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FORMA -フォルマ-

先日、遅ればせながら『ホットロード』を鑑賞しました。
感想も七割がた完成しているのですが、投稿は見送ります。
あまりに罵詈雑言だらけの酷い感想になってしまったので…。
この作品が、なぜ20億円を超えるヒットを記録するのか理解に苦しみます。
ボクは「あまロス」になったタイプなので、能年玲奈目当てで観たのですが、
鑑賞前から嫌な予感はあったものの、それが見事に的中しました。
でも能年玲奈への期待は健在で、あまり彼女を貶したくないので、
貶さざるを得なかった『ホットロード』の感想は封印することにしました。
公開直後だったら需要もあったかもしれないので投稿したでしょうけど…。
能年玲奈の次の主演作『海月姫』は期待できそうです。

ということで、今日は『ホットロード』と同日公開だった映画の感想です。
つまり公開から1カ月以上経っているわけで、感想に需要はないでしょうが、
関西では先週末公開が始まったばかりなので、仕方がないです。

FORMA -フォルマ-
フォルマ FORMA

2014年8月16日公開。
坂本あゆみ監督のデビュー作となるサイコサスペンス。

ある日、綾子(梅野渚)は同級生の由香里(松岡恵望子)と再会し、自分が働く会社に彼女を誘う。やがて二人は同じ会社で働くようになるが、綾子の由香里に対する振る舞いは次第に冷淡になっていき、一種異様な態度を示すようになる。由香里はじわじわと追い詰められていくが、綾子が抱える心の闇は一層深くなり………。(シネマトゥデイより)



第26回東京国際映画祭で日本映画スプラッシュ部門作品賞を受賞した本作。
日本の自主映画から選ばれるその映画賞には全く価値を感じないものの、
第64回ベルリン国際映画祭フォーラム部門で国際批評家連盟賞を受賞したそうで、
それは素直に快挙だったと思います。
まぁその時は、『小さいおうち』の黒木華が銀熊賞を受賞し、
本作のことはあまり話題にならず、ボクの記憶からも完全に消えていましたが、
坂本あゆみ監督の地方行脚で、近所のシネコンにも舞台挨拶に来ることになり、
その告知のために劇場にポスターが貼ってあったのを見て思い出しました。
上部の画像がそうですが、なかなか目を引くポスターですよね。
でも坂本監督の舞台挨拶のあった回は盛況だったかもしれませんが、
ボクの観た回ではボクを含めて客は2人しかいなくて…。
やはり自主映画だとちょっと賞を獲ったくらいでは注目されないんですね。
いや、こんなアート系映画をシネコンで上映したら客が入らなくて当然かな。

ポスターにも「145分のアンチテーゼ」というキャッチコピーが書かれていますが、
実際に本作の上映時間は2時間25分もあり、かなり長いです。
アート系映画は観る人を選ぶので、長時間作品は観るのに覚悟が必要です。
感性が合わず退屈な作品だったら、それを長時間観るのは拷問で、
エンタメ系映画が好きなボクは、それで過去に何度か苦い思いをしているので…。
でも本作は『るろ剣』なんかと並んでシネコンで上映されているし、
ある程度エンタメ色の強いアート系映画だと感じたので、思い切って観に行きました。
その結果、最初の1時間ほどはかなり後悔することになったのですが…。

本作の内容なら、上映時間は1時間もあれば十分足りるはずですが、
長ったらしい無駄とも思えるシーンを随所に差し込むことで水増しされています。
ただ食事の準備をするシーンとか、テニスで延々と壁打ちするシーンとか、
駅前をただ映しているだけのシーンとか、テレビ番組の食レポを見続けるシーンとか、
特に何が起きるでもなく、物語上は全く関係ない日常の風景です。
しかもそれらは固定カメラのワンカットで、音楽すらもなく…。
上映開始後1時間ほど経って漸く物語が動き出すのですが、
それまでの何の引きもない状態でそれをされると退屈極まりないです。
無駄なシーンはいいから、早く物語を先に進めてくれと思いました。
劇中で工事現場の警備員をしていた登場人物が、その仕事内容について
「30分は経ったと思ったら5分しか経ってなかった。」と愚痴っていましたが、
本作を観ているボクも同じような気持ちで、上映中に何度時計を見たことか…。
こんな無駄なシーンを挿入するのは、アート系を気取っているからでしょうね。
あえて人を選ぶ作品にしようとしているのだと思います。
そんな演出を度外視すれば、残るのはなんてことのない物語です。
以下、ネタバレ注意です。

ある日、小さな化粧品会社で主任をしている金城綾子は、
中学高校で同級生だった保坂由香里と再会します。
由香里は工事現場の警備の仕事をしていますが、
件の愚痴を聞いた綾子は彼女を自分の会社で雇ってあげることにします。
コネ入社なんて羨ましい限りですが、主任程度にそんな人事権あるのかな?
「人手不足」と言ってましたが、実際はそうでもないことが後からわかるし、
なぜ綾子の一存だけで由香里を雇えるのか不思議です。
会社で由香里を待っていた仕事は、お茶くみやコピー、掃除など雑用ばかり。
しかも綾子に「私は上司だから敬語を使って」と言われます。
コネ入社とはいえ、新人なのだから当然の扱いだと思いますが、
どうやら高校のテニス部時代には由香里がキャプテンで綾子が平部員だったようで、
綾子は「立場が逆転した」と父に嬉しそうに語っていて、
ただの親切心から由香里を雇ったわけではなさそうです。
由香里もそのことを敏感に察知し、イジメられていると感じ始めます。
でも同僚が交通事故で急逝した時も由香里だけがそのことを知らされてないなんて、
綾子だけでなく同僚全員からハブられているような感じですよね?

ある日、由香里が婚約中だと知った綾子は、「婚約者に会わせろ」と言い出します。
立場上断り辛いのか、彼女をデートに同行させた由香里ですが、
後日綾子は勝手に婚約者の田村と連絡を取り、食事に誘っており…。
田村は男前だしお金も持っていそうなので、寝取るつもりかと思いましたが、
ただ由香里の高校時代の悪口を、あることないこと吹き込んだだけのようで、
破局させてやろうと思ったのでしょうが、田村にはあまり効果がなかったみたいです。
後に田村が口を滑らし、その密会が由香里にバレるのですが、
彼女は多少不快感を示すものの、それほど怒りもしないんですよね。
普通なら婚約解消でもおかしくないほどの失態ですが、
彼女から「私より綾子を選ぶはずない」という余裕を感じます。

ある日、綾子は「同級生も誘って私の家でチゲ鍋しよう」と由香里を誘います。
ところが彼女は同級生には声をかけておらず…。
代わりに父に早く帰宅するように言っており、なぜか由香里を父と会わせたいようです。
同級生が来ないと知った由香里は、そそくさと帰り、父とは入れ違いになります。
由香里と父には昔、何かあったと綾子は考えているみたいです。
一体何があったのかが、本作の大きな謎となるのですが、
まぁ大方の予想はつくし、実際予想通りで…。

入社してから1カ月、イジメに耐え兼ね、由香里はついに退職を決意し、
カフェで綾子にその旨を伝えます。
どうせ年内に田村と結婚するし、専業主婦になることが決まっていたため、
端から腰掛のつもりだったみたいですが、それなら警備員続けてればいいのにね。
会社を辞めてまた警備員に戻るのですが、暇すぎる警備員が嫌で辞めたのなら、
飲食店でも何でも、他に仕事なんていくらでもあるのに…。
しかし綾子は由香里が辞めることを許せません。
たしかに自分が紹介した新入社員が1カ月で辞めたら面目丸潰れですが、
それよりもせっかく捕まえた由香里に逃げられてしまうことが我慢できないのでしょう。
綾子は「それ相応の覚悟をしなさい」と由香里に吐き捨てて、その場を去り、
家電店でビデオカメラを購入し、それを会社の倉庫に設置して隠し撮り。
後日、由香里を倉庫に呼び出します。

呼び出された由香里が倉庫に行くと、そこには綾子の他にもうひとり男が…。
ボクも全く見覚えのない男だったので「誰だ?」と思いました。
どうも彼は立会人的な感じで、同僚のひとりかなとも思いましたが、
彼が誰かは説明されないまま、シーンは翌日以降に飛びます。
由香里は警備員に戻りますが、部屋に訪ねて来た婚約者・田村に対して、
「事情は言えないが、結婚をやめたい」と言い出すのです。
おそらく倉庫で何かあって、結婚できない状況になったものと思われますが、
当然田村は納得せず、婚約解消できないまま、結婚に向けて部屋を探したりします。
そんなある日、由香里が目を覚ますと、ベッドの脇に例の倉庫の男がいて…。
どうやら勝手に部屋に侵入したみたいで、ただでさえ気持ち悪い野郎ですが、
彼が何者かわからないのがもっと気持ち悪いです。
すると今度はその男・長田の視点の回想になります。

長田は由香里が綾子に退職を告げた例のカフェの店員で、
常連だった由香里をストーカーしていたみたいですが、
ある日、本屋で彼女を忘れ物を拾ったのがキッカケで親しくなり、
彼女の相談相手になっていたみたいです。
由香里には婚約者もいるのに、なかなかあり得ない展開です。
綾子からのイジメも相談されていたそうで、由香里が倉庫に呼び出されたと聞き、
心配して勝手に話し合いに参加しようと、彼女より先に倉庫に行きます。
本当にキモいお節介野郎ですが、当然綾子にとっても大迷惑。
「2人の問題だから関係ない」と追い返そうとしますが長田は全く引こうとせず、
結局彼に由香里の高校時代の父との関係を話してしまうのです。
予想通り、由香里と父がデキていたらしく、それがキッカケで両親は離婚し、
綾子は由香里を憎んでいたみたいです。
そんな折、由香里も漸く到着し、綾子との言い合いの末、つかみ合いのケンカになり、
彼女はついうっかり綾子を殺してしまうのです。

普通なら衝撃の展開ですが、その展開も予想できていたので全く驚けません。
なにしろ由香里の自宅に長田が侵入した時に、
彼女は「まさか死ぬなんて…」と長田に泣きつくシーンがあるので、
倉庫の一件で綾子が死ぬことは明らかだったからです。
なぜそんなネタバレ同然の構成にしたのか不可解すぎます。
まぁどういう流れで綾子殺害に至るのかは気になるところでしたけどね。
掴み合いのケンカの末に、由香里がマウントポジションになって、
ダンボールを使って息の根を止めたみたいですが、
肝心のところが物陰に隠れており、どうやって殺したのかは見えませんでしたが…。

この倉庫のシーンが本作のクライマックスですが、
オチがわかっているのは如何なものかと思うけど、なかなか見応えがあります。
ここも綾子が設置した隠しカメラの映像という体裁で、
固定カメラによるワンシーンの超長回し(約24分)で撮られているのですが、
そこは段取りだけ決まっていて、あとは役者3人のアドリブだったそうです。
その演技が何とも緊張感があって、とてもよかったと思えます。
本作のよかったところはそこだけなので、本作が世界的に評価されたのも、
監督の腕というよりは、役者3人の奮闘によるところが大きい気がします。

ただアドリブすぎたための弊害なのか、言うべき台詞を言い忘れている気が…。
長田が由香里の部屋に侵入した際、「あの時、結婚しないで別れるって言ったよね?」
「なぜ婚約者と会ってるんですか?」と由香里を問い詰めるのですが、
倉庫では、そんなことは一言も言ってません。
由香里は綾子殺害後、長田を置いて飛び出しているので、
カメラが止まった後に言っているとも考えにくいです。
まぁ後日、別の場所で会って言ったのかもしれませんが、
そもそも長田とそんな約束をする必要があるとは思えません。
口止めの代わりに長田から交際を迫られているならまだしも、そんな感じでもないし…。

それでも由香里が田村と会うことをやめなかったので、
長田は倉庫で見つけた隠しカメラのテープを綾子の父に送り付けます。
自分も死体遺棄に関与したことを示す証拠テープでもあるのに…。
父はそれを見て絶句するのですが、綾子が死んで数日は経っているはずなのに、
同居しているくせに娘の不在に何も疑問を持っていなかったのか?
後日、父は由香里に詰め寄り、そこで本作は幕を下ろします。
音楽を一切使わなかった本作ですが、エンドロールまで無音とは徹底してますね。

綾子の高校時代の由香里に対する積年の思いが起こした事件を描いた作品で、
はじめは由香里をイジメる綾子が性悪女に思えますが、
実は由香里にも恨みを買うだけの非があったことが徐々にわかり、
観客の価値観を揺らがせるという意図があるのだろうと思いますが、
ボクとしては、由香里はただ魔性の女なだけでそれほど非はなく、
ただ綾子が性悪に思えるだけでした。
どう考えても一番悪いのは綾子の父で、娘の同級生の高校生に手を出すなんて、
倫理的にあり得ないどころか、淫行で犯罪ですよ。
高校時代の由香里も、なぜこんなオッサンと関係を持ったのか不思議ですが、
編集マンで一応業界人だから高校生のガキンチョには魅力的に感じたのかな?
何にしても、由香里が言うように、綾子が責めるべきは父ですが、
まぁ綾子も実際はそのつもりで、ビデオを設置したのも父に見せるためでしょうね。
このオッサンがもっとちゃんと裁かれていればまだマシでしたが、
なんとも後味の悪い終わり方です。

ボクの感性には全く合わない作品でしたが、本作が海外で評価されたことで、
監督はアート系映画ばかり撮るようになると思うから、
また賞でも獲らない限り、彼女の作品はもう観ることはなさそうかな。

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