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キョンシー

現在、第27回東京国際映画祭が開催中ですが、
日本で唯一のFIAPF公認の国際映画祭なのに全然興味が湧きません。
上海国際映画祭と並ぶアジア最大の映画祭ですが、
日本人にすら感心を持たれないのに、本当に世界から注目されてるんですかね?
ボクが東京国際映画祭に興味がないのは、「自分とは関係ない」と思うからです。
それはボクが関西住まいで、六本木の会場に行けないこともあるけど、
それ以上に、コンペ部門でグランプリを受賞した作品ですら、
全国一般公開されないことが原因です。
近年でも一般公開されたのは3年前の『最強のふたり』だけですが、
日本の映画祭のグランプリ作品が日本で上映されないなんておかしいでしょ。
その点では、ベルリン、カンヌ、ヴェネチアのグランプリ作品は確実に上映されるので、
やはり東京なんかよりそっちの方に注目するのは当然のことだと思います。

ということで、今日は昨年の第26回東京国際映画祭の
「アジアの未来」部門で上映された映画の感想です。
その時の邦題は『リゴル・モルティス 死後硬直』だったそうです。

キョンシー
Rigor Mortis

2014年10月25日日本公開。
清水崇製作の香港ホラー。

大ヒットホラー映画に出演してスター俳優として活躍したものの、今では落ち目になった上に妻子とも別れてしまったチン・シュウホウ(チン・シュウホウ)。全てに絶望した彼は、幽霊が出現するとささやかれる団地の2442号室へと入居する。そこを死に場所にしようと考えていた彼だったが、壮絶な過去を背負って生きる子連れの女性、空の棺桶(かんおけ)に固執する不気味な老女、霊幻道士といったさまざまな住民と出会う。やがて団地内にキョンシーが出現し、チン・シュウホウは彼らを相手にした戦いに引きずり込まれていく。(シネマトゥデイより)



本作は現在テアトル系映画館で開催中の特集上映
「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2014」の中の1本です。
今年は6本のシッチェス映画祭出品作が選出され、上映されていますが、
シッチェス映画祭でグランプリを受賞した『ボーグマン』を差し置き、
最初に上映された本作は、今年の「ファンタスティック・セレクション」の目玉でしょう。
なにしろ本作は『呪怨』の清水崇が製作を務めているので、
6本中、日本人にとって最も注目度の高い作品でしょうからね。
でも本作は残念ながら日本映画ではありません。
80年代に一世を風靡した『霊幻道士』のリブート(?)であり、香港映画です。

『霊幻道士』といえば、キョンシーホラーとしてお馴染みですよね。
といってもボクは香港映画『霊幻道士』自体は観たことがなく、
そこから派生した台湾のテレビドラマ『幽幻道士』、
…の外伝であるTBS製作テレビドラマの『来来!キョンシーズ』を、
就学前か小学校低学年の時に見ていただけです。
まだ幼かったボクには結構怖かったのですが、
『来来!キョンシーズ』は完全に子供向け番組だったし、
『霊幻道士』も含め一連のキョンシーホラー作品は基本的にはホラーコメディです。
それをJホラーの第一人者である清水崇が復活させたわけですが、
清水崇イズムが注入された本作は、コメディ要素なんて微塵も感じられない、
ゴリゴリのホラー映画に仕上がっています。
昨今のJホラーでも、これほどの不気味で上質な作品にはお目にかかれませんが、
そんな本作がJホラーではなくチャイニーズホラーだというのが口惜しいです。

Jホラーの不気味さを湛えた、素晴らしい映像ですが、
物語はちょっと複雑、…というか見えにくい気がしました。
もちろんキョンシーは登場するのですが、キョンシーの他にも、Jホラー的というか、
清水崇らしい怨霊も登場し、キョンシーの話と怨霊の話が並行して描かれる感じだけど、
セリフも少なく、状況説明がほとんどされないので、
その2つの話の関連性がちょっとわかりにくいんですよね。
そればかりか、登場人物の背景についても小出しにされるので、
主人公の名前すら最後の最後で漸くわかるほど不親切です。
とにかく初めのうちは本当に謎だらけな物語なので、ちょっと混乱しちゃいますが、
理解しようと真剣に見ちゃうので、物語に引き込まれるのも事実です。
そんな謎も小出しではありますがどんどん明らかになっていくので、
諦めずに食らいつけば、どんどん面白くなってくるのですが、
ラストの意味不明などんでん返しだけはどうも納得できませんでした。
まぁ全く解釈できないわけではないけど、このオチは禁じ手で、感心できません。
以下、ネタバレ注意です。

ある老朽化したマンションの2442号室に、ある俳優が引っ越してきます。
前述のように、この俳優はラストまで名前が明かされないのですが、
チン・シウホウという名前で、彼を演じる俳優もチン・シウホウです。
つまり本人役で出演しているわけですが、彼はオリジナル版『霊幻道士』に、
実際に道士役で出演していた役者だったみたいですね。
劇中でも道士を演じたことがある俳優という設定で登場しています。
本作でのチンは、妻子が亡くなったことがショックで、自分も家族の後を追おうと、
首吊り自殺場所としてこのマンションの一室を借りたみたいです。
マンション側にとっては勝手に自宅で自殺すればいいのに迷惑な話ですが、
どうやらこの2442号室はもともと事故物件だったみたいで、
ずっと借り手がいなかった部屋みたいです。

引っ越し早々、チンは縄を吊るして、首吊り自殺しようとするのですが、
ぶら下がった瞬間、この部屋の地縛霊に憑りつかれてしまいます。
そこにメガネのオッサンが飛び込んできて、縄を切り、チンに鏡を見せて除霊します。
そういえば今回は怨霊ですが、キョンシーも鏡が嫌いでしたよね。
このオッサンはラウという元霊幻道士ですが、最近はキョンシーがいなくなったので、
キョンシー退治用の餅米を流用して美味しいオコワを作る料理人をしている住民です。
その昔、キョンシーは実在したという世界観みたいですね。
ラウ道士に救われたチンは、ひとまず自殺を思いとどまり、ここで住むことになります。

チンはラウ道士の食堂で、住民でお針子の老女ムイさんに出会います。
優しいムイさんは何でも無料で繕ってくれるというので、
チンは『霊幻道士』で使った道士の衣装を彼女に預けます。
ムイさんは旦那のトンさんと二人暮らしをしているのですが、
ある日トンさんが、非常階段で転倒して死んでしまうのです。
トンさんは子供の泣き声(いや、笑い声)を聞いて非常階段に行ったのですが、
その時、階段の踊り場に裸の男の子がうずくまってたけど、
その子が何者だったのかはちょっとよくわかりませんでした。
だから『呪怨』の俊雄くんがカメオ出演したのかなと思うことにしました。

旦那が死んだムイさんは、ガウ導師に会いに行き、旦那を蘇らせてほしいと頼みます。
ガウ導師もラウ道士と同じく霊幻道士だと思われます。
(導師と道士の違いがよくわかりませんが…。)
霊幻道士を引退し堅気になったラウ道士と違って、
ガウ導師は今でも怪しい道術で黒魔術的なことを行っているみたいで、
ムイさんの依頼を受け、トンさんを使ってキョンシーを作るのです。
お馴染みのキョンシーのように、おでこにお札を貼っていませんが、
口元に有孔貨幣で作られた覆いを付けられており、これがいい感じに不気味です。
それだとさすがにキョンシーには見えませんが、
服はチンから預かった霊幻道士の衣装を着せており、キョンシーっぽいです。
ムイさんはガウ導師の指示通り、毎日カラスの生き血を与えますが、
トンさんの遺体は髪や爪が伸びるばかりで、一向に蘇る気配がなく…。
どうやらキョンシー化するには、ある儀式が必要みたいです。
ムイさんの焦りは募るばかりですが、あの優しいお婆さんが、
旦那の遺体に執着する姿には、怨霊やキョンシー以上にゾクッとします。
遺体を発見されそうになり、警備員を撲殺したりもするんですよね。

一方、チンは2442号室の周りをうろつく少年パクと女性フンに気が付きます。
この2人は母子のようで、もともとは2442号室の住民でしたが、
家庭教師をしていた旦那が、部屋で教え子の双子の女性をレイプしようとして、
逆に双子から殺され、その後双子もそこで自殺したらしく、
その陰惨な現場を目撃したフンは気が狂ってしまったみたいです。
今はマンションの警備員インさんの好意で、地下に住んでいるみたいですが、
ときどき2442号室にやってくるみたいです。
妻子を失ったチンは、その代わりなのか、この母子を気に掛けるようになります。
そのフンの旦那が殺した双子の怨霊が、この部屋の地縛霊の正体で、
自殺しようとしたチンに憑りついたのも彼女たちみたいですね。
見るからにJホラーっぽい長い黒髪で白い服の貞子タイプの怨霊ですが、
それが二体で人間とは思えない動きをするところが不気味で素晴らしいです。
チンがパクを追って廊下でフンと出会った時に、
やたら背の高い傘を差した4人組の異形とすれ違いましたが、
それの正体が何なのかは結局わからず仕舞いでしたね。
非常階段の少年も含めて、このマンションには双子以外にもいるみたいで、
ラウ道士も普通に幽霊と一緒に生活しています。

ある時、チンが2442号室に戻ると、急にガウ導師からおでこにお札を貼られます。
すると双子の怨霊が出現し、チンに憑りつこうと襲い掛かってくるのです。
どうやらガウ導師はチンを餌にして双子を呼び出して捕まえるつもりのようです。
しかし双子はかなり強く、ガウ導師だけでは手に負えませんでしたが、
異変を察知したラウ道士が駆け付けて、2人で双子を捕縛し、箪笥に閉じ込めます。
ガウ導師は「儀式に使う」と言ってその箪笥を持ち帰りますが、
どうやらトンさんのキョンシーを作るのに双子が必要だったみたいですね。
しかし、双子の霊力があまりにも強すぎて、儀式に使えないとわかり、
キョンシーを作るには、あまりに非道な別の方法を使うしかなくなってしまいます。
その別の方法とは、遺体にカラスではなく童貞の生き血を与えることで、
それを聞いたムイさんは、パク少年を捕まえて…。

パクの生き血で、トンさんがキョンシーとして復活しますが、
お札代わりの有孔貨幣の覆いも外されてしまっているため制御不能で、
ガウ導師を襲った後、廊下に飛び出して行きます。
ガウ導師は死の間際、キョンシーを作ったことを後悔し、
異変を察知して駆け付けたラウ道士に真実を語るのですが、
どうも非常階段でトンさんを殺したのもガウ導師だったみたいです。
螺旋状の非常階段でトンさんが突き落とされるシーンがありますが、
清水崇って本当に螺旋階段ネタが好きですよね。
その殺害現場をフンに目撃されていたみたいで、
ラウ道士はキョンシーがフンを狙っているのではと考えます。
それにしても、キョンシーの動きがちゃんとキョンシーらしくてよかったです。
両手を突き出して、ピョンピョン跳びながら移動する動きもそうですが、
息を止めていると察知されないという対処法も踏襲されていました。

息子パクがいなくなったので、フンはマンション中を探し回ります。
その途中、例の箪笥を発見して開けてしまったため、双子の怨霊も解放されるのです。
キョンシーはフンを見つけて、襲い掛かりますが、
そこにチンが駆け付け、火炎瓶を投げつけてキョンシーを倒します。
ところが双子の怨霊が出現し、キョンシーに憑りついて復活。
チンはキョンシーから鉄パイプをぶっ刺され、致命傷を負ってしまうのです。
キョンシーって中国の吸血ゾンビって印象があるけど、鉄パイプで攻撃するなんて、
本作のキョンシーはあまり人間に噛みついたりしないのかな?
チンの血を吸うこともなく、キョンシーは去っていきます。

死にかけているチンを発見したラウ道士は、
フンを助けるために「キョンシーと戦いたい」と訴えるチンのために、
道術を使って、一時的に彼を治療し、強化するのです。
その道術はタバコ一本吸う間ほどしか持続効果がないみたいで、
それまでにキョンシーを倒さないと命に係わるみたいです。
本作では顔を白塗りにしたりしませんが、たぶん「特殊霊魂」ってやつですね。
ラウ道士は死体の油を使ってキョンシーを誘き出し、
特殊霊魂状態のチンとキョンシーの激しい戦いが始まります。
ラウ道士もただ見ているだけではなく、特殊な風水羅盤を使ってチンをサポートします。
羅盤を回すと空間に五行のエレメントを発動させることが出来るみたいですが、
正直、空間ごと変化するのでチンも戦いにくそうでしたね。
しかも羅盤を回しすぎて、ラウ道士の腕が捩じ切れるという謎の展開で…。

チンはなんとかキョンシーを倒しますが、自らも玉砕してしまい…。
すると次の瞬間、急にシーンが切り替わり、
チンがマンションを歩き回っている様子が描かれます。
そのマンションでは死んだはずの警備員のインさんがなぜか生きており、
パクもフンと幸せそうに暮らし、ムイさんも普通の未亡人になっていました。
ちょっと意味不明な展開で、愕然としてしまいました。
思うに、一連のキョンシー騒動はチンが首吊った時に見た死に際の幻覚で、
実際はラウ道士に助けられてはおらず、そのまま死んだと考えられます。
マンションを歩き回っているチンは自殺して幽霊になった彼じゃないかな?
いわば夢オチみたいなもので、あまり感心できない禁じ手ですが、
そう考えるしか筋が通らないんですよね…。
しかし、その後、さらに混乱してしまう展開があるのです。

自殺したチンの遺体は遺体安置所に保管されますが、
そこに彼の息子が父の遺体を受け取りにやってきたところで本作は終わるのです。
チンは妻子に死なれたから自殺をしたはずなのに、息子が生きているのは不可解で、
彼が自殺したこと自体も虚実わからなくなってしまいます。
最後に大きな謎を残されて終わり、なんだかモヤモヤしちゃいますが、
こんな曖昧な幕引きにしなくても、キョンシーを倒して終わった方がよかったのでは?
全体的には面白かったのに、このどんでん返しの必要性が全く感じられず、
ちょっと惜しい気がしました。
でもキョンシーとJホラーの和魂漢才な融合には心が躍ったし、
とても楽しい時間だったのでオススメの作品です。

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