白人が主人公だった過去の名作を、
次々とアフロアメリカン映画にリメイクしてしまうつもりなのです。
アフロアメリカンの映画製作者はアフロアメリカン映画を製作しがちですが、
普通にアフロアメリカン映画を製作してもアフロアメリカンの客しか観ないけど、
過去の傑作のリメイクであれば、人種問わず旧作のファンも観てくれるし、
内容も保証済みなので、興行的リスクもかなり少ないですからね。

そんなウィル・スミスには、もうひとつの目的がありました。
一時は最も稼ぐハリウッド俳優として名を馳せた彼ですが、
最近はもう隠居かと思うほど、映画に出演しなくなりましたよね。
その代わりに自分の子供に稼がせようとしているみたいで、
2010年の『ベスト・キッド』のリメイクでは息子のジェイデン・スミスを主演に抜擢し、
その翌年、今度は娘(ジェイデンの妹)ウィロー・スミスを主演にするつもりで
本作の製作をスタートさせました。
ところが、御覧のように本作の主演はウィローではなくクワベンジャネ・ウォレスです。
表向きはウィローが成長してしまいアニーに相応しくない年齢になったので、
キャスティングを変更したことになっていますが、本音はたぶん違います。

ウィルがジェイデンをフックアップするために自身も重い腰を上げて親子共演した
『アフター・アース』(2013)が大酷評を受けてしまいましたが、
その原因のひとつがウィルの親バカへの批判というか、
2世タレントがコネで主演をゲットすることへの拒否反応によるものです。
2世なんて腐るほどいるけど、ジェイデンはウィルのスター性を微塵も受け継いでなく、
これではコネだとバッシングされるのも当然ですが、ウィルはその世間の反応を受け、
「自分の子供を主演させるのはリスキーだ」と思ったのでしょう。
そこでその年度に史上最年少(9歳)でオスカー主演女優賞にノミネートされるという
スター性抜群の黒人少女クワベンジャネちゃんを、
娘ウィローの代わりにキャスティングしたんだと思われます。

ボクもクワベンジャネちゃんがオスカーにノミネートされた作品
『ハッシュパピー バスタブ島の少女』を観て、少しわかりにくい内容でしたが、
撮影当時6歳だった彼女の演技には感心しました。
でも演技力もスター性もあるとはいえ、ミュージカル映画だと歌唱力も必要で、
そんなネームバリューだけで安易に抜擢しても大丈夫なのかと不安にも…。
ただいざ観てみると、クワベンジャネちゃんの歌は
それほど上手いわけでも下手なわけでもないけど、所詮は子供の歌なので、
歌唱力よりも元気さがあったら十分に聞けるものです。
それにしても『ハッシュパピー』当時は6歳だったけど、
本作ではたぶん10歳くらいなので、急に大きくなった印象を受けます。
「ハッシュパピー役の子だよ」と言われなければ気付かないくらいです。

黒人に改変されたのは、アニーだけではなく大富豪もです。
やはり白人のイメージの大富豪ですが、本作ではジェイミー・フォックスが演じます。
ただ彼は今までのどの大富豪役よりも、原作から改変されてないところもあります。
彼が演じる本作の大富豪スタックスは、こっそりカツラを愛用していて、
本当はツルッパゲなのですが、これは原作を踏襲したものです。
本作の原作はミュージカルですが、そのミュージカルの原作が漫画で、
その原作漫画の大富豪がハゲだったので、そのオマージュみたいです。
まぁスタックスがハゲを隠しているというのは、小ネタでしかなく、
物語上は全く必要がない設定でしたけどね。
最後に愛しのグレースに打ち明けるような展開になるかと思ったけど…。
あ、スタックスがハゲだったネタはネタバレだったかも。
以下、ネタバレ注意です。

孤児のアニーはNY市ハーレムでイジワルな里親ハニガンの里子になります。
ハニガンは落ちぶれた元歌手で、週157ドルの助成金目当てに、
アニー含め5人の里子を引き受けています。
原作ではハニガンは孤児院の院長だったと思いますが、
元歌手とか里親という設定は本作のオリジナルでしょうね。
未婚で無職でハーレム暮らしの彼女が里親になれるのは不思議ですが…。
アニーはいつか本当の両親が自分を引き取りに来ると信じ、
辛い日々にも「明日がある」と元気に明るく生活しています。
とはいえカントーリをくれるイタリア料理店「ドマーニ」の店長とか、
雑貨店の店長ルーとか、彼女の周りは親切な人ばかりで、
本当に楽しそうに暮らしていて、あまり辛そうではないかな?

一方、ケータイ会社を経営する大富豪スタックスは、NY市長選に立候補しています。
スローガンは「繋がるケータイを作った私が市政と市民も繋げる」です。
彼のケータイ会社の基地局は通常の5倍もあるみたいですが、
繋がることばかりをアピールするケータイ会社って、何か嘘くさいですよね。
やっぱり有権者である市民からの支持率も低く、現職候補に押され気味。
自社端末をタダで配ったり、ホームレスの炊き出しに参加したりと、
人気取りの選挙活動に余念がありませんが、
内心庶民を馬鹿にしているのが透けて見え、全て裏目に出ます。
そんなに成功しているなら、今更NY市長にならなくてもいいと思いますが…。

そんなある日、イジメられている野良犬を助けようとしていたアニーと接触し、
彼女が道路に転倒して車に轢かれそうになったところを、咄嗟に助けます。
まぁあの状況なら誰でも助けると思いますが、その様子が動画サイトにアップされ、
スタックスは「子供を助けた」と賞賛され、支持率も5%アップ。
それに目を付けた選挙アドバイザーのガイは、助けた孤児アニーを夕食に招待し、
マスコミにアピールすればもっと支持率が上がるとスタックスに進言。
スタックスはその案に乗り、秘書グレースにアニーを迎えに行かせます。
夕食に呼ばれたアニーですが、彼女は賢く、すぐにスタックスの目論見を見抜き、
「夕食に呼んで市長になれるなら、一緒に暮らせば大統領ね」と皮肉を言います。
そんなことを言うなんて、なんか見た目だけでなく、性格もかなり変わってますね。
それを聞いたガイは妙案だとスタックスに暫く彼女と暮らすように進言し、
子供嫌いなスタックスでしたが、支持率15%アップは確実と言われて承諾。
すぐさま臨時後見人として、暫くアニーを家で預かることになります。
ただ目論見を見抜いているアニーも、それには素直に喜んでいるみたいで、
スタックスの性格も「本当は優しいけど隠している」と見抜いています。
ついでにガイは野良犬を飼うのも支持率アップに繋がると考え、
スタックスは例のイジメられていた野良犬サンディも飼うことになります。
なんかもうあざとすぎて、逆効果なんじゃないかと思っちゃいますが、
支持率はグングン上昇するんですよね。

嫌々ながらアニーと一緒に暮らし始めたスタックスでしたが、
アニーが(出来もしないのに)料理作ってくれたり、
一緒に映画のプレミア上映を観に行くうちに親しくなります。
その映画『ムーン・クエイク・レイク』ですが、魚族サカナというキャラが活躍する
『トワイライト』と『アバター』を合体させたようなSFロマンスで、
どんな内容か妙に気になる映画でしたね。
パート5まであるらしく、エンドロール後にはパート2の鑑賞シーンもあります。
スタックスがそんなヤングアダルト映画に嵌っちゃってるのが可笑しかったです。

アニー効果で現職市長に肉薄する支持率になったスタックスですが、それも限界。
マイケル・J・フォックスが現職市長の支持を表明し、ガイは次の一手を模索します。
そんな折、グッゲンハイム美術館でスタックス社のイベントが開催され、
アニーは急に檀上でスピーチをすることになります。
ガイから電光カンペを読むように指示されたアニーですが、急に逃げ出すのです。
なんと彼女は字が読めなかったみたいで、そのことが恥ずかしくて、
ずっと隠して生活していたみたいです。
里子だからロクに教育を受けられなかったというような設定ですが、
仮にも小学校に通ってたんだから、字くらいは読めそうなものだけど…。
そんなアニーを励まそうとスタックスは「私の秘密も教えてやる」と、
カツラをカミングアウト…、じゃなくて、出身地のクイーンズに連れて行くのです。
今は大富豪だけど実は貧民街出身なことを隠していたみたいですね。
むしろそんな情報は選挙では有利な気もしますけどね。
後にスタックスは識字センターを設立するのですが、
アニー以外にも字が読めない人が多いからで、NYの識字率ってそんなに低いの?
あ、クイーンズとかは移民が多いから英語が出来ない人が多いのか。

一方、ガイはアニーが運転手ナッシュに親探しを頼んでいたと知り、
アニーが両親と感動の再会をすれば、スタックスの支持率も上がると考え、
偽の両親を仕立てようと、アニーをよく知る里親ハニガンに協力を要請。
ハニガンはカネ目当てで協力し、まさかのオーディションで両親役を探します。
そのオーディションにはなぜか歌のテストもあるのですが、
ガイがなぜ歌が必要か問うと、彼女は「ミュージカルだから」と…。
なんだか急に第四の壁を破られて、ちょっと驚いてしまいましたが、
その後も彼女はしばしば第四の壁を破ってくるんですよね。
もともと演劇的な演出のミュージカル映画だから許されるネタで面白いです。

原作だと本当の両親と証明するのはアニーを捨てた時に
両親が一緒に残したロケットペンダントでしたが、30年代ならそれで十分だけど、
現代に舞台を改変した本作ではそれだけでは不十分で、
ガイはわざわざDNA鑑定書まで偽造するのです。
その頃にはスタックスも、出来ればアニーを養子にしたいと考えていて、
ガイから実の両親が名乗り出たと報告を受け、本当の両親か疑いますが、
DNA鑑定までされていたら、もう疑う余地はありません。
内心寂しく思いながらも、アニーを送り出すことになります。
アニーが偽の両親と再会した時に、それを仕組んだハニガンはスタックスから、
「アニーはあなたは歌が上手くて心から感動したと言ってましたよ」と言われ、
元歌手だったハニガンは、イジメていたアニーの自分への想いを知り、
カネのために偽の両親を仕立てたことを後悔するのです。
1982年版でもハニガンは最後に改心するのですが、その理由が明瞭ではないため、
ハニガンを元歌手という設定にして理由を明瞭にしたことはよかったと思います。
ハニガンはアニーを助けようと決心し、他の里子たちにも協力してもらい、
スタックスに真実を打ち明けに行くのですが、時すでに遅く…。

すでに偽の両親に車に乗せられて、連れて行かれてしまったアニー。
スタックスはすぐにFBIに通報し、追いかけようとしますが、
アニーの乗った車がどこまで行ってしまったのかわからず…。
ところがアニーは有名人のスタックスと生活していたことで、
彼女自身も人気者になっていて、行く先々で一般人から写真を撮られ、
それがTwitterにアップされるため、それを見れば居場所がリアルタイムでわかり、
スタックスもその情報を頼りにヘリで追い掛け、州立公園でついに追いつきます。
これもSNSが発達した現代ならではの展開で面白いですよね。
普通はTwitterのこんな使用方法はプライバシーの侵害として
ネガティブな印象があるけど、それが逆に役立つという興味深い展開です。

アニーを救い出したスタックスですが、彼女は車内で偽両親から
「俺はスタックスから頼まれた。彼は君を用無しと思っている」と聞かせれており、
スタックスに不信感を持っていて、この救出劇も選挙のためだろうと疑います。
スタックスはそれが勘違いであると証明するために、集まって来たマスコミの前で、
「私は市長選から撤退する。アニーは家族だ。」と宣言するのです。
再びスタックスを信頼したアニーは、彼の正式に養子となり大団円。
みんなで「Tommorrow」を唄って、めでたしめでたしです。
なかなか感動的でしたが、ちょっと引っかかるのは、
劇中でアニーの本当の両親のことが描かれていないことです。
原作ミュージカルだと火事で死んだとか病死したとか説明があるのに、
いずれにしても両親が死んでいるというのはネガティブことなので、
ハッピーな物語にしたい本作はあえてそこには触れなかったのかな?

安心して誰にでも勧められるなかなか面白い作品でした。
ボクが観た時もほぼ満席の上々の客入りで、初登場ランキングも堂々の2位。
一昨年の『レ・ミゼラブル』、昨年の『アナと雪の女王』に続き、
本作のヒットしそうな予感ですが、ホントに日本人はミュージカル映画好きですね。
一昔前は「日本ではミュージカル映画は厳しい」なんて言われていたのに、
誰だよ、そんな無責任なことを言った奴は…、って感じです。

関連作の感想
ハッシュパピー バスタブ島の少女

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