ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

6才のボクが、大人になるまで。

今年も残すところ1カ月半となり、
「アカデミー賞最有力」を謳う映画の公開が増えていますね。
「最有力がなんで何本もあるんだ」というベタなツッコミは置いといて、
とりあえず候補になりそうな作品はできるだけ観ておきたいところです。
まずは今週末の『インター・ステラー』、そして来週末の『フューリー』、
来月の『ゴーン・ガール』、長編アニメ候補『ベイマックス』は見逃せません。
でもどうにも本年度アカデミー賞で気がかりなのは、
アンジェリーナ・ジョリーの反日映画『Unbroken』の動向で、
(かなり高確率ですが)これがノミネートされると、
その不快感でアカデミー賞が楽しめなくなってしまいます。
『フューリー』の宣伝でブラッド・ピットが来日しましたが、
新婚のアンジーは同伴しなかったみたいで、まぁ当然でしょうね。
感情的には、あの女に二度と日本の土は踏ませたくないです。
彼女の主演作『マレフィセント』の海外興収は、
日本が世界一なのに、恩を仇で返しやがって…。

ということで、今日はアカデミー賞最有力を謳う映画の感想です。

6才のボクが、大人になるまで。
Boyhood.jpg

2014年11月14日日本公開。
リチャード・リンクレイター監督による少年の成長を描いたドラマ。

メイソン(エラー・コルトレーン)は、母オリヴィア(パトリシア・アークエット)と姉サマンサ(ローレライ・リンクレイター)とテキサス州の小さな町で生活していた。彼が6歳のとき、母は子供たちの反対を押し切って祖母が住むヒューストンへの引っ越しを決める。さらに彼らの転居先に、離婚してアラスカに行っていた父(イーサン・ホーク)が1年半ぶりに突然現れ……。(シネマトゥデイより)



いやはや、正気の沙汰とは思えない映画です。
ひとりの少年の6歳から18歳までの成長と家族の軌跡を描いた物語ですが、
なんと本当に12年かけて撮影しているんですよね。
主演の少年も途中降板することなく、12年間ずっと主人公役を演じています。
キャストも途中降板することなく、役を全うしていますが、
主演エラー・コルトレーンと、その姉役のローレライ・リンクレイター、
そして両親役のパトリシア・アークエットとイーサン・ホークの4人は、
丸12年間ずっと同じ役を演じています。

12か年計画で12年前に撮影が開始され、漸く完成して今年公開されたわけですが、
かなりリスクの高い企画だったはずです。
途中で家族4人の誰かが降板なんてことになれば、そこまでの努力は水の泡で、
何年もかけて撮影した映像も無駄になってしまう可能性がありますからね。
両親役のアークエットとホークは分別のある大人だから簡単には降りないだろうけど、
6歳そこそこの子役がどうなるかなんて全くわかりません。
子役はそのほとんどが大人になる前に引退しちゃうものですしね。
リチャード・リンクレイター監督は、そのリスクも考えて、
自分の娘ローレライを主人公の姉役にしたに違いないですが、
なんでも彼女は途中(約4年目)で演技に飽きてしまったのだそうで、
「私の役を殺してくれ」と頼んだのだとか…。
父の威厳でなんとか説得に成功し、娘が降板する事態は避けられましたが、
こんな危機は計画当初から予測できることですよね。
それでも撮影開始したんだから根性があると言うか無謀と言うか…。

我が娘でもそんな状況なのだから、他人の俳優の降板を避けるのも大変です。
なんでもハリウッドは7年以上の契約は禁止されているらしいので、
契約満了で降板を申し出られたら止めることができません。
でもまぁ7年も関わった映画がお蔵入りするのは出演者も嫌だろうから、
契約更新してくれるとは思いますけどね。
ただ不慮の事態と言うのはありえますよね。
監督は「もし私が死んだらホークに監督代行を…」と言っていたそうですが、
裏方の替えは利いても、逆にホークに万が一のことがあればお終いです。
病気や怪我に限らず、不祥事とかで引退なんて可能性もあるし…。

でもやはり最もリスキーなのは主演の子役コルトレーンですね。
彼に降板する意思がなかったとしても、子役は大人になると劣化する例が多く、
6歳の時は可愛いが、成長過程で不細工になったりブクブク太ってしまって、
主演としてはふさわしくない成長を遂げる可能性も高いです。
幸いにも可愛いコルトレーンは、そのままイケメンに育ちましたが、
外見を維持するためのケアもかなり頑張っていたんじゃないかな?
(地毛なのに髪型がコロコロ変わるのも面白かったです。)
契約で禁止されていたのか、その間の他の映画出演もほとんどないみたいで、
本作のためだけに演技力を維持するのも大変だったと思われます。
製作期間は4000日以上ですが、撮影日数は計45日程度だったらしく、
本当は他の作品にも出たかったんじゃないかな?

実際は同一キャストで長い年月をかけて撮影を行うこの手の企画は
けっこうあるんじゃないかと思われます。
本作はたまたま上手くいき、こうして無事に公開されましたが、
そのほとんどが途中で頓挫して、日の目を見ないだけかもしれません。
そのチャレンジは当然評価に値すると思うし、ややもすれば、
そのチャレンジだけが売りの作品にもなりかねません。
しかし本作は某有名映画批評サイトで満足度99%を記録しており、
チャレンジが評価されただけでは、これほどの賞賛は受けるはずなく、
内容的にも素晴らしいドラマに仕上がっているに違いないと思い、
ボクも大いに期待していました。
ただ上映時間が165分もあるので、少し二の足を踏んでしまいます。
しかし長尺映画は嫌われるのに、それでも満足度99%を叩き出すんだから、
期待感も更に膨らんでしまいますね。

で、いざ気合を入れて観に行ったのですが、
うーん、満足度99%という評価は高すぎる気がしました。
もちろんこのリスキーな企画へのチャレンジは評価しますが、
そのチャレンジ補正を掛けて、そこそこ佳作かな?くらいの印象です。
もしこの物語が普通の撮影で撮られていたら、
「普通の少年の成長を描いた長くて退屈な映画だった」と思うかもしれません。
本作を観る人は「12年かけて撮られた作品だ」と意識して観た方がよさそうです。

ボクとしては本作の面白さは、主人公の少年の成長や家族の変遷ではなく、
時代背景の変遷にあるような気がするんですよね。
主人公が6歳当時の映像は、実際に12年前に撮られているわけで、
その時ごとの最新トレンドが描かれています。
また6歳のメイソンが遊んでいたゲーム機は、ゲームボーイアドバンスSPで、
それから彼の成長に合わせて、X-BOX、Wiiと進化していきます。
きっと12年も経てばゲーム機はかなり進化すると思って、
12年前からGBASPの映像を撮っておいたんだろなと感心します。
6歳の時にメイソンが使っていた一体型パソコンのiMacなんかもそうで、
これが薄型になり、最終的にはiPhoneを持つようになるのですが、
まさか誰も12年でここまで進化するとは思ってなかったでしょうが、
監督はある程度予期していたから、あえてiMacも撮っていたはずです。
終盤には撮影開始時の脚本では絶対登場しないはずのフェイスブックも登場したりと、
その時々で脚本を修正していたんでしょうね。

そんなテクノロジーの進化だけではなく、その時々の流行や時事ネタも描かれます。
例えば主人公メイソンの6歳当時の好きなテレビ番組が『ドラゴンボールZ』で、
12年前はそれが人気だった頃なのかと興味深く思います。
(今ちょうど日本でも再放送中の「魔神ブウ編」で、意外と最近な印象ですね。)
そのころ姉サマンサが歌っていたのはブリトニー・スピアーズの
「Oops!... I Did It Again」で、ブリちゃん懐かしいな、なんて思ったり。
そんな彼女もレディー・ガガを聴くようになったりと、ブームの変遷を感じます。
本作は今何年かを表示したりはしませんが、だいたいわかります。
父がブッシュ政権を批判するところでは、だいたいイラク戦争の頃かなとか、
オバマ・バイデンの看板を設置するところでは、2008年の大統領選だなとか、
作中の時事ネタで何年頃かわかるのも面白いです。

他にも『ハリー・ポッターと謎のプリンス』の出版初日イベントに参加したり、
メイソンの女友達が「私は『トワイライト』が嫌い」と言ったり、
その時々で流行っている本の話題が出るのも面白いですが、
やはり映画ファンのボクとしては映画ネタが面白かったですね。
中学生のメイソンは、その当時公開された『ダークナイト』や『スモーキング・ハイ』、
『トロピック・サンダー』が好きなのですが、ガールフレンドと話が合わないと嘆いたり、
父と『スターウォーズ』について語ったりもします。
当時は『スターウォーズ』新三部作終了後で、ルーカスは続編はないと明言してますが、
彼らは続編はあるんじゃないかと話しているんですよね。
実際にルーカスフィルムがディズニーに買収され、続編が決まりましたが、
2008年当時に続編の可能性を示唆するなんて、まるで予言じゃないか、
…と思ったら、実はこの会話は何パターンも撮っていたみたいで、
なかなか粋なことをするものだと感心しますね。

そんな時代背景の変遷は面白いのですが、やはり古いネタの方が面白く、
物語(時代)が進み、最近のネタになってくると面白味は薄れます。
なんというか、ノスタルジーを感じなくなるのかな。
それに子供時代のメイソンやサマンサを見ていると、
自分の子供時代と変わらない感じで、懐かしかったり共感したりできますが、
高校生くらいにまで進むと、日本の高校や自分の高校時代とはかなり違うので、
懐かしさや共感も感じにくくなりますよね。
(アメリカじゃ普通かもしれないが15歳でマリファナ吸うとかあり得ない…。)
そのため、上映時間に反比例して、どんどん面白味がなくなるのですが、
長すぎる上映時間からの疲労も溜まってきて、正直終盤の頃は
「そろそろ終わらないかな?」なんて思っちゃいました。
物語も幼い頃の家族ドラマから、メイソンが色気づいて恋愛の比重が高まり、
終盤はチープなロマコメみたいになっちゃってますしね。
ハイティーンの色恋なんてどうでもいいし、家族ドラマを期待したので不満です。

ラストも「え、これで終わりなの?」というような幕引きで…。
メイソンはテキサス大学の入学初日に、新しいルームメイトらと、
ビッグ・ベンド国立公園に行くのですが、
そこで親しくなったニコルと会話している最中に突如エンドロールになります。
ひとりヒューストンに置いてきた母とか、母と父の関係とか、写真家の夢とか、
回収されてない伏線だらけのような気がするのですが、なぜここで終わるのか。
これならもっと前の、高校卒業のところで終わればよかった気がします。
もしかしたらまだ続ける気だったが、何かの都合で12年で終わったのかも?

それにしてもどんな半端な伏線よりも、母のひとり目の再婚相手の連れ子、
ミンディとランディが母の離婚後どうなったのか気になって…。
酒乱の暴力親父のもとに残されて、ちゃんと生活できているのか心配です。
あんな実の姉弟みたいに仲が良かったのに、離婚後全く出番なしなんて…。
もしかしてミンディとランディ役の子役が引退して、再登場させられなかったとか?

とても興味深い映画だったのは間違いないけど、
終盤の失速が残念で、傑作と呼べるほどではないかな…。
できればオスカーも受賞しないでほしいかも…。
あ、でも努力は買うので監督賞なら受賞してもいいです。
ベルリン映画祭で銀熊賞(監督賞)だったし、アカデミー監督賞はガチで最有力かも。

コメント

お邪魔します。

詳しそうなので教えてください。
メイソンがYouTubeで見ていた赤ちゃんの動画は何という映画かわかりますか?
父親の同居人が見ていたホラー映画も何だったか思い出せません。

  • 2014/11/18(火) 21:14:44 |
  • URL |
  • かぜ #-
  • [ 編集 ]

Re: お邪魔します。

いえ、全然詳しくはないですよ。
ジミーの観ていたホラー映画が『ホステル』なのはわかりましたが、
YouTubeの動画は何かわからなかったので調べてみました。
ウィル・フェレルが出演していたし、
ボクも面白そうなコメディ映画だと思ったので気になってました。
どうも『The LandLord』というアダム・マッケイ監督の短編みたいで、
赤ちゃんは監督の2歳の娘さんらしいです。
本作とは「自分の娘を出演させた」繋がりですね。

  • 2014/11/18(火) 22:06:18 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1417-a5d76867
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad