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西遊記 はじまりのはじまり

韓国最大の映画賞、第51回大鐘賞で、
抗日映画『鳴梁』が作品賞を含む四冠に輝いたのだそうな。
豊臣秀吉の慶長の役で、朝鮮水軍が日本水軍に勝利した鳴梁海戦を描いた映画で、
日韓関係の悪化を受け、韓国史上最大の大ヒットを記録しました。
李舜臣がわずか12隻の小舟で、330隻もの日本水軍を撃破する内容らしいが、
史実では李舜臣は日本水軍の先鋒を数隻沈めた後に撤退しており、
鳴梁海峡は日本水軍の制圧下に置かれたため、事実上の朝鮮水軍の敗戦です。
そんな調べればすぐにわかる歴史歪曲映画が、韓国史上最大のヒット作であり、
国内最高峰の映画賞を受賞するなんて、韓国人は恥ずかしくないのかな?
自分たちは自尊心が保てるかもしれないが、対外的にどう見られるか考えた方がいい。
今後も竹島の領有権を主張する映画『独島512』や、
慰安婦の体験を描いた映画『鬼郷』など反日映画が続々と公開される韓国ですが、
国際的な場で「日韓関係の悪化は日本に非がある」と言って憚らないけど、
この状況を見れば諸外国がどう思うかなんて容易に想像できそうなものです。

中国も抗日映画は多いけど、韓国と違って全然ヒットしません。
今年、中国でも今年中国史上最大のヒット作が公開されましたが、
まさかの『トランスフォーマー/ロストエイジ』でしたからね。
米中合作だけど、原作は日本だし。

ということで、今日は中国の昨年のナンバー1ヒット作の感想です。

西遊記 はじまりのはじまり
Journey to the West Conquering the Demons

2014年11月21日日本公開。
中国の伝奇小説『西遊記』を題材にチャウ・シンチーが撮ったアクションコメディ。

若き妖怪ハンター玄奘(ウェン・ジャン)は、“わらべ唄 三百首”を武器に妖怪たちの善の心を呼び起こそうとするがいつもうまくいかない。ある日、彼が半魚半獣の妖怪に襲われた川辺の村で、村人たちと協力して陸に上げた魔物が人間の姿に変身する。玄奘が歌うわらべ唄は全然効果がなく、逆に攻撃された彼を女性妖怪ハンターの段(スー・チー)が救う。(シネマトゥデイより)



本作は東宝東和と日活による新レーベル「GOLDEN ASIA」の第一弾です。
このレーベルは「アジア映画最強のレーベル」というコンセプトで、
アジア各国の興収ナンバー1や映画賞受賞作など実績のあるアジア映画を
日本の映画ファンに届けようというスタンスです。
第二弾は全世界興収インド映画史上歴代1位の『チェイス!』、
第三弾はインドのアカデミー賞で作品賞を含む六冠を記録した『ミルカ』です。
そのコンセプトだと、前述の韓国映画『鳴梁』も韓国史上歴代1位だし、
韓国のアカデミー賞四冠なので「GOLDEN ASIA」に選ばれてもおかしくないね。
選んだ途端にレーベルは潰されることになるでしょうが…。
ボクも(韓国を除く)アジア映画はもっと日本で公開されるべきだと思っているので、
これはなかなかいいレーベルだと思います。

で、「GOLDEN ASIA」の第一弾に選ばれた本作の実績は、
昨年の中国興行成績第1位で、中国映画史上歴代1位も記録しました。
昨年の日本興行成績第1位の『風立ちぬ』ですら興収は約120億円ですが、
本作の中国興収は約200億円というのだから凄まじいです。
本作がキッカケか中国では『西遊記』ブームが到来しているみたいで、
今年も『西遊記之大鬧天宮』という映画が約170億円の大ヒットを記録しています。
ボクはあまり中国映画を好んで観るタイプではないですが、
洋画ファンとしては世界第二位の映画消費国である中国の
歴代ナンバー1作品くらいは観ておいた方がいいと思い、観に行くことにしました。

それ以上に本作を鑑賞する動機となったのは、本作のチラシの裏面に掲載されていた
大人気漫画『ドラゴンボール』の作者・鳥山明のコメントで、
「これこそがボクの理想とする娯楽映画の最高峰であります!」と絶賛されています。
著名人の絶賛コメントなんて珍しくも何ともないし、
いつもは全く当てにしていませんが、今回はちょっと事情が違います。
『ドラゴンボール』も本作と同様に『西遊記』を題材にした作品ですが、
ハリウッドで映画化された『DRAGONBALL EVOLUTION(DBE)』は悲惨な出来で、
原作者である鳥山明は「原作者としては『え?』って感じはありますが…」と皮肉を贈り、
その失敗がキッカケで、もう他人には任せておけないと思ったのか、
アニメ映画『ドラゴンボールZ 神と神』は自ら脚本を書くことになりましたが、
その公開時も「本当にダメだった某国の実写映画と大違い」と『DBE』を揶揄しています。
その『DBE』を製作したのが、本作の監督であるチャウ・シンチーだったわけで、
鳥山明としては恨みこそすれ褒めたい相手ではないはず。
それなのに今回は皮肉抜きで本作を大絶賛しているので、
鳥山明にここまで言わせるなんて、これは相当面白いのではないかと期待しました。
結果、たしかに『DBE』なんて足元にも及ばない面白い作品だったと思いましたが、
この程度で中国歴代ナンバー1というのも意外だと思ったし、
「完璧な娯楽映画」という鳥山明のコメントはちょっと褒めすぎかな。
でもチラシの裏面に彼のコメントを掲載した意図はわかりました。
本作の一部に『ドラゴンボール』の明らかなパクリを含んでいるので、
彼にコメントを貰うことでお墨付きを得て、批判を免れようと考えたのでしょう。
以下、ネタバレ注意です。

ある水上村落で、5~6歳の少女・長生が父親と川で遊んでいると、
突然父親が何者かに川の中に引きずり込まれ、噴血して死にます。
川は彼の血で赤く染まりますが、てっきり家族向けファンタジーと思っていたので、
意外とグロい過激な映像に驚いてしまいました。
村に妖怪ハンターを名乗る道士が訪れ、川で巨大なエイを退治し、
それが父親を襲った妖怪だと言い、村人からお礼を受け取るのですが、
それを見た仏門の弟子・玄奘は、「これはただのエイだ、妖怪は別にいる」と言い…。
妖怪が退治されて安心した村人は玄奘を無視しますが、
その直後、本当に半魚半獣の水妖が現れて村人を次々と襲うのです。
少女・長生まで食い殺されてしまうのですが、コメディ映画で子供が死ぬなんて、
日本やハリウッドでは考えられない展開で、さすがは中国映画だなと思います。

玄奘は村人に協力してもらい、水妖を陸に引きずり上げることに成功。
水妖は力を失い、人間の姿に戻ってしまいます。
人間化した水妖を殺そうとする村人ですが、玄奘は彼らを制止し、
「私に任せてくれ」と"妖怪大典"を開き、退魔の経文を読みはじめ…、
と思ったら、その本は"わらべ歌三百首"で、玄奘はわらべ歌を歌い始めるのです。
妖怪はもともとは善良な人間だったので、感動的なわらべ歌で泣き落とし、
内なる善を呼び起こして改心させるつもりですが、水妖に全く効果はなく…。
そこに女性妖怪ハンター・段がやってきて、水妖をぶん殴って、
まるでモンスターボールな妖怪カプセルに閉じ込め、一件落着です。
玄奘は自分の方法では妖怪を退治できなかったことを嘆き、
仏門の師匠に相談すると、「お前にはちょっとした何かが足りなかった」と言われ…。
いやいや、明らかに泣き落とし作戦が無茶だろって感じですけどね。

あるバカップルが旅の途中で飯店に立ち寄り、焼き豚を食べますが、
そこの顔面テッカテカのイケメン店主は猪剛烈という豚の妖怪で、
九本歯の馬鍬を頭部にぶっ刺されてしまいます。
店では窯で豚を丸焼きにしていますが、実はそれも人間の丸焼きでした。
死体で作られた手下たちもソフビ人形みたいに殴るとボコボコに凹みますが、
よくPG指定で通ったものだと思うほど、けっこうグロい映像でしたね。
ちなみに猪剛烈は猪八戒のことみたいで、
冒頭の水妖も沙悟浄だったと最後にわかります。
猪剛烈の噂を聞いて、妖怪退治のため玄奘も店を訪れますが、
最高レベルの賞金首である猪剛烈相手に全く歯が立たず…。
そこにまた段がやってきて、無限変幻リングという腕輪で猪剛烈と戦います。
そのリングは主にチャクラムのように投げて使うのですが、
無限に増殖したり、大きさも自由に変えられる凄い武器で、なかなか面白いです。
段は猪剛烈を羽交い絞めにし、その隙に玄奘に口移しで魔を吸い出させます。
魔を吸い出され弱った猪剛烈を妖怪カプセルに封じ込めようとしますが、
彼は巨大イノシシに変化し、カプセルから脱出。
あまりにも強すぎるので段と玄奘も逃げるしかなく…。

玄奘は猪剛烈を退治する方法を師匠に相談すると、
「五指山の妖怪の王、孫悟空に相談しろ」と言われ、ひとり旅立ちます。
その途中で段率いる妖怪ハンター部隊に出会います。
段は凄腕の妖怪ハンターですが、将来の夢はお嫁さんで、
どうやら玄奘のことが好きになっちゃったみたいなのです。
女性(段)に助けられてばかりの無能な妖怪ハンターである玄奘の
どこに惚れたんだって感じですが、一目惚れしちゃったんでしょうね。
玄奘も満更でもないのですが、仏門で修業中の彼は
「男女の恋愛よりも、もっと大いなる愛が重要だ」と拒みます。
求婚を断られて怒った段から"わらべ歌三百首"をビリビリび破り捨てられた玄奘は、
怒ってその場を立ち去り、彼女を無視して五指山に急ぐのです。

玄奘は五指山で白い蓮を見つけ、その下に洞穴があることを発見。
その中に入ると、急に禿げた小さいオッサンが縋り付いてくるのです。
なんと彼が妖怪の王、孫悟空だそうで、大日如来とケンカして、
500年もの間この洞穴に閉じ込められ、すっかり魔が抜けてしまい、
こんな貧相な惨めな姿になったのだそうで…。
今までいろんな作品で、いろんな孫悟空像を見ましたが、
こんな孫悟空は初めてで、斬新というか意外というか面白かったです。
魔が抜けて、「真・善・美」のみが残ったと言ってますが、少なくとも美はないです。

意外な妖怪王の姿に困惑しながらも、猪剛烈の退治方法を聞いてみる玄奘ですが、
孫悟空は「猪剛烈をここに連れて来い」と言うのです。
猪剛烈を誘き出すには美女が満月の下で踊るのが効果的だそうで、
玄奘を追ってきた段にその美女の役を頼むことになります。
まんまと誘き出された巨大イノシシ化した猪剛烈ですが、
洞穴に飛び込み、孫悟空の力によってミニブタになってしまいます。
そこを段が妖怪カプセルに閉じ込めて退治完了です。
一体、魔が抜けたはずの孫悟空が、どんな力で猪剛烈をミニブタ化したのか謎ですが、
もしかすると孫悟空の力ではなく、洞穴自体の妖怪封じの効果のせいかな?
でも元人間の猪剛烈は、魔が抜けたら人間にならないとおかしいような?
あ、でもそれを言えば元から猿の孫悟空が今人間なのもおかしいか。

猪剛烈を退治した段は、破いた"わらべ歌三百首"を貼り合わせて返し、
無限変幻リングを婚約指輪に変えて玄奘に渡し、再び求婚しますが、
またしても玄奘は拒否され、去ります。
玄奘は孫悟空へのお礼に、洞穴の入り口に咲いている蓮を手折って、
夜空が見えるようにしてあげるのですが、実は蓮に妖怪封じ効果があったようで、
孫悟空は魔を取り戻し、妖怪に戻って洞穴を飛び出します。
もちろん猿の姿になりますが、京劇のような衣装を着ていて、なんかかっこいいです。
さっきまでの姿とのギャップも素晴らしいですね。
最悪の妖怪王を復活させてしまった玄奘は、もう仏に救いを求めるしかないですが、
500年も洞穴に閉じ込めた大日如来を憎む孫悟空は、仏に祈る玄奘が気に入らず、
祈るのをやめさせようと玄奘の髪を毟り始めるのです。
三蔵法師が丸坊主なのは僧で剃髪したからではなく、孫悟空に髪を毟られたんですね。

そこに3人の妖怪ハンターが現れ、孫悟空を退治しようとします。
ひとり目の妖怪ハンターは虎拳や蟷螂拳の使い手でしたが雑魚で瞬殺。
2人目は足を自由自在に巨大化させる「お前が妖怪だろ」って感じの爺さんでしたが、
いくら巨大化した足でも孫悟空を踏みつぶすことはできず敗北。
3人目の空虚王子なる妖怪ハンターは、単なる虚弱野郎と思いきや、
複数の剣を自在に飛ばして操る、かなりの凄腕でしたが、
(彼なら猪剛烈くらいなら楽勝だったかもしれませんね。)
剣では孫悟空を貫くことができず、咆哮で足爺と共に灰にされます。
なかなかキャラの濃い奴らでしたが、噛ませ犬にもほどがありましたね。
もう少し頑張れよと思ったけど、彼らが弱いというより孫悟空が強すぎるのか…。

邪魔者を片付け、再び玄奘に向かってきた孫悟空の前に段が飛び出してきます。
しかしやはり相手にならず、フリーザがクリリンを殺した時のように彼女を爆殺。
段を殺され怒った玄奘は、彼女が貼り合わせた"わらべ歌三百首"を取り出します。
まさかこの期に及んで、孫悟空に泣き落としが通用するわけないだろ、
…と思いきや、字が読めない段が適当に貼り合わせた"わらべ歌三百首"は、
偶然にも"大日如来経"の経文になっており…。
玄奘がその経文を唱えると、大日如来が召喚されるのです。
大日如来は本当に宇宙そのもののような壮大な描き方をされていますが、
なぜ原作通りに釈迦如来にしなかったのかわかった気がしました。
孫悟空はサイヤ人のように大猿化して対抗しようとしますが、
宇宙規模の大日如来の相手になるはずもなく…。

その後、玄奘は孫悟空に緊箍児を被せて弟子にします。
段の遺した無限変幻リングが緊箍児になる展開も意外でした。
この一件で経文の絶大なる力を知った玄奘は、三蔵法師と名乗り、
天竺に経文を取りに行く旅に出ることになります。
孫悟空はもちろん、水妖こと沙悟浄、猪剛烈こと猪八戒も同行させますが、
緊箍児で服従させられている孫悟空はわかるけど、
水妖と猪剛烈が玄奘の言うことを聞く理由がわかりません。
まさか本当に妖怪カプセルはモンスターボールで、
野生のモンスターを捕まえて仲間に出来る道具だったのでしょうか?
あと夕日をバックに4人が天竺に旅立つシーンで、なぜか「Gメン'75」の曲が…。

中国歴代ナンバー1に見合う作品かどうかは別にして、
なかなかよく出来た、楽しい娯楽超大作だったと思います。
『霊幻道士』なんかもそうですが、中国の妖怪コメディは独特で面白いです。
これだけヒットしたら続編も当然考えられていると思うけど、
前述の後発『西遊記之大鬧天宮』が先にシリーズ化しちゃってるから、
状況的にはちょっと難しいかもしれません。

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DRAGONBALL EVOLUTION

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