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フューリー

先月、ある人から『フューリー』の前売券を1枚買い取らないかと言われました。
1200円で売ってくれるというので、普通に考えればお得ですが、
ボクは映画1000円の「映画の日」に観る予定だったので断りました。
でも後日、彼がなぜ前売券を売りたかったのか気になったので聞いてみると、
購入特典目当てで前売券を複数枚買ってしまったそうで…。
たしかに『フューリー』の前売特典のドッグタグはボクもちょっと欲しかったけど、
どうもそれではなくて、アニメイト限定の特典が目当てだったそうです。
アニメイトで映画前売券を売ってるのも驚きですが、その特典を聞いて更にビックリ。
アニメ『ガールズ&パンツァー』『艦隊これくしょん』『ストライクウィッチーズ』の、
コラボクリアファイルが貰えたのだそうです。
硬派な戦争映画である『フューリー』が、なぜ美少女アニメとコラボ?
…と意外に思いましたが、ミリタリー系つながりだったみたいですね。

たしかに巷で「ミリタリー×美少女」アニメが流行っているのは知ってますが、
ボクも兵器はかっこいいと思うものの、戦争や殺人の道具には変わりないので、
兵器を萌えと結び付けてしまう風潮は好きじゃないかも…。
『World of Tanks』なる戦車を題材にしたオンラインゲームのチラシが
『フューリー』の来場者に配られましたが、そのチラシの裏にかわいいイラストで、
「大丈夫。人の死なないゲームです。」と書かれているが、いったい何が大丈夫なのか。
少なくとも『フューリー』の内容を鑑みればとコラボするには相応しくないです。

ということで、今日は人の死にまくる大丈夫じゃない映画の感想です。

フューリー
Fury.jpg

2014年11月28日日本公開。
ブラッド・ピットの主演・製作総指揮の戦争アクションドラマ。

1945年4月、ナチスがはびこるドイツに総攻撃を仕掛ける連合軍に、ウォーダディーというニックネームのアメリカ人兵士(ブラッド・ピット)がいた。カリスマ性のあるベテラン兵士である彼は、自らフューリーと名付けたアメリカ製の中戦車シャーマンM4に3人の兵士と一緒に乗っていた。そんなある日、ウォーダディーの部隊に新兵ノーマン(ローガン・ラーマン)が加わることになり……。(シネマトゥデイより)



宣伝で「本年度アカデミー賞最有力」なんて謳われている本作ですが、
たしかになかなか面白い作品だったとは思うものの、
全米の批評家の評価を見る限りでは、オスカー受賞はおろか、
作品賞ノミネートも微妙なライン(当落線上)かもしれません。
本作でメガホンを取ったデビッド・エアー監督は、
本物志向のミリタリーアクションを撮らせたら、ハリウッドでも指折りの才能ですが、
如何せん脚本に恵まれない人というイメージがあります。
とはいえ、自分で脚本も手がけているんだから仕方がないですが、
前作『サボタージュ』、前々作『エンド・オブ・ウォッチ』ともに、
アクションシーンは素晴らしいのに、物語が微妙(というか薄い)作品で…。
残念ながら本作も同様で、如何せんドラマ性が薄い気がします。
戦車アクションは素晴らしいので見応えはあるのですが、
ちょっとアカデミー賞向きではないような印象です。

でもアカデミー賞を取るかどうかなんて、映画ファンしか興味ないことだし、
普通にお客さんが楽しめるならどうでもいいことですよね。
現在、日本は右傾化の影響もあってか、空前のミリタリーブームで、
本作の題材でもある戦車に興味を持っている人も多いだろうと思いますが、
そんなミリタリーファンには、本物の戦車を使って撮影された本作は堪らないでしょう。
しかも現在の軍隊の戦車を借り受けているのではなく、
博物館に展示されている第二次大戦当時の戦車を引っ張り出してきたそうで、
なかなかレアな戦車アクションと言えるかもしれません。
ボクは戦争映画は好きだし、兵器はかっこいいと思ってしまうけど、
いまいちブームに乗れませんが、本作はとても楽しめました。
戦車の構造とか、戦車による戦術とかがリアルに描かれていて興味深く、
今後戦争映画を観る際に戦車の見方がちょっと変わるかもしれません。
以下、ネタバレ注意です。

第二次世界大戦当時、米軍の戦車は独軍の戦車より
性能や装甲などが劣っていたそうで、1945年4月、
ドイツで戦う第2機甲師団第66機甲連隊は壊滅的ダメージを受け、
第三小隊長のドン・コリアー二等軍曹ドンが指揮するM4中戦車「フューリー」も、
優秀な副操縦手レッドを失いますが、残る4人の乗組員はなんとか生還します。
彼らは北アフリカ戦線以来ずっと組んでいる歴戦のチームで、
車長ドン以下、砲撃手バイブル、 装填手クーンアス、操縦手ゴルドの4人です。
このチームは強い信頼感で結ばれていましたが、戦死したレッドの代わりに、
入隊わずか8週目の新米二等兵ノーマンが副操縦手として配属され…。
ノーマンは戦車にも乗ったことがないそうですが、どうも手違いだったみたいで、
本来は司令部にタイピストとして配属になるはずだった新兵です。
戦車の中を見るのも初めての人を副操縦手にしてしまうなんて、
手違いにもほどがありますが、そのまま着任しちゃうノーマンもおかしいですね。
でも本作を見る限りでは副操縦手といっても、戦車の操縦の一部を任されるでもなく、
戦車前方に装備している機関銃を撃つ係って感じなので、知識は要らないのかも?
もちろんベテランのフューリー乗組員からはガキ扱いを受けます。

フューリーは第一小隊に加わることになり、ある街を制圧するために、
B中隊と合流することになりますが、合流場所に向かう途中で、
独軍兵士から襲撃を受け、第一小隊長の乗る戦車が大破するのです。
あんな歩兵の奇襲程度で戦車が大炎上するなんてちょっと驚きました。
しかも2~3人の少年兵にやられるなんて、なんて脆いんだと…。
実は新兵ノーマンはいち早く少年兵の接近に気付いていたけど、
「少年を撃つなんて出来ない」と見逃していたのでした。
その結果、小隊長の戦車がやられる大打撃を受けたので、当然ドンは激怒します。
「子供だろうと銃持ってるドイツ人は殺せ!」を言うのですが、
子供を殺せだなんて過激な発言だけど、戦時中ならそれも仕方ないか。
でも戦車が道端でドンは民間人とすれ違う時も、
「怪しい奴がいたらとにかく撃て。巻き添えは気にするな。」なんて言ってたし、
ちょっと鬼畜米兵的なところがありますよね。
当然といえば当然だけど、異常にドイツ人を憎んでいるみたいです。
ドンを演じるのはブラピですが、『イングロリアス・バスターズ』の演技が認められ、
本作のオファーを受けたそうだけど、それも納得な役柄ですね。

その後、SS将校を生け捕りにして、ノーマンに「コイツを殺せ」と命じます。
ノーマンはそれを拒否するのですが、子供を殺したくない気持ちはわかるけど、
大人の、しかもSSを殺すのまで拒否するなんて、さすがに甘ちゃんすぎますね。
というか、それなら前線への配属を、ちゃんと断るべきです。
いや、むしろそんな覚悟で軍隊に入っちゃダメで、さすがにちょっとイライラしますね。
「タイピストだから殺すことも殺されることもない」と思ってたんでしょうけど…。
結局ドンに無理やり拳銃を握らされ、引き金を引かされて、初殺人を経験します。

総力戦に出ているナチスは女子供も戦争に動員していますが、
戦いを拒否する者は殺され「卑怯者」というプラカードと共に街中に吊るされます。
このままだと米軍の鬼畜さばかりが強調されてしまうので、
独軍も人道的にかなり悪いというところを見せて、バランスを取ったのかな?
ドンは四輌の戦車を率いて街を砲撃し、制圧します。
降伏した民間人は殺しませんが、降伏したSS将校は捕虜にせず殺します。
米兵たちは降伏した民間人の女を手籠めにしたりもするんですよね。
ちょっと人道的にどうなんだろうと思ってしまうところではありますが、
戦争なんてそんなものだから仕方ないのかな。
でもドンの部下のクーンアスとかゴルドは、マジで野蛮で下品な奴らで、
こんな奴らの慰み者にされるドイツ人女性はちょっと可哀想でしたね。
でも同じ部下でも、バイブルは女を手籠めにしたりはしません。
彼はそのあだ名(聖書)と通り、敬虔なクリスチャンだからです。
敬虔なクリスチャンなら人を殺しまくる兵士になるのはおかしい気もしますが、
むしろこの過酷な状況では宗教に頼りたくなるのもわかる気がします。
ちなみにバイブルを演じるシャイア・ラブーフは、
この撮影中に本当にクリスチャンになってしまったそうなのですが、
役作りで風呂にも入らなかったらしいし、役になり切りすぎたんでしょうか?

この街で、ドンはノーマンを連れて、あるドイツ人女性エマの部屋に押しかけます。
エマをノーマンに抱かせようとしたのですが、自分は誰も抱きません。
もしブラピが誰かをレイプするような役をしたら、
あの独善的な人権活動家の新妻が黙ってないからかもしれないと思っちゃいました。
まぁノーマンもゴルドらとは違い、とても紳士的な若者なので、
エマとも合意の上で抱くので、レイプとは言えませんけどね。
短時間にラブラブになる2人ですが、もちろん付き合うわけにはいかず、
次の町への出撃命令を受けて、彼女を捨てて行かなければなりません。
結局は性の捌け口を現地調達しているわけですが、それが戦争です。
まぁノーマンなら戦争終結後、またエマに会いに来たりしそうですが、
出発直前に町は空爆を受けてエマが死んでしまい、彼はショックを受けるのです。
独軍の空爆だと思いますが、町が米軍に制圧されたからといって、
自国の民間人が沢山残っている町を空爆するなんて酷い話です。
…なんて、戦争でそんな甘いことは言ってられないか。
どうでもいいけど、このエマの家のシーンはちょっと退屈だったかな。
けっこう長かったけど、その間は本作の売りであるアクションシーンがないし…。

ドンは支援部隊を守るため、ある十字路で独軍の足止めをする任務を受け、
自ら乗るフューリーを含む戦車4輌を率いて十字路に向かいます。
その途中で、独軍の重戦車ティーガーの襲撃を受けるのです。
お待ちかねの戦車対戦車のアクションシーンに突入です。
ティーガーは1輌ですが、前述のように独軍の戦車ほ方が高性能で、
ドンの隊はフューリーを除く3輌を大破させられてしまいます。
そしてティーガーとフューリーのタイマンになるのですが、
どちらが先に主砲に装填するか、超至近距離でのバトルは手に汗握りました。
結局フューリーが後ろを取り、ティーガーの装甲の薄い個所に主砲をぶち込み勝利。
しかし十字路の防衛はフューリー1輌で行わなくてはならなくなり…。

十字路に到着したフューリーですが、対戦車地雷を踏んでしまい、
キャタピラが故障し、その場から動けなくなってしまいます。
しかも無線機まで故障しているので、応援を呼ぶことも出来ません。
独軍が十字路に来る前に、なんとかキャタピラを修理しようと試みますが、
約300人あまりのSS大隊が近づいてきて、もう修理は間に合いません。
ドンは部下から「逃げよう」と言われますが、それを拒否し、
「お前たちだけどこかに隠れろ」と言って、フューリーに乗り込みます。
部下たちは迷いますが、なんとノーマンが「僕も一緒に残る」と言い出し、
結局みんな残り、移動できない戦車でSS大隊を迎え撃つことになります。
もちろん玉砕覚悟です。

SS大隊はSS将校が乗る輸送車が一台あるだけで、300人のほとんどは歩兵です。
フューリーは動けないとは言っても、銃器の類は生きているので、
大群とはいえ歩兵が簡単に攻略できる相手ではありません。
主砲と前方の機関銃を使い、迫りくる独兵を次々と撃ち殺します。
でもどんどん弾は消耗し、ついに弾切れに…。
彼らは手持ちの小火器と上部の50口径の機関銃で応戦しますが、
クーンアスは装甲を撃ち貫かれて被弾し死亡、ゴルドも手榴弾で自爆、
バイブルも顔面を撃たれて死んでしまうのです。
残ったドンとノーマンも全て弾切れとなり、もうフューリーに閉じこもるしかなく…。
ドンはすでに二回被弾しており、もう助かる見込みはなく、
ノーマンに「床の緊急ハッチから脱出しろ」と言います。
ドンを置いて逃げることを躊躇するノーマンですが、
独兵から車内にポテトマッシャーを投げ込まれ、考える暇もなく脱出。
車内ではドンが爆死してしまいます。

フューリーの下に身を潜めて、SS大隊をやり過ごそうとするノーマンですが、
当然戦車の下の隙間も確認する独兵もいて、見つかってしまい絶体絶命、
…と思いきや、その独兵は何を思ったのかノーマンを見逃してくれるのです。
本当になぜ見逃したのかわかりませんが、彼も配属直後のノーマンのように、
若いノーマンを見て「まだ子供じゃないか」と考え、見逃してくれたのかもしれませんね。
その優しい独兵のお蔭で、SS大隊をやり過ごしたノーマンは車内に戻りますが、
ドンや他の仲間の遺体がきれいなまま残っていたのは意外でした。
ポテトマッシャーでマッシュされたと思ったのに、それほど破壊力はないのかな?
その後、ノーマンは米軍の支援部隊に救出されます。
衛生兵から「君は英雄だ」と言われ、輸送車に乗せてもらいますが、
結局SS大隊を完全に止められなかったのに英雄扱いされるのは不思議かも。
きっと日本軍だったら「最後まで戦って死ね」と怒られたと思うのですが…。
まぁフューリーの周りには3ケタを超える独兵の遺体が転がってたし、
たった5人であれだけの敵兵を殺せば、英雄視されても不思議じゃないかな?

ドンも死んじゃって、正直ハッピーエンドとはいえない結末でしたが、
なかなかハードでリアルな戦闘シーンが満載で、面白い戦争映画でした。
オスカーに絡めるかは疑問ですがオススメです。
さて、エアー監督の次回作は、ボクの大好きなアメコミ映画になるみたいで、
DCコミックの『スーサイド・スクワッド』を実写映画化するみたいです。
恩赦の代わりに任務を請け負うヴィランの傭兵の物語ですが、
『マン・オブ・スティール』『バットマンvスーパーマン』に続く、DCユニバース第三弾で、
ハーレークインやジョーカー、デッドショットなども登場するとか。
エアー監督が脚本も手がけるようで、また薄い物語にならないか少し心配ですが、
きっとハードでリアル志向のアクションが満載のアメコミ映画になるはずです。

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