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ニンフォマニアック Vol.1

昨日放送された『キング・オブ・コント2014』を見ました。
出場者はほとんど知らないコンビばかりで、
さほど期待していなかったのですが、意外にも面白かったです。
ここ数年、お笑い賞レースが低レベルになっている気がしていましたが、
久しぶりに面白い賞レースだったなと思いました。
今回は「シソンヌ」というコンビが優勝しましたが、その結果にも納得です。
お笑い賞レースの結果に納得できたのも初めてかもしれません。
というか、ホントに混戦で、どこが優勝してもおかしくないと思ったので、
「チョコレート・プラネット」や他のコンビが優勝していても納得したと思います。
ただ出場10組中、「バンビーノ」というコンビのネタだけは受け付けませんでした。
人を選ぶネタなのか絶賛している人も多いみたいですが、
残念ながらボクには何が面白いのかサッパリで…。
ボクには今ブレイク中の「日本エレキテル連合」の面白さもわからないし、
面白い、面白くないなんて個人の価値観の問題ですからね。
「いろんな価値観の人いるからな、人間って面白いよな。」(by巨匠)

ということで、今日は人を選ぶ映画の感想です。

ニンフォマニアック Vol.1
Nymphomaniac Volume I

2014年10月11日日本公開。
ラース・フォン・トリアー監督によるエロティック・ドラマ2部作の前編。

幼少時から自分の性器を意識していたジョー(シャルロット・ゲンズブール)は、15歳の時にバイク好きの青年ジェローム(シャイア・ラブーフ)に処女を奪われる。2年後、彼女は幼なじみのB(ソフィ・ケネディ・クラーク)と共に挑発的な服装で列車に乗り込んでは、男性を誘惑しては関係を持つゲームに興じるなど、過激で奔放な高校生活を送る。やがて印刷会社に就職したジョーは、そこでジェロームと再会。彼に恋心を抱くがほかの女性に奪われ、その反動から無数の男と体を重ねていくように……。(シネマトゥデイより)



本作を観に行くべきかどうか、本当に悩みました。
なにしろ本作は、あの鬱映画の巨匠ラース・フォン・トリアー監督の最新作です。
トリアー監督の作品というだけでも物怖じしてしまいますが、
本作が第71回ベネチア国際映画祭で上映された折には、
そのあまりの内容に、上映中に退場する客も少なくなかったとか…。
そんな話を聞くと、逆にどんな凄まじい内容なのか気になるところもあるけど、
人を選ぶ作品なのは間違いなく、自分はちゃんと楽しめるのか、
途中退室する憂き目に遭わずに観れるのか心配になります。
しかも本作は公開中のVol.1と来月公開予定のVol.2の二部構成なので、
今回だけでは完結しないため、どうせ観るなら2本観る覚悟が必要です。
料金が2本分取られるのは仕方ないとしても、トリアー監督の作品を、
前後編合わせて約4時間も観るのかと思うと、二の足を踏んでしまいます。

だけど本作は『ニンフォマニアック』二部作の前編である前に、
『ニンフォマニアック』自体が「鬱三部作」の最終作なんですよね。
「鬱三部作」なんて聞くだけで、気分が重くなってしまいますが、
三部作の一作目『アンチクライスト』と二作目『メランコリア』は鑑賞済みで…。
当時はこれらが「鬱三部作」だなんて知らずに観ていたのですが、
一作目、二作目を観たなら、この際、三部作全部観た方がいいような気になります。
しかも意外なことに『アンチクライスト』も『メランコリア』も結構面白かったんですよね。
ボクはアート系作品は基本苦手なはずなのに不思議なことです。
鬱映画を得意とするアート系監督というだけでトリアー作品に警戒心を持ちますが、
実は意外と相性がいいのかもしれません。
ボクも鬱傾向があるので、鬱経験者のトリアー監督と感性が合うのかも?

それにベネチアで退席者を続出させたのは、
前後編を合わせたディレクターズカットだったみたいで、
今回観に行った前編は第64回ベルリン映画祭で上映されましたが、
その時はそれほど物議を醸すことはなかったはずなので、
ドキツイ内容なのは主にVol.2の方なのだろうと推測されます。
ディレクターズカットはただ前後編を合わせただけではなく、
無修正ノーカットだったらしいのですが、時間にして5時間半もあるそうで、
そんなに長いと、内容云々に関わらず退席する人がいても当然ですね。

ディレクターズカットの前編部分だけで145分あるらしいのですが、
日本で公開されているものは117分なので、前編だけでも28分もカットされています。
カットされているなんて言われると、ちょっと残念な気にもなってしまいますが、
たぶんカットされた部分は見るに堪えない映像ばかりだったはずです。
過激な性描写の多い本作ですが、過激すぎる性描写を切っているのでしょう。
なんでもポルノ俳優を起用して本当に本番行為をさせ、
それを濡れ場に合成したりしたそうで、その過激さが窺えますが、
ボクが見た限りではそこまで露骨な直接描写は少なかったので、
そういうシーンはほとんどカットされているはずです。
もちろん日本公開版では性器にボカシも入っています。
直接描写がカットされて残念がるエロい客もいるでしょうが、
ボクとしてはポルノ映画を観たいわけではないので見易くなっているのは有難いです。
それにカットされたシーンも、トリアー監督のことだから異常に生々しくて全くエロくない、
…いや性器の接写とかむしろグロいくらいの映像だと思います。
日本公開版くらいの方がむしろ想像力が働いて興奮できるんじゃないかな?

鬱三部作というくらいなので、鬱な展開もあるだろうと思われ、
覚悟して観に行きましたが、少なくとも前編Vol.1にはそれらしい展開はないです。
色情狂の女性の無茶苦茶な性遍歴を描いた明るいコメディ映画でした。
『アンチクライスト』も『メランコリア』も鬱映画という評判のわりには娯楽的でしたが、
本作は完全に娯楽映画で、トリアー作品史上最高に見易い気がします。
この明るさが後編の鬱展開へ誘うための前振りだと思うと末恐ろしいですが、
とりあえず前編を観るだけなら何も気負うことはなさそうです。
ただ、見易いのはいいけど、面白いかと問われると…。
それなりに笑える作品なのは間違いないけど、なにしろまだ前編なので、
これだけで面白かったかどうか判断するのはちょっと難しいです。
強いて本作だけで評価するなら、内容が何もないので、物語としてはつまらないかも。
ラストで漸く物語が動き出す感じで、それまで大した波乱はありませんし、
いわば前編一本使ってヒロインがどんな人物なのか説明したようなものです。
以下、ネタバレ注意です。

ある夕暮れの路地裏で、年配の独身男性セリグマンは、
怪我をして倒れていた女性ジョーを見つけ、自宅に連れ帰り介抱してあげます。
セリグマンは怪我が回復したジョーに何があったのか質問すると、
彼女は「自業自得よ。私は悪い女なの。」と言い、自らを色情狂と認め、
幼い頃から抱く性への強い関心と、数多の男たちと寝てきた数奇な物語を語リ始める。
…というのが枠物語で、彼女のこれまでの経緯が8章構成で回想されます。
前編では1章から5章まで、幼年期から青年期までが描かれます。

第1章「釣魚大全」
ジョーは2歳で自分の性器に関心を持ち、15歳でロストバージンします。
ロストバージンは若干早い気がしますが、普通の家庭だし、
ここまでは意外と普通の生い立ちだと思いますね。
やはり異端なトリアー監督といえども、少女期に過激な展開は描けなかったのかな。
…いや、カットされちゃっただけかもしれません。
それにしても彼女のロストバージンは笑っちゃうほど可哀想で、
憧れの男子Jに「私の処女を奪って、って言ったら迷惑?」と言い、処女を捧げます。
ところがJは前儀もなしに彼女の膣に3突き、肛門に5突きしただけで終了…。
早漏なのか?と思ったけど、別にそういうわけでもないみたいで、
「処女奪って」と言われたから、本当に処女を奪っただけで、追い返してしまいます。
(処女だけじゃなくてアナル処女まで奪っちゃってますけど。)
彼女は屈辱と激痛の中、二度とセックスしないと誓います。
この話を聞いたセリグマンは「3突きと5突きなんて、フォボナッチ数だね」と言いますが、
この悲惨なロストバージン話を聞いた感想がそれなんて、彼もかなり変わり者です。
初体験がそんな悲惨なものなら、本当にセックスが嫌いになりそうなものですが、
17歳の時にジョーは幼馴染の女友達Bに誘われて、セックス小旅行に出掛けます。
列車での旅ですが、目的地に着くまでに何人の男とヤレるのか、
チョコレートの駄菓子を賭けてBと競い、乗客を誘惑しまくります。
その話を聞いたセリグマンは「まるでフライフィッシングだね」とトンチンカンな感想…。
でも彼のその微妙な比喩がなかなか面白いです。

第2章「ジェローム」
すっかり色情狂になったジョーは、親友Bと「小さな群れ」という会を発足させます。
この会は悪魔の音程を奏でる、悪魔崇拝団体みたいなもので、愛に対する反抗を掲げ、
恋人は作っちゃダメ、同じ男と二度と寝ちゃダメというルールで運営され、
彼女たちは毎日違う男と寝る色情狂の集まりです。
ところが発起人のBが恋人を作ってしまい、愛に目覚めて会は解散。
ジョーは仕事を得るために印刷会社の秘書の面接を受けます。
高卒で経験ゼロなのに、なぜか採用されますが、
その会社は彼女の処女を奪ったJことジェロームの会社だったみたいで、
彼女に惹かれたジェロームが彼女を自分の秘書としてコネ採用しちゃったのです。
15歳の時はあんなに彼女を無下に扱ってたのに、今更関係を迫るなんて不思議ですが、
ジェロームからの屈辱を根に持っている彼女は関係を持つことを拒否します。
そして当てつけのように、会社の男たち全員と関係を持つのです。
ところが、ジョーもまた彼を好きになったみたいで…。
縦列駐車がキッカケだったような感じだけど、なんだかよくわからない心境の変化です。
ルゲラーをフォークで食べる彼を「女々しい」とバカにしていたのに、
急に「優雅で素敵」と感じ始めるんですよね…。
色情狂の彼女ならジェロームに直接迫りそうなものだけど、
意外にもプラトニックにラブレターなんて書いて彼に渡そうとしますが、
彼は別の秘書と結婚して世界旅行に旅立ってしまいます。

第3章「ミセスH」
失恋のショックで男漁りが激化したジョーは何股も掛け、いろんな男と付き合いますが、
その中のひとり既婚者のHがかなり面倒くさい男だったので、
彼と別れるために、「奥さんと離婚してくれないともう終わりよ」と告げます。
そういえば身を引くと思ったのでしょうが、コイツが本当に面倒くさい男で、
本当に離婚して、彼女の部屋に押しかけてくるのです。
そこに彼の奥さんミセスHが子供3人を引き連れてやって来て修羅場になる。
…というだけの章です。
ミセスHのキャラが面白いので、なかなか笑える章ですが、
ジョーの人生の中で、あえて語るような話でもない気がしました。

第4章「せん妄」
ジョーの最愛の父が癌で入院し、彼女は毎日お見舞いに行きます。
父はエドガー・アラン・ポーのようなせん妄状態になって苦しんでおり、
そんな父を見て彼女も苦しみ、それを紛らわすためか病院の何人かと寝ます。
この章だけ、全編モノクロで撮られていますが、悲しい物語だから
白黒映像を使うことで悲しみを演出しているのでしょうか。
でもモノクロだったお蔭で、父が失禁するシーンも見苦しくなかったのでよかったです。
あれが総天然色だったら、鑑賞後に食事できなくなったかも…。
結局、父は亡くなるのですが、臨終に立ち会ったジョーは何故か濡れていて…。
ジョーはそのことを恥ずかしく、罪深く思うのです。
ボクもなぜ父が死んで濡れるのか意味不明だと思いましたが、
セリグマン曰く、重大局面での性的反応はよくあることらしいです。
うーん、そんなものなんですかね?
ジョーが色情狂すぎて、このままだと近親相姦するんじゃないかと懸念していたので、
その前(?)に父が亡くなったのはちょっとホッとしちゃいました。
(ボクは近親相姦ネタが大っ嫌いなので。)

第5章「リトル・オルガン・スクール」
この章はセリグマンはバッハがポリフォニーを完成させたという薀蓄を語り、
その話に触発されたジョーの回想になりますが、
音楽に疎いボクにはポリフォニー云々がよくわからないので、
いまいちピンとこない比喩の多いエピソードでした。
しかしセリグマンはフィボナッチ数からポリフォニーに至るまで博識すぎますね。
父の死でタガが外れたか、一晩に7~8人の男と寝るようになったジョー。
もう色情狂以前に、物理的にそんなことが可能なのかって感じですが…。
そんな多くの男の中に、FとGがいました。
Fは彼女に尽くしてくれる律儀な男で彼女にとっても特別な存在になりますが、
Gはその真逆で彼女の思い通りにはならない制御不能な男でやはり特別な存在です。
そんな折、ジョーは散歩中に憧れのジェロームと再会し、2人は激しく燃え上がります。
ところが、初めて愛のあるセックスをしたのに、なぜか彼女は感じず…。
彼女が「何も感じない!」と悲痛な叫びを上げたところで前編は終了です。

うーん、理由は後編を観ないとわかりませんが、セックスしすぎで不感症になったかな?
色情狂が不感症になったら、それはそれは辛いでしょうね。
彼女の今後が心配になってしまう、なかなかいい引きだったと思います。
後編が鬱映画なのは間違いないので、それでも観るか悩ましいところですが、
不感症になったジョーがこの後どんな数奇な人生を辿るのか気になるので、
現時点では7:3くらいで後編も観る気持ちに傾いています。
でも後編公開までにまだ3週間もあるし、その間にもいろいろ映画は観るので、
本作の記憶も薄れて冷めるかもしれません。
同時上映だったら明日にでも観に行ったのにな…。

鬱三部作の感想
アンチクライスト
メランコリア

コメント

非現実的な世界

ポルノ映画、ピンク映画を映画館で見たいんですが、
そういう映画館は古く汚い感じですよね。
客も不潔そうなおじさんが多そうなイメージだし。
犯罪に巻き込まれそうな気もします。

だったら少しばかりでもエッチなこの映画を映画館で見ようかと思うんですが、
お客さんの入りはどうでしたか?

女性客の隣の席で官能シーンを見るっていうのも非現実的で素敵だと思うんです。

  • 2014/10/22(水) 19:10:17 |
  • URL |
  • 花井 #sqQhJwBQ
  • [ 編集 ]

Re: 非現実的な世界

ボクも所謂成人映画館には行ったことがなく、どんな所か知らないのですが、
本作を観たテアトル梅田もかなり古臭く、あまり綺麗な映画館ではないです。
客入りは上々で、ボクが見た平日夕方は満席でした。
女性客も結構いましたが、オジサンの方が多かったです。
日本公開版は性的なシーンがほとんどカットされているので、
ピンク映画の代用として観るのはあまりオススメできません。

  • 2014/10/22(水) 19:50:42 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

非現実的な世界

ありがとうございます。
じゃあスパッと見ない事を決断します。

性的なシーンはカットしないでほしいですね。

  • 2014/10/22(水) 20:30:06 |
  • URL |
  • 花井 #sqQhJwBQ
  • [ 編集 ]

Re: 非現実的な世界

ラース・フォン・トリアー監督の撮る性的なシーンは、
エロいというよりもグロいことがあるので、
カットしてくれてよかったと思うこともあります。

  • 2014/10/23(木) 22:18:48 |
  • URL |
  • BLRPN #-
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