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日々ロック

先達て、今年の紅白歌合戦の出場歌手が発表されましたが、
それを見て、これは酷いなと思わずにはいられませんでした。
AKB48グループが4組(AKB48、SKE48、NMB48、HKT48)、
ジャニーズが6組(SMAP、TOKIO、V6、嵐、関ジャニ∞、Sexy Zone)と、
あまりに偏った人選で、納得できません。
もちろん納得できないのはボクだけではなく、その偏りに批判も多いですが、
その一方、今年全くヒット作のない和田アキ子などの選出も批判されています。
そう考えると、このご時世、ヒットするのはAKB48グループかジャニーズだけだし、
この偏った人選は意外と今年の音楽を反映しているのかも?
もし彼らを外したとして、他に誰を出場させればいいかと問われても、
全く思い当りませんからね。

まぁ松たか子には出場してほしかったけど、ご懐妊では仕方ないです。
でも歌わないにしても、顔見世程度のサプライズ出演する可能性はあるかも。
ただその時は、May J.と共演ではなく、神田沙也加と共演してほしいです。
どのみちボクは今年も見れそうにないですが…。

ということで、今日は音楽映画の感想です。

日々ロック
日々ロック

2014年11月22日公開。
榎屋克優の同名コミックを入江悠監督が映画化した青春ロックムービー。

勉強もスポーツもダメ、彼女ナシのパッとしない高校生だが、ロックを愛する心だけは人一倍強い日々沼拓郎(野村周平)。友人に誘われバンドを結成した彼は卒業後、上京して伝説のライブハウスで活動し始めるが、なかなか客は集まらない。そんな現実にもめげず熱いライブパフォーマンスを繰り広げていたある日、トップアイドル宇田川咲(二階堂ふみ)と出会う。(シネマトゥデイより)



今月は20本ほど映画を観に行きましたが、日本映画は本作を含め2本のみ。
今年は四十余本しか実写日本映画を観てないが、年間ワースト級の駄作でした。
たまに日本映画を観に行けば地雷を踏んでばかりなので、
ホントに日本映画が嫌いになりそうですが、ボクの運が悪いだけなのかな?
知人と映画を観に行くことになり『想いのこし』とどちらを観ようか悩んだ挙句、
ボクの意向で本作を観ることになったのですが、もう知人に申し訳なくて…。
「悪くはなかった」と言ってくれましたが、気を使ってくれたのは間違いないです。
こんなことなら素直に無難な『想いのこし』を選んでいれば…。
…いや、クソつまらなさそうなので真っ先に候補から除外した
『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』の方がマシだったかもしれません。

ボクが本作を推してしまった理由は監督が入江悠だったからです。
カルト的人気を誇るインディペンデント映画『SRサイタマノラッパー』シリーズの監督で、
ボクもそのシリーズが大好きだったので期待してしまいました。
それなら選択の余地もなく本作を選んでもおかしくないところですが懸念もありました。
本作は松竹が配給する、監督初のメジャー作品になることです。
『SR』シリーズであれだけ注目されたので、メジャーから声がかかるのは当然ですが、
バジェットがデカくなると、途端にダメになる監督っているんですよね。
ボクは入江監督にその匂いを感じていたので、メジャー化してほしくなかったです。
メジャー作品としても、公開規模も小さい本作はまだマシですが、
次回作はジャニーズ映画『ジョーカーゲーム』なので、懸念を感じずにはいられません。
まぁメジャー化して、大成する監督ももちろんいると思いますが、
入江監督の場合はやはりそうではないことが本作で明らかになりました。
さっさとインディペンデント映画の世界に戻り、『SR』シリーズを続けるべきです。
断言します、彼は『SR』シリーズしかまともに撮れない監督です。

本作は入江監督の長編6作目ですが、本作を含め過去5作は全て音楽映画です。
うち3本が『SR』シリーズだったわけですが、残る一本は
『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』でした。
正直この『神聖かまってちゃん』もかなり微妙な作品だったように思います。
これだけ音楽映画ばかり撮って来た監督なので、
音楽を魅力的に描くことに長けている監督だと思われるかもしれませんが違います。
彼は音楽のダメさを描くことに長けている監督なのです。
『SR』シリーズはタイトル通り、日本語ラップを主題にした音楽映画ですが、
元日本語ラップファンのボクが言うのも何ですが、日本語ラップってダサいです。
なので日本語ラップをかっこいいものとして描く映画は嘘くさくなりますが、
『SR』シリーズは日本語ラップがダサくてダメなことを前提に描いているので、
とてもリアルでドラマとして素晴らしいものになっているのです。

しかし本作はタイトル通り、ロックを主題にした音楽映画ですが、
ロックは日本語ラップと違い、かっこいいものが沢山ある音楽です。
ところが残念なことに入江監督には、かっこいい音楽を撮る才能がありません。
『神聖かまってちゃん』の場合は、もともと好き嫌いの別れるイロモノバンドの
音楽を題材にしていたので、誰が観ても魅力的な音楽に感じる必要はなかったが、
本作の場合は、少なくとも劇中の数曲は、誰の耳にも魅力的なものでないと
物語に説得力がなくなってしまうものだったはずですが、
残念ながらボオクには劇中でいいと思った曲はひとつたりともなく…。
ゆえに本作の物語には全く説得力を感じませんでした。
以下、ネタバレ注意です。

冒頭、高校生の日々野卓郎(Vo兼Gt)が同級生の草壁(Ba)と依田(Dr)の3人で
バンド「ロックンロールブラザーズ」を結成し、駅前でストリートライブをしますが、
そこに同級生のヤンキー浜橋がやってきて、大暴れします。
卓郎は浜橋をギターでぶん殴り、浜橋も卓郎をパイプ椅子でぶん殴るのですが、
両者ともに鮮血が周りに飛び散るほどのケンカ、…いや、殺し合いです。
警察沙汰になってもおかしくない傷害事件ですが、本作はそれを
さもいつもの光景のように描いていることに強い違和感を覚えました。
それ以前に、音楽映画だと思って見始めたのに、
頭頂部から血飛沫が立ち上るバイオレンス描写から始まったことに戸惑い、
戸惑っている間に物語がどんどん進んでしまった感じです。
ここは主人公の卓郎がどれだけロック馬鹿かを描くためのシーンなので、
別にヤンキーに絡まれるだけでもそれは伝わるから、流血描写は全く不必要です。
もしインディペンデント映画だったら、こんな金のかかる無駄な演出はしないでしょうが、
メジャー作品でいつもより予算があったので、演出過多になったのは明白です。

5年後、卓郎ら3人は上京、ライブハウス「モンスターGOGO」に泊まり込みで働きます。
彼らはそのライブハウスで出演もさせてもらうのですが、
「ロックンロールブラザーズ」のステージが酷いです。
卓郎は全裸でダッチワイフを背負ってステージに上がり、
お世辞にも高いとは言えない歌唱力で下ネタ満載の歌を歌っています。
もう面白いを通り越してドン引きですが、本当にロックを好きな奴が、
こんな卑猥な格好で、こんな下劣な歌を歌いますか?
ロックを馬鹿にしているお調子者にしか見えません。
いや、それでも歌ってる時の卓郎はまだマシで、普段の卓郎はあまりに痛々しいです。
志村けんの爺さんコントかと思うような挙動不審な動きで、
知的障害を疑ってしまうような言動の数々で、もうウザいの何のって…。
バンド仲間の草壁も性格が最悪で、卓郎とは違う意味でウザすぎて、
とてもじゃないがこんなバンドを応援したいとは思えません。

ある日、ライブハウスにトップアイドル歌手の宇田川咲がお忍びで来店し、
「ロックンロールブラザーズ」のステージに、飛び入りで参加。
勝手にRCサクセションの「雨上がりの夜空に」を歌うのです。
ガールズテクノポップでミリオンセラーになった人気絶頂アイドルが、
実はロックバンド出身のロック大好き少女だったという展開ですが、
二階堂ふみ演じる咲の「雨上がりの夜空に」は正直下手すぎます。
オリジナルを絶対に越えられないこの曲を選曲したのがそもそもの失敗ですが、
もともと女性向きの曲じゃないのもあるけど、それにしたって声が細すぎます。
ここはガツンと咲のロッカーとしての資質を示すべきシーンなのに、
こんな歌唱力ではアイドル歌手にだってなれません。
まぁテクノポップなので、歌唱力は誤魔化せるかもしれませんが、
そもそも酒癖悪くて、人を殴るし、人前でオッパイ晒すし、ゲロ吐くし、
こんな素行の悪い子がトップアイドルになれるはずないです。
もっと言えば、二階堂ふみはビジュアル的にロック感が強いため、
アイドルなのにロックが大好きというのが面白いキャラのはずが、
逆に彼女がテクノポップのアイドル歌手をしていること方が意外に思えます。
クライマックスが演技力を必要とするシーンなので、
演技派女優の彼女をキャスティングしたのだろうと思いますが、
全体から見ればミスキャストだったように思えます。

咲がステージに乱入したのは、別に卓郎のバンドが気に入らなかったのではなく、
逆に気に入って、テンションが上がりすぎちゃったのが原因みたいですが、
あの下劣なバンドの下衆な曲を気に入る気持ちが全く理解できません。
ましてや本当にロックが好きなら、こんな悪ふざけは許せないはずです。
後に彼女が言うには「メチャクチャなライブだけど自由でいい」ということですが、
彼女はトップアイドルとして自由のない退屈な生活をしているのかと思えば、
自分のコンサートの折にも「ライブはいい、生きてるって感じがする」って言うし、
別にメチャクチャなライブがしたいわけではないみたいで…。
とにかくここで、咲が卓郎の才能を見出したという展開だったわけですが、
ボクとしては卓郎にも咲にも全く才能を感じないので、
この後の展開に全く説得力を感じないんですよね。

卓郎はライブハウスでバイトする女の子マチ子に片想いしますが、
ビジュアル系バンド「ランゴリアーズ」の新庄(Vo)に寝取られ激怒。
ランゴリアーズとライブハウスの出禁を賭けて、勝負することになります。
新庄は卓郎の片想いを知っていながらマチ子に手を出したのは酷いかもしれないが、
そもそも全裸でダッチワイフ背負っているようなキモイ卓郎に、女性が惚れるはずもなく、
マチ子と付き合えないのは新庄のせいではないですよね。
ビジュアルも音楽性も新庄の方が遥かにまともだし、
卓郎のバンドが嫌いなボクとしても、断然ランゴリアーズを応援したい気になります。

勝負方法はライブハウスで行うランゴリアーズの2ndアルバム発売イベントで、
アルバムをどちらが多く売れるかで競います。
ランゴリアーズのホームでの勝負で、圧倒的に不利だと思いますが、
ロックンロールブラザーズのCDは無料配布でもかまわないというハンデをもらいます。
イベント当日、卓郎は書き下ろしたばかりの新曲で勝負し、
ランゴリアーズを観に来た客も沸かし、CDは見事に完配して勝利するのです。
でもこの時披露した新曲も、下ネタではなかったので多少はマシだったけど、
至って凡庸な曲に思えて全然いいとは感じませんでした。
これで勝利と言われても、何とも釈然としませんが、そもそも無料配布なら、
「貰えるものは貰って行こう」という人も多いんだし、全部配れて当然です。
というか、(身内を含む)誰かがひとりで全部持って行っちゃってもいいんだし、
実際はロックンロールブラザーズが負けようのない不公平な勝負です。

そのイベントを見に来ていた咲は、卓郎に曲を作ってほしいと依頼し、
自分のコンサートのチケットを渡します。
後日、卓郎たちは咲のコンサートを観に行きますが、
この咲のステージは劇中の音楽シーンで最もマシでした。
テクノポップなので歌唱力は関係なく、ダンスがそれなりなら様になりますからね。
コンサート後、会場裏で卓郎と咲は2人で話します。
卓郎が咲になぜ音楽を始めたのか聞くと、
彼女は中高生の時に仲良し4人組とガールズロックバンドを結成したが、
卒業後に彼女だけ上京し、ソロデビューが決まったのでバンドは解散。
バンドメンバーがひとり死んじゃったのでもう再結成できないと話すのです。
ちょっとシリアスな話でしたが、このシーンの時に、2人がいる場所の近くで
カップルがイチャツキ始めて、喘ぎ声が聞こえてくるんですよね。
シリアスなシーンでそんなボケを挟んでくる意図が全くわかりません。
卓郎は咲に「またロックをやればいい」と言うのですが、
彼女を手掛ける大物プロデューサーの風間のやっていることと違うから無理だと…。
それなのに彼女は卓郎のバンドを「風間さんに推薦する」と言うのです。
いやいや、自分で風間はロックを手掛けないと言っているのに、
推薦するということは自分のように卓郎たちにもロックを止めさすってことになるのに、
全く辻褄の合わない、意味不明な会話です。

咲は本当に推薦したみたいで、風間がライブハウスを訪れ、
卓郎たちは彼女の前で演奏することになるのです。
曲はランゴリアーズとの勝負の時と同じ曲でしたが、それを聴いた風間は
「曲は普通、歌詞は在り来たり、テクニックは三流、可能性を感じない」とダメ出し。
ボクも全くその通りだと思っていたので、風間さんに代弁していただき、
少し溜飲が下がる思いがしました。
と同時に、卓郎の曲がクソだと思っていたのはボクだけじゃないとわかり安心しました。
更に風間さんは「何のために歌ってるか伝わってこない」と叱責。
卓郎は何も言い返せませんでしたが、まさか本当に目的もなく歌っていたとは…。
重ね重ね、コイツは本当にロックが好きなのかと疑ってしまいます。

風間さんは「もう咲には近づかないで」と吐き捨て、帰ってしまいます。
すると草壁が「何であんな奴呼んだ?」と激怒し、ケンカになるのです。
いやいや、風間さんのダメ出しは至極まともなものだったのに、
反省するどころか彼女が悪いように言うなんて、頭おかしいんじゃないか?
推薦してくれた咲に怒りの矛先を向けた卓郎も同様に頭がおかしいです。
大ゲンカ中、床にこぼれたウォッカにタバコの火が引火し、ライブハウスは火事に。
修理費500万円稼ぐために、3人は音楽を止め、バイトに明け暮れることになります。

卓郎は地元に帰り、干物工場で働きますが、3か月経っても全く上達せず、
先輩の外国人労働者に怒られる毎日です。
あそこまで上達しないのは異常で、本当に何も出来ないダメな奴です。
ある日卓郎は、職場のラジオで咲がガンで入院したことを知ります。
彼は咲のために書いた曲を持って、東京に向かうのです。
卓郎が地元を発った時には、入院中の先はまだ元気そうでしたが、
彼が東京に着いた時には、髪も全て抜け、もう今にも死にそうで…。
…って、病状の進行が速すぎるでしょ。
卓郎の地元がどこかは知らないが、東京まで来る間にここまで弱るなんて、
卓郎は一体何カ月かけて東京まで来たんだって話ですよ。
走って来たような描写でしたが、それにしたって遅すぎるし、
咲の余命が僅かだと知りながら本当に走って来たなら、
本当に咲に曲を届ける気があるのかも疑わしく思います。(電車賃くらいあるだろ。)
東京に着いた時には、卓郎の持っていた生魚が干物になっていましたが、
またしてもこんなシリアスな展開でそんなボケを突っ込んでくるなんて…。

病室で咲と再会した卓郎ですが、彼女は「もう疲れた、帰って」と、
彼が書いた曲も受け取ろうとはしません。
卓郎は駆け付けたバンド仲間やライブハウスの仲間らと一緒に、
彼女の病室から見えるビルの屋上で、暴風と豪雨の中、歌を歌うのです。
それを聴いた咲は、少し元気を取り戻す、という感動的なクライマックス、
…のはずですが、これが全く感動しません。
たしかにこのシーンでの二階堂ふみの演技は真に迫るものがあるし、
卓郎の歌の出来はともかく、暴風豪雨の中で歌う姿は熱いものがありますが、
展開的に無茶苦茶すぎるため感動できないんですよね。
卓郎が歌う曲は、あきらかに咲の現状を想って書いた歌詞でしたが、
これは咲から依頼を受けて彼女用に書いた曲では絶対にありません。
でもこの曲を作曲する時間なんて全くなかったはずなんですよね。
もちろん仲間を練習することも出来なかったはずで、
ぶっつけ本番の即興で歌ったことになるが、そんなことはあり得ないでしょ。

それになにより、自分の歌で咲が元気になると考えるなんて思い上がりも甚だしい。
普通の人だったら、彼女が最も嬉しいことは何かを考えれば、
彼女の昔のバンド仲間を連れて来て、歌ってもらうことだと思うんですけどね。
(てか昔のバンド仲間は見舞いにも来ないのか?)
まぁ結果的に、卓郎の歌でも彼女は一時的に元気を取り戻しましたが、
やっぱり死んじゃったみたいです。
その後、卓郎たちはバンドを再開し、音楽活動を続けますが、
別に売れるわけでもなく、本作は終了します。

音楽映画の肝は音楽ですが、その音楽が魅力的ならば言うことはないけど、
そうそう名曲なんて書き下ろせるものではありません。
別に凡庸な曲でもいいけど、その曲にカタルシスを持たせることが大切です。
例えば『アナと雪の女王』の「ありのままで」は、曲単体ではそれほど名曲でもないが、
物語に絡ませることで映画の感動が曲に加味され大ヒットしているのです。
だから音楽映画の本当の肝は、感動的な物語だと思うんですが、
本作は脚本を疎かにし、演出過多で全くリアリティのない物語なので、
そこにカタルシスが生まれる余地がないのだと思われます。
『SR』シリーズにはダサい日本語ラップばかりで、名曲なんて一切ありませんが、
それでも劇中曲に感動できるのは、登場人物が等身大で、物語がリアルだからです。
入江監督はなぜ自分の作品が評価されていたのか、
自分では理解してなかったことが本作でわかりましたね。
本作を観るまでは次回作『ジョーカーゲーム』も観るつもりでしたが、もう観ません。
というか、『SR』シリーズ以外の彼の作品はもう観ないと思います。

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