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喰女 -クイメ-

武井壮の拒否を皮切りに一気にトーンダウンしたALSアイス・バケツ・チャレンジ。
この話題もホントに今更な気がするくらい一過性のものでしたね。
ある難病支援のため、指名を受けた人は氷水をかぶるか100ドルを寄付するか選び、
更に3人指名するというルールのチャリティ活動ですが、日本では、
チャレンジした芸能人が、偽善だの売名行為だのと叩かれ、一気に火が消えました。
ボクもチャレンジした芸能人の顔ぶれを見て、これは売名目的だな思ったけど、
(特にGALAXY(サムスン)とAKB渡辺麻友ね。)
「やらぬ善よりやる偽善」とも言うし、その是非は難しいところ。
でもネガティブなイメージのついた今、あえてチャレンジしようという人は、
売名行為の偽善ではなく、真の善だと思います。(炎上マーケティングは除く。)
例えば今日未明、お笑い芸人レイザーラモンRGがチャレンジしたことを発表しましたが、
キャラ的には売名っぽいけど、その理由を聞いてビックリしました。
なんと彼は昨年娘さんを難病で亡くしていたらしく、
「いろんな難病があることを多くの方に知ってもらえる機会になれば」と考えたそうです。
これはどんなにアイス・バケツ・チャレンジに否定的な人でも偽善だと叩けないでしょう。

ただ、チャレンジした人から寄付が集まるのはいいことだけど、
RGが願うように、もう一つの目的である難病の周知についての効果は微妙かも。
まだ盛り上がっていた頃、同僚がこの話題をしていたのですが、
同僚A「氷水のやつ面白いね。筋ジストロフィーのチャリティだっけ?」
同僚B「いや、たしか筋ナントカだけど…、忘れた(笑)」と話しているのを聞いて、
できれば正解を教えてあげたいと思ったんですが、ボクも全く覚えてなくて…。
結局氷水のイメージしか世間に浸透してないんだなと思いました。
今でも病名は思い出せないので、「ある難病」と書いているんですが…。

ということで、今日は氷水を被った俳優の主演作の感想です。
本作の舞台挨拶の折にチャレンジしたそうで、紛れもない売名(宣伝)利用ですが、
彼のように好感度の低い芸能人がするから、チャリティのイメージも悪くなるんです。
まぁ彼本人よりも、彼を指名したゆるキャラ「くまモン」が悪いのかもしれないけど…。
あ、そういえばRGの持ちネタに彼のモノマネがありましたね。

喰女 -クイメ-
喰女

2014年8月23日公開。
三池崇史監督、市川海老蔵主演のサスペンスホラー。

舞台「真四谷怪談」の看板女優である後藤美雪(柴咲コウ)の推薦により、彼女と付き合っている長谷川浩介(市川海老蔵)が相手役に選ばれる。二人はお岩と伊右衛門にふんすることになり、鈴木順(伊藤英明)と朝比奈莉緒(中西美帆)らの共演も決定する。こうして舞台の稽古がスタートするのだが……。(シネマトゥデイより)



前述のように、ボクは本作の主演俳優である市川海老蔵が嫌いです。
過去の暴力事件や隠し子問題など、彼の素行の悪さは有名ですよね。
それに加え、親朝鮮映画『利休にたずねよ』の主演で、ますます嫌いになりました。
そんなに嫌いなら本作を観に行かない方がいいのは承知していますが、
『青天の霹靂』の好演も記憶に新しい柴咲コウがヒロインということと、
ホラー映画が大好きなもので、その期待値が海老蔵ヘイトを若干上回り、
ついつい観に行ってしまいました…。
いざ観てみると、なかなか悪くなく、『利休~』のように観て後悔はしませんでした。

何でも本作自体、海老蔵の企画だったみたいですね。
やっぱり素行を問題視されて、芸能界からも総スカンされているので、
彼が映画に主演するには自分で立ち上げるしかない状況なのかも。
ヒロイン役の柴咲コウの出演経緯はわかりませんが、
親友の伊藤英明をブッキングするなど、周りも身内で固めているみたいで、
監督も『一命』で芸能界復帰させてくれた三池崇史を指名しています。
『一命』の時には「海老蔵なんて使うなよ」と思ったものですが、
武闘派な三池監督はあまり世間の評判は気にしないというか、
むしろ炎上マーケティングとしてあえて使っている気もします。
本作では海老蔵は三池監督の下に付き、助監督としても働いたそうで、
すっかり三池組になっちゃった感じです。

そんな完全海老蔵印の本作ですが、なぜ思ったほど不快感がなかったかといえば、
海老蔵がイメージ通りのクソ野郎役で出演していたからかもしれません。
もし善人の役であれば、きっとムカムカしたでしょう。
彼は何気に自分のパブリックイメージをちゃんと理解し、
そのお世辞にもいいとは言えないイメージを逆手に取って活用しており、
身の丈に合った、全く違和感のない役を好演(?)しています。
もちろんそれにより、彼自身のイメージは更に悪化することは避けられませんが、
自分を知っているということでは、天晴れな役者魂で、感心すらしちゃいます。
主演が嫌いな俳優だと思えばムカつきもしますが、
悪役が嫌いな俳優なことは全く問題なく、むしろ効果的です。
鶴屋南北の歌舞伎狂言『東海道四谷怪談』をモチーフに、
虚構と現実の境を超えた恐怖に陥る男の姿を描いた物語ですが、
海老蔵が本来の自分に近い演技をしているため、
ボクにとっては主人公は海老蔵本人にしか思えず、
本作という虚構と我々の現実の境すら超えた錯覚に陥ります。
いやー、芸能界広しと言えど、この役は海老蔵にしかできませんね。

俳優の長谷川浩介は舞台『真四谷怪談』で主人公の伊右衛門役に抜てきされ、
恋人で女優の後藤美雪と共演することになります。
恋人同士で共演するなんて、ちょっと異常なキャスティングに思えますが、
どうやら美雪が人気女優らしく、恋人の浩介をゴリ推ししたみたいですね。
浩介はコネで出演しているくせに、スタッフにもちょっと横柄な印象で、
勘違いしたいけ好かない奴という印象を持ちましたが、
それは浩介から海老蔵自身のイメージが透けて見えるからなのかも。
特に浩介は海老蔵同様、女癖が悪く、美雪のコネで出演したにも関わらず、
共演者の若手女優に手を付けています。
美雪はそのことに薄々勘付いているのは間違いなさそうですが、
別に浩介を問い詰めるわけでもなく、泣き寝入りしているのです。
恋人をゴリ推しした政治力で、その若手女優を降板させちゃえばいいのにね。
美雪は男なんて選り取り見取りだろうに、そんな浩介のどこがいいのか不思議ですが、
実際に海老蔵はモテるらしいし、何か女を惹きつけるものがあるのでしょうね。

本作は舞台の稽古期間中に起こった出来事を描いているので、
その演目『真四谷怪談』の稽古の様子が劇中劇として描かれます。
とにかくベラボウに凄い舞台装置で、こんな規模の舞台があるのかって感じですが、
美術の緻密さや、場面展開で大回転するところなど、
この舞台装置を見るだけでも価値があると思わされます。
またその舞台で稽古される劇中劇もとても面白いんですよね。
内容はよく知られた鶴屋南北の怪談『東海道四谷怪談』なのですが、
やはり長年やられている作品だけあって、何度見ても飽きません。
まぁ『東海道四谷怪談』自体いろいろなバリエーションがあり、展開が違うので、
今回はどんな趣向なのだろうと新鮮に楽しむこともできますし、
実際に今回のバージョンは、宅悦を利用して不義密通の成敗でお岩を斬る展開など、
ボクのよく知っているものとも違いましたが、面白い脚色だと思います。
この展開で提灯お岩が出てこなかったのが少し惜しいですが、
舞台装置の使い方もよく、特に有名な戸板返しの場面なんかは、
とても大掛かりで斬新なものでした。

はじめは虚構である劇中劇が面白すぎて、現実のシーンは退屈でしたが、
あるシーンを境に、現実の展開も面白くなり始めます。
浮気で帰って来ない浩介に痺れを切らした美雪が、ある凶行に走るのですが、
それがあまりに衝撃的で、引き込まれてしまいました。
美雪は浩介の子を妊娠していたのですが、その夜、大量の錠剤を飲み、
シャワールームで煮沸したフォークを自分の膣に刺し込み、セルフ中絶しようとします。
いやはやさすがは三池監督、目を覆いたくなるようなグロいシーンですが、
そんな彼女を演じているのが人気女優の柴咲コウですから更に衝撃的ですよね。
浩介が帰宅すると部屋全体が黒いビニールで養生されており、辺りが血の海でしたが、
当の美雪は下半身血塗れになりながら普通にベッドで寝ており、
心配して「病院へ行こう」と言う浩介の提案を拒否し、一緒に寝ようと言います。
こんなに出血していて、まだ生きているなんて考えられませんが、
心配していた浩介もさすがに怖くなって、彼女を突き放します。
すると美雪は「私が至らぬばかりに申し訳ないことでございます」と、
舞台で自分が演じているお岩の台詞を連呼しながら浩介に這いより、
恐ろしくなった彼は、美雪をぶん殴って絞殺するのです。
その後、浩介は美雪の死体を処分し、何食わぬ顔で稽古場に行きます。
まさに浩介は伊右衛門を思わせる鬼畜外道っぷりですが、
さすがにあの美雪の凶行は、お岩の怨念を遥かに超える怖さです。

美雪殺害後、お岩役の代役を立てて稽古を続ける浩介。
毒を盛られて顔面が醜悪になったお岩を斬り殺し、戸板に縛って始末し、
不倫相手の梅のところに行くクライマックスの稽古です。
浩介演じる伊右衛門は梅が胎児を喰うお岩に見える幻覚に襲われ、
彼女を斬り殺すのですが、直後、稽古場にスタッフや演者が誰もいないと気付き…。
そこにお岩の格好をした美雪の怨霊が現れ、毒に犯された顔を引き剥がし、
「この恨み晴らさでおくべきか!」と浩介に飛び掛かり、彼の首を喰い千切るのです。
なるほど、男を喰い千切る女だから「喰女」というタイトルなんですね。
完全に現実離れした展開ですが、それもそのはず、
この稽古は全て浩介が今際の際に見た幻覚だったのです。
現実の彼は浮気を済ませて帰宅する最中に、
工事現場で落ちてきた鉄板に首を斬られ、すでに死んでいました。
つまり彼が工事現場を通りかかった中盤のシーン以降は全て幻覚だったわけで、
いわゆる戸板返しならぬ、どんでん返しですね。

でも最後の稽古シーンが現実ではないことは、早々に気付いてしまいました。
お岩の顔が毒で膿み始めるシーンですが、あんなのは特殊メイクでは無理で、
これはどう考えてもただの舞台の稽古とは思えないなと。
(そもそも稽古で特殊メイクまで施す必要がないしね。)
梅にお岩の幻覚を見る演出も映像作品なら可能だけど、舞台劇では不可能です。
なのでこれは現実ではないと容易に推測できてしまいます。
ただボクは稽古に入るまでは現実だと思っていたので、
帰宅途中の工事現場のシーン以降が全て幻覚だったという展開は意外でした。
なので実際は美雪も浩介に絞殺されておらず、最後まで生きていたのですが、
帰宅シーン以降が幻覚ということは、それ以前は現実ということになるわけで、
美雪がセルフ中絶したところまでは現実だったことになりますよね。
やっぱり美雪がピンピンしているのは少し納得できません。

仮にセルフ中絶も浩介の後ろめたさによる空想だったとしても、
それより以前のお岩の子ども役の小道具の人形が涙を流したり、
美雪が鏡に頭突きしたら不倫相手の額が割れた怪奇現象の説明が付かず、
全て浩介の幻覚だったというオチには無理がある気がします。
別にホラー映画なので、そこまで整合性は求めませんが、
どんでん返しを使うなら、ある程度整合性がある方が効果的です。

正直お岩よりも小道具の人形の方が不気味だったし、
最後はあの人形が襲ってくる方が盛り上がったかもね。
というか、そもそもお岩や美雪は可愛そうな女性ですから、
彼女を怨霊として怖がるのは無理ですね。
前述のように悪役は伊右衛門と浩介の方なので、
彼がお岩に殺されるのは怖いというよりも痛快な展開です。
ただ、よくよく考えて見ると、人殺しの伊右衛門は殺されて当然な色悪だけど、
浩介は伊右衛門のイメージが重なって極悪人に思えるが、
実際は単なる浮気野郎で、殺されて当然なほど悪い奴でもなかったかも。
(浩介が美雪を殺した時点では、すでに死んだ彼の幻覚だったわけだし。)
美雪が妊娠していると知っても、伊右衛門のように毒を盛るわけでもなく、
令嬢の不倫相手と一緒になるのを拒否していることからも、
伊右衛門のように美雪を捨てるつもりはなかったように思います。
ラストシーンで美雪が浩介の頭を隠し持っていたことからも、
浩介が工事現場で見た美雪は本物であり、彼女が鉄板を落としたと考えられるが、
やっぱり本作の最も恐ろしい怪物は美雪だったのかもしれません。
本当に恐ろしいのは幽霊よりも女の執念。
そういう意味でも本作はホラー映画というよりも怪談映画です。

コメント

すみません!コメントさせてください!
映画をみて、女の立場からあらすじが本編のものと違うなーと、
わかったことを書かせてください。
大変申し訳ありません。
みゆきの妊娠検査薬は陰性で、何本も何本も検査しても陰性で妊娠してなかったのです。だけど、それでも信じられず、お腹の中に子供はいると取り出そうとするのです。そこが違ったのでコメントさせて頂きました。

  • 2015/10/03(土) 02:19:43 |
  • URL |
  • 無記名 #c6kAaq/E
  • [ 編集 ]

Re: タイトルなし

ご指摘ありがとうございます。
妊娠検査薬の見方を知らず、勘違いしてました。
それだとあの展開の印象が全く変わってきますね。

  • 2015/10/06(火) 22:31:25 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

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[邦画] 劇中劇が効果的「喰女−クイメ−」

題名喰女−クイメ− 原作山岸きくみ 監督三池崇史 出演柴咲コウ(後藤美雪、民谷岩役)、市川海老蔵(長谷川浩介、美雪の恋人/伊右衛門役)、伊藤英明(鈴木順、宅悦役)、中西美帆(朝比奈莉虬、美雪の後輩/伊藤梅役)、根岸季衣(堀内みすづ、乳母槙役)、勝野洋

  • 2014/09/15(月) 19:40:00 |
  • 窓の向こうに

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