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愛しのゴースト

チーズバーガーが値上げされて以降、あまりマクドナルドに行かなくなりましたが、
今年7月に発覚した中国食肉工場の食品消費期限切れ問題で、
マックナゲットに消費期限切れの鶏肉が使用されていたと報じられて以降は、
近づくのも汚らわしいと、一切行かなくなりました。
でもチーズバーガーセットが350円になる昼マックが開始されてから、
また行くようになったのですが、どうもナゲットも中国産からタイ産になったみたい。
中国を切り捨てタイに乗り換えたのは英断だと評価したいです。
ボク自身、反日国・中国は嫌いですが、親日国・タイには親しみがあり、
今までナゲットはほとんど食べたことなかったのですが、
タイ産のなら食べてみてもいいかなと思い、テイクアウトでひとつ注文しました。
ところが職場に戻って袋を開けてみると、店員さんがソースを入れ忘れていて…。
タイ産だろうが何産だろうが、ソースのないナゲットはあまり美味しくないです。
今、マクドはナゲットの信用回復のためにタダ券をばら撒いたりしていますが、
こんなイージーミスで不信感を募らせるようなことをしたら勿体ないです。
マクドの業績がどんどん落ちるのも中国産だけのせいではない気がします。

ということで、今日はタイ産映画の感想です。

愛しのゴースト
Pee Mak

2014年10月18日日本公開。
タイの有名な怪談を映画化したホラーロマンス。

マーク(マリオ・マウラー)は戦火をくぐり抜け、仲間たちと戦場から生まれ故郷の村に戻って来る。彼は妻ナーク(ダビカ・ホーン)との再会に歓喜するが、すでに亡くなった彼女がゴーストとなって現世にとどまっていると村人たちがうわさしているのを知る。心から妻を愛していたマークは、逆に本当は死んでいるのは自分と仲間たちではないかと考え始め……。(シネマトゥデイより)



本作の原作はタイのバンコクに伝わる国民的怪談「プラカーノンのメー・ナーク」。
日本で言うところの「牡丹灯籠」に近い怪談噺のようですが、
それを『心霊写真』のバンジョン・ピサンタナクーン監督が映画化しました。
タイホラー『心霊写真』は日本でも公開されたものの、ボクは観れなかったのですが、
後に落合正幸監督が奥菜恵を起用して、日本を舞台に置き換えて、
ハリウッドでリメイクした『シャッター』は観ました。
普通にホラー映画だったので、たぶん原作の『心霊写真』もそうだと思うし、
ピサンタナクーン監督はホラー畑の映画監督だろうと思うのですが、
本作は幽霊とかが出てはくるものの、基本的にはコメディですね。

原作怪談「プラカーノンのメー・ナーク」は、難産で死んだ女性ナークが、
悪霊となって夫に取り付き、プラカーノン村に災いをもたらすが、
最後は高僧によって除霊されてしまうとう、ド直球の怖い話ですが、
近年はナークを悪霊ではなく、夫を愛するあまりに成仏できない可哀想な霊として、
ロマンスとして見直されてきているみたいです。
本作もそれを踏襲しており、切ないロマンス映画にもなっているのですが、
やはり国民的怪談で何度も舞台化、映像化されてきた物語だけに、
新しい切り口を模索し、まさかのコメディ映画にしてしまったのでしょう。
コメディとホラーとロマンスがなかなか高いレベルで見事に融合しており、
一粒で三度おいしい傑作タイ映画となっています。(ホラーはちょっと弱いかな?)

そんな傑作がヒットしないはずはなく、タイでは歴代一位の興収を記録しています。
タイでは『トランスフォーマー』シリーズが人気なのですが、
おそらく歴代二位だと思われる『トランスフォーマー ロストエイジ』の
ダブルスコアの興収を叩き出しています。
それだけ国民から愛されている怪談で、タイ人にはウケるかもしれないが
われわれ外国人には面白くないのではないか、と思われるかもしれませんが、
そんなことはなく、タイ国外でも大ヒットしているというデータもちゃんとあります。
日本を含め世界でタイ映画といえばムエタイ映画『マッハ!!!!!!!!』が有名ですが、
本作は『マッハ!!!!!!!!』を抜き、世界興収もタイ映画歴代一位を記録していて、
アジアを中心に10億バーツ(35億円)以上も稼いでいるのです。
いや、金額にしちゃうと「その程度か」って思われちゃいますが、
世界で一番観られているタイ映画であり、外国人ウケも上々なはずです。

パルムドール受賞するか、日本人俳優でも出演していない限り、
タイ映画が日本上映される機会はまずない中、こうしてちゃんと上映されるだけでも、
本作がいかに面白いか推して知れるというものです。
しかも配給しているのはキネマ旬報ですから、映画ファンは必見です。
残念なのはせっかく面白い映画だったから皆にオススメしたいけど、
関西では3週間遅れの上映で、もう上映終了しているところも多いことです。
ボクの観たシネ・リーブル梅田でも、一週間限定上映の予定だったみたいですが、
めでたく更に一週間の上映期間延長が決まったみたいで、
大阪近郊の映画ファンは来週でもまだ間に合うので、ぜひ観てほしいです。
以下、ネタバレ注意です。

戦争に徴兵されたマークは、そこで4人の戦友が出来ますが、戦況は最悪で…。
どんな戦争なのかわかりませんが、銃器を装備している敵軍相手に、
マークたちの軍隊は刀や弓矢で向かって行ってるんだから当然です。
その上、マークは何発も被弾し、なぜ死なないのか不思議なくらいボロボロですが、
故郷に残してきた妻ナークと、出征後に生まれた我が子デーンを遺して死ねないと、
妻子に会いたい根性で生き残り、仲間4人も連れて故郷プラカーノン村に帰還します。
この村は水上集落ですが、なぜか村人は家に引き籠り人気(ひとけ)がなく…。
しかしマークが自宅に帰ると、妻子が出迎えてくれて、
仲間4人も暫くこの村に滞在することになります。
この仲間4人が事実上の本作の主人公ですが、こいつらがとてもいいキャラです。
『300』や『ラストサムライ』、『スパイダーマン』などハリウッド映画が好きだったり、
性格もそれぞれ面白いですが、みんな外見(特に髪型)が特徴的なため、
タイ人俳優なんてほとんど知らないボクでもすぐに見分けられます。
これは外国人観客にも親切な演出ですよね。

翌朝、5人で村の市場に行くと、村人がマークのことを避けているような感じで…。
馴染みの酒場のプリアックおばさんまでもマークを見て顔が青ざめ…。
マークが「妻より先に出会っていたら口説いていた」とお世辞を言うと、
彼女は「幽霊と一緒にするな」と怒り出し、息子ピンが止めに入ります。
つまり、妻ナークが幽霊だと言いたいみたいで、
おばさんは「嘘だと思うなら脚の間から覗いてみろ」と叫び…。
脚の間から覗くことを「股覗き」と言い、最近だと日本のホラー映画『マザー』でも
股覗きするシーンがありましたが、幽霊や妖怪を見分ける方法です。
日本特有の民俗風習だと思っていたけど、タイにも同じものがあるんですね。
マークは酔っぱらいの妄言と相手にしませんでしたが、仲間らはちょっと気になり…。

ある夜、仲間4人で飲み会をしますが、マークも呼ぼうということになり、
仲間の一人シンが、マークを呼びに彼の家に行きます。
しかし家はどうみても廃屋で、そのうえ勝手に揺り籠が揺れ始め、
さらに手が届くはずない床下に落ちたライムを腕を伸ばして取るナークの姿を見て、
シンはビビッて逃げ帰り、一部始終を仲間に報告します。
腕が伸びるなんて、幽霊というより妖怪染みてますね。
仲間は半信半疑ですが、翌日みんなでマークの家に行くと、やはり廃屋のようで…。
しかも仲間の一人ドゥーが、裏庭で野グソ中に白骨化した遺体を発見し、
その遺体の指輪はナークが付けているものと同じだと気づき、
彼女が幽霊に間違いないと確信するのです。

その夜、シンとドゥーは「奥さんは幽霊だ」とマークに教えに行きますが、
残った2人の所にピンがやってきて「母(プリアックおばさん)が水死した」と言い…。
「ナークが幽霊だとマークに教えたら呪い殺される」と考えた2人は、
シンとドゥーを止めるため、マークの家に急ぎます。
間一髪追いつき、止めることができましたが、4人はナークから食事に招待されます。
しかし出てきた料理は虫が湧いた枯葉を盛っただけのもので…。
でも幽霊だとわかっていることをナークに悟られないように、彼らは必死で食べます。
普通なら緊迫したシーンですが、この4バカカルテットのリアクションが面白く、
なんだかバラエティ番組のゲテモノを食う罰ゲームを見ているようで笑っちゃいますね。
その後もバラエティ番組のノリで、連想ゲームに興じることになるのですが、
「死んだシャツ」という謎のお題を引き当てたシンが、
"死んだ"の連想に死人であるナークを指さしてしまい、
結果的に「ナークは幽霊」とマークに教えることになってしまうのです。
4人はナークに呪われると思って、すぐに逃げ帰ります。
後に「妻を幽霊扱いする奴は出て行け」と怒られた彼らですが、
友達マークを幽霊のところに置いては行けないと村に残ります。

一緒に縁日に出掛けたマークとナーク。(今更ですが名前が似ててややこしいね。)
ナークは村人から怖がられないように、お面を被って行きます。
それはそれで避けられるだろって感じの不気味なお面ですけど…。
射的したり、観覧車に乗ったりした2人は、最後にお化け屋敷に行くことに。
ドゥーら4人はお化け屋敷で待ち伏せし、隙をついてマークを拉致し林へ逃げます。
ところがマークが戦争で受けた傷から急に出血し、何やらただならぬ様子に…。
ドゥーは例の遺体の指輪は結婚指輪で、マークも同じものを持っていると考え、
実は幽霊はナークではなく、マークが幽霊なのではないかと疑います。
なるほど、マークは本当は戦死したのに自覚してない幽霊ということですね。
あれだけ被弾して生きているのは不思議だったので納得です。
彼らは逆にナークが危ないと考え、彼女を連れて逃げることにします。
うーん、マークが幽霊なのは納得ですが、ナークが幽霊じゃない根拠は弱いです。
腕が伸びたのも見間違え、枯葉の食事もオーガニックだったと考える彼らですが、
いくらなんでもちょっと無理がある気がしますね。

彼らはナークを手漕ぎボートに乗せて逃げようとするけど、
ボートは定員オーバーで沈みかけ、仕方なく不要な荷物を投げ捨てますが、
ついうっかりオールまで捨ててしまい、オールは遠くに流れてしまいます。
川の上で動けなくなった彼らですが、そこにマークが泳いで近づいてくるのです。
しかし、途中でマークが溺れはじめ、彼らは「幽霊が溺れるか?」と思い、
やはりマークは生きていると考え直して彼をボートに引き上げます。
でも、それならあの裏庭の遺体は誰なのかと考えているうちに、
ボートはまたしても定員オーバーで沈みはじめ…。
その混乱の中、仲間の一人エーが例の指輪を持っているのを見たドゥーは、
エーが幽霊だと考え、彼をボートから蹴落とし、
ナークから渡されたオールで漕いでその場から離れようとします。

…って、なんでナークが遠くに流されたはずのオールを持っているんだ?
腕が伸びでもしなければ、オールを取ることなんてできないはずなのに…。
と思ったドゥーは、股覗きでナークを見るのですが、
脚の間から見えた彼女は血の気のない幽霊で…。
結局、当初の想像通りナークが幽霊だったわけですね。
タイ国民は原作怪談を知っているはずなので、
ナークが幽霊なのは周知の事実だったはずだから、
マークが幽霊というミスリードに引っかかるのはボクたち外国人客だけでしょうね。
そういう意味でも、けっこう対外的に製作された作品な気がします。

ナークが幽霊だとわかった彼らは、お寺のお堂に逃げ込み、
和尚さんが張った霊を寄せ付けない結界の中に入ります。
しかし無理やり連れてこられたマークが暴れたため、
和尚さんを蹴飛ばしてしまって結界が破れてしまうのです。
そこにナークがどんどん迫ってきて、彼らはお堂の裏から逃げようとしますが、
そちらからは川に蹴り落としたエーの幽霊が立っており…。
「前門の虎、後門の狼」状態で絶体絶命のピンチです。
しかし、やはりというかまさかというか、ドゥーの勘違いでエーは幽霊ではなく…。
エーが指輪を持っていたのは、高級そうなルビーの指輪だったので、
彼がこっそり遺体から盗んでいたからだっただけでした。
ちゃんとエーがそういうことをしそうだという伏線も張られていましたね。

ドゥーから「人間と幽霊は一緒に暮らせない」と言われたナークは、
「この世で暮らせないなら、あの世に呼ぶだけよ」と腕を伸ばして、
マークに掴みかかろうとするのですが、マークはその腕を避けようともせず…。
なんとマークは妻ナークが幽霊だと、とっくに気付いていましたが、
たとえ幽霊でも一緒にいたいと今まで気付かないふりをしていたと告白します。
どうも連想ゲームと時に気付いて、股覗きをしてみたみたいで…。
「幽霊は怖いけど、君といられない方がもっと怖い」と涙を流すマークに、
ナークは感激し、彼を殺すのを思い止まります。
ドゥーら4人も感動し、「もし誰かが幽霊になっても俺らは友達だ」と誓い合い、
それから彼らは仲良く暮らしましたとさ、めでたしめでたし。
ちなみにプリアックおばさんも酔って勝手に川に落ちで溺死したらしく、
ナークの呪い説も彼らの早とちりだったようです。
ナークは幽霊ですが、原作怪談のような災いを招く怨霊ではないわけですね。
夜な夜な船着き場に現われて、夫の名前を呼び続けたりしなければ、
村人からも怖がられることはなかったであろう無害な幽霊でした。

ボクもマーク幽霊説に惑わされたりもしたものの、
はじめからナークは幽霊だとわかっていましたが、
彼女の子デーンはどうなのかイマイチ確信が持てませんでした。
日本の怪談「子育て幽霊」のように、もしかするとデーンは生きていて、
息子を育てるためにナークも成仏しなかったのかもしれないと…。
でもエンドロール前のオマケシーンで、デーンもズームパンチを披露したので、
やはりこの子も死産で幽霊化していたのかとわかりました。
ズームパンチは面白かったけど、死んでいたとわかったのは少し悲しかったかな。

かなり笑えて少し感動できる一風変わったホラー映画で、大満足な作品でした。
こんな作品があるなら、もっとタイ映画を日本でも上映してほしいです。

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