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変態小説家

今週初めにハリウッド俳優ロビン・ウィリアムズが亡くなりましたが、
首吊り自殺だったみたいで、何とも複雑な気持ちです。
どうも鬱病の上にパーキンソン病だったらしいですね。
やはり亡くなり方にインパクトがあるためか、
普段有名俳優が亡くなってもその話題をしないような人でも、
今回の件のことを話したりしていました。

俳優が自殺で亡くなられてしまうと、彼の出演作に影が落ちるのは間違いなく、
「この撮影中も辛かったのだろうか?」なんて思えてしまい、楽しめなくなります。
年末には『ナイトミュージアム3』が公開予定で、期待していたのですが、
その楽しみな気持ちにも少し影が落ちた気がします。
『ミセス・ダウト』の続編の話もあり、実際に脚本の執筆も始まっていたそうで、
その中止を残念がる報道も多いけど、むしろ彼の病状で主演作が舞い込めば、
相当な心労を感じたと思うし、自殺に少なからず影響したような気もします。
彼の遺作は英国のコメディ映画『Absolutely Anything』になるのかな?
通常なら日本では公開されなさそうな作品ですが、
ウィリアムズの遺作ということをになれば公開されるかもしれませんね。
コメディ映画として楽しめるかどうかは微妙ですが…。

ということで、今日はロビン・ウィリアムズの遺作の主演でもある
サイモン・ペッグ主演のコメディ映画の感想です。

変態小説家
A Fantastic Fear of Everything

2014年8月6日リリース。
サイモン・ペッグ主演のホラーコメディ映画。

ジャック(サイモン・ペッグ)は、児童作家から犯罪小説家に転身し、執筆活動のため、ヴィクトリアの連続殺人鬼のリサーチに没頭する。ところが、これが原因でジャックは自分が何者かに命を狙われている、という誇大妄想に憑りつかれてしまうことに。ジャックが長年付き合ってきた代理人は彼を見捨て、何故か突然ハリウッドの大物がジャックの作品に興味を示し、彼の妄想はますますカオス状態へ。「俺の作品がそんなに面白いはずがない」 ジャックが好きな場所、コインランドリーで、ジャックが生んだ殺人鬼の妄想がいよいよ限界を超えてしまう。(公式サイトより)



本作はコルネット三部作や『宇宙人ポール』などでお馴染みの英国人コメディ俳優
サイモン・ペッグの主演作ということで、とても期待して観たのですが、
なんだか想像していたものとかなり違い、正直期待ハズレでした。
上記の、(販売元)松竹から引用させてもらったプロットを読むと、
とても愉快なコメディ映画のような印象を受けたのですが、いざ観ると全く違い、
なんだかイライラする内容で、何度途中で投げ出そうと思ったことか…。
退屈で退屈で仕方がなかったけど、唯一、どんな終わり方なのかが気になったため、
とりあえず最後まで鑑賞しましたが、やはり時間の無駄だったと思います。

なんとも形容しがたい面白くなさなので、何がダメだったのか説明しにくいですが、
簡単に言えば、カルト映画的で観る人を選ぶ作品だと思います。
残念ながらボクは選ばれず、ただただ主人公の言動にイライラさせられるだけで、
コメディ映画なのにほとんど笑えませんでした。
やっぱり、ペッグのコメディには相棒ニック・フロストが必要だと痛感します。
フロストじゃなくてもツッコミ役は必要で、一人芝居状態では少し辛いです。
ペッグって外見的にはコメディ俳優って感じじゃないし、演技に真剣みがありすぎて、
演じるキャラが面白い変人というよりも危ない人に見えちゃうんですよね。
ツッコミ役がいれば、彼の危ない言動も笑いに変えてくれますが、
ひとりだと本当に危ないだけの人で、心配になるが、全く笑えません。

いや、たとえひとりでも撮り方次第では面白くできる気もするのですが、
本作のタッチもサイコスリラー的で、全くポップさがなく、コメディ映画に見えません。
やっぱりペッグを面白く活かすには盟友エドガー・ライト監督が必要なのかも。
本作の監督は英国のロックバンド「クーラ・シェイカー」のボーカル、
クリスピアン・ミルズで、いわゆる異業種監督です。
なぜ人気ミュージシャンの彼がメガホンを取ろうと思ったのかわかりませんが、
処女作にこんなカルトコメディを選んだのはもっと謎です。
劇中でもジョーイ・テンペストの「ファイナル・カウントダウン」を使用したシーンや
主人公がラップするシーンなど、音楽ネタがありましたが、
その部分は微妙な本作の中でも幾分マシだったので、どうせミルズが撮るなら、
こんなサイココメディではなく、音楽コメディを撮った方がよかったと思います。
まぁ異業種監督はカルト映画を撮りがちなんですけどね。
以下、ネタバレ注意です。

主人公ジャックは、絵本「ハリネズミのハロルド」で知られる児童作家ですが、
急に犯罪小説家に路線変更し、ビクトリア朝時代の連続殺人鬼を題材にした
「死の時代」という小説を書き始めます。
取材にあたり、連続殺人犯について調べすぎた彼は、
自分も殺人犯に命を狙われているという誇大妄想に憑りつかれてしまうのです。
風でドアが勝手に開けば誰か部屋にいるんじゃないかと怯え、
スープにヒ素が入っているのではないかなど、何でも疑わしく思うようになり、
3週間もカービングナイフを手から離しません。
ボクもはじめは何でもビビるジャックのことを滑稽だと思いましたが、
あまりに真に迫る演技なので、「コイツ大丈夫か」と心配になってきます。
そしてどんな些細なことでもイチイチ怯えて喚き散らし、
終始イライラしている彼を見ていると、コッチまでイライラするようになり、
心配を通り越してウザく思えてくるのです。

殺人犯に命を狙われているのはジャックの妄想なのは間違いないが、
彼の住む街には実際に連続殺人鬼がいるんですよね。
被害者の指を切断する「ハノイ・ハンドシェイク」というシリアルキラーですが、
本当に連続殺人鬼がいるのなら、ジャックの過度な怯えも妄想とは言い切れず、
誇大妄想に憑りつかれた男の物語という本作の主題が揺らいでしまっています。

ある日、代理人から「死の時代」に興味を持った脚本エージェントがいると連絡を受け、
夜8時に会いに行くように言われます。
ところがジャックは洗濯もしていない汚い服しか持っておらず…。
代理人は「コインランドリーで洗濯すればいい」と言うのですが、
彼は「プライベートなものを人前で洗うなんて冗談じゃない」と嫌がるのです。
自意識過剰にも程がありますが、何でも彼は大学自体に、
寮のコインランドリーで下着を洗濯した時に、機械が故障し洗濯物を詰まらせてしまい、
自分の下着を皆に見られたことがトラウマになったそうで…。
でもそれ以前からコインランドリーは嫌いで、その大学での洗濯も、
6か月分の下着をまとめて洗おうとしたみたいで、そりゃ故障じゃなくても詰まりそうです。
てか6か月も下着を放置しているなんて不潔すぎてドン引き…。
そんな汚い下着では皆に見られるのを嫌がるのも当然です。

そもそも、6か月も洗濯しないほどコインランドリーが嫌いなのにも理由があり、
彼は幼い時に母親からコインランドリーに置き去りにされ、孤児になったからです。
そんなトラウマがあるならコインランドリー恐怖症になっても仕方がないと思うけど、
コインランドリーに行くことよりも、下着を見られることに強い抵抗を示しており、
幼少期の悲惨なトラウマよりも、大学でのくだらないトラウマの方が影響しているようで、
やはり彼の心境は全く理解できません。
そもそも、そんなにコインランドリーが嫌いなら、家で洗濯すりゃいいだろと思うが、
彼の家には洗濯機も乾燥機もないんですよね。
洗濯の仕方も知らず、脚本エージェントに会うために洗濯を余儀なくされた彼は、
台所で洗濯物を洗ったのはいいが、オーブンで乾燥させようとして、
案の定、洗濯物が焼け焦げてしまうのです。
もう妄想に憑りつかれたサイコ野郎という以前に、知的障害を疑ってしまいます。

そもそも、ジャックがコインランドリーに行きたくない理由が、
「人前で下着を洗いたくないから」というのが納得できません。
彼の場合は「外出したら殺人鬼に襲われそうだから」と考えるはずだからです。
子どもたちの聖歌隊が家に来た時も、子どもだとわかっているのに、
殺人鬼を恐れてドアを一切開けなかったくらいの男ですから、
人前で洗濯は嫌なのに、外出するのはなぜ平気なのかと…。
そもそも、ジャックは脚本エージェントのことを殺人鬼だと思っています。
脚本エージェントの名前がハービー・ハンフリーズという名前で、
「ハービー」が19世紀の殺人鬼、クリッペン博士のミドルネームと同じだから、
クリッペン博士の孫に違いないと確信しているのです。
とんだ誇大妄想ですが、それを信じ込んでいるからには、
彼がその脚本エージェントに会おうとするのは辻褄が合わず、
会うために洗濯もので悩むなんて展開はあり得ないにもほどがあるからです。
殺人鬼に会おうとする男が、なぜ身嗜みに執着するのか…。

オーブンでの乾燥に失敗し、意を決してコインランドリーに行くジャックですが、
オーブンで顔半分に大きな火傷を負い、しかもナイフを手放すことも出来ず、
傍目には彼自身が殺人鬼に見える風体です。
3週間手放せなかったナイフですが、実は接着剤で手にくっ付いており、
放そうにも放せない状態だったのです。
ナイフを持った手をポケットに隠しながら、コインランドリーで洗濯します。
彼は全自動のコインランドリーすらまともに使用できないみたいで…。
もう今までよく生活できたなと思うほどの社会不適合っぷりです。
そこに美女がやってきて、あろうことか彼の落としたパンツを拾うのです。
(よくそんな黄ばんだ汚いパンツに触れられるものだと思いました。)
ジャックは激しく動揺し、思わずナイフを持った手を出してしまいます。
当然、殺人鬼に間違われコインランドリーは大パニック、警察が出動する事態に。
彼は警官からナイフも剥がしてもらい、火傷の応急処置もしてもらいます。

洗濯ものを取りにコインランドリーに戻った彼ですが、何者かに襲われ、
コインランドリーの地下の倉庫に監禁されるのです。
襲ったのは巷で話題の殺人鬼「ハノイ・シェイクハンド」。
あらあら、誇大妄想だったはずが、本当に殺人鬼に襲われちゃいましたね。
パンツを拾ってくれた美女サンギートも一緒に監禁されており、
目の前に置かれた洗濯機の洗濯が終了したら2人は殺されることに…。
ジャックは殺人鬼に「最後に話を聞いてくれ」と頼み、
即興の物語「ハリネズミのブライアン」を語るのです。

「ハリネズミのブライアン」はジャックの代表作「ハリネズミのハロルド」の兄で、
ブライアンは暗い怖い森に一匹で住んでいたため、気が狂い凶暴になります。
そこへ弟ハロルドが訪れるのですが、彼は弟を追い払おうと追い回します。
しかしその途中でハイウェイに出て、車に轢かれたハリネズミの死体を発見。
危うく彼も轢き殺されそうになりますが、間一髪、弟に助けられるのです。
2匹はその道路の脇で轢かれたハリネズミの子と思われる赤ちゃんを見つけ、
優しいハリネズミに戻ったブライアンは、赤ちゃんを育てることに、…という物語です。
この短い劇中劇は、なかなか味のあるストップモーションアニメで描かれ、
とてもよく出来ており、正直、本作の中で最も楽しめたシーンでした。
むしろ本作なんかより「ハリネズミのハロルド」を映画化してほしいと思ったくらいで、
これを見れただけでも、我慢して鑑賞したことが少しは報われた気持ちです。
あのジャックがこんなちゃんとした物語も作れるなんて意外です。

もちろんブライアンは殺人鬼のメタファーで、彼は感動し、2人を殺すのを止めます。
というか、もともとこの殺人鬼は殺人なんてしたことがなく、
事故死した死体を見付けては、指を切断して遊んでいた死体損壊犯でした。
まぁそれでも十分サイコ野郎には違いないけど、端から2人を殺す気がないなら、
なぜわざわざ2人を監禁したのか意味がわかりません。
ホントに何ひとつとして支離滅裂で筋が通らない、無茶苦茶な脚本です。
犯人が油断したところで、2人は助けを呼びます。
そして数カ月後、ジャックは絵本「ハリネズミのハロルドとブライアン」を出版。
ザンギートともいい仲になって、めでたしめでたし、です。
しかしザンギートはよくジャックなんかと付き合えるなと…。
吊り橋理論なんてよく言うけど、こんな不潔な男は普通無理ですよ。
まぁ彼女は彼の汚いパンツも触っていたので、不潔さは平気なのかもしれませんが。

あまり一般ウケする作品ではないのでオススメできませんが、心配せずとも、
『変態小説家』なんて邦題のビデオを好き好んで鑑賞する一般人はそんなにいないか。

コメント

うーん

本作を鑑賞しました。確かに、コメディと掲げるには実はシリアスな内容でした。
個人的には、コメディ性を混ぜて見易くしながら、過去のトラウマに縛られて怯えたり狂暴になる自分を解き放って、本当の自分を見つけようって内容に思います。
とても見易く、実は心理学性の強いとても面白い映画でした。

  • 2014/12/04(木) 01:26:26 |
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Re: うーん

なるほど、多くの人に観てもらえるように、
コメディ風味に味付けして見易くしたということですね。
でもボクとしては最初からサイコスリラーと告知されて見た方が、
楽しめる内容だったような気がします。
まぁサイモン・ペッグ主演のコメディ映画だから見ようと思ったので、
コメディ映画じゃないと知っていれば見ることもなかったでしょうけど。

  • 2014/12/04(木) 18:32:44 |
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