ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

ジャッジ 裁かれる判事

昨日はアカデミー賞の作品賞候補について書きましたが、
今日は他の部門についても書きたいと思います。
各部門にどんな作品がノミネートされたか、全て書くのは大変なので省きますが、
やはり作品賞にノミネートされた作品とダブるものが多いです。
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』と
『グランド・ブダペスト・ホテル』が9部門で最多ノミネートですが、
『グランド・ブダペスト・ホテル』がこんなに評価されていることだけは理解できません。
でもこれだけ注目を集めている作品なので、観た時は後悔したけど、
今となっては公開中に観ておけてよかったなと思います。

ポーランド映画『イーダ』が外国語映画賞にノミネートされましたが、
それを受けて日本でもアンコール上映されることが決まりました。
日本公開時には見逃していたボクも、アンコール上映で観るかもしれません。
やはりアカデミー賞にノミネートされると、日本で公開される可能性が上るみたいで、
まだ日本公開未定の『ワイルド』『インヘレント・バイス』『ナイトクローラー』なども、
近々日本公開日が決定するかもしれませんね。
そういう意味では、ノミネート作はあまりダブらないで、
いろんな作品がノミネートしてくれた方が、いろいろ観れていいかも。
ボクは毎年、主要部門のノミネート作は全て劇場鑑賞すると決めているので、
あまり本数が増えると大変だったりもしますが…。

ということで、今日は助演男優賞ノミネート作の感想です。

ジャッジ 裁かれる判事
The Judge

2015年1月17日日本公開。
ロバート・ダウニー・Jr、ロバート・デュバル共演の法廷サスペンスドラマ。

金で動く辣腕(らつわん)弁護士として知られるハンク・パーマー(ロバート・ダウニー・Jr)は、絶縁状態の父ジョセフ(ロバート・デュヴァル)が殺人事件の容疑者として逮捕されたことを知る。判事として42年間も法廷で正義を貫き、世間からの信頼も厚い父が殺人を犯すはずがないと弁護を引き受けるハンクだったが、調査が進むにつれて疑わしい証拠が次々に浮上し……。(シネマトゥデイより)



本作はロバート・ダウニー・Jr.と妻スーザンの映画制作会社
「チーム・ダウニー」の処女作で、アメコミ映画ファンのボクは
『アイアンマン』のロバート・ダウニー・Jr.の主演作として楽しみにしていました。
なので公開日に観ようと2日前に座席予約していたのですが、
公開当日時点では、予約時点の何倍も楽しみな作品に変わっていました。
というのも、公開直前に発表されたアカデミー賞候補の中に、
助演男優賞賞候補として本作の名前があったのです。
主演であるロバート・ダウニー・Jr.のことしか眼中になかったけど、
その発表を受けてノミネートされた助演ロバート・デュバルの演技も俄然注目で、
Wロバートで楽しみも2倍になりました。

それにしても意外だったのは、助演男優賞のみとはいえ、
本作がアカデミー賞にノミネートされたことです。
てっきり痛快法廷劇のエンタテインメント映画だと思っていたし、
高尚なアカデミー賞に絡むような作品とは過ぎりもしなかったので。
でも実際に観てみたら、確かに娯楽性も十分ある面白い作品だったけど、
予想外に感動的な家族ドラマで、これならノミネートされるのも納得です。
むしろ助演男優賞のみなのが納得できないくらいですね。
あえてノミネート発表後の初週末に公開日を合わせてきたということは、
ワーナーも本作が何かしらノミネートされると予想していたのでしょうが、
如何せん、映画館サイドは予想していなかったのか、公開規模が小さいです。
もっと早くにノミネートの発表があったら、あるいは本作の公開がもっと遅ければ、
このノミネートを受けてもっと拡大公開されていたかもしれません。
…いや、2年連続で最も稼いでいるハリウッド俳セレブとなった
大人気俳優ロバート・ダウニー・Jr.の主演作なら、普通に大規模公開するべきです。
とても面白い作品なので、多くの人が観易いように今後拡大公開してほしいです。
以下、ネタバレ注意です。

依頼主が有罪とわかっていてもカネ次第で無罪を勝ち取る凄腕悪徳弁護士ハンク。
ある日も金持ち依頼人の起こした麻薬事件を不起訴にしようと、
意気揚々と予備審問に挑むのですが、開廷直前に「母が急死した」と電話があり、
慌ててシカゴから実家のインディアナ州カーリンヴィルに帰省します。
でも彼はインディアナで判事をしている父ジョセフとは折り合いが悪く、
父はかなり久しぶりに帰って来た息子を全く歓迎しようともせず…。
ハンクは次男で、長男グレンと三男デールの三兄弟なのですが、
父はハンクだけを毛嫌いしているような感じです。
正義感の強い判事である父は、ワルガキだった次男ハンクに厳しくしたようで、
ハンクはそれが嫌で、家を出るため大学は州外の名門大学の法学部に進学し、
故郷にはもどらずシカゴで弁護士になり、更に疎遠になっちゃったみたいです。

ちょっと不思議なのはハンクは判事である父を嫌っていたくせに、
弁護士になって父と同じ法律家の道に進んだことです。
兄グレンは今は自動車の修理工をしていますが、
大リーグにスカウトされるくらいの野球少年だったみたいで、
弟デールは知的障害があるみたいで、グレンに養われていますが、
アマチュアながらカメラマンをしていて、なかなかの腕のようです。
三兄弟でそれぞれ体育会系、文系、芸術系なんて変わった兄弟ですが、
父の遺伝が最も強いハンクだけが父と不仲というのも皮肉なものです。
同じ法律家の道に進んだものの、彼が悪徳弁護士になってしまったのは、
正義感の強い判事の父を反面教師にしちゃったからなのかな?

母の葬儀が済んだ後、ハンクは実家のガレージで、ヘッドライトが割れ、
車体に擦り傷のようなものが付いている父の自動車を発見します。
さしずめ、母の死にショックを受けた父が、28年も続けた禁酒を破ってしまい、
飲酒運転でどこかにぶつけたのだろうと考え、父を問い詰めますが、
父は飲酒運転なんてしてないと言い張り、案の定口論になってしまい、
ハンクは怒ってシカゴに帰ろうとしますが、途中で兄グレンから電話があり、
「父が車の件で保安官に連行されたから急いで戻って来い」と…。
どうやら州道で自転車の男を轢き殺した容疑がかかっているみたいで、
父の車に付いていた血痕も、被害者のDNAと一致していたようです。
ハンクは正義感の強い父が殺人なんてするはずがないと思いますが、
飲酒運転による酩酊状態で誤って轢き殺してしまった可能性はあるとも考え、
飲酒を否定し自転車が飛び出してきたと証言するように父に助言します。
つまりハンクは父を救うため、被害者の過失による事故にしようと考えたわけです。
てっきり他に真犯人がいて、何かの陰謀で父が犯人に仕立てられ、
それを解き明かす法廷劇かと思ったけど、どうも違うみたいで、
父が人を轢いたことを前提として話が進むようです。

ところが父は、事故のことは何も覚えていないが、
断固として酒は飲んでいないとハンクに言い張ります。
ハンクは本当のことを話してくれないと弁護できないと言いますが、
父はそもそも息子に弁護を依頼するつもりはなく、地元の弁護士を雇います。
コイツがまた無能な弁護士で、…いや、弁護士というか普段は古美術商だし、
過去に扱った刑事事件も暴行事件が1件のみで、しかも有罪判決…。
さらに法廷に立つ前には嘔吐を緊張で嘔吐を繰り返す頼りない男です。
対する検事は凄腕のディッカム検事ですが、検事が凄腕じゃなくても、
こんな頼りない弁護士では勝ち目はなく、予備審問で不起訴にはできず、
事件は陪審員を入れる裁判に持ち込まれることになります。
父は判事として何人もの市民を刑務所にぶち込んでいるので、
かなり恨みを買っており、陪審員裁判だとかなり不利なみたいです。
なるほど、判事というのも大勢の人から恨みを買う大変な仕事ですね。
逆に判事に救われた人もいるだろうから、陪審員によっては有利になりそうですが。

そもそも検事側は、本件を被害者の飛び出しによる交通事故どころか、
飲酒運転による死亡事故にするつもりもなく、
故意に被害者を轢き殺した第二級殺人罪にしようとしています。
なんと被害者のブラックウィルは父が刑務所送りにして最近出所した男でした。
それならブラックウィルが父を恨んで、父を殺そうとするならわかるけど、
父がブラックウィルを殺そうとするのは変ですが、そこには複雑な事情があります。
20年ほど前、ブラックウィルは交際していた16歳の少女とケンカし、
彼女の自宅で発砲騒ぎを起こして逮捕されましたが、
父は彼が反省していると判断し、最も軽い禁固30日を宣告します。
ところが出所したブラックウェルは少女を池に沈めて溺死させ、
父は今度は懲役20年を宣告しますが、前回軽い刑を与えたことを後悔しており…。
なるほどそんな事情なら、父が出所したブラックウェルに殺意を持つのも納得です。

予備審問で不起訴にできなかった地元弁護士は、弁護士を降りることに。
そして裁判は父を説得し、ハンクが弁護することになるのですが、
なぜか無能な地元弁護士を助手にするんですよね…。
彼のせいで裁判に持ち込まれたのに、なぜそんな温情を掛けるのか不思議ですが、
その後も彼が何の役にも立たなかったのは逆に意外な展開でした。
凄腕のハンクに弁護をバトンタッチしてからの裁判は、けっこう善戦し、
被害者ブラックウェルが飲酒していてフラフラしながら自転車に乗っていたことや、
現場にブレーキ痕がなかったことが故意である証拠にはならないことを証明します。
ハンクは悪徳弁護士って話でいたが、そんな悪い法廷戦術は使わないし、
意外にも正々堂々と戦って、それでもちゃんと善戦していますね。

ハンクはカメラマンの弟デールがたまたま撮っていた父の日常の映像から、
父が癌の化学治療を受けていることに気付きます。
末期の結腸癌ですが、皆に癌だと知られると自分の42年の功績に傷が付くと思い込み、
妻と主治医以外の誰にも打ち明けていなかったみたいです。
ハンクは化学治療の副作用の記憶障害で、事故を覚えていないのではと考え、
それならば心神喪失で事故は故意ではなく、無罪を勝ち取れると思いますが、
父は頑なに癌を公表することを拒否し、主治医も守秘義務で証言しません。
なぜ癌なら功績に傷が付くのか理解に苦しみますが、
老人って無意味に頑固なところがありますからね。
癌で体調を崩し、嘔吐したり失禁したりするシーンがあるのですが、
この辺りの迫真の演技は、さすがに助演男優賞候補だなって感じです。

父はコンビニでタマゴを買った帰りに、偶然ブラックウェルを撥ねたと言っていますが、
そのコンビニの防犯カメラの映像で大きな矛盾が見つかり、窮地に立たされます。
その映像には自転車に乗るブラックウェルの後を走る父の車が映っており、
どう考えても追いかけているとしか思えない映像で、強気になったディッカム検事は、
この事件を第一級殺人罪に切り替えるのです。
確かにこの映像は故意だと証明する決定的な証拠だとは思いますが、
なぜこれで第二級から第一級殺人罪になるのか、ちょっとわかりませんでした。
嘘を付いていたからってことなのかな?
コンビニ内で父がブラックウェルと鉢合わせしている映像も残っており、
もはや偶然撥ねたなんてことは考えられませんが、
その映像を見た父はハンクに「記憶はないが、私ならやりかねない」
「証言させてくれ」と言い始めるのです。

証言台で自白する気じゃないかと懸念したハンクですが、
記憶にないことは証言しないという条件で父に証言させることにします。
ところがディッカム検事の尋問で、父はブラックウィルの死を望んでいると発言。
「轢いた覚えはないが、故意に殺したと思う」と自白同然の証言をします。
これはおそらく真実でしょうね。
焦ったハンクは反対尋問で、父が隠したい化学治療の記憶障害の話を持ち出します。
当然父は怒り、ハンクを解雇しようとしますが、判事に窘められて尋問を受けることに。
そして父は、コンビニでブラックウェルに会った時に、
彼から「女房が死んだって?墓に小便してやるよ」と言われたと証言するのです。
そんなことを言われたら誰でも殺意を覚えるのは当然で、陪審員も父に同情的になり、
樹種の地元弁護士はこれで勝てると確信しました。

ところがどっこい、なんとハンクがその証言に異議を唱えるのです。
「あなたはその程度の暴言なら受け慣れているはずだ」と…。
せっかく持ち直したのに、なぜ再び不利になるようなことを言い出すのか不思議でした。
次にハンクは、なぜ発砲事件の時にブラックウェルに温情を掛けたのか問うのです。
父は、ブラックウェルが次男とダブり、彼を救いたいと思ったと返答。
ハンクもブラックウェルもワルガキだったので他人事ではないと思ったようです。
ブラックウェルが溺死事件を起こしてから、父は急にハンクに冷たくなるのですが、
それも今度は逆にハンクがブラックウェルとダブったからで、
ハンクを釈放してしまった呵責でハンクを避けていたのです。
父はただ単にハンクを嫌っていたのではなく、息子を愛するが故に、
逆に息子を避けてしまっていたわけで、ちょっと感動的な話です。
なぜハンクが不利になるような尋問をしたのかも、
今じゃないと父の本心を聞けないと考えたからでしょう。

そんな家族の感動的な和解も、陪審員にとっては関係ない話です。
しかしその後、父が勤続22年の廷吏の名前を思い出せないことが明らかになり、
記憶障害を患っていることが証明されます。
陪審員の評決は、第一級殺人罪は無罪、しかし故殺(第三級殺人罪)は有罪となり、
父は懲役4年の判決を受けるのです。
終身刑や死刑に処される第一級殺人罪は免れたとはいえ、4年も刑務所に入れば、
服役中に末期癌の父は死ぬだろうし、この裁判は完敗も同然でハンクは泣きます。
しかし陪審員以上に父とハンクに同情していたのが、戦ったディッカム検事で、
彼は恩赦の嘆願書を書き、7か月後に父は釈放されるのです。
敵ながらなんて男気のある人情検事でしょうか。

ハンクは出所した父と子供の頃のように一緒に釣りに行き、
「おまえは最高の弁護士だ」と父から初めて褒めてもらいます。
その直後、父は眠るように息を引き取りましたが、幸せな最期だったでしょうね。
まぁ長男グレンと三男デールは父の死に目に会えなかったのは可哀想ですが…。
悪徳弁護士だったハンクも、今回の裁判でちょっとマシな弁護士になったみたいで、
めでたしめでたし、ですね。

面白い法廷劇で、感動的な家族ドラマで、とても素晴らしい物語でしたが、
如何せん142分という上映時間は長すぎる気がします。
上記の感想の部分だけなら1時間半もあれば描けたはずですが、
本作はサブプロットにハンクのロマコメ的な物語も描かれていて、
それが上映時間を長くしてしまっている原因だと思います。
ただこのロマコメ部分もとても笑える内容で、一概に蛇足だとは言えないんですよね。

ハンクは仕事が忙しくて家庭を顧みませんでしたが、
そのせいで妻が浮気し、離婚秒読み段階になっていました。
母の訃報を聞き故郷に戻ったハンクは学生時代の元カノのサムと再会。
いい感じになりますが、一方でバーで若い女の子カーラとも出会いイチャツキます。
しかしカーラが未婚の母であるサムの娘だと気付き焦るのですが、
遊びに来た自分の娘ローレンがカーラと同じ癖があることに気付き、
カーラもサムと自分の娘ではないかと更に焦るのです。
下手すると自分の娘に手を出しちゃったことになりますから、
普通だったら父の裁判どころではないくらい焦りまくるでしょうね。
ところが、サムから娘カーラの実の父は兄グレンだったと聞かされて一安心、
というオチのロマコメで、なかなか笑える話になっています。
まぁそれでもカーラは姪に当たるので、手を出したらダメですし、
この流れだとハンクはサムとヨリを戻しそうだけど、そうなるとカーラは義理の娘で、
やっぱりいろいろ問題が残りそうですね。
ここは妻との離婚せずに、愛する娘ローレンと一緒に住むのが一番でしょう。
あの頑固ジジイの父も孫娘ローレンにはメロメロになっちゃいますが、
本当に優しく可愛らしい子で、親の離婚で彼女が傷付くなんて可哀想だしね。

コメント

良い映画だという意見には同意。私はこの映画、大好きだ。
ただ、管理人の意見には所々稚拙な部分があるように思える。

ハンクが正々堂々と戦ったことや父が頑なに癌を患っていることを隠そうとした理由
どうして罪状が第一級殺人に変わったのか
裁判の後どうしてハンクが泣いたのか...。
これら物語において非常に重要な部分での、心理描写や演出への理解力がなさすぎる。

映画への感想や物語の受け止め方は人それぞれと言えばそれまでだが、それにしても酷すぎる感想、分析が多い。
趣味にケチをつけるのは心苦しいが、多くの人の目に止まるであろう記事を書くのなら、もっと理解力を深め、もう少しじっくり映画を観た方が良いのでは。

  • 2016/01/24(日) 06:35:21 |
  • URL |
  • 名無し #-
  • [ 編集 ]

名無しさんへ。

> ハンクが正々堂々と戦ったことや父が頑なに癌を患っていることを隠そうとした理由
> どうして罪状が第一級殺人に変わったのか
> 裁判の後どうしてハンクが泣いたのか...。
> これら物語において非常に重要な部分での、心理描写や演出への理解力がなさすぎる。

それら物語において非常に重要な部分での、心理描写や演出を、
あなたがどう理解しているかが示されてませんよ。
理解力のあるあなたの素晴らしい感想、分析を聞きたいものです。

  • 2016/01/25(月) 00:29:48 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1458-e117506e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad