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グレート デイズ! 夢に挑んだ父と子

先週末に放送された日テレの『24時間テレビ』ですが、
瞬間最高視聴率、驚異の41.9%を叩き出したとか。
平均視聴率も17.3%も稼いだんだそうで、凄いですね。
「障害者を使って金儲けしている」とか、「偽善番組だ」とか、
けっこう批判されているわりには、未だに人気があるんですね。
ボクは今年も『24時間テレビ』を一秒も見ませんでしたが、
別に偽善番組に加担したくないとか思っているわけではなくて、
ただ単に面白くなさそうだから見ないだけです。
『24時間テレビ』のオープニングの頃はテレ朝の『列島警察捜査網 THE追跡』、
最高視聴率だったフィナーレの頃はテレ東の『激録・警察密着24時』を見てましたが、
『24時間テレビ』より「警察24時もの」の方がボクには楽しめます。

でも最高視聴率は24時間マラソンのゴール直後だったそうですが、
毎年だいたい嫌いなタレントがランナーに選ばれていましたが、
今年のランナーのTOKIO城島茂は好きなタレントなので、ちょっと気になりました。
なんでも43歳の彼は、24時間で101km走ったそうです。

ということで、今日は50代半ばのオッサンが、障害者の息子を連れて、
16時間で220km以上走ったトライアスロンを描いた作品の感想です。
あえて『24時間テレビ』の前日に公開日をぶつけたのかな?

グレート デイズ! 夢に挑んだ父と子
The Finishers

2014年8月29日日本公開。
『エトワール』『オーロラ』のニルス・タベルニエ監督によるフランス映画。

元トライアスロン選手のポール(ジャック・ガンブラン)は、車椅子で日々を過ごす息子ジュリアンと向き合うことを避け、彼の世話を妻クレア(アレクサンドラ・ラミー)にさせ続けてきた。ある日、障害のある息子と一緒にトライアスロンに出場した親子のニュースを見たジュリアンが、自分も父親と一緒にレースに出たいと相談するも、ポールからは無謀なことを言うなと反対されてしまう。その後ジュリアンは、自分の殻に閉じこもってしまい……。(シネマトゥデイより)



本作はフランス映画ですが、世界的に特に注目された作品でもないみたいで、
本来なら日本で上映されるような映画ではないはずです。
しかし車椅子の身障者が主人公のフランス映画『最強のふたり』が日本で大ヒットし、
配給したGAGAは、その二匹目のドジョウを狙って本作を買い付けたのでしょう。
まぁ本作が『最強のふたり』ほどヒットできるとは思いませんが、内容は悪くなく、
予想以上に楽しめたので、日本で上映されてよかったと思います。

「予想以上に」というのは、予告編を観た限りでは、
あまり期待が持てそうな印象がなかったからです。
車椅子の息子が、父と一緒にトライアスロンに出たいと我儘を言い、
嫌がる父を無理やり巻き込み出場する物語、という印象でした。
父子二人三脚で頑張ると言えば聞こえいいけど、
実際に走るのは父であり、息子はずっと座ってるだけですし…。
けっこう評判がいいみたいなので、観に行くことにしましたが、
いざ観てみても、やはり圧倒的に頑張っているのは父親だと思いました。

それでも予想外に楽しめたのは、本作の主題は父子関係の再生が中心であり、
トライアスロン挑戦はそのキッカケでしかなく、身障者云々はあまり関係ない、
普遍的な物語になっているためでしょう。
なのでキッカケは父子で一緒に出来ることであれば、
別にトライアスロンじゃなくても、何でもよかったのだろうと思います。
まぁ困難なことの方が燃えるので、トライアスロンは題材としては申し分ないです。
でもトライアスロンは困難すぎて、ちょっとリアリティに欠ける気がしますが…。

とはいえ実際に車椅子の息子と2人でトライアスロンに挑戦した父子はいます。
アメリカのホイス父子で、彼らのことは有名ですね。
本作も彼らホイス父子にインスパイアされたそうですが、
劇中で息子ジュリアンがトライアスロンに挑戦したいと考えたキッカケも、
ネットでホイス父子のトライアスロン挑戦の記事を読んだからです。
ただ劇中で父ポールが、「ホイスは15年以上も鍛え続けた選手だ」と言い、
過去にトライアスロン経験があるものの、完走経験はなく、
息子が生まれてからはトライアスロンとは全く縁がなかった自分が、
彼らの真似なんて出来るはずはない、と息子の申し出を拒否します。
ボクもそれは全く正論だと思ったし、リアリティのない無謀な挑戦だと感じました。
せめて体を鍛え直してから、数年後の大会を目指すというのであればわかるけど、
わずか8カ月後のアイアンマンレース選手権を目指すなんて、
父ポールひとりで出場するとしても厳しすぎますよね。
実際、鍛えていたホイス父子も、急にトライアスロンに挑戦したわけではなく、
まずはフルマラソンから順々に参加したらしいです。

車椅子生活を送る17歳の少年ジュリアンですが、足が不自由なだけじゃなくて、
生まれつき脳神経障害のようで、全身マヒ気味みたいです。
とはいえ、上半身はそこそこ動くので、パソコンのキーボード入力も出来ますが、
風呂で体を洗うのも、食事をするのも母や姉に介助されており、
それくらい出来そうだし、ちょっと甘え過ぎじゃないかと思いました。
性格もあまりいいとは言えず、気に入らないババアに中指立てたり、
望遠鏡で女性の部屋を覗いたりと、なかなかの悪ガキです。
日本だと障害者は可愛そうな人だと、腫れ物に触るような描写になるものですが、
フランス映画は障害者をちゃんと人間らしく描くので好感が持てます。
ジュリアンを演じるファビアン・エローは実際に身障者だそうで、
語弊があるかもしれないけど、見るからに脳神経障害者という趣きがあり、
そこは作品にリアリティが加味されますね。
監督がフランス中の施設を探し回って見つけたらしく、演技経験はゼロでしょうが、
あの電動車椅子の操縦技術は、俳優を訓練してもなかなか出来ないでしょう。

父ポールは、生まれたばかりの息子ジュリアンに障害があるとわかってショックを受け、
それ以来息子を避け、家庭を顧みず仕事に没頭するようになります。
酷い父親ですが、その気持ちはわからなくもないですね。
いや、実際はボクごときでは想像も出来ないほどのショックだったでしょうが…。
そんな彼ですが、ロープーウェイの点検の仕事を急に解雇されるのです。
(身障者を養う父親を簡単に解雇しちゃうなんて酷いですね。)
なぜ解雇されたのかはわかりませんが、彼にとっては解雇されたことよりも、
無職になって家にいる時間が増えたことの方が辛いみたいで、
求職しながら(おそらく)ボランティアの消防団の活動ばかりするようになります。
そんな父子関係に懸念を感じているのが母クレールです。
彼女は過保護なほど献身的に息子の世話をしていますが、
そんな生活にもかなり疲れているみたいで…。
いやはや、やはり身障者のいる家庭はいろいろと辛いことも多いみたいです。
でもジュリアンの姉(役名忘れた)は、とても弟想いの明るい女性で、
弟が身障者だったことでポジティブな影響を受けたという、
誕生日パーティの彼女のスピーチには感動しました。

父に全くかまってもらえず不貞腐れるジュリアンですが、
ある日、たまたま父が元トライアスロン選手と知り、更にホイス父子のことも知って、
一緒にトライアスロンに挑戦したいと父に願い出ますが、「無理だ」と一蹴されます。
上記の理由の他にも、専用自転車や専用車椅子の費用もバカにならないらしく、
失業中の彼には、もし挑戦したくても金銭的に難しいかもしれませんね。
しかしそれに不服なジュリアンは、家出をすることで抗議します。
本当は家出する気なんてないくせに、まるでガキですが、
面白い(?)のは家出中に電動車椅子のバッテリーが切れて、
ガソリンスタンドに立ち寄って家に通報されたことです。
さすがにガソリンスタンドは電動車椅子にまで対応してないと思うけど…。
更にジュリアンの養護学校の同級生たちからも説得され、ポールは出場を決意。
なんと専用自転車を手作りするのです。
ただ車椅子付きの自転車ではなく、競技用にしなきゃいけないのに、
仕事で溶接とかしていたでしょうが、そんなに簡単に手作りできるものなの?
出来上がった自転車は、意外に頑丈そうでしたが、めちゃめちゃ重そうで…。
これでは登り坂は無理じゃないかと思いました。
レースの頃には更に改良され、カーボンの座席などを特注していましたが、
やっぱり結構なお金は掛かってそうです。
ただでさえ出費がかさむのに、練習で8カ月も仕事しないで大丈夫でしょうか?

トライアスロン挑戦に向けて、仲良く練習を始める父子ですが、
父子関係を懸念していた母クレールもさぞ喜ぶかと思いきや、
「ひ弱なジュリアンを殺す気か!」とトライアスロン挑戦に猛反対。
少し態度が軟化したと思ったら、自転車練習中に山道でコースアウトし崖から転落し、
ジュリアンが入院してしまい、また反対するようになります。
あんな重そうな自転車で曲がりくねった坂道を下れば、コースアウトも当然ですね。
ところが彼女が反対するまでもなく、大会委員会によって出場が認められず…。
しかし諦めきれないジュリアンは、身障者友達のヨアンと一緒に委員会に乗り込み、
車椅子で大暴れして出場不許可を撤回させます。
その息子の熱意に押されて、クレールも応援するようになるのです。
どうやら障害者部門の出場が認められなかったから、
一般部門に参加すると直談判し、出場を許可されたみたいですが、
そもそも障害者部門だったら父と一緒に出られない気がするので、
出場が認められなくても当たり前だったんじゃないかと…。

そしていよいよアイアンマンレース選手権ニース大会当日になります。
行程は水泳3.8km、自転車180km、マラソン42.195kmで、
それを16時間以内に完走しなければいけない超過酷なレースです。
ボクだったら水泳3.8kmだけでも無理でしょうが、
ポールは息子の乗ったゴムボートを引っ張って泳ぐんだから凄いです。
出場者が一斉に海(湖?)に飛び込むシーンは圧巻でしたが、
これは本物のトライアスロンのレース中に撮影したみたいです。
ポールが泳ぎ切った時は、おそらく最下位だったと思われますが、
もうその時点で、まるで完走したかのように観客から拍手喝采を受け、
これがラストシーンかと思うような盛り上がりでした。
こんな序盤でこれほど盛り上げるということは、もしかして完走できないのかも…、
と、ハラハラしてしまいました。

自転車に入った2人を待っていたのは、沿道からの養護学校の仲間の応援です。
その中には車椅子の女の子アンヌもいて…。
彼女はおそらく事故か何かで車椅子生活になったばかりで、酷く落ち込んでいて、
同級生とも壁を作り、ジュリアンがとても気に掛けていたのですが、
彼女とジュリアンのロマンスでも描かれるのかと思ったら、別にそんなこともなく、
正直なぜ彼女が応援に来ていたかも不思議なくらいでした。
まぁジュリアンの頑張りに励まされたということかもしれませんが、
実際に頑張っているのは自転車を必死にこぎ続ける父ポールでしょう。
なにしろジュリアンはレース中にウトウトしていたみたいで、
父から「寝るな!」と水筒の水をぶっ掛けられてましたからね。
ジュリアンはフレームの振動で腹に擦り傷ができ、それを我慢していたそうですが、
その程度、ポールの頑張りに比べたらどうということはないです。
その傷で棄権しかけたのも、どんだけ甘いんだと思いましたね。

マラソンに入った時は制限時間まで残り5時間を切っていましたが、
ここまでは意外と余裕がありそうなタイムですね。
ただそれはフルマラソンの場合で、自転車180kmの後によく走れるなと感心します。
しかもポールの場合は車椅子を押しながら走るんだから大変です。
車椅子に体を預けられるので、少しは楽だったりするのかな?
ポールは快走し、ヘタレな健常者ランナーをどんどん抜きますが、
ゴールまでもう少しと言うところでついに倒れ込みます。
「もう歩けない」という彼に、息子ジュリアンは自ら車椅子を漕ぎ始めるのです。
そんな諦めない息子の姿に触発され、ポールは復活し、ラストスパートをかけます。
感動的なシーンでしたが、見ようによってはジュリアンが倒れた父を見限り、
自力でゴールを目指したようにも思え、ちょっと薄情な印象も…。
もっと倒れ込んだ父の心配もしてやれよと思っちゃいました。
結局、15時間57分というギリギリのタイムで見事に完走しました。

なんだかんだで、父の一方的な献身により成し遂げられた感じですが、
子を想う親の気持ちの強さに感動しました。
息子の父に対する感謝がもっと描かれていれば尚よかったですが、
そこは世話されることが当然な身障者だから、実際そんなものなのかも。
できれば息子はもっと幼い設定の方が、一方的な愛情を受け入れやすかったかも。
父親ももっと若い方が、体力的にもリアリティを感じられたかもしれません。
身障者とはいえ18歳の息子が老いた父に無理させるのは、ちょっと気の毒です。

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