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100歳の華麗なる冒険

今日も映画の感想です。

100歳の華麗なる冒険
The Hundred-Year-Old Man Who Climbed Out the Window and Disappeared

2014年11月8日日本公開。
スウェーデンのベストセラー小説が原作のアドベンチャーコメディ。

かつて爆弾の専門家として各国要人と渡り合い、数々の歴史的事件に立ち会ってきたアラン(ロバート・グスタフソン)は、100歳の誕生日に老人ホームを抜け出す。その後予期せず高額のお金が入ったケースを手に入れた彼は、ギャングと警察両方から追跡されるハメに。途中出会った個性的な仲間たちを巻き込んだ珍道中を通し、アランは自身の波瀾(はらん)万丈な人生を思い返していく。(シネマトゥデイより)



スウェーデンの国民的ベストセラー小説『窓から逃げた100歳老人』を映画化した本作。
本国スウェーデンのみならず、欧州を中心に40か国以上で上映され、
スウェーデン映画史上最も高い興収を上げたという大ヒット作です。
スウェーデン映画といえば『ミレニアム』三部作を思い出しますが、
(というか、それ以外何も思い出しませんが、)
ハリウッドリメイクもされたあの大ヒット作よりもヒットしたということかな?
まぁヒット作が、イコール面白い作品とは限らないけど、
スウェーデン・プレミア後、あのディズニーが配給権を取りに来たというのだから、
かなり面白い作品に違いないと期待できます。

例えどれだけ世界的にヒットしたと聞いていても、
「100歳の老人が主人公の物語なんて、どうせシニア向けだろう」と、
当初は全く関心がなかったボクですが、映画館で予告編を観て、
「これは絶対面白いやつだ!」と感じて急きょ観に行くことを決めました。
ただ100歳の主人公が冒険する物語ではなく、その生涯を描いた叙事詩的ドラマで、
『フォレスト・ガンプ/一期一会』的な傑作コメディのような気がしたんですよね。

で、いざ観てみるとこれが大正解。
メインのストーリーラインである100歳の主人公の冒険に、
主人公の生涯が描いた過去の物語が挿入される構成になっているのですが、
現在も過去も、どちらの物語も非常に面白くて大満足でした。
最近では『イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所』なんかがそうですが、
現在と過去を並行して描く作品は、やはり物語に優劣が付いてしまい、
どちらかの物語を退屈(邪魔)に感じてしまうものですが、
本作のようにどちらの物語も面白い作品はホントに稀だと思います。
これほど面白い作品なら世界的に大ヒットしたのも納得です。
ただ、現在と過去の2つの物語の関連性が薄いのは少し残念。
2つの物語のどちらにも登場する人物は主人公含めても2人だけだし、
過去の出来事が現在に影響しているような展開もほとんどないので、
これだと同時進行で平行に描く必要性があまり感じられません。
ということで、この感想も本作の展開に沿って書かずに、
過去の物語から、時系列で書いてみようと思います。
以下、ネタバレ注意です。

前述のように、過去の物語は『フォレスト・ガンプ』的な叙事詩的コメディで、
あるひとりの変人が、その生涯で様々な歴史的事件に巻き込まれるという内容です。
まさかあの歴史的出来事の裏にこんなことがあったのか、って感じで興味深いし、
歴史上の人物も次々と登場して、歴史フィクション好きには堪らない展開です。
主人公アラン・カールソンは、9歳の時に革命家だった父を亡くします。
革命家と言っても、モスクワの路上に4畳半の共和国を勝手に作って、
通りすがりの人相手に避妊の大切さを説くという変人でしたが、
冒涜罪で当局に逮捕され、銃殺刑に処されてしまいます。
これから始まるアランの波乱万丈な人生もさることながら、
アランの父の人生もきっと波乱万丈だっただろうなと感じる面白い変人ですね。
父の処刑後、母も病死してしまい孤児になったアランですが、
それと前後して、火薬遊びに夢中になるようになります。
マトリョーシカを爆発させたりして遊ぶのですが、どんどん規模が大きくなり、
ある時の爆発実験で、図らずも他人を巻き込んでしまい爆殺してしまいます。
これは刑務所送りだな、と思いましたが、彼は精神科病院に送られ…。

アランは精神科病院で、人種生物学者ルンドボリ教授の診断を受けるのですが、
この教授も変人、…というか人種生物学が聞いて呆れる人種偏見の強い男で、
「アランが暴力的な事件を起こしたのは黒人の血筋のせいだな」と診断し、
その遺伝子を根絶するために、なんと彼に去勢手術を施すのです。
ちなみにアランは生粋の白人ですが、教授は暴力=黒人と考えているのでしょう。
そんな偏見による勘違いで去勢されたアランが気の毒ですが、
これでもう害はないと判断されたのか退院することに。
退院後、爆弾作りが趣味のアランは、天職とも言える大砲工場に就職します。

そこでアランは同僚エステバンに出会いますが、彼は革命家志望で、
アランを無理やり誘って「打倒フランコ将軍」のためにスペインに向かいます。
フランシスコ・フランコ将軍はスペイン内戦の反乱軍の指導者で独裁者らしいです。
ボクはこの時代のことはよく知らないのですが、どうも実在の人物みたいですね。
スペイン入りしたエステバンとアランですが、ちょうどスペイン内戦が勃発し、
エステバンが内戦の被害者第一号になります。
ただ彼に付いてきただけのアランは、そのまま撤退するかと思いきや、
橋を次々と爆破し、フランコ将軍の反乱軍相手に大奮闘します。
エステバンの意思を継いだわけではなく、だた爆破を楽しんでいただけですが…。
ある時、爆弾を仕掛けた橋を渡ろうとしていた車をヒッチハイクしたアランですが、
その車にはなんとフランコ将軍が乗っており、アランは図らずも
橋爆破から将軍を救った命の恩人になってしまい、将軍の親友になるのです。
一気に立場が逆転してしまったわけですが、アランは本当にノンポリなんですね。

ちょうど真珠湾攻撃の頃、アランは渡米して工事現場で働きはじめますが、
同僚から「政府が新型爆弾を作るために科学者を募集している」という話を聞きます。
爆弾大好きなアランは当然興味を持ち、応募して採用されるのですが、
その新型爆弾プロジェクトの名称は「マンハッタン計画」で…。
そう新型爆弾とは原子力爆弾のことだったのです。
アランの助言のおかげで「原爆の父」ロバート・オッペンハイマーは原爆を完成させ、
その原爆がトリニティ実験を経て、広島、長崎に投下されるわけで、
日本人としてはアランが原爆開発の立役者だという展開はちょっと笑えないです。
アランは太平洋戦争にも興味なく、ただ新型爆弾に興味があっただけですが…。
それにしても原爆作りを描いたコメディ映画を、よく日本公開に踏み切れましたね。
まぁその不快感を差し引いても面白い映画だったので公開してくれてよかったけど。
トリニティ実験はトルーマン副大統領も見学しており、アランを高く評価します。
その後、ルーズヴェルト大統領が急死し、トルーマンは大統領に昇格するのです。
アランは米国大統領からも一目置かれる人物になったわけですね。

スウェーデンに帰国したアランは、エルランデル首相から
原子力委員会への参加を要請されますが、彼の学歴が小学校中退とわかり、
手のひらを返したように政府から無視されることに…。
しかし捨てる神あれば拾う神ありで、彼をソ連の科学者ユーリ・ポポフがスカウトし、
潜水艦でソ連へ行き、スターリンと面会することになるのです。
(ポポフは架空の人物だと思われますが、モデルはユーリ・ハリトンかな?)
ソ連も核開発計画があり、そのためにアランは呼ばれたわけですが、
ノンポリなアランは爆弾が作れるならどこの国でもいいみたいですね。
というか一種のサヴァン症候群で、善悪の区別がつかない知的障害者なのかも。
ソ連は核開発計画にアルベルト・アインシュタインを強制参加するつもりでしたが、
KGBが間違って双子の兄ヘルベルト・アインシュタインを拉致しちゃったみたいで…。
ヘルベルトは天才の弟とは対称的な超アホで、全く使い物にならず、
代わりにアランに白羽の矢を立てたみたいです。
(もちろん実際はアインシュタイン博士に双子の兄弟ヘルベルトなんていません。)
うーん、アランに負けない変人が次々出てくるので面白いです。

スターリンと面会したアランは、うっかり「私はフランコ将軍を救った」と言ってしまい、
「あのスペインのファシストの命の恩人だと?」とスターリンを激怒させ、
強制収容所に送られてしまうのです。
そこで出会ったヘルベルトが拾った手榴弾を使い、収容所から脱走します。
というか、図らずも手榴弾が大量のロケット弾に引火し、収容所を破壊するんですけど。
それを聞いたスターリンはショック死してしまうのですが、
まさかあの独裁者の死にもアランが関わっていたとは、面白いですね。
1968年、渡仏したアランはヘルベルトの紹介で仏外務大臣のパーティに出席。
そこで会った大臣の通訳ジャン=クロードがスターリンの側近カルポフと気付きます。
たまたまソ連のスパイを発見したことで、CIA仏支局のハットンから呼び出され、
友達のソ連の科学者ポポフと接触し、ソ連の機密情報をもらってほしいと頼まれます。
つまりスパイしてほしいということですが、アランは理解してないのか、
ポポフに会うなり「CIAが協力してほしいって言ってる」と言ってしまい…。
そこでポポフは、「情報を渡す代わりにCIAの情報をもらってほしい」と頼み、
アランはCIAとKGBの二重スパイになってしまうのです。
そして彼は東西冷戦の渦中に巻き込まれることになります。
暗殺事件の裏にアランが関わっていたりするのですが、
彼自身は自分がスパイだとあまり自覚してないところが面白いですね。

そんな東西冷戦を終わらせたのもまたアランで、
彼がレーガン大統領と会った際に、「壁を壊してたまるか」という大統領の発言を、
たまたま録音してしまい、それを聴いたゴルバチョフ書記長は、
「それなら壁を壊してやろう」と、冷戦の象徴ベルリンの壁が崩壊するのです。
核開発競争からベルリンの壁崩壊まで、アランの人生は冷戦の歴史そのものですね。
その後アランは、親友ポポスが死んだことを機に引退しますが、
ポポフの息子アレクとの親交は現在も続いているみたいです。
…というのが過去の物語ですが、メインである現在の感想に入る前なのに、
もうすでにかなり長い感想になっちゃいました。
それだけ過去の物語は内容の濃い、壮大な生涯で面白かったということです。
それに比べると、現在の物語は壮大さに欠けますが、これはこれで、
先の読めないなかなか笑えるクライムコメディになってるんですよね。

二重スパイ引退後、一人暮らしをしていた老いたアランですが、
愛猫モロトヴが野生のキツネに食い殺されるという出来事があり、
怒った彼は、得意の爆弾を仕掛けてキツネを爆殺するのです。
しかしそれが原因で、彼は退屈な老人ホームに入れられてしまいます。
これが本作の冒頭のシーンなのですが、それを観た時は
「老人が爆弾を持ってるなんてあり得ないだろ」と思っちゃいましたが、
後に語られる彼の経歴を知ればそれも納得ですね。
老人ホームではアランの100歳の誕生パーティが催されますが、
部屋で待機中の彼は、外で少年が火薬遊びをしている音を聞いて、
窓からフラフラと外に出て行ってしまいます。
ホームの職員たちは100歳の老人が行方不明になったと大騒ぎし、
地元警察のアーロンソン警部補まで呼ばれる事態になります。

この時もアランはボケた徘徊老人なのかと思いましたが、
彼の経歴を知れば、ボケてるわけではなくもともと変人なのだとわかりますね。
特に当てもないが、どこか遠くに行こうと考えたアランは、
地元マルクシェーピング駅を訪れ、ド田舎ビーリンゲまでのバスの切符を買います。
その直後、駅に大きなキャリーバッグを持ったギャングの下っ端ブルテンが来て、
「俺がトイレに行く間、これを持ってろ」とアランにバッグを無理やり預けます。
しかし彼がトイレに入ってすぐにバスがやって来てしまい、
アランはバッグを預かったままバスに乗り込んで出発してしまうのです。
トイレを済ませたブルテンは、バッグと老人が消えて大慌てになります。
それもそのはず、バッグには5000万クローナもの大金が入っていたのです。
日本円にすると約7億7500万円くらいみたいですね。
なぜこんなチンピラがそんな大金を持ってるかと言うと、
彼の兄貴分イェッダンが大物ギャングのピムから預かっていた金らしくて、
イェッダンが保釈中なのか監視装置を付けられ、自由に外出できないため、
下っ端のブルテンにピムに届けさせようと運ばせていたみたいです。
しかし、そんな重要なバッグを一時的でも人に預けるなんて、ダメな下っ端ですね。
当然ブルテンはアランを追うことになります。

ビーリンゲに着いたアランですが、ここは本当にド田舎で、
廃駅となったビーリンゲ駅があるだけです。
彼はその廃駅に住む男ユーリウスにお茶を御馳走になりますが、
そこにアランを探していたブルテンが侵入してきます。
アランは木槌でブルテンを殴打し気絶させ、ユーリウスが彼を冷凍庫に閉じ込め、
そのまま忘れて一晩放置し、彼はコチコチに凍死してしまうのです。
焦ったユーリウスは、死体を貨物駅に運び、ジプチ行きのコンテナに放り込みます。
その後アランとユーリウスは、バッグを持ってどこか遠くに逃げようと、
大学生ベニーの車をヒッチハイクしますが、アランが全て話してしまったため、
ベニーも逃走に協力することになるのです。
ベニーは進路に悩むあまり、20年近くも大学に通っていて、
いろんな専門知識を持っているのにバイト生活をしている変人で面白いキャラです。

ギャングの兄貴分イェッダンはブルテンと連絡が取れなくなり、
右腕のヒンケンにブルテンとバッグを探しに向かわせます。
彼はどうやらバッグを100歳の老人が持っていると知り、アランを追うのです。
その頃、アラン一行は宿を求めてグニラという女性の家を訪ねます。
グニラはこれまた変人で、サーカスから盗んだ象ソーニャを飼っています。
その象を盗んだのは別れたばかりの元カレのリッキーでしたが、
リッキーが荷物を取りに訪れ、その時にアランたちを見て、
兄であるヒンケンに報告してしまうのです。
ヒンケンはグニラの家に急行し、「バッグを渡せ」と銃で彼らを脅しますが、
銃声に驚いた象ソーニャが尻餅をついた下敷きになり圧死…。
死体はベニーの車のトランクに乗せてユーリウスが始末することになりますが、
ガソリンスタンドでその車がリトビアから来た車泥棒に盗まれてしまい…。
次々と問題発生しますが、アランに全く動じる様子がないのは、
これまでの人生での世界的な出来事に比べたら大した問題でもないからかな。

ポポフの息子アレクから100歳のお祝い電話を受けたアランは、
ラレクに逃走を手伝ってもらおうと考えます。
アレクは実業家で自家用飛行機で迎えにくることになり、
アランたちはグニラが象ごと盗んだサーカスのバスで空港まで向かうが、
途中で痺れを切らせて自ら探しに来たイェッダンに発見され…。
イェッダンはバスの前に飛び出し、バスに向かって拳銃を発砲しますが、
バスは急には止まれず、そのまま撥ねられてしまい重傷を負います。
もうギャングを2人も殺してるんだから、3人殺すのも同じだろと思うのですが、
アランたちは重症のイェッダンをバスに乗せて介抱し…。
しかし意識を取り戻した彼は、記憶喪失になっていてバッグのことも忘れていて…。

そんなイェッダンが「バリに行きたい」と言うので、
彼らはアレクの自家用機でバリに行くことにします。
ところがバリはたまたまギャングの大物ピムも住んでおり、
アランたちがオープンカーでドライブしているところをピムがたまたま発見され…。
と思ったら、ピムはアランに気を取られるあまり脇見運転で対向車と衝突し死亡。
これで5000万クロームを追ってくる者もいなくなります。
彼らのギャング殺人容疑も、ブルテンの遺体ががジプチで、
ヒンケンの遺体がラトビアで発見されたことで、
アーロンソン警部補もアランと事件は関係なしと断定し、
もう誰も彼を追ってくる者はおらず、めでたしめでたしです。
ただ、イェッダンが記憶を取り戻さないか、ちょっと気がかりですね。

最後にバリの海岸で、ベニーがグニラに告白しようか迷うのですが、
その時アランが「2人の間に芽生えたものは滅多にないもので幸運だ」と励まし、
ベニーはグニラに告白を決意するのですが、
あの滅多にないことの連続である数奇な人生を送ったアランが、
たかが恋愛を「滅多にないもの」と言うのはちょっと面白いですね。
言われてみれば波乱万丈すぎる彼の人生ですが、恋愛だけは一度も経験してません。
去勢されちゃったから仕方ないのかもしれないけど、
もしかするとアランは恋愛もしてみたかったのかもしれません。

とても面白いコメディでオススメな本作ですが、
世界的に大ヒットしたため、続編の話もあったりなかったりするみたいです。
これで綺麗に完結しているので、続編なんて要らないと思いますが、
原作小説には、アランの生涯の出来事として、本作で描かれた他にも
チャーチル首相や毛沢東の妻とも会う話があるらしくて、
本作以上に波乱万丈な人生だったことが推察できますね。
続編は望まないけど、そのあたりのエピソードはちょっと気になるかも。
機会があれば原作小説を読んでみようかな?

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