ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

ゴーン・ガール

今日感想を書く映画で今年鑑賞した映画192本目。
今年はジャスト200本にするつもりなので、年内に観れる本数はあと8本しかなく、
ちゃんと選別して、なるべく駄作は避け、できるだけ面白い映画に当たって、
気持ちよく新年を迎えたいものです。
でも実際は、あと半月で8本も観るのはかなり多いので、
封切本数も限られているし、選んでいる余裕はそれほどないかも。
一応、残り8本を何観るか予定は立てたけど、普段なら絶対観なさそうな作品も…。
せめて年内最後の一本くらいは面白い作品で締めたいなと思っています。

ということで、今日は今年を締めるに相応しい面白い映画の感想です。
…いや、まだ傑作確実の『ベイマックス』があるので、これで締めちゃダメですね。

ゴーン・ガール
Gone Girl

2014年12月12日日本公開。
デビッド・フィンチャー監督、ベン・アフレック主演のスリラー。

ニック(ベン・アフレック)とエイミー(ロザムンド・パイク)は誰もがうらやむ夫婦のはずだったが、結婚5周年の記念日に突然エイミーが行方をくらましてしまう。警察に嫌疑を掛けられ、日々続報を流すため取材を続けるメディアによって、ニックが話す幸せに満ちあふれた結婚生活にほころびが生じていく。うそをつき理解不能な行動を続けるニックに、次第に世間はエイミー殺害疑惑の目を向け……。(シネマトゥデイより)



今日から日本公開の本作ですが、昨日先行公開されたので、その時に観ました。
土曜日公開の映画を金曜日に先行公開することはよくあるけど、
金曜日に公開される映画を木曜日に先行公開するなんて珍しいですが、
これはきっと本作の出来に対する自信の表れなのだろうと思います。
映画の週間ランキングは土曜日と日曜日の興収で決まるので、
一番客が入る初日を土曜日にする方が有利なのですが、
木曜日に公開して、木金に観た客の口コミで土日の集客に繋げたかったのでしょう。
口コミで集客できると考えるのは、内容に自信がある映画だけですからね。
まぁ実際はなぜ木曜日に先行公開したのかはわかりませんが、
たしかに面白くて、人に勧めたくなる作品だと思いました。

いやー、こういう面白い作品にたまに出会えるから、
ボクは映画館通いがやめられないんだろうなと思うほどの傑作です。
上映時間148分と長めの作品ですが、全く弛むことなく、ずっと引き込まれっぱなし。
一度見始めたら、トイレに立つことは出来なくなると覚悟してほしいほどです。
アカデミー賞最有力なんて謳われていますが、今のところ本作がオスカーなら納得。
ただ前哨戦のゴールデン・グローブ賞では作品賞にノミネートすらされておらず、
「そんなバカな!?」って感じですが、今年屈指の面白い作品だと勧めたいです。
以下、ネタバレを含む感想になりますが、ネタバレ記事なんか読んでないで、
とにかく本作を観に行ってほしいと本当に思います。

2012年7月5日、ミズーリ州の田舎町。
主人公ニック・ダンは双子の妹マーゴのバーから家に帰ると、
家が荒らされており、妻マイミーの姿がありません。
通報を受け、ボニー刑事とギルピン巡査がやってきますが、
妻は事件に巻き込まれたと判断され、翌日に記者会見を行うことになります。
あまり焦りを見せないニックの様子をギルピン巡査は不振がりますが、
こんな急展開に巻き込まれたら、案外こんなものかもしれませんよね。
普通は失踪しても家出を疑われて、すぐに事件として警察が動くことはないし、
ニックも青天の霹靂で、実感なんて湧かないでしょう。
ただニックがエイミーの失踪に関与してないとは言い切れないところです。
まぁボニー刑事も何の公算もなく事件扱いにしたわけではなく、
キッチンから僅かな血痕を発見したからですが、なかなか凄腕刑事っぽいです。

6日、ニューヨークからエイミーの両親も駆け付け、記者会見が開かれます。
ところがニックはカメラの前でも、それほどエイミーの失踪を嘆くでもなく、
カメラマンに「笑って」と言われて、エイミーの写真パネルの前で微笑むほどです。
翌7日、ボランティア捜索本部が立ち上がり、沢山のボランティアが集まりますが、
そこでもニックは、せっせとボランティアの皆様をおもてなし。
しかもボランティアの女性とツーショット写メまで撮ってしまうほどで、
妻が失踪して悲しむ夫とはとても思えない姿に、妻の母も不信感を覚えます。
当然そんな様子にはワイドショーの女性キャスターも疑念を抱き、
まるで夫が妻殺しの精神病質者と断定するかのような報道が始まります。
こんな偏向報道が許されていいのかって感じですが、
百歩譲って夫を犯人扱いするのはいいけど、失踪中の妻を死んでいると断定したら、
視聴者から苦情が殺到しそうな気がしますね。
でもニックが実際犯人だったら、もう少し立ち振る舞いに気を付けると思うので、
軽率な行動をするニックは単なる八方美人のバカなんじゃないかと思われ、
コイツは犯人ではないなと確信しちゃいますね。

ただ、それにしても妻の失踪を悲しんでいる様子が全くないのは疑問ですが、
その夜、若い女の子アンディがニックを訪ねて来て…。
つまり彼は若い愛人と不倫をしており、犯人ではないにしても、
実は妻の失踪は願ったり叶ったりだったのです。
でも警察やマスコミに疑われている状況で、家に愛人を連れ込むなんて…。
しかも事件現場として自宅は封鎖されているので、妹マーゴの家にですよ。
バカにも程がありますが、翌8日の朝、案の定妹に怒られます。
失踪三日目となるその夜はエイミーの無事を祈る「祈りの夜」が行われますが、
そこでは記者会見での失敗を踏まえて、ニックは神妙な面持ちで妻捜索を訴えます。
夫を疑っていた聴衆も、少し心が動かされたみたいですが、
そこにエイミーの親友を名乗る近所の主婦モニカが現れて、
「彼女は妊娠6週目だったのよ!」と野次を飛ばすのです。
その新事実に聴衆は「子供を望まない夫が妻を殺したに違いない」と騒然とします。
実際浮気中で離婚も考えていたニックは、逃げるように立ち去るしかなく…。

ボニー刑事の捜査で、家も車も妻エイミー名義だと判明。
夫ニックは高級ゴルフクラブなどをネット通販で購入し、11万以上の借金があり、
妻の生命保険の掛け金が上げられている事実も掴みます。
もう妻の財産を奪おうという動機がありありとわかる状況ですが、
更にニックの実家の地下室から、エイミーの日記が発見され、
そこには衝撃の内容が記されていたのです。
2005年にニューヨークで知り合ったニックとエイミーは2007年に結婚し、
ラブラブな新婚生活が2年ほど続くも、2010年にニックが失業したころから倦怠期に。
その後、ニックの母が乳癌を患ったため、彼の実家のあるミズーリ州に引っ越すが、
エイミーは両親や友達のいるニューヨークを離れて寂しい思いをすることに…。
2011年に夫の母が他界しますが、そのままニューヨークに戻ることはなく、
エイミーは夫の妹マーゴと共にバーを経営することになりますが、
ブラコン気味のマーゴとの折り合いも悪かったみたいで…。
エイミーはそろそろ子供が欲しいとニックに言いますが、反対する彼にDVを受け、
「私は夫に殺される」と脅えるようになり、闇市場で拳銃を買おうとした。
…という内容が書かれたエイミーの日記です。

こんなものニックが犯人だと断定しているも同然の超重要な証拠品ですよね。
これを読めば、どれだけニックが酷い夫か、エイミーが薄幸の妻かわかり、
誰でも彼女に同情したくもなりますが、ボニー刑事はそう単純ではなく、
「なぜ旦那の実家に妻の日記が?」と当然の疑問を持ち、
エイミーや日記の内容に対して胡散臭さを感じるのです。
部下のギルピン巡査は日記を読み完全にニックが犯人だと確信しましたが、
女性であるボニー刑事の女の勘ってやつですかね?
でもボクも端からニックは怪しくない、エイミーの方が胡散臭いと感じたけど、
それはボクが男だからニックの肩を持ってしまうのだと思ったのですが…。
ボニー刑事の勘は当たっていて、このエイミー失踪事件は、
やっぱりエイミーの狂言だったのです。

エイミーは極めて嫉妬深く、ある日ニックが愛人アンディとキスする現場を目撃し、
復讐のために夫を破滅させてやろうと、妻殺しの殺人犯に仕立てる計画を立てます。
日記を書いて警察に見つけてもらいやすいように夫の実家に隠し、
自分の生命保険料を上げ、夫名義で勝手にネット通販して借金を作り、
届いた商品は義妹マーゴの家の薪小屋に隠します。
近所のバカそうな主婦モニカに声を掛けてまんまと友達になり、
トイレで彼女の尿を採取して妊娠を偽装し、闇市場で拳銃を買おうとします。
5日の失踪当日、自分の血を抜いてキッチンに撒き散らし、
警察に気付かれるように雑に拭いて、家の中を不自然な程度に荒らして、
狂気に見せかけた「パンチとジュディ」人形の棒を暖炉に放り込みます。
ネットの掲示板で買った車でミズーリ州を去り、髪を染めてナンシーを名乗り、
別人に成りすまして遠くのキャンプ場のコテージを借りて、狂言失踪完了です。
これでニックに妻殺しの疑いが向き、死刑制度のあるミズーリ州で逮捕され、
あわよくば死刑になればいいと考えたみたいです。
こんな綿密でほぼ完全犯罪な計画を立てるくらいなら、
ニックを完全犯罪で殺しちゃえばいいだろうと思ってしまいますが、
彼女の目的はあくまで浮気の復讐なので、夫を殺すよりも苦しめるのが重要なのかな。
彼女は夫が逮捕されるのを見届けたら、自分は夫に殺されたように偽装して
入水自殺するつもりのようで、復讐のためなら自らの死をも厭わぬサイコ女です。

でもエイミーがサイコになるキッカケとなった生い立ちはちょっと可哀想で、
彼女の母やベストセラー絵本『完璧なエイミー』の作者なのですが、
そのタイトル通り、エイミーをモデルにした絵本だけど、
そこには母の理想の娘像が描かれていて、エイミーは母の願い通りに
完璧な自分を演じようとするも現実とのギャップに苦しみ、精神が病んだのでしょう。
こんなプレッシャーのかかる家庭環境なら、サイコに育っても仕方ないかも…。
夫の浮気が許せないのも、完璧な自分の夫は完璧な夫でないとダメだと感じるからで、
単なる痴情の縺れによる嫉妬ではないと思われます。
エイミーはニックと出会う前に付き合っていた男トミーにも、
束縛しすぎてフラれたのですが、その時も狂言で彼をレイプ犯に仕立て上げ、
彼の人生をメチャクチャにしたみたいです。
殺人犯よりもレイプ犯の濡れ衣を着せられる方が、その後の人生は辛いかも…。
でもこんなことって本当に起こりうることなので怖いです。

妻失踪から4日目の7月9日、世論を完全に敵に回したニックは、
逮捕されることを懸念し、翌10日に敏腕弁護士ボルトを雇います。
ボルトを演じるのは、大人気黒人俳優タイラー・ペリーですが、
なかなか日本ではお目に掛かれないレアな俳優なので、ちょっと嬉しかったり…。
依頼料10万ドルのボルト弁護士は、ニックのイメージ向上戦略を考えます。
そのためにまず気がかりなのは愛人アンディの存在で、
彼女のことがマスコミにバレたら、ニックのイメージは大打撃です。
でもマスコミはすでに双子の妹マーゴとの近親相姦説まで吹聴しているので、
それに比べたら若い愛人がいることがバレる方がマシな気がしますね。

11日、キャンプ場に潜伏しているエイミーですが、
隣のコテージの女グレタに訳ありだと見抜かれてしまい、
警察に通報される心配がないと所持金を全て強奪されます。
人を呪わば穴二つで、自業自得だなと思うが、ちょっと気の毒ですね。
翌12日、一文無しのエイミーは高校時代の元恋人デジーを頼ります。
夫に殺されたと報じられているエイミーが生きていることに驚く彼ですが、
未だに彼女に未練があるみたいで、彼女を別荘に匿うのです。
デジーも交際当時、エイミーから狂言でストーカーに仕立てられ、
裁判所から接近禁止命令まで受けたのに、まだ彼女が好きだなんて、
本当にストーカーじゃないかと思われる気持ち悪い男です。

12日、ボルト弁護士はニックを影響力絶大な司会者シャロンの番組に出演させ、
独占インタビューで世論のイメージ回復させる計画を打ち出しますが、
シャロンはニックに好意的なわけではないので、一歩間違えれば逆効果に…。
そこで受け答えの猛特訓を受けて、本番に臨むのですが、
その直前に、アンディがまさかの記者会見を行い、愛人の存在が公に…。
かなり不利な状況でしたが、本番でニックは謙虚で誠実な愚夫を演じ切り、
インタビューは大成功で、明日の放送を待つばかりです。
あんな足を組んでふんぞり返ってインタビューを受けたら、
日本だと絶対反感を買うと思うけど、向こうではそうでもないのかな?
翌13日、番組が放送され、案の定視聴者からも好意的な意見が多かったですが、
その番組で最もニックを見直したのは、デジーの別荘で見ていた妻エイミーでした。
エイミーの悪口を一切言わず、謙虚に浮気の非を認める夫を見て、
「私の求める完璧な夫だわ」と感動するのです。

ところが、それ以前にエイミーが警察に「薪小屋が怪しい」と匿名の通報をしており、
ボニー刑事が家宅捜索令状を持って来て、妹の家の薪小屋を調べ、
ネット通販で夫名義で買われた高額商品と、
凶器となった「パンチとジュディ」人形の本体が見つかってしまい、
せっかくのイメージ回復も虚しく、ニックは逮捕されてしまいます。
ボニー刑事は凄腕だと思ってたけど、土壇場でこんな嘘情報に踊らされるなんて、
彼女が真相を究明すると期待していたので、ちょっと幻滅しました。
それにしてもネット通販なんて誰でも偽称できるんだから、
逮捕する決め手の証拠としては弱すぎる気がしますね。
そもそも商品はけっこう長い間置かれていたはずなのに、
その間誰も気が付かなかったなんて考えにくいです。
まぁ夏だから薪は使わないんでしょうが、見つかるリスクもないわけじゃないし、
あの完全犯罪者エイミーの計画としてはちょっと杜撰だったかもね。

妻失踪から21日目の7月26日、ニックは凄腕ボルト弁護士の働きで仮釈放に。
そして8月4日、なんとエイミーが帰って来るのです。
返り血による血塗れの姿で戻って来た彼女ですが、
警察に高校時代のストーカーのデジーに拉致監禁され暴行されたと説明。
レイプされた時にデジーの喉をカッターナイフで切り、逃走して帰って来たと言います。
たしかに膣内からデジーの精液が検出されたので、警察は信じますが、
もちろんこれはエイミーのデッチ上げで、あの番組の放送を見て、
ニックのところに帰りたくなった彼女は、デジーを誘惑してわざと中出しさせ、
首を切り裂いて殺し、まるで逃げたように返り血を浴びた姿のまま帰宅したのです。
でも警察で事情聴取を受け、家に帰ってシャワーを浴びるまで、
血塗れの姿でいるなんて、ちょっと違和感がありますよね。
警察も膣の検査はしたのに、事情聴取前にシャワーくらい浴びさせるでしょ。

その事情聴取の時に、妻への疑念を再燃させたボニー刑事から
「デジーが夫の妹の薪小屋の凶器を使うのはおかしい」と厳しいツッコミが。
お、ボニー刑事の名誉挽回か、と思ったのも束の間、
「拾ったんじゃない?」と返され、決定打とはなりませんでした…。
他にも「なぜ銃を買った?」「なぜ監禁されたのにカッターナイフ持ってた?」など、
厳しいツコッミを繰り出すのですが、ノラリクラリとかわされてしまいます。
でもこの疑問って、至極当然のものだし、もっとエイミーは追及されるべきなのに、
なぜそのまま家に帰し、正当防衛で不起訴になってしまうのか…。
まぁ本作の物語の前提は、警察が無能ってことなんでしょうね。

警察は誤魔化せても、夫ニックは事実に勘付いています。
表向きは妻が無事帰宅して喜ぶ夫を演じますが、2人になった時に、
「お前は殺人犯だ、俺はほとぼりが冷めたら出て行く」と宣言。
しかし9月27日、その日は例の妻殺しを決めつけたワイドショーが、
エイミーの生還を祝って、ぬけぬけと夫婦の取材に訪れる日でしたが、
そのインタビュー直前に、エイミーの妊娠が発覚するのです。
ニックは妻の帰宅以来、彼女には指一本触れてないので妊娠するはずないが、
どうやらクリニックに保管されていたニックの精子で人工授精したらしく…。
子供が出来たことでニックはエイミーと別れられなくなってしまったところで、
本作は幕を降ろします。
結局エイミーの罪は暴かれず、全て彼女の思い通りになったわけで、
ハッピーエンドとは程遠い結末ですが、彼女の見事な絡め取り方に感服し、
なんだかちょっと痛快感すら覚えてしまうラストでした。
いやはや、絡新婦のように恐ろしいサイコ女で、ニックの今後が思いやられ、
同じ男として同情しちゃいますが、若い愛人と浮気した彼も自業自得か。
今度彼女を裏切るようなことがあれば、確実に狂言で殺されるでしょうね。

かなり上質なスリラーで、これは是非観るべき作品です。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1435-ca6f4773
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad