ブログデンティティー

blog-dentity since 2013

荒野はつらいよ アリゾナより愛をこめて

映画『荒野はつらいよ』が封切られたので、
近所のTOHOシネマズに観に行こうと思ったら、
なぜか上映されておらず、ちょっと遠くのTOHOシネマズに行きました。
たしか近所のTOHOシネマズでも予告編が流れていたと思うのですが、
たまにありますよね、予告編を流したくせにそこでは上映しない映画って。
まぁ予告編を流していた頃は上映するつもりだったのかもしれませんが、
きっとあまり集客が見込めないと判断して公開規模縮小したのでしょう。
下手すると予告編で期待したのに観れない生殺しになるので勘弁してほしいです。
今回は行ける距離の映画館で上映されていたから助かりましたが…。

ということで、今日はちょっと遠出して観に行った映画の感想です。
遠出と言っても所要時間は15分ほどしか変わりませんが、
やはり交通費は高くなるので、その分だけ作品を観る目もちょっと厳しくなります。

荒野はつらいよ アリゾナより愛をこめて
A Million Ways to Die in the West

2014年10月10日日本公開。
セス・マクファーレン監督による西部劇コメディ。

1882年アリゾナ、パッとしない羊飼いのアルバート(セス・マクファーレン)は無法者がはびこる西部の町を嫌い、オタク友達とグチる毎日を過ごしていた。射撃経験すらない彼は決闘からも逃げ出すありさまで、ガールフレンドのルイーズ(アマンダ・セイフライド)は嫌気が差し、彼のもとから去ってしまう。そんなある日、抜群の射撃センスを持つ美女アンナ(シャーリーズ・セロン)と出会い恋に落ちるが、同じころ西部一の大悪党クリンチ(リーアム・ニーソン)が町に現れ……。(シネマトゥデイより)



本作は映画監督デビュー作である『テッド』を大ヒットさせた
セス・マクファーレン監督の第二回監督作品となります。(今回は主演も務めます。)
やはり前作の大ヒットの恩恵に肖りたいのか、『テッド』を絡めたプロモーションが多く、
特に日本では『テッド』のようなR指定コメディが大ヒットするなんて奇跡的なことで、
(日本興収42億円以上、年間ランキング4位という成績でした。)
本作よりもテッドが前に出ちゃってるんじゃないかってほどの宣伝ばかりです。
入場者特典もカウボーイの恰好のテッドのステッカーだし、テッド推しすぎというか、
もはや来年公開の『テッド2』の宣伝に本作を利用しているような状況です。
これで『テッド』の客層を本作に呼びこめれば、その宣伝の甲斐もあったでしょうが、
ボクが初日に観に行ったときは客席がガラガラで…。
やっぱり日本人はR指定コメディは苦手で、『テッド』のヒットは例外と再認識しました。

R指定コメディはお下劣ですから、上品な日本人が苦手なのもわかります。
日本人はR指定コメディが苦手な以上に、可愛いもの好きですから、
可愛いクマのぬいぐるみが主人公の『テッド』は例外的に大ヒットしましたが、
本作のように特に可愛い要素もない西部劇でR指定コメディをやられても、
なかなか触手は動かないと思います。
本作も下ネタ満載ですが、たとえ内心では面白いと思っても、
日本人は人前で下ネタでゲラゲラ笑うなんてできませんよね。
それに実際に本作のウンコチンチン的な下ネタは、幼稚で面白くないですし。

本作は下ネタの他にも、暴力ネタと不謹慎ネタのオンパレードです。
『男はつらいよ 柴又より愛をこめて』のパロディだと思われる邦題ですが、
(この邦題もかなりスベッていると思うけど、)
原題は『A Million Ways to Die in the West』。
直訳すれば「西部では100万通りの死に方がある」って感じですが、
実際に劇中ではいろんな方法で人が死にます。
中にはかなりグロいバイオレンス描写もあって驚きます。
銃殺はもちろん、ケンカで骨が見えるほど腕をへし折られたり、
カメラのストロボで焼死したり、牛に突進され角で刺し殺されたり、
狼に食われるなんてのは序の口で、ボクが椅子から飛び上がるほど驚いたのは、
吊り上げた氷が落下して人の顔面がトマトのように潰れるシーンです。
R指定ではぬるいんじゃないかと思うほどショッキングでしたが、
そんな残酷描写を暴力ネタとして笑うのは、慣れない日本人には難しいです。

不謹慎ネタの方では、主に人種差別ネタが多いですね。
マクファーレン監督はアカデミー賞でも人種差別ジョークを連発して
顰蹙を買いましたが、人種差別ネタは彼の十八番なのでしょう。
西部劇なので先住民に対するネタはもちろん、アジア人(特に中国人)、
アラブ人、ユダヤ人、そして黒人に対する差別ネタで笑いを取ろうとしています。
不謹慎で笑えないかどうか以前に、単一民族である日本人には、
人種差別ネタであるエスニックジョークも(面白さが)伝わり難いです。
ただ黒人差別ネタから派生したラストのオマケシーンだけは面白かったです。
祭り(家畜品評会)で黒人奴隷の的を撃つ「奴隷の脱走」という射的をしていた
テキ屋のオッサンが、ある客に撃ち殺されるのですが、
なんとその客はクエンティン・タランティーノ監督の『ジャンゴ 繋がれざる者』の主人公、
ジェレミー・フォックス演じる元奴隷の黒人ガンマン、ジャンゴでした。
笑えたというか、まさかの粋なカメオ出演で盛り上がりましたね。

カメオ出演ネタで言えば、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクもチラッと出ます。
『BTTF PART3』ではデロリアンで西部開拓時代にタイムスリップしましたが、
その時の出来事というネタなのかな?
こういう映画ネタは面白いので大歓迎ですが、元ネタを知っていることが前提なので、
洋画離れの進む日本人にはやっぱり伝わり難いかもしれませんね。
いや『BTTF』や『ジャンゴ』くらいの人気作はさすがにみんな知ってるかな。

日本人に不向きなネタが多く、コメディなのにお通夜のように静かだった本作ですが、
笑い声があがったところもなくはないです。
羊飼いの主人公が引き籠ってしまったので、羊が毛むくじゃらになったところなんかは
老若男女誰が見ても面白い万国共通のネタで、けっこうウケてました。
やっぱりちょっと可愛いネタだし、特に日本人は好きかもしれませんね。
ちなみに羊の声は『X-MEN』のパトリック・スチュワートが当てているそうですが、
クレジットもされてないし、なかなか気づく人はいないかもしれません。
スチュワートは『テッド』でも声だけの出演(ナレーション)をしていましたが、
どうもマクファーレン監督は、同じ役者を重用するのが好きみたいで、
『テッド』でカメオ出演していたライアン・レイノルズも本作でまたカメオ出演してます。
サルーンでリーアム・ニーソン演じる悪役に撃ち殺されるだけの出番でしたが…。
あ、そういえばニーソンと本作の準ヒロインを演じるアマンダ・セラフィールドも
『テッド2』への出演が決まってるみたいですが、本当に重用が好きなんですね。
偽リンカーン大統領や謎の薬を売る男など、いてもいなくてもいいキャラも多いですが、
彼らもどうやら監督の俳優仲間みたいで、縁故起用する傾向なのかも。

あと、ニーソンのケツに一輪挿しするシーンもけっこうウケてましたし、
面白いネタも全くないわけでもないが、コメディのわりには笑いの少ない本作ですが、
だからと言って面白くない作品というわけでもありません。
随所に小ネタは挟んでくるものの、大局的には王道の西部劇で、
意外なことに西部劇としてそこそこ楽しめる内容となっています。
以下、ネタバレ注意です。

1882年、アリゾナの町オールドスタンプ。
主人公の羊飼いアルバートは、西部開拓時代に間違って生まれてしまった現代っ子で、
西部での粗暴で野蛮な生活にウンザリしています。
ある日、彼の飼っている羊が他人の牧場の牧草を食い散らかしてしまい、
牧場主から決闘(ガンファイト)を挑まれるのですが、臆病な彼は拒否。
それがキッカケで恋人ルイーズにふられてしまうのです。
ルイーズはアルバートが臆病なので愛想を尽かしたのだと思いましたが、
そのあとすぐに口髭店(口髭用の整髪料の店)を経営する金持ちフォイと付き合うので、
アルバートが貧乏な羊飼いだったのが嫌なだけみたいですね。
フォイとキスしているルイーズを目撃し、ショックを受けたアルバートは、
サルーンで親友エドワードに「町を出る」と告げますが、そこで客同士の大乱闘が発生。
アルバートは乱闘に巻き込まれかけた女性アナをたまたま助けるのです。

アナは賞金首の大悪党クリンチの妻ですが、夫の言いつけで、
彼が別の場所で仕事をしている間、彼の部下のルイスと兄妹のふりをして、
このオールドスタンプで待機しているところでした。
アナは極悪非道な夫クリンチのことが大嫌いですが、なんでも9歳で結婚したらしく…。
100万通り死に方がある西部では平均寿命35歳らしいので、
15歳でオールドミスなんて言ってましたが、それが本当なのかネタなのか…。
サルーンでの大乱闘を起こしたのは兄役のルイスでしたが、
彼は牧師の息子を殺して保安官に逮捕され、牢屋に拘束されます。

アルバートはアナと親しくなり、ルイーズにフラれたことを相談。
するとアナは「2人で週末のお祭りに行ってルイーズに見せつけてやろう」と提案。
お祭りで2人は案の定ルイーズとフォイに遭遇し、
アルバートはフォイと射的で勝負することになるのです。
さすがは西部だけあって、射的も本物の拳銃で行いますが、
アルバートは悲惨なくらいに射撃の才能がなく、フォイに惨敗…。
むしろ単なる金持ちだと思っていたフォイの腕にも驚きますが、
さらに凄腕なのがアナで、彼女がアルバートの代わりにフォイを負かすのです。
負けたフォイは「女に助けてもらうなんて」とアルバートを愚弄し、
挑発に乗ってしまった彼は勢い余って一週間後の決闘を申し込んでしまい…。
超至近距離の的すら外すアルバートがフォイに勝てるはずはなく、
決闘を申し込んだ直後に後悔するのですが、
凄腕のガンマンであるアナが一週間コーチをしてくれることになります。

アナにコーチをしてもらい、それなりに射撃の腕前が上がったアルバート。
腕前だけじゃなくてアナとの親密度も上がります。
決闘前夜にはアナとダンスパーティにも繰り出すのですが、
このダンスシーンがまるでボリウッド映画みたいで、とても楽しいんですよね。
やっぱり歌とダンスは映画の華です。
パーティの後、アナはアルバートにキスするのですが、
それを保安官事務所から脱獄した夫クリンチの部下ルイスに見られてしまい、
夫に報告され、その夜、彼女は姿を消してしまうのです。

次の日、アルバートはフォイといよいよ決闘することになりますが、
どうも前日にアナがフォイに下剤を盛っていたみたいで、彼はピーピー状態。
決闘前にテンガロンハットにお漏らししたりするのですが、
下痢状態のアレをスクリーンに映すのだけはホントに勘弁してほしかったです。
もう暫くはカレーを食べれないほど気持ち悪かったです。
こんな下痢男相手ならアルバートも簡単に勝てそうな気がしましたが、
アルバートは「ルイーズはやる」と言って決闘を放棄するのです。
気持ちはすっかりアナに移っちゃてるので、ルイーズを諦めても平気でしょうが、
もともとこの決闘は別にルイーズを賭けているわけじゃないんですけどね。
まぁ下剤盛った時点で正々堂々とは言えないし、これで勝っても嬉しくないかな。

しかしその時にはもうアナはクリンチに捕まっており、
クリンチは妻とキスした男を探すのに躍起になっていました。
暗がりだったのでルイスも男が誰なのかははっきり見えなかったみたいです。
これならアルバートだとバレないんじゃないかと思いましたが、
まさかのアナが白状しちゃうんですよね。
愛犬プラガーを殺されかけて観念してバラしてしまうのですが、
うーん、彼女にとってアルバートの命が犬の命よりも軽いなんて…。
クリンチは部下を引き連れてアルバートの農場にやってきますが、
彼は羊の群れの中に身を隠して、隙を見計らって馬で逃走します。
すぐにクリンチたちも追ってきますが、走る蒸気機関車に乗り込んで難を逃れます。
やっぱり西部劇と言えば、馬でのチェイスと蒸気機関車ですよね。
でも走行中の機関車に、よく馬と一緒に飛び乗れたものだなと…。

もうひとつ、西部劇に欠かせない要素と言えば、そう、先住民です。
クリンチから逃げ切ったアルバートですが、山中で先住民に襲われて、
危うく火あぶりにされそうになるのです。
しかしアルバートは読書家で、多言語を話すことができるみたいで、
先住民の言葉も使えるので、先住民からも信頼を勝ち取ります。
他にも数学なんかも得意みたいですが、かなりインテリなので、
本当に生まれる時代を間違えなければ、凄い人物になっていたかもしれませんね。
ドクにデロリアン借りて、別の時代に行っちゃえばいいです。
仲良くなった先住民から妙な薬品を振る舞われますが、それを飲んだアルバートは、
意識を失い、まるで走馬灯のように悲惨な生い立ちを見ます。
その後、アルバート・イン・ワンダーランドな幻覚に襲われ、
黒いコンドルのキンタマを蹴り上げたところで意識を取り戻しますが、
先住民曰く、それは「真の勇気を持っている証拠」という啓示だったみたいです。
アルバートは真の勇気を示すべく、オールドスタンプに戻り、
アナを取り戻すためクリンチに決闘を挑みます。

クリンチは決闘で負け知らずの凄腕ガンマンですが、彼が勝てるのも当然で、
決闘は3まで数えて撃ち合うのですが、彼は2で撃っちゃうんですよね。
それをアナから聞いていたアルバートは、1で先に撃つのですが、
残念ながら弾はクリンチの左腕をかすめただけで…。
やっぱり一週間程度の練習では的確に命中させるのは難しいようです。
拳銃も撃ち落とされ、アルバートは絶体絶命の大ピンチですが、
クリンチが急に苦しみはじめ、そのまま絶命してしまうのです。
なんとアルバートの放った弾丸にはガラガラヘビの毒が塗られていたらしく、
ちょっとでもかすめれば毒殺できるようになっていたみたいです。
ちょっと卑怯で、クライマックスの決闘としては少し盛り上がりに欠けますが、
腕ではなく知恵で勝利したわけで、彼らしい勝ち方かもしれませんね。
大悪党に勝利しルイーズも惚れ直しますが、アルバートは彼女をふり、
アナとラブラブになってハッピーエンドです。

コメディとして期待しなければ、なかなか楽しめる西部劇でした。
ボクは全く詳しくないのでわかりませんが、『決断の3時10分』『オクラホマ!』
『リバティ・バランスを射った男』などの往年の西部劇の影響も受けているそうで、
西部劇ファンだったら更に楽しめるのかもしれません。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://blrpn.blog.fc2.com/tb.php/1387-51b80669
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad