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サバンナ・アドベンチャー

ボクはアニメ映画が好きなので、なるべく沢山観たいのですが、
日本のアニメ映画はテレビアニメの劇場版が多すぎて、
テレビアニメをあまり知らないボクには敷居が高いです。
なので最近はテレビアニメもなるべく見ておこうかと思っていますが、
毎クール何十本もスタートするテレビアニメを網羅するのは不可能で、
時間的にも週3~4本が限界です。
その4本を選ぶ基準ですが、やはり劇場版になりそうかどうかが最重要です。
でも当然だけど、そんなことなかなか見極められるものじゃありません。
なので先に劇場版化を告知しておいてくれると有難いです。

今クールには、劇場版化が決まっているテレビアニメが一本あります。
フジテレビの『PSYCHO-PASS』で、ボクもちゃんと見ています。
今クールは2012年に放送された第一期の編集版が放送されており、
(もちろん一期放送当時は劇場版は決まってないので見ていません。)
10月からの来クールに第二期の放送が始まり、今冬に劇場版が公開されます。
ところが先週放送分の『PSYCHO-PASS 新編集版』を見ていたら、
「あれ?前回と話が繋がらないぞ?」と…。
一話分の録画に失敗したのかと思いましたが、どうもそうではないらしく、
局の都合で一話分(第4話の)放送を中止していたみたいです。
女子高生が女子高生を殺す猟奇事件を描いた内容だったみたいですが、
佐世保の女子高生殺害事件を受けて、時節に相応しくないと判断されたようで…。
ようやく世界観も掴めてきて、面白く感じ始めたところだったのに、とんだ冷や水です。
(ちょっと『ダイバージェント』っぽい設定の作品ですね。)

楽しみにしてたのに跳ばされたのが残念なのはもちろんだけど、
この対応はちょっと過剰すぎる気がします。
東日本大震災で映画『ヒア アフター』が上映中止になったりしたのは
被災者感情を考えれば仕方がないけど、殺人事件は被害者が限定的だし、
全国一律で放送中止する必要はないように思うのですが…。
逆に放送中止することでその番組のせいで事件が起きたような印象を与えるし、
倉敷の少女監禁事件でもアニメがネガキャンされる報道があったばかりだし、
アニメファンとしては肩身が狭くなってきました。

ということで、今日は劇場公開されなかったアニメ映画の感想です。

サバンナ・アドベンチャー
Khumba.jpg

2014年8月2日リリース。
南アフリカのCGIアニメーション映画。

南アフリカのグレート・カルー。そこに住むシマウマたちの群れに、新たな命が生まれた。その子の名はクンバ。しかし、クンバは生まれつき身体のシマが足りず、群れから仲間外れにされてしまう。そんな中、グレート・カルーを大干ばつが襲う。シマウマたちは住処を出て水を探そうとせず、干ばつの原因をクンバのせいにしてしまう。落ち込むクンバだったが、真っ白なシマウマにシマを与えたと言われる“魔法の泉”の伝説を耳にする。仲間たちと同じシマと豊かな水を求めて、クンバは泉を目指し旅に出るが…。(公式サイトより)



本作は南アフリカ共和国のピクサーとも称されるトリガーフィッシュの長編第二弾です。
先月、第一弾『バード・ストーリー』が日本でリリースされ、
非ハリウッドのCGIアニメ映画以外ではなかなかいい出来だと感心しましたが、
早くも第二弾が日本リリースされると知り、とても期待していました。
『バード・ストーリー』に続き、アフリカ映画アカデミー賞の最優秀アニメ映画賞を
二年連続で受賞しているし、きっといい出来だろうと思いました。

しかし『バード・ストーリー』は世界的にそれなりにヒットしましたが、
本作はあまりヒットしているとは言えず、どうも赤字っぽいです。
ローレンス・フィッシュバーンやリーアム・ニーソンを声優起用し、
国際市場にもアピールしていますが、いまいち効果はなかったようで…。
アフリカを舞台にした動物たちの冒険映画ですが、
ドリームワークスの『マダガスカル2』など似たような作品が多すぎるため、
埋没してしまい、あまり注目されなかったのかもしれませんね。
(シマウマが主人公なのも、『マダガスカル』と被ってるかも…。)
日本では劇場公開もされず、ビデオリリースのみとなりましたが、
やはり先達て、アフリカを舞台にした動物たちの冒険CGIアニメ映画
『アドベンチャー・イン・アフリカ』(ドイツ映画)がビデオリリースされたばかりで、
(邦題も似ているし)ちょっと紛らわしいなと思いました。
青い鳥を主人公にした前作『バード・ストーリー』も、
ブルースカイの『ブルー 初めての空へ』と印象が被るし、
トリガーフィッシュの課題はオリジナリティかもしれません。
まぁアフリカの最大の売りはサバンナに住む動物たちだから、
アフリカ映画がそれを活かそうと考えるのは当然だと思うけど…。

鑑賞前の印象としてオリジナリティを感じないのは間違いないですが、
いざ観てみたら、これはこれでなかなか面白い作品だったと思います。
やはり本物のアフリカ映画だけあって、登場する動物にもアフリカらしさがあります。
他国の動物ものアニメはライオンとかキリンとか有名どころばかりだけど、
本作の登場動物はアフリカ人にとって馴染みの深いものが選ばれている気がします。
その分、我々日本人など外国人にはわかり難かったりもするんだけど、
本当に動物が好きな人には興味深い作品かもしれません。
あと、やはり現地の人が作ってるだけあって、サバンナの情景もリアルな気がします。
ボクなんかはサバンナといえば、広大な大自然の熱帯草原を思い浮かべますが、
本作のサバンナはかなり人間の手が入っており、
舗装道路や建設現場など、人工物もアチコチにあります。
これが本当のサバンナの情景なのだろうなと、興味深く思いました。
人間の存在は感じるのに、人間自身は一切姿を見せない構成も面白かったです。
以下、ネタバレ注意です。

南アのカルー盆地に棲むシマウマの群れで、半分しか縞のない子が生まれます。
クンバと名付けられたその子は、「半縞は不吉、日照りのお告げだ」と仲間ハズレに。
しかし、実際に日照りが続き、群れの大切な水飲み場も干上がりはじめ…。
そんな折、オリックスの老婆が水を分けてほしいとやってきて、優しいクンバは
彼女を群れの水飲み場に案内しますが、凶暴なヒョウのパンゴに後を尾けられ、
群れを危険に晒してしまい、ますます群れから疫病神扱いされるのです。
優しい母ルギンザは、半縞で悩む息子クンバを慰めようと、ある物語を話します。
最古のシマウマには縞はなかったが、一頭の勇敢なシマウマが
カルーの果てにある魔法の泉に浸かり、水から上がると縞模様が出来ていて、
それを羨ましがった他のシマウマたちも全員泉に浸かったため、
その子孫である今のシマウマには縞があるのだ、という物語です。
それを聞いたクンバは、半縞を治すため、魔法の泉に行きたいと考えます。
ただ母ルギンザの真意はそうではなく、全員が同じになってしまった没個性を嘆き、
半縞は個性的で素敵なことだと伝えたかったみたいですね。
でも彼女が語ったこの物語では、あたかも縞は勇敢な象徴であるかのように聞こえ、
クンバのように勘違いしてしまうのは仕方がないかもしれません。

クンバは半縞ですが、母ルギンザの話した物語から考えても、
これはどうやらアルビノ的な突然変異のイメージではなく、おそらく先祖返りです。
有名な話ですが、かつてサバンナにはクアッガという半縞のシマウマがいましたが、
百余年前に乱獲により絶滅してしまいました。
クンバはそんなクアッガに思いを馳せて作られたキャラだと思われます。
クアッガに近いシマウマ同士を交配させて、クアッガを復活させるプロジェクトがあり、
現に本作はそのプロジェクトの創設者に対して捧げられていますが、
クンバは復活したクアッガなのかもしれませんね。

病弱な母ルギンザは、真意を伝えることもできぬまま、日照りで衰弱死してしまい、
クンバはカマキリが書いた魔法の泉の地図を頼りに、群れから離れ旅立ちます。
それにしてもこのカマキリは謎すぎます。
なんでもカマキリは長老で、カルー盆地に詳しいらしいのですが、
通常一年も生きられないカマキリが博識の長老ってのも意味がわからないです。
何か悟った達人って感じだし、『カンフーパンダ』のカマキリのイメージなのかも?
クンバは群れを離れて早々、リカオンのスコークに出会い、口八丁に騙されて、
リカオンの群れの中に誘い込まれるが、ヌーのママVとダチョウのブラッディに救われ、
彼女らが魔法の泉まで同行してくれることになります。
その頃、クンバがいなくなったと気付いた父セコは、足跡を頼りに後を追うのですが、
足跡が途切れ、代わりに例の凶暴なヒョウであるパンゴの足跡を見付け、
息子は手遅れだと考え、群れに引き返すのです。
いやいや、父親なのに息子の安否を諦めるの早すぎだろと思いましたが、
草食動物の死生観なんて案外そんなものかもしれませんね。
家族が肉食獣に襲われていちいち悲しんだら、サバンナでシマウマなんてできません。

パンゴもある事情からクンバの後を追っています。
彼は「伝説の半縞」のシマウマを食べると、最強のヒョウになれると信じているのです。
パンゴは幼い頃、右目が盲目だったことで群れから仲間はずれにされますが、
その代わりに鼻が利き、最強のハンターになって仲間に復讐を果たします。
しかしまだ殺し足りず、更なる力を求めていたのです。
半盲のために仲間はずれにされたパンゴの境遇は、クンバに似てますよね。
本作の敵キャラではあるのですが、ちょっと同情してしまいます。
本作はそんなマイノリティがテーマなのかもしれません。

泉を目指すクンバら一行の行く手を人工のフェンスが遮ります。
しかしたまたま通りかかったスプリングボックの群れがフェンスを突き破ったので、
先に進むことが出来るようになりました。
このスプリングボックの群れも没個性の象徴のように描かれ、
見た目が全く同じな彼らは、仲間を区別することができないようです。
フェンス内には美しい泉があり、一行はそこが魔法の泉だと考えますが、
実はそれも人工の泉で、フェンスの内部は動物保護区…、というか動物園です。
ミーアキャットやブッシュバック、センザンコウなど珍しい動物が放し飼いされており、
観光客相手に愛想を振りまいて安全に暮らしています。
その中に自分は絶滅危惧種だと猛アピールするウサギがいるのですが、
ブッシュマンウサギという珍しい種の保護動物だそうです。
いわば彼もマイノリティで、後に自由を求めて魔法の泉に旅立ちます。

半縞のクンバを発見したパークレンジャーは、捕獲しようと麻酔銃で追い回します。
「人間出てくるじゃないか」と思われたかもしれませんが、レンジャーは車から降りず、
車窓から麻酔銃を突き出すだけなので、人間自身の姿は見えない演出になっています。
一度は捕まるもウサギによって救われたクンバ。
ウサギは本当の魔法の泉に行きたいなら、クロワシを探せと教えてくれ、
クンバ一行はクロワシの棲む岩山へと向かうのですが、
彼らの行く手にクロワシを畏怖するハイラックスの集団が塞ぎます。
ハイラックスたちはクロワシを「破滅の翼」と呼び、決して「クロワシ」とは呼びませんが、
『ハリポタ』の「例のあの人」のように名前を呼ぶのも恐ろしいと思っている、
…と思いきや、彼らが「クロワシ」と呼ばないのは当然でした。
なんと岩山のクロワシはアルビノで白かったのです。
この白いクロワシもマイノリティですが、クロワシのくせに白く生まれたことで、
仲間はずれにされたりと、いろいろ苦労もあったみたいです。
白いクロワシは「魔法の泉はナオ山にある」と教えてくれるのですが、
実は泉はナオ山に棲む凶暴なヒョウ、パンゴの洞窟の中にあったのです。

クンバ一行はナオ山に向かう途中、捨てられた牧場で休もうとしますが、
そこに一匹で棲みついているヒツジの婆さんノラに襲われます。
かなり偏屈な婆さんで、ヒツジなんて珍しくもないけど、
誰も近づきたがらない変人という意味ではマイノリティかもしれません。
ヒツジの婆さんから「ナオ山にはパンゴがいる」聞いたママVとブラッドリーは、
そんなところには行きたくないと言い、クンバはひとりで山に向かうことに…。
その途中の塩原で道に迷いますが、例のオリックスの婆さんから声を掛けられ、
ナオ山まで案内してもらうのです。
水が飲めずに死にかけていたオリックスの婆さんが、なぜよりによって塩原に…。
ここまでかなり長い旅だった印象のわりには、実はあまり距離はなかったのかも…。
後から仲間のシマウマやリカオンのスコーク、スプリングボックの群れに、
動物保護区の動物たち、ハイラックスたちやヒツジのノラ婆さんまで、
ナオ山にやってくるのですが、半日とかからず到着した印象だし…。
まぁそもそもナオ山がパンゴの棲家なんだから、その活動範囲を考えれば、
それほど広い範囲での出来事じゃなくても当然なのかな。

パンゴの洞窟に侵入し、魔法の泉を見付けたクンバですが、
彼を追って戻ってきたパンゴに襲われ、揉み合いながら泉に落ちます。
本物の魔法の泉のはずですが、意外というか当然というか、
クンバに縞は現れず、やっぱりただの泉だったみたいです。
でも洞窟の壁画には縞を手に入れたシマウマの絵が描いてあり、
その昔は本当に魔法の泉だったということなのかな?
そもそもシマウマがシマウマの壁画なんて描けるはずないので、
人間の描いたシマウマの絵を見て、カマキリが伝説の泉と勘違いしただけなのかも?
逃げるクンバを追いかけるパンゴですが、崩落に巻き込まれ崖から転落死します。
クンバも転落しますが、川に落ち一命を取りとめます。
その様子を見ていた仲間のシマウマや野生動物は、パンゴを倒したクンバに大喝采。
念願の雨も降り始め、日照りも解消したことで、半縞をバカにする者もいなくなり、
みんなで豊かなナオ山で平和に棲みはじめて、めでたしめでたしです。

マイノリティを認めないシマウマだけの排他的コミニティから、
多種多様な野生動物たちと一緒に暮らすことになり、個性を認め合える環境に変わり、
クンバも半縞を気にする必要がなくなったわけで、ハッピーエンドではありますが、
なにかもうひと押しほしいなと思いました。
死んだ母ルンギサの物語の真意は、息子に個性を誇ってほしかったのだと思うけど、
結局クンバは、個性である半縞を気にしなくなっただけで、
ただのシマウマになってしまったような気がします。
クアッガとは言わないが、何か特別なシマウマになってほしかったです。

さて、トリガーフィッシュの次回作ですが、
『バード・ストーリー』で空、本作で陸を舞台に描きましたが、次は海の物語になるそうな。
ただ公開は2016年になるのだそうで、かなり先の話ですね。
というか、ちゃんと日本でもリリースされるなんて保証は全くないので、
下手に期待しない方がいいかもしれません。

コメント

参考までに

劇場版化で見るアニメを選ぶなら制作会社で選ぶのが良いよ。IG、京アニ、ポンズ、A1P、シャフトあたりは劇場版に積極的。何を4本選びましたか?

  • 2014/08/19(火) 14:20:06 |
  • URL |
  • UG #-
  • [ 編集 ]

Re: 参考までに

なるほど。人気だけでは劇場版にならないんですね。
制作会社まで意識してテレビアニメを選んでませんでした。
今期、見ている深夜アニメは『PSYCHO-PASS 新編集版』と、
『アカメが斬る!』『東京喰種』『ばらかもん』の4本です。
あと『ジョジョの奇妙な冒険』も継続して見ています。

  • 2014/08/19(火) 20:26:00 |
  • URL |
  • BLRPN #-
  • [ 編集 ]

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