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美女と野獣

本作で今年劇場鑑賞した映画170本目になります。
今年は是が非でも、年間鑑賞本数を200本に抑えたいので、
年内に観に行ける映画はあと30本だけになります。
ところが年内の公開スケジュールを調べてみると、
観たい映画が40本以上あり、結構な取捨選択が必要です。
『6才のボクが、大人になるまで。』『インターステラー』『ゴーン・ガール』
『フューリー』あたりは、本年度オスカーに絡んでくるから絶対見逃せないし、
『ホビット』や『ベイマックス』などの正月(冬休み)映画も始まるし、
どれを削るかはなかなか悩ましいところです。
もちろん削るなら駄作が好ましいですが、こればかりは観てみないことにはね。
やはり削るのは駄作率が高い日本映画になっちゃうかな。
今週末も日本映画『花宵道中』と『0.5ミリ』は面白そうだけど諦めます。
ちなみに今年最後に観るのはフランス映画『サンバ』になる予定です。
佳作に違いないという確信があるので、いい締めになると思います。

ということで、今日もフランス映画の感想です。
今年はフランス映画をよく観た年で、なかなか豊作だと思いますが、
本作は削っておくべき作品でした。

美女と野獣
Beauty and the Beast (La belle et la bete)

2014年11月1日日本公開。
名作童話『美女と野獣』をフランスで実写映画化したロマンス映画。

バラを盗んだ代償に命をささげるよう言われた父親の代わりに、若く美しい娘ベル(レア・セドゥ)が野獣(ヴァンサン・カッセル)の住む城に連れていかれてしまう。彼女は命さえ投げ出す覚悟で城に出向いたものの、毎晩同じ時間に野獣と夕食を取る以外何の制約も受けなかった。自由に城内を移動する彼女は、恐ろしい外見の野獣の意外な過去に気付く。((シネマトゥデイより)



本作はディズニーアニメーションとしてもお馴染みの童話
『美女と野獣』の実写映画化ですが、ディズニーアニメーションの実写化ではなく、
あくまでヴィルヌーヴ夫人の書いた原作童話の再映像化ということのようです。
ディズニーをはじめハリウッドは童話の実写化ブームですが、本作はフランス映画。
フランスとしては自国の童話である『美女と野獣』が、
ハリウッドで実写映画化される前に自国で製作しちゃおうと思ったのかも。
高レベルなCGなども用いて、ハリウッド映画にも負けない映像になっているけど、
本作を観てまず思ったことは、やっぱりディズニーってすごいんだなということ。
本作が原作童話に近い内容だとしたら、こんなに面白くない童話を、
ディズニーはよくあれだけ面白い物語に脚色してアニメ化したものだと感心します。
つまり本作は全く面白くないということです。

たしかに本作は、映像はなかなかよかったと思います。
城の内装や庭のディテールもこだわられており、頑張りが感じられます。
ただ、とにかく物語の出来が酷すぎます。
ボクもディズニー版は観ているので、大まかな内容を知っているのもあるけど、
とにかく退屈で退屈で、仕方がなかったです。
内容も暗くて、まったく笑いもなく、娯楽性は非常に薄いです。
本作はある母親が幼い息子と娘のために読み聞かせた
べッドタイムストーリーという体裁で展開するのですが、
おそらく本作はディズニー版とは違い、幼い子供には退屈すぎて観れません。
童話の実写化だからと、子連れで観に行くのはやめた方がいいです。
いや、そもそも大人だけでも観に行くのはやめた方がいいですね。
とにかく全く筋が通らない物語なので、大人の鑑賞に耐えるものではありません。
以下、ネタバレ注意です。

息子3人、娘3人と暮らすある裕福な商人がいましたが、
ある日、彼の財産である三隻の船が嵐に襲われてしまいます。
二隻は沈没し、一隻は奇跡的に発見されますが、借金で差し押さえられてしまい、
一家は破産し、田舎へ引っ越すことになるのです。
上流階級だった一家にとっては、田舎暮らしは屈辱的で辛いものですが、
末娘のベルだけはとても満喫しています。
彼女だけは上流階級の暮らしに俗ボケしていなかったのでしょうね。
ベル演じるのは問題作『アデル、ブルーは熱い色』で、
女優のくせにパルムドールを受賞したレア・セドゥですが、
あんな超過激レズ映画に出演したら、もう純朴な女の子役は無理があります。
実写とアニメなので比較は難しいが、ディズニー版ベルの方が圧倒的に魅力的です。

ある日、商人は雪山で遭難ますが、森の中に大きな城を発見します。
中に入ると、食卓に豪勢な食事が用意してあり、商人は勝手に食べてしまいます。
さらにドレスやアクセサリーなどが詰まった箱も置いてあり、
商人は「きっとお土産に違いない」と勝手に持ち帰ることにします。
食事もお土産も自分のために用意されていたと考える商人の行動はあり得ないです。
食事を食べてしまうだけなら空腹だったら仕方ないかもしれませんが、
置いてあってドレスやアクセサリーを持ち帰るなんて、とんだ泥棒ですよ。
そもそも雪山で遭難したからこの城に避難したのに、
まだ雪も降ってるのに、お土産見つけたら速攻帰ろうとするなんて、
完全に泥棒だと自覚してトンズラしようとしてるとしか思えません。

城の庭に咲いている薔薇を見つけた商人は、「ベルが薔薇を欲しがってたな」と、
薔薇を一輪摘んでしまうのですが、その瞬間ゴーレムが現れ、
ゴーレムの頭上から野獣が飛び掛かってきます。
野獣はこの城の主で、「泥棒め、私の最も大切な薔薇を盗むとは」と怒ります。
ビビる商人ですが「私は泥棒ではない、誠実な男だ」と反論。
いやいや、勝手に城のものを持ち出しておいて、どの口が言うのか…。
てか、野獣も薔薇はダメでも、お土産は盗まれてもよかったのかと…。
というか、実際にそのお土産は商人へのお土産で用意していたみたいで、
薔薇さえ手を出さなければそのまま帰してしまったみたいですが、
なぜ野獣が商人をもてなすのか、まったく意味がわかりません。
薔薇の代償は命を奪おうとする野獣に、商人が薔薇は末娘のために摘んだと言うと、
なぜか野獣は商人に一日だけ猶予を与えて解放します。
この場で殺しちゃえばいいのに、野獣が何を考えているのか全くわかりません。

帰ってきた商人から話を聞いたベルは、父の代わりに自分が野獣の城へ行くのです。
父親想いのなんていいお嬢さんだろうと思いましたが、
城に着いた彼女は、勝手に置いてあったドレスを着るのですが、
そのドレスは自分のために用意されているに違いないと思ったみたいで、
やはりあの父にしてこの娘ありって感じですよね。
実際に野獣は彼女のためにドレスを用意していたのですが、
殺される覚悟できているとは思えない行動で、あまりにも傲慢です。
野獣からは危害を加えられませんでしたが、領地から出ることを禁じられます。
命が取られないだけでもラッキーだし、破産した実家では考えられないほど、
豪華な服や食事を与えられているのに、この傲慢なベルは野獣に対し、
「私のおおかげで和むでしょ」とか「礼儀を教えてやらなきゃ」とか、
自分の立場をわきまえない、何様だよと思う暴言を吐きまくります。
マジでこのヒロインには好感が持てません。

映像はなかなかよく出来ている本作ですが、野獣のビジュアルはイマイチで、
牙や角の生えた巨体のディズニー版の野獣のイメージがあるためか、
本作の単なる獅子男の野獣にはガッカリしました。
なんかキグルミっぽいし、これならフルCGで野獣を描いた方がいいです。
フルCGで描かれている動物も登場します。
城にたくさん棲みついている犬のような小動物タドゥムです。
丸顔で耳が長く、一見してビーグル犬とチワワを足して割ったようだと思いましたが、
実際にその正体は野獣が人間時代に猟犬として使っていたビーグル犬でした。
どうでもいいけど、野獣は鹿や猪狩りにビーグル犬を使っていたみたいですが、
ビーグル犬はウサギ狩りに使う猟犬で、そんな大物の狩りには向かないはずです。
タドゥムは臆病なのか、あまり人前には現れませんが、
ベルの後をこそこそついて来たり、人形を作ってベルの部屋に置いたりします。
その人形がブードゥー人形みたいで気持ち悪いのですが、ベルは喜んだみたいで…。
不気味な小動物ダドゥムを発見してもまったく驚かないベルですが、
野獣の外見も怖がらないし、頭のネジが数本抜けてるんじゃないかな?

ベルが城で寝ていると、オーブ(蛍?)が集まってきて、彼女に夢を見せるのです。
その夢は、野獣がなぜ野獣になってしまったかという過去の映像なのですが、
本作は野獣誕生の秘密に重点が置かれているみたいです。
むかしむかし、黄金の鹿の狩りに熱中する王子がいましたが、
王女は「もう狩りはやめて」と彼にお願いします。
しかし王子は狩りを続け、ある日ついに黄金の鹿を黄金の矢で仕留めます。
ところがその鹿の正体は王女で、彼女は実は森の精であり、
愛を知りたくて人間に変身していたのでした。
このままでは自分が狩られると思って鹿狩りに反対していたのでしょうが、
別に森の精なら、わざわざ鹿に化けなければ狩られる心配もなかったのでは?
彼女の父である森の神は娘を殺されて怒り、王子を呪いで野獣に変えてしまうのです。
その呪いは人から愛されることで解けるが、醜い野獣の姿では無理だろうと…。
なんだか重点を置いた割には、どこかで聞いたことがあるようなベタな話です。
ディズニー版の野獣になった理由の方が断然よかったと思いますし、
この理由だと、後々筋が通らなくなってくるところが頻出するんですよね。

家族に会いたいと思ったベラは、野獣に頼むのですが、
その代償を求められ、「一緒に踊ってあげるから」と答えます。
ただ踊るだけで、どれだけ自意識過剰な傲慢女なんでしょうね。
そしてダンスシーンになるのですが、ディズニー版だと象徴的なシーンでしたが、
本作ではベラは取引のために嫌々踊ってるので、ロマンチックさのカケラもなく…。
それならダンスシーンなんて要らないだろうと思うのですが、
きっとディズニー版を意識しているのでしょう。
でも野獣は約束を破り、ベルを家族と会わせません。
あんな心ここにあらずのダンスをされたら当然ですね。

ある夜、ベルは野獣が食事しているところを見て衝撃を受けます。
野獣は狩った動物を野生動物のように貪り食っていたのです。
驚いたベルは城から逃げ出しますが、野獣に追いつかれ、
押し倒された拍子に、凍った湖に落ちてしまうのです。
すぐに野獣から救出されますが、さすがに野獣も申し訳ないと思ったのか、
一日だけ家族と会いに行くことを許可します。
ベルはそのまま帰ってこなければどうなるのか聞くと、野獣は自殺を仄めかし…。
それなら実質解放されたも同然ですが、
なぜかベルは帰ってくる気満々で実家に戻るんですよね。
これまでの流れでベルが僅かでも野獣に好意を持つような要素はなかったのに…。

破産し落ちぶれた実家に帰るというのに、
まるで家族に自慢するかのように豪華にドレスアップして帰省するベル。
そんなベルの姿を見た借金まみれの長男マキシムは、
城を襲って財宝を盗もうと考え、次男と借金取りを誘い、城に攻め込みます。
城から財宝を持ち出す彼らですが、帰ろうとすると野獣とゴーレムが現れ…。
一方、長男と次男が城に攻め込んだと知ったベルも、
三男と一緒に慌てて城に向かうのですが、道に迷ってしまい…。
困ったベルは「私を彼の元に返して」と森の神にお願いするのです。
すると思いは通じ、城への道が現れます。
…いやいや、森の神にしてみれば、野獣は娘の仇で憎むべき相手なのに、
野獣を助けることに手を貸すなんて絶対におかしく、まったく筋が通りません。

野獣はゴーレムを操り、長男も叩き潰そうとしますが、
そこにベルが現れ、身を挺して兄を助けようとします。
野獣もギリギリ寸止めに成功し、ベルを潰さずに済みましたが、
それを見ていた借金取りペルデュカスが、ベルを人質に取り逃げようとします。
野獣は激怒し、ペルデュカスをぶち殺そうとしますが、
なぜかベルは「この人たちを逃がしてあげて」と懇願するのです。
兄だけならわかりますが、借金取りまでかばう義理なんてないのに…。
まぁたぶん野獣を人殺しにしたくなかったということだと思いますが、
その前にペルディカスの手下たちを粗方ぶっ殺しちゃってるんですけど…。
野獣はベルの懇願で思いとどまりますが、その隙をついて、
ペルデュカスは野獣の胸に黄金の矢を突き立てるのです。

刺された野獣は息がなくなり、ゴーレムも沈黙。
ベルは兄たちと一緒に野獣を城に運び込み、
野獣を助けようと万能薬の泉に向かいますが、
そんな彼らを森の神が操る蔦が襲ってくるのです。
森の神は野獣を助けたいんだか助けたくないんだか、どっちなんですか。
泉に浸からせて矢を抜くと、野獣は蘇生しました。
生き返った野獣から「俺を愛してくれるか」と聞かれたベルは、
「もう愛しているわ」と答えるのですが、その途端に蔦の攻撃も収まり、
タドゥムはビーグル犬に戻り、野獣も王子の姿に戻るのです。
愛により森の神がかけた呪いが解けたわけですが、
別に森の神から許されたわけではないので、元の姿に戻るのはいいけど、
蔦攻撃が止まる理由にはなりませんよね。
実際に借金取りへの蔦攻撃はまだ続いていたんだし…。

それになにより、ベルが野獣を愛する理由が微塵もありません。
夢で野獣の過去を知ったといっても、彼の愚かさがわかっただけだし、
凍った湖で助けられて情が移ったのかもしれませんが、
そもそもあれは野獣に押し倒されて溺れたわけで、
恨みこそしても恩を感じるようなことではなかったはずです。
そうなると、結局やっぱりあれですね。
野獣の財力に惹かれたとしか説明がつきません。
俗物家族の中で唯一まともかと思えたベルですが、彼女も所詮は俗物ですね。
でも後日談では彼女は王子に戻った野獣と慎ましい生活をしているし、
まったく筋の通らない、出来が悪いにもほどがあるロマンスでした。
あと、細かいことですが、せっかく野獣から人間に戻った王子ですが、
髭モジャなワイルドな風貌の野獣系男子だったというのもガッカリです。
そこはもっと爽やかなイケメン王子の方が野獣とのギャップが面白いのにね。

童話はネームバリューがあるので映画の原作には申し分ないけど、
誰もが知ってる有名な物語な分、脚色の腕が重要だと本作を観て強く思いました。
本作は映像ばかりに気を取られ、脚色の出来が酷いので、
こんな駄作になってしまうのも当然です。
実際、ハリウッドも含め童話の映画化作品には駄作も多いですが、
パブリックドメインだからって安易に童話を映画化するべきじゃないです。

関連作の感想
美女と野獣 ディズニーデジタル3D

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