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パワー・ゲーム

内閣府が17日発表した7~9月期の国内総生産の速報値で、
前期比0.4%減、年率1.6%減のマイナス成長だったのは、本当に愕然としました。
ボク自身は給料も上がらず、物価だけ上がって金の価値は下がり、
実質賃金が減って生活が苦しくなったので、景気回復は実感できていませんでしたが、
世間的には回復していると信じていたし、いずれはボクも実感できる日が来るはずだと
我慢していたのですが、まさか世間的にもマイナス成長だったなんて…。
マスコミはどこどこの企業が最高収益を上げたとか、景気のいいことを言ってたが、
マイナス成長を予想したエコノミストが皆無だったというのだから笑うしかないです。
結局、富裕層に富が集中しただけで、下々には波及しないシステムだったんだな。

ということで、今日はパラノイアな富裕層同士の下衆な戦いに、
富裕層に憧れるパラノイア気味の若者が巻き込まれる経済サスペンスの感想です。
(なお、本作の原題も『パラノイア』です。)

パワー・ゲーム
Paranoia.jpg

2014年11月15日日本公開。
リアム・ヘムズワース主演のスリラー。

躍進中のIT企業ワイアット社に勤務するアダム(リアム・ヘムズワース)は、成功のチャンスをつかもうと必死だった。ある日、彼はCEOニック(ゲイリー・オールドマン)の前で新ソフトのプレゼンをするものの失敗し、トップにたてついたせいで本人とチーム全員が解雇されてしまう。やけくそのアダムは仲間と一緒に会社の金で高級クラブに繰り出すが……。(シネマトゥデイより)



本作は3500万ドルもの製作費を投じながらも、
全米で740万ドルしか稼げなかった超赤字映画です。
初登場13位だったらしいですが、関係者もビビったでしょうね。
海外興収も640万ドルで、総興収1380万ドル足らず。
先週末から日本でも公開が始まりましたが、全然話題にもなっておらず、
日本での興収も2000万ドル以上の赤字には焼け石に水でしょう。
むしろ、コケるとわかっているのによく日本で劇場公開に踏み切れたものですが、
日本人は役者で選ぶ傾向があるから、本作のような豪華キャストなら、
内容はクソでも日本人客を呼べると考えたのかもしれません。
斯く言うボクも完全に役者に釣られて観に行ったクチで、
ハリソン・フォードとゲイリー・オールドマンの共演が目当てでした。
どちらも日本での人気、知名度の高いハリウッド俳優なので、
このキャストならもっとお客さんが入ってもよさそうなところだけど、
全然宣伝が足りないので、彼らの映画ということも伝わってないのでしょう。
まぁ赤字映画に宣伝費は掛けられませんわな。

全米公開時には批評家から酷評されまくった本作ですが、
そこまで酷い駄作かといえば、そうでもないかな。
この程度の出来の作品はザラにあるので、駄作というよりは凡庸な印象です。
もちろん面白いとは言い難く、褒められるところなんてほとんどないけど、
眠くなるほど退屈でもないし、暇潰しには十分な出来だと思います。
きっと批評家連中も、こんな暇潰しにしかならないような作品に、
高いギャラ払ってまで大御所二人を起用したことに呆れて、酷評したのでしょう。
いや逆に、大御所二人に対し「もっと作品を選べよ」と呆れたのかも。
お互いに「彼が出るなら私も出ようかな」って感じで安易に承諾したんじゃないかな?
ハリソン・フォードとゲイリー・オールドマンの共演は、『エアフォース・ワン』以来、
17年ぶりのことになるそうで、当時も敵同士の役で戦った2人ですが、
本作でも敵同士となり、熾烈な戦いを繰り広げることになります。
ただし今回はアクション映画ではなく経済サスペンスなのでドンパチしないし、
別にどちらが悪でどちらが正義ということでもなく、
本作の主人公はあくまで2人の争いに巻き込まれる若者で、
そういう意味では両者とも悪者と言えるかもしれませんね。
両者が直接対決するわけでもなく、大御所2人のバトルを期待して観に行くと、
少し肩透かしを食らうことになるかもしれません。

その2人の争いに巻き込まれた若者を演じる主演はリアム・ヘムズワースです。
ボクはアメコミ映画ファンなので、彼はクリス・ヘムズワースの弟という印象が強く、
脳筋キャラが多い兄貴のイメージ越しに彼を見てしまうので、
なんだか彼が経済サスペンスの主人公というのに違和感を覚えるというか、
インテリキャラだけど、あまり賢そうに見えず、ミスキャストに思えます。
兄貴との差別化を図りたいと思っているのかもしれないけど…。
以下、ネタバレ注意です。

ブルックリンに住む27歳の青年アダムは、
マンハッタンの一流IT企業ワイアット・モバイルに勤めて4年になりますが、
ビッグになりたいと夢を抱いて入社したものの、給料は初任給のままで、
肺を患う父親の治療費などを払うと借金まみれの生活で…。
彼の勤め先は経費削減のためにあまりいい保険に入ってくれないみたいで、
父親の治療は保険適用外で4万ドルも掛かるというのだから驚きです。
普段は元気そうなので、先進医療が必要な重い病気だとは思えないのですが…。
彼は母親を病気で亡くしていますが、その時の父親の仕事(警備員)では
その治療費が満足に払えず、母を死なせてしまったと考えているので、
自分は父親のような庶民ではなく、絶対に金持ちになると決めたみたいです。
気持ちはわからないでもないが、ボクのような庶民からすると、
職業差別同然の考え方で、あまり好感が持てる主人公とは言えないかな。

出世の大チャンスであるワイアット社長にプレゼンが出来る機会を得たアダムは、
渾身の企画を持ち、チームと一緒にプレゼンに臨みますが、
プレゼン中に話の腰を折ってくる社長にイライラしてしまい、
「社長は消費者をわかっていない」と暴言を吐いてしまいます。
そのせいで、なんと彼のチーム全員が解雇されてしまうのです。
いやいや、その程度で解雇だなんて、狭小にもほどがあると思いましたが、
たしかにアダムのプレゼンも、途中でダメ出しもしたくなるような、
どこからそんな自信が湧いてくるのかわからない企画でしたね。
簡単に説明すれば、テレビ上で音声認識のSNSをするというサービス案ですが、
そんな持ち運びにくいSNSなんて需要ないだろと思ってしまいます。
アダムも十分消費者のことをわかってないです。

やけになったアダムはチームの仲間と一緒に高級クラブ・ライズに行き、
会社の経費用クレジットカードを使って豪遊します。
なんと一晩で1万6000ドルも使ったというのだから無茶苦茶です。
当然、翌朝に社長の使いがやって来て、社長の前に引きずり出されます。
どんな目に遭わされるかと思いきや社長は、チーム全員再雇用してやる、と…。
その代りライバルのアイコン社を産業スパイしろ、と言うのです。
もし断れば詐欺罪で刑務所行きだ、と脅され、アダムはその命令を受けることに。
アイコン社は社長が元いた会社で、独立して、ワイアット社を立ち上げたのですが、
あまり円満な独立ではなく、アイコン社のゴダード社長から敵視されています。
そのアイコン社が、今度新型モバイル「オキュラ」を発売するそうなので、
アダムにアイコン社に入社して、オキュラの情報を盗んで来いと言うのです。
そのために暫くワイアット社長の家に泊まり込んで、秘書のジュディスから、
ゴダード社長に気に入られる男になるように教育を受けます。
ワイアット社長は会社のカードを借金や治療費の返済に使わず、
高級クラブでの豪遊に使ったアダムの野心に惚れ込んだみたいなのですが、
アダムはプレゼンで自分を怒らせて一度は解雇された男ですよ。
ゴダート社長に取り入らせるのに、こんな不適格な人間はいないと思うけど…。

教育を受けたアダムは、アイコン社に幹部としてあっさりと採用されます。
あんな短期間の教育で、そんな簡単に大企業に入社できるなんて、
いくらなんでも出来すぎだろって感じがしました。
入社後すぐにゴダール社長の前でプレゼンを行う機会が訪れますが、
そのプレゼンで社長は彼をとても気に入ります。
なんかすごい企画でも出したのかと思うでしょうが、全然そんなこともないです。
彼が出した企画は、モバイル用に開発した三次元GPS端末を
兵士に持たせて軍事利用するというだけのものです。
これで誤って味方を撃たなくて済むというのがメリットですが、
三次元GPSなんて当然すでに軍事利用されているものだと思っていたくらい、
なんとも凡庸の発想で、そのどこをゴダール社長が気に入ったのか…。

ゴダール社長から気に入られ、ホームパーティに呼ばれたアダムは、
オキュラの販売戦略チーフのエマと親密になり、
彼女がシャワー中に彼女のパソコンからオキュラのデータを盗み出します。
そんな折、アダムが実家に帰ると、FBI捜査官ギャンブルが訪ねてきて、
「今までにワイアット社からアイコン社に転職した者が3人死んでいる」と警告。
どうやらワイアット社長は今までも産業スパイをアイコン社に送り込んだが、
用済みになったら口封じのために始末しているみたいで、
捜査官はアダムも産業スパイではないかと疑い、警告してくれたみたいです。
その時は捜査官を誤魔化したアダムですが、自分も始末されることを恐れて、
オキュラのデータをワイアット社長に渡して、「もう辞めたい」と言います。
しかし社長は「データだけじゃダメだ、現物を持って来い」と言い、
アイコン社の金庫室に保管されている試作機を盗み出すように命令します。
もし従わなければ父親を殺すと脅され、アダムはスパイを続けるはめに…。
どうやらワイアット社長の部下がアダムの父親を隠しカメラで監視しているようですが、
それなら実家にFBI捜査官が来たのも知っていてもおかしくないはずなのに、
全然警戒する様子もなく、産業スパイを続けさせるのは変ですよね。

アダムはエマから指紋とケータイを盗み、それらを使って金庫室に侵入。
まんまとオキュラ試作機を盗み出します。
ちなみにそのオキュラですが、どんなすごいモバイルかと思いきや、
グニャグニャ曲がるだけのスマートフォンのような感じです。
機能としてはそれがあれば財布もカギもカードも要らなくなるみたいですが、
今でもお財布ケータイとか開錠させるアプリとか普通にありますよね。
最大の売りは個人情報を集約しており、これから会う人の経歴や家族構成、
病歴まで何でも知れるみたいですが、それってモバイル自体のサービスではないし、
そんな個人情報の収集が一企業に勝手に出来るはずないので不可能ですよ。
展開上オキュラは素晴らしい新型モバイルでなくてはならないですが、
そんな画期的な機能を本作の脚本家風情が考え付くはずもないから、
こんなショボい機能になるのも仕方ないか…。

アダムがオキュラを手に入れて金庫室から出ると、ゴダール社長が待ち伏せしており、
実は社長は彼がワイアット社の産業スパイだと気づいていたみたいで、
金庫室に忍び込ませたのもワイアット社のスパイ行為の証拠を得るための罠でした。
スパイだと気付いていたというか、そもそもスパイを送り込ませるように仕向けたのも
ゴダール社長だったみたいで、それならアダムが簡単に幹部に採用されたのも納得。
なんと教育係だった秘書ジュディスもアイコン社のスパイだったみたいで…。
ゴダール社長はワイアット社が産業スパイをしている証拠を掴み、
それをネタに株を過半数よこせとワイアット社長を脅すつもりです。
ワイアット社なんてアイコン社の製品をパクるしか能のない、
サ○スンのような企業なので奪っても仕方がない気がしますが、
どうやらプロセッサだけは素晴らしいものを独自に開発したらしく、
それをどうしてもオキュラに使いたかったみたいです。

ワイアット社長とゴダール社長の争いに巻き込まれ、
命を狙われたりと酷い目に遭ったアダムは復讐を誓い、両社長をFBIに売ります。
そして自分はFBIに協力したとして不起訴になり、めでたしめでたしです。
…って、FBIに協力して不起訴になるなら、捜査官が来た時に協力してもよかったし、
なんか復讐の方法として通報するって安易すぎる気がします。
もっとギャフンと言うような驚くべき方法はなかったものか…。

なんというか、ご都合主義で説得力が全くなく、
もっと工夫しろと思うような出来の映画でした。
キャスト頼みの典型で、赤字になるのも当然です。

コメント

まったく同感

またもや失敗。
感想を拝見してからしか行かないと固く誓っていたのですが、時間に会う作品がこれしかなく…
ハリソン・フォードが選んだ作品なら、まあいいだろうと思ったのが間違いのもとでした。
紙の月を観ればよかったかも。

  • 2014/11/22(土) 23:10:32 |
  • URL |
  • 通りすがり #-
  • [ 編集 ]

Re: まったく同感

『紙の月』は観なかったので本作よりマシかはわかりませんが、
ボクの感想は個人の主観なので当てにならないことも多いけど、
ハリウッド映画が赤字になるのは世界中の映画ファンの総意なので、
赤字映画は観に行かないのが無難かもしれません。

  • 2014/11/24(月) 09:31:43 |
  • URL |
  • BLRPN #-
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