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グレート・グローリー 大いなる勝利のために

最近の気になる映画ニュース。
コーエン兄弟が今年5月に開催される第68回カンヌ映画祭の審査委員長になりました。
彼らがパルムドールの選出に大きく影響することになります。
パルムドールは世界三大映画賞のひとつで、ボクも2009年から欠かさず観てますが、
見事なほど退屈な駄作ばかりが選出されていて、あまり当てになりません。
でもコーエン兄弟の作品は好きなものが多いので、
彼らが選出するなら今回は期待できるかもしれない、
…と少し前なら思っていたかもしれませんが、
今となってはボクの彼らへの評価は地に落ちているんですよね。
もちろんその原因は、彼らがアンジェリーナ・ジョリー監督の抗日映画
『Unbroken(原題)』の脚本を書いているからです。
反日ババアのアンジー同様、コーエン兄弟のことも大嫌いになりました。
これでもう今年のパルムドールには全く価値を見出せないし、
こうなったらむしろ面白い作品を選出しないでほしいです。

さて、今日は今年初となるビデオの感想です。

グレート・グローリー 大いなる勝利のために
For Greater Glory

2015年1月2日レンタル開始。
アンディ・ガルシア主演の歴史ドラマ。

1926年メキシコ。新任のカイエス大統領(ルーベン・ブラデス)は内戦で疲弊した原因は宗教であるとして、一切の宗教活動を禁止し、武力弾圧を開始した。外国人聖職者も迫害を受け、信念を貫いたクリストファー神父(ピーター・オトゥール)は非業の死を遂げる。すぐさま信仰の自由を求めて貧しい農民を中心にクリステーロス(反政府組織)が立ち上がる。実戦の指揮官として、元政府軍の将軍で今は実業家のエンリケ・ゴロスティエータ(アンディ・ガルシア)に白羽の矢が立つ。血気盛んな若者ラミレス(オスカー・アイザック)とベガ神父(サンティアゴ・カブレラ)を副官に据え、強大な政府軍にゲリラ闘争を仕掛け、巧みな戦術によって、政府軍を攻略していく。しかし、エンリケには新たな政府軍の反撃による苛酷な試練が待っていた。(公式サイトより)



新春早々、1月2日にDVDレンタルが開始された本作。
(販売は4月8日になるみたいです。)
ボクもレンタル開始の頃に観たので、今年の最初の感想記事になりそうでしたが、
やっぱり映画感想ブログで、最初の感想記事がビデオというのも悲しいので、
劇場公開作を何本か書いてから本作に取りかかろうと、
本作の感想執筆をズルズル先延ばしにしていました。
劇場鑑賞作のストックも切れたので、いよいよ書きます。
如何せん、少々前に観た映画になるので、忘れている部分も多いです。

ボクが本作の存在を知ったのは、2012年6月第一週の全米ボックスオフィスに
本作がギリギリ10位でランクインした時でした。
メキシコ映画のようだったので、全米ボックスオフィス10以内に
メキシコ映画が入るなんて珍しいなと感じて興味を持ったのですが、
いざ観てみたら、メキシコ製作なのは間違いないけど、
スペイン語ではなく英語の映画だったので、これならアメリカ人も観るかも。
それでもメキシコの叙事詩的歴史ドラマなんて外国人には取っ付き難い作品なので、
これで全米ボックスオフィスにランクインしたのは凄いかも。
今やアフロアメリカンを抑え、アメリカ最大のマイノリティになったといわれる
ヒスパニック系アメリカ人を大勢集客したのでしょうか。

この内容で10位になったのは上出来だと思いますが、
所詮は10位なので、お世辞にもヒットしたとは言えません。
全世界興収(といってもほぼアメリカとメキシコ)が960万ドルでしたが、
製作費はメキシコ映画最高の1200万ドルだったので、はっきり言えば失敗作です。
そりゃまぁ、メキシコの内戦「クリステロ戦争」を描いた歴史ドラマなんて、
メキシコ人以外誰が興味あるんだよって内容なので、
全世界興収が伸び悩むのも無理はなく、日本でリリースされたのも奇跡です。
ボクも正直、クリステロ戦争なんて聞いたこともなかったけど、
パッケージが西部劇っぽいので、ウエスタン・アクション映画かなと思って観ました。
でも、いざ観てみて、ちょっと後悔しちゃいましたね…。

聞いたこともない実際の戦争を題材にした物語でしたが、
それはそれで興味深いものだったと思います。
メキシコでたった90年ほど前に、こんな無茶苦茶な話があったのか、
と知的好奇心が擽られるのを感じました。
しかし問題はその描き方ですよね。
実話が基になっているから仕方がないが、当時の歴史背景をそのままに、
組織や人物の相関関係がかなり複雑で、非常に全容が見えにくいです。
ある程度クリステロ戦争を知っている人をターゲットにしているのか、
ちょっと説明不足すぎて不親切な印象を受けます。
説明不足なくせに上映時間は145分を超え、必死に振り落とされないように観ても、
あまりの長尺に終盤で集中力が切れてしまうような感じで…。

最も辛かったのは、本作が群像劇的に描かれていることで、
ただでさえ相関関係が掴み難い上に、登場人物がやたら多いことです。
しかも当然のことながらラテン系の俳優ばかりを起用していますが、
ボクが知っている出演者はアンディ・ガルシアくらいで、
ほとんどあまり知らないラテン系俳優ばかりな上に、
みな口髭にテンガロンハットのウエスタンスタイルなので、
知ってるガルシア以外なかなか見分けが付かないんですよね…。
複雑な相関関係で、各々がどんな立ち位置かも理解しにくいのに、
キャラの見分けまで付かないんだから、もう物語についていくのが大変。
群像劇なんかにしないで、誰かひとりを主人公に据えて、
その人物の目線でクリステロ戦争を描いてくれたら、
わかりやすくなって、もっと楽しめたと思います。

そんな感じだったから、ボクも全主要キャラの物語を理解することは諦め、
最もわかりやすい1人のキャラを中心に観ることにしました。
そのキャラは唯一顔が識別できるアンディ・ガルシア演じるゴロスティエータ将軍、
…ではなく、子役が演じる12歳の少年ホセです。
少年なので口髭もないし、数少ない子供なので見分けが付きやすいため、
彼を主人公として観ると、とても観やすくなるし、大筋の流れも掴みやすいです。
なので今回の感想でも、彼の物語を中心に書きたいと思います。
以下、ネタバレ注意です。

メキシコ革命が集結して間もない1928年メキシコ、
カイエス大統領はローマや諸外国から入国した聖職者たちが、
国民を狂信的にし、政権を弱体化させていると考え、
外国人司祭を追放する、政権に批判的な聖職者を刑務所に入れる、
公の場での祭服着用を禁止するといったカイエス法を施行し、主教活動を弾圧。
それに対しローマ教皇もメキシコでの全ての儀式を停止させる命令を出し、
メキシコ政府とカトリック教会の関係は非常に悪化します。
豊臣秀吉のバテレン追放令や江戸時代の禁教令みたいなことが、
たかだか90年前のメキシコでも施行されていたなんて驚きです。
出国しない外国人神父を絞首刑にしたり、軍がミサの最中に乱射したり、
イエスの像を燃やしたり、信者の死体を電柱に吊り下げたりと、
江戸時代の禁教令よりも苛烈かもしれません。
無神論者のボクも信仰の自由は守られるべきだと思いますが、
宗教が国を弱体化させる、というか脅威になるというのはあり得るとも思います。
今の日本政府もナントカ学会を母体とするナントカ党に
キャスティング・ボードを握られることも度々ありますが、
ホントに宗教が政治に関与してくるのは勘弁してほしいし、
やはり無神論者だったカイエス大統領の憤りもちょっと理解できるかも…。

そんな折、少年ホセは教会で侍者の修業をしていましたが、
ある日、敬愛するクリストファー神父が軍によって銃殺刑になります。
ホセは政権に反対する宗教自由同盟(LNDR)の武装部隊クリステロに入隊を決意。
彼はクリステロの司令官ゴロスティエータ将軍に息子のように可愛がられます。
このクリステロというのはなんだか変な軍隊で、
もともとはベガ神父が信者を率いていた素人軍隊です。
そこに信仰心もあまりないラミレス率いるカトルセなるガンマン集団が加わった、
信念もバラバラな寄せ集め集団で、反政府活動をしていますが、
カネ目当てで列車強盗をして、乗客を乗せたまま列車を爆破したりと、
やってることはテロリストと大差なく、まるで西部劇のならず者集団です。
神の名を騙れば何をしてもいいのかと思っちゃいますね。
そこに石鹸工場を経営している元軍人ゴロスティエータが司令官として参加し、
統率の取れたまともな軍隊に生まれ変わりますが、ゴロスティエータ自身、
工場経営よりも戦争が好きなのと、報酬目的で参加しただけで、
全く信仰心のない男なんですよね。
信仰の自由のために戦うクリステロのトップの信仰心がないなんて、
もう大義も何もあったものではないです。

ホセはキャンプで後方支援を命じられていましたが、ある戦闘に勝手に参加し、
戦場で政府軍に捕まり、牢に入れられてしまいます。
同じ牢に入れられていた少年はホセの目の前で絞首刑になりましたが、
彼は市長が知り合い(名付け親)だったので絞首刑は免除され、
信仰を捨て、一言「キリストに死を」と言えば解放してもらえることになるのですが、
彼は「主キリスト万歳」と、頑なに信仰を守ろうとしたため、解放されず…。
辛い拷問を受け、ついには銃殺刑となるのです。
自分の墓穴の前まで連れて行かれても、頑なに信仰を捨てませんでしたが、
無宗教のボクには命より信仰が大事という感覚がどうにも理解できません。
「キリストに死を」という一言くらい、踏み絵踏むよりも簡単なのに…。
その選択権すらも与えられなかった同じ牢の少年を想えば、
ホセはよほど恵まれていたのに、無駄死ににもほどがあると思います。

ホセを実の息子のように可愛がっていたゴスティエータ将軍は
部隊を引き連れて救出に向かいましたが、一足遅く、ホセの死体を見て悲しみます。
ボクと同じように信仰心が薄いゴスティエータ将軍は、
部下のベガ神父に「なぜ神はホセを助けないのか」と当然の疑問をぶつけます。
ベガ神父曰く「ホセの死は宿命で彼は殉教者」「神に考えがあり起きたこと」
と不都合な時のクリスチャンのいつもの言い訳を並べます。
当然全く納得できない将軍は、「君は私とローマのどちらに従うのだ」と問うと、
神父は「私は戦士である前に神父だ」と返答。
更に将軍が「(人を殺す)戦士のくせにまだ神父でいられるのか」と問うと、
神父は「慈悲深い神が私を赦してくれるまで祈り続ける」と返答。
すると何故か将軍は納得し、「私の罪のためにも祈ってくれ」と言い、問答は終了。
その後、敵に攻め込まれた将軍は懺悔して入信するのですが、
なんだかボクには全く納得のできない展開でした。
息子同然の子が神のせいで死んだのに、なぜお前も神を信じるのかと…。

懺悔し入信したゴスティエータ将軍は、その直後に射殺されます。
ベガ神父も懺悔後に被弾(生死不明)しますが、懺悔って死亡フラグなの?
なんだか信仰を持つとロクなことにならないと言われているような感じです。
そもそも将軍が死んだその戦闘自体が全く無意味で、
その頃には水面下で駐メキシコ米国大使モローによって、
水面下でカイエス大統領との交渉が行われており、
カイエス法を緩和し、聖職者に恩赦を与えることを条件に、
メキシコ政府とローマとの和睦協定が結ばれていたのでした。
結局、将軍たちクリステロの反乱は全く無駄で、
アメリカが出張ってきてくれたおかげで自体が収まったということですね。
アメリカも宗教の自由とか人道目的で介入したわけではなく、
メキシコの石油利権が目的だったみたいですが、
結局、物事を解決するのは信仰よりも損得なんですよね。

時は流れて2005年、ローマ教皇により、クリステロ戦争で殉教した
ホセら13人が福者として列聖されますが、クリスチャンには名誉かもしれないが、
ボクからしたら最も平和に貢献した人物はモロー米国大使じゃないかと思います。
この残虐非道な戦争を起こしたカイエス大統領は、
戦争終結後も1935年まで実質メキシコを支配し続け、穏やかな晩年を過ごしたそうで、
平和を求めた殉教者よりも、無宗教の彼の方が幸せな人生だったのは皮肉です。
亡くなる最後の年には信仰にも目覚めたそうなので、
もし天国があるとすれば、彼も天国に行ったことでしょう。

一見カトリックの広報映画のようだが、その実、信仰の虚しさを描いた物語で、
見方によってはそこそこ面白い歴史ドラマでしたが、オススメはしません。

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