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シン・シティ 復讐の女神

第72回ゴールデングローブ賞授賞式が開催され、
『6才のボクが、大人になるまで。』がドラマ部門の作品賞、
監督賞、助演女優賞(パトリシア・アークエット)の最多3冠に輝きました。
そこまで面白い作品ではなかったけど、かなり挑戦的な作品だったので、
その点を評価すれば納得の結果だったと思います。
でもコメディ部門の作品賞が『グランド・ブダペスト・ホテル』なのは納得できません。
あの作品のどこが面白いのか説明してほしいですが、
ハリウッド外国人記者クラブはウェス・アンダーソン信者ばかりなのかな?
まぁ『イントゥ・ザ・ウッズ』など他のノミネート作はまだ日本公開されてないので、
よほど低レベルな戦いだったのかもしれませんが…。

他の主要部門では、主演男優賞(ドラマ)が『博士と彼女のセオリー』、
主演女優賞(ドラマ)は『アリスのままで』、
主演男優賞(コメディ)は『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
主演女優賞(コメディ)は『ビッグ・アイズ』、助演男優賞は『セッション』、
脚本賞は『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』、
アニメーション映画賞は『ヒックとドラゴン2』という結果でしたが、
これらの映画も日本未公開なので、この結果にはまだ何とも言えないです。
ただやはりそれらの受賞映画の公開は楽しみになりますね。
(直近では再来週にも『ビッグ・アイズ』が公開になります。)
特に『ヒックとドラゴン2』には、これをキッカケに日本公開が決まらないかな?

さて、今日は映画賞なんか全く縁のない映画の感想です。

シン・シティ 復讐の女神
Sin City A Dame to Kill For

2015年1月10日日本公開。
グラフィックノベル原作のネオ・ノワール第二弾。

どこからともなく、ならず者たちが集う街シン・シティ。ストリップバーの看板ダンサーのナンシー(ジェシカ・アルバ)は、なまめかしいダンスで男たちを癒やしながら愛していた刑事ハーティガンに死をもたらした街の支配者ロアーク上院議員(パワーズ・ブース)に復讐(ふくしゅう)するチャンスをうかがっていた。だが、ロアークは手段を尽くして力を拡大、さらに悪女エヴァ(エヴァ・グリーン)の登場で街の腐敗は加速していく。そんな中、ギャンブラーのジョニー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)がロアークにポーカーで勝負を挑む。(シネマトゥデイより)



本作は2005年に公開された映画『シン・シティ』の続編ですが、
今はもう2015年、さすがに10年は待たせすぎです。
待たされすぎて、正直前作の内容もほとんど覚えてませんでしたが、
年明けは何かと忙しくて、前作をレンタルして見返す時間もなかったので、
全く復習できないまま観に行ってしまいましたが、これが不味かった。
本作は前作の内容を引きずりまくりの物語だったので、
前作の内容を忘れてしまっていると物語の面白味は半減してしまいます。
待たせすぎたのが原因か初登場順位も8位とかなり低いデビューで、
興収も1370万程度に留まり、これは前作の2割にも満たない悲惨な成績です。
一応、日本公開版は親切にも本編前に前作のおさらい映像を流してくれますが、
だいたいの流れを掴むには十分な映像でしたが、
本作をちゃんと楽しむとなるとあの短い映像ではちょっと不十分です。
その映像もないよりはあるにこしたことはないですが、
出来れば前作をちゃんと復習してから臨んだ方がいいと思います。
シン・シティ 復習の女神。

「10年は待たせすぎ」と書きましたが、本当はそれほど待っていたわけでもないです。
ボクはアメコミ原作とかグラフィック・ノベル原作のハリウッド映画は大好きですが、
正直前作『シン・シティ』にはあまりハマれなかったんですよね…。
まるでグラフィック・ノベルをそのまま動かしているような斬新すぎる映像が
当時のボクにはちょっと早すぎたのかもしれません。
そもそもモノクロ映画が苦手で、斬新なはずの映像でしたが、
ボクにはカビ臭く感じてしまったんですよね…。
特定の場所だけ着色されている演出も斬新でしたが、
斬新なだけで面白いとも効果的だとも思わなかったんですよね…。
2008年にはほぼ同様の手法で撮られた『ザ・スピリット』も観ましたが、
この時もあまり面白いとは思えませんでした。
もちろん本作もその手法が踏襲されていますが、近年モノクロ映画を見慣れたためか、
苦手意識が薄まり、当時ほど微妙な印象は受けなくなっていました。

が、すでに都合三度目なので映像の斬新感も薄まっちゃってます。
斬新な映像が最大の売りの作品なのに、見慣れちゃったら本末転倒です。
せめて、より斬新な映像にする努力をすべきですが、
前作のイエロー・バスタードほど奇抜な色遣いのキャラもいないし、
むしろパワーダウンしてるんじゃないのかという感じですね。
でもキャストは大幅にパワーアップしているので、眼福感は多少上がってるかな?

本作は主に3本(プラスおまけ1本)のエピソードから構成されています。
これは前作も同様で、オムニバス的な作品ですが、この構成も微妙です。
オムニバスになると、どうしても個々のエピソードに出来不出来が生まれて、
3本もエピソードがあると、やはり1本は退屈なものが混ざってしまうものです。
本作は悪いことに、その退屈なエピソードをクライマックスに持ってきており、
尻すぼみな印象を受けるため、鑑賞後の満足感が薄いです。
3本の中にはなかなか面白いエピソードもあったのですが、
そのエピソードの決着で終わっとけばいいのに、なんて思ってしまいます。
ただ、どのエピソードが面白いと思うかは観る人によって違うかもしれません。
前作をあまり覚えてないボクには、前作との関連が深いほど退屈さと比例します。
逆に言えば、前作との関連がないエピソードは楽しく観れました。
以下、ネタバレ注意です。

はじめに完結するエピソードは、私立探偵ドワイトを主人公にした物語です。
ドワイトも前作に登場していたキャラクターですが、
このエピソードは前作のエピソードのひとつの前日譚なので、
前作の物語の続きではないため、前作を忘れていてもある程度楽しめます。
しかも前作とは同じキャラでもキャストがかなり代わってるんですよね。
主人公ドワイトも前作ではクライグ・オーウェンが演じていましたが、
本作ではジョシュ・ブローリンに交代しています。
ヴィランのマイケル・クラーク・ダンカンもデニス・ヘイスバートに、
殺人兵器ミホもデヴォン青木からジェイミー・チャンに交代しました。
日本刀を振り回す唯一の日本人キャラが日系女優から韓国系女優に代わったのは、
非常に残念なことですが、前作から10年も経って前日譚を描くとなると、
キャストの若返りのための交代劇は仕方ないのかもしれませんね。
日本にハリウッドに通用する若手女優がいないことが悔やまれます。
まぁ女性キャラでもゲイル役はロザリオ・ドーソンが普通に続投してますが…。
何にしても、キャストまで刷新されているため、新鮮な気持ちで見れるエピソードです。

ある日、ドワイトは元恋人エヴァから4年ぶりに連絡を受けて会います。
エヴァは大富豪ダミアンの妻になっていましたが、ドワイトとヨリを戻したいみたいです。
なんでも夫ダミアンはお抱え運転手のマヌートに妻エヴァを暴行させ、
それを見るのが楽しみなド変態で、悩んだ彼女は元恋人ドワイトに相談しに来ました。
ドワイトは彼女を救おうと考えますが、マヌートは超強いのでひとりでは勝てません。
そこで怪力の荒くれ者マーヴに協力を求め、暇を持て余すマーヴは快諾し、
2人でダミアン邸に乗り込みます。
マーヴは前作でも主要キャラのひとりで、ミッキー・ロークが続投していますが、
前作の後日談となるエピソードにも出てるけど、見た目は全く同じだし、
マーヴは歳を取らないという設定なのかな?
侵入したマーヴは運転手マヌートの目玉を刳り貫いて倒します。
その隙にドワイトはダミアンを見つけて殺しますが、実はダミアンは悪人ではなく、
夫の莫大な遺産を手に入れるために、エヴァがドワイトを利用し夫を殺させたのです。
エヴァは色仕掛けで男を思い通りに動かす魔性の悪女ですが、
ドワイトもまんまと騙されてしまったのですね。

エヴァは夫ダミアンを殺したドワイトを口封じのために射殺しようとしますが、
ドワイトは顔面に大怪我を負うも、マーヴに救出されオールドタウンまで逃げます。
悪女エヴァはモート刑事を誑し込み、ドワイトを追わせますが、
武闘派の娼婦たちが牛耳るオールドタウンは警察も手が出せません。
ドワイトは娼婦の女王ゲイルと旧知で、オールドタウンで匿われます。
大怪我した顔面も整形手術し、テキサスのガンマンに成りすまし、
マフィアが雇った用心棒として再びダミアン邸に入り込むのです。
その整形は金の義眼をして現場復帰したマヌートに速攻見破られますが、
ゲイルや最強の娼婦ミホの協力を得て、エヴァへの復讐に成功します。
なかなか面白いし、本作のかなりの部分を占める長いエピソードですが、
独立性が高く、他のエピソードとの関連性が薄いです。
本作のメインとなるのは、やはり前作の後日談となる他の2本のエピソードでしょう。

2本目のエピソードは、ジョセフ・ゴードン=レヴィッド演じる新キャラ、
凄腕ギャンブラーのジョニーを主人公にした物語です。
ジョニーは州最大最悪の権力者ロアーク上院議員にポーカー勝負を挑み、
見事な指捌きで快勝しますが、ロアークはコケにされたと大激怒。
ロアークは知り合ったばかりの娼婦マーシーとデート中のジョニーを拉致し、
ポーカーで負けた腹いせに彼の右手の指をペンチでバキバキに折ります。
マーシーはなぜか作中で唯一フルカラーなんですよね。
それほど重要なキャラじゃないのにちょっと不思議ですが、
そもそも本作の着色箇所のルールがよくわからないので、
その演出が効果的だとは思えないんですよね。

ジョニーは闇医者ドクター・クローニグに全財産を払って指を治療してもらい、
ダイナーのウエイトレスから借りた1ドルを元手にスロットで大金を稼ぎ、
再びロアークにポーカー勝負を挑むのです。
その1ドル貸してくれた気前のいいウエイトレスを演じるのはレディ・ガガ。
彼女は最近『マチェーテ・キルズ』や『ザ・マペッツ2 ワールド・ツアー』など、
映画でカメオ出演する機会が多くなってきたけど、なぜかカルト映画が多いですね。
そのわりに本作も含めて、それほど奇抜な役でもないところが不思議です。
こんなウエイトレス役なんて、わざわざレディ・ガガを使うほどでもない気がします。
2度目のポーカー勝負もジョニーが圧勝しますが、
またしてもコケにされたロアークは完全にブチ切れ、その場でジョニーを射殺します。
丸腰でポーカー勝負なんて挑んだら、勝っても殺されるのは当然だろって感じで、
折られた指の復讐や殺されたマーシーの仇討ちをしたかったなら、
もっと違うやり方があるだろうって思えて、なんか無駄死にですね。
でもジョニーはロアークを殺すことよりも、彼の面子を潰したいだけなのかも。
どうやらジョニーはロアークが娼婦に産ませた子供だったみたいですが、
ロアークはイエローバスター以外は息子だと思っていないので認知されず、
そんな父親に一矢報いてやろうと考えたのでしょうね。
主人公は新キャラで前作との関連性は全くないエピソードだったので楽しめました。

で、いよいよ退屈極まりない3本目のエピソードですが、
これは前作のエピソードの完全な後日談です。
最悪の権力者ロアークの息子イエローバスタードも最悪なバカ息子で
ナンシーという少女を殺そうとしますが、刑事ジョンがイエローバスタードを殺害し、
ナンシーを助けて2人は恋仲になります。
しかしこのまま2人でいればイエローバスタードの父ロアークに
ナンシーまで狙われてしまうと考えたジョンは自殺する、というのが前作の物語です。
本作はナンシーが恋人ジョンが死ぬキッカケになったロアークに復讐する物語で、
ナンシー役ジェシカ・アルバも、ジョン役ブルース・ウィリスも続投し、
前作の完全なる続きとなりますが、前作を知らない、或は忘れていると退屈です。

ナンシーはストリップバーで人気踊り子として働きながら、射撃の訓練を積み、
店に出入りするロアークをいつか撃ち殺そうと考えてますが、
なぜか怖気づいてしまい、なかなか実行することができません。
そこで1本目のドワイト同様、荒くれ者マーヴに協力してもらうことにします。
マーブもストリップバーの常連で、ナンシーのことを懇意にしています。
もう他の客のようなエロ目線ではなく、ナンシーを妹のように思っているようで、
彼女はそんなマーヴの気持ちを利用して、自分の顔面を自らガラスで切り刻み、
「ロアークにやられた」とマーヴに泣きつくのです。
当然マーヴは怒って、復讐に手を貸してくれることになります。
でも1本目のエピソードを観る限りでは、自傷行為なんてしなくても、
普通に復讐に協力してほしいと頼めば、暇を持て余しているマーヴは
簡単に協力してくれそうな気がしますけどね。
それともどこかのお坊ちゃんらしきアホの大学生でも暇潰しでぶっ殺すマーヴも、
最大の権力者ロアークを殺すのにはそれ相応の動機が必要なのかな?

ナンシーとマーヴはロアーク邸に乗り込み、
マーヴは大暴れしてボディーガードを全滅させるも、弾切れを負傷で戦線離脱。
ナンシーは残るロアークをひとりで探し、見つけますが、
ロアークから手痛い反撃を受け、逆に殺されそうになるのです。
しかしロアークがナンシーにトドメをしようとした瞬間、
彼はジョン刑事の亡霊を目撃して怯み、その隙を突いた彼女に殺されます。
ジョン刑事の亡霊は幻覚ではなく、本当に彼の霊はナンシーに憑りついており、
それをロアークは見てしまったわけですが、なんか微妙な結末です。
ナンシーがロアークに復讐した直後にエンドロールに突入しますが、
絶対的権力者を失ったその後のシン・シティがどうなったのか気になります。
エヴァの後ろ盾になったマフィアのデブメガネとかはまだ生きてるし、
平和な街にはならないでしょうね。
復讐は果たしたものの、顔面ズタズタのナンシーも幸せになるとは思えないし、
あまりハッピーエンドとは思えない幕引きでした。

お世辞にもあまりよかったとは言えない本作ですが、
こんな豪華キャストで、こんな空前のアメコミ映画ブームにも関わらず、
これだけ成績が悪いなんて奇跡的だけど、この内容ではそれも致し方なし。
監督であり、原作者でもある漫画家フランク・ミラーの評価も地に落ちただろうし、
もう続編はもちろん、この映像手法の作品自体、二度と作られないでしょうね。

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