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エイトレンジャー2

少し前の話ですが、今月15日に放送された『ロンドンハーツSP』を見ました。
『ロンハー』は企画次第で月一回ほど見ているのですが、
この回はとても興味深い企画だったんですよね。
芸人・狩野英孝に監督・脚本・主演の短編映画を撮らせるというドッキリでしたが、
ドッキリの偽映画とはいえ、スタッフやキャストは本物だし、
映画製作の裏側に迫る内容には映画ファンとして興味深いものがありました。
しかも出来上がった映画がなかなかちゃんとした内容で驚きました。
仕掛け人も「監督が素人でもスタッフがプロなら大丈夫なんだね」と感心していたが、
ボクは逆に、このスタッフでも監督次第ではマシなものが撮れるんだなと思いましたね。

というのもこのプロのスタッフですが、いわゆる堤組です。
番組内でも誇らしげに代表作を『SPEC』『TRICK』と言ってましたが、
昨年の『SPEC ~結~』二部作、今年初めの『TRICK ラストステージ』ともに、
堤幸彦監督と堤組による映画でしたが、悲惨なほどの駄作でした。
それに比べれば狩野英孝の撮った『LIQUID』の方が何百倍もマシな出来です。
たしかに『LIQUID』には急なカメラ目線など妙な演出が散見されますが、
それは仕掛け人に誘導されてそうなってしまっただけ。
その妙な演出も、シリアスシーンに寒いギャグをブッ込む堤演出に比べたらまだマシ。
『LIQUID』は短編ながらもどんでん返しまであって、ラストも無難にまとまってるのに、
『SPEC ~結~』なんて長編二本分も時間を費やしているにもかかわらず、
展開が迷走した挙句、ラストは荒唐無稽で無茶苦茶でしたからね。
堤幸彦よりも狩野英孝の方が才能があるのは間違いなさそうです。

ということで、今日は堤幸彦監督と堤組による最新作の感想です。

エイトレンジャー2
エイトレンジャー2

2014年7月26日公開。
「関ジャニ∞」のコントを映画化した『エイトレンジャー』の続編。

街を支配していた悪の組織「ダーククルセイド」が壊滅してから5年、エイトレンジャーの活躍によって一見平和になったかのように見える八萬市(エイトシティ)だが、一方で年間数百に及ぶ人が行方不明になる不可解な事件が発生していた。週刊誌記者・西郷純(前田敦子)は、事件の核心に迫るべくエイトレンジャーの周辺を調査するが……。(シネマトゥデイより)



先週末は今年最大の期待作だった『GODZILLA ゴジラ』が公開されたので、
それ以外なにも見えてませんでしたが、それを観終わってみると、
先週末は他に何も観たい作品が公開されてないことに気付きました。
でも映画中毒のボクは、週に2本は映画を観ないと禁断症状に陥るので、
もう1本、なにか観ようと思って選んだのが本作です。
『幕末高校生』も最終候補でどっちにするか迷ったのですが、
前作『エイトレンジャー』も観ていたのが決め手になりました。

ただ、前作を観ておきながら今作は観る予定がなかったということなので、
お察しの通り、ボクは前作をあまり面白かったとは思っていません。
しかも監督は、『SPEC』『TRICK』の両完結編で実力を疑問視している堤幸彦。
『SPEC』の感想では「堤作品は極力避けるようにしたい」と書き、
『TRICK』の感想でも「堤監督にはコリゴリ」と書いた手前、
また観に行くなんて全然コリてない思われても仕方がない愚かしい行為です。
これでもし本作が駄作でも、自業自得だと覚悟しましたが、
一筋の光明は、予告編はなかなか面白そうだったことです。
この予告編の感じで、本編も出来ているなら、これは期待できそうです。
余談ですが、予告編はいい出来なのに、劇場マナーCMは酷い出来で、
よくもあんなやる気のなさそうな演技でOKが出たものです。

で、いざ鑑賞したのですが、前作よりも格段に良い出来になってました。
前作は近未来を舞台に、格差や貧困などを描いたディストピアな世界観で、
コントが原作とは思えないほどヘビーでダークな内容になっており、
主演の関ジャニ∞の面白さを全く引き出せてないように思えましたが、
本作では続編なので時代的には近未来ではあるものの、
硫酸の海も普通の海に戻ったし、普通にセブンイレブンなんかもあり、
世界観は現在に近いものになっています。
内容も娯楽的になり、明るく楽しい作品になりました。

「堤監督もやればできるじゃん」と見直したいところですが、
たぶんこれは監督の意向で変更されたわけではないでしょう。
『SPEC ~結~』なんかを観るかぎりでは、堤監督のやりたい方向性は、
ダークSFでディストピアな前作の方が近かったと思いますが、
本作ではそれができなかったのだろうと思われます。
前作は関ジャニ∞ファンしか楽しめない作品と評されてましたが、
関ジャニ∞が出演していればそれだけで満足というファンもいるでしょうが、
正直好意的なファンの間でも「これじゃない」という人は多かったでしょう。
別にファンではないボクですら、関ジャニ∞の魅力が殺されてると思いましたからね。
それもあって、本作はポピュラリティ(大衆性)のある作品にしろと、
監督に周りから圧力が掛かったんだと思われます。

前作の時点では、まだ関ジャニ∞も今ほどの人気グループではなかったので、
まだ大御所である堤監督の方に主導権があったと思われ、
堤監督も自分の意向を通しやすい状況だったと思うけど、
今となっては関ジャニ∞はジャニーズでも嵐に次ぐ人気グループです。
もはや堤監督風情が好き勝手できる素材ではなくなってしまいました。
堤監督自身も『SPEC』などの大失敗で評価を下げてますから余計です。
(製作総指揮の)事務所幹部にでも、関ジャニ∞の魅力を活かせる、
もっとポップでポピュラリティのある内容にしてくれと指示されたのではないかな?
堤監督はポピュラリティを要求されると面白いものを作れるタイプです。
彼はポピュラリティが重視されるテレビドラマでは面白いものが作れるのに、
それが劇場版になり、独自性を出すと途端にダメになるのもそのためでしょう。
本作では自分のやりたいことよりも、関ジャニ∞を活かす選択をしたので、
随分ポピュラリティのある作品に仕上がっており、ファンも更に楽しめそうですが、
ファン以外も前作よりも楽しめる作品に仕上がっていると思います。

もうひとつ、関ジャニ∞自体の状況が変わったことでよくなっているのは、
グループ内格差が小さくなり、劇中での主演7人の比重が均等になったことです。
ボクは前作の頃はまだほとんど関ジャニ∞を知らない状況で、
メンバーも世間の認知度が高かった横山裕、村上信五、錦戸亮しか知らなかったし、
実際劇中で活躍するのも認知度が高いメンバーが中心でした。
というか前作での丸山隆平、大倉忠義、安田章大は酷い扱いだったと思います。
でも前作以後、メンバー全員参加のゴールデン番組が始まったり、
丸山は『円卓』、大倉は『100回泣くこと』、安田は『ばしゃ馬さんとビッグマウス』など、
映画の単独出演も多くなり、各メンバーのメディア露出も増えて、
認知度の差がほとんどなくなってように思います。
それを反映してか、本作での扱いもかなり均一化された感じがします。
まぁ丸山たちの比重が増えたというよりも、横山たちの比重が軽くなり、
分散することで均一化しているという印象ですけどね。
(前作ではほとんど横山演じるブラックの単独主演状態でしたから。)

でも均一化されたというのはちょっと違っていて、
本当は本作では渋谷すばるの比重がダントツで高いです。
なにしろ渋谷演じるレッドVS他の6人、みたいな構図で物語が展開しますからね。
これはたぶん、渋谷をフックアップしようという意向が働いているのだろうと思います。
ファンではないボクの印象でも、渋谷の認知度は他のメンバーより出遅れています。
彼はなぜか前作以後、映画の出演経験もなく、まだメディア露出が少ないです。
(村上も映画は出てないが、バラエティ番組などメディア露出は多い。)
事務所の戦略か本人の意向かは知らないが、今まで俳優業に注力せず、
それが一般認知度の差になっているのだろうと思うのですが、
来年には単独主演映画『味園ユニバース』が公開されるらしく、
本格的に俳優業を始めることになったとのだろうと思われます。
その第一歩として、本作で俳優・渋谷すばるをアピールする狙いがあるのでしょう。
今まで俳優業を避けていたのが不思議なくらい、味のあるいい演技でした。

前作では堤監督の意向で取り返しがつかないほど悲惨なキャラ設定を盛られていた
安田、丸山、大倉の3人ですが、そのキャラ設定を引き継ぎながらも、
ちゃんと克服されているのは感心しました。
青色がとにかく好きという安田演じるブルーの設定は、
なぜ彼が青色が好きなのかという理由が掘り下げられており、納得できたし、
横山やすし口調で喋る丸山演じるオレンジの寒すぎる設定も、
実はいろいろなモノマネが出来るという設定になり、面白く仕上がってます。
前作で一番不憫だと思った鹿児島弁で話す大倉演じるグリーンの無意味な設定も、
同郷のヒロインを配することで、活かされるようになりました。

そのヒロイン役がちょっと意外で、なんと元AKBの前田敦子なんですよね。
なんだかジャニーズファンからもAKBファンからも反発を招きそうなキャスティング。
まぁ最近は蜜月関係じゃないかと思うほど、映画でもテレビドラマでも
ジャニーズとAKBグループの共演は多いが、いい結果には繋がってない所を見ると、
やはり双方のファンはあまりよく思ってないんだろうなと思います。
ボクはどちらのファンでもありませんが、AKBグループが絡む映画は、
駄作率が格段に上がるので、あまり歓迎できません。
ただ前田敦子に関しては、昔は本当に演技が下手だったけど、
どんどん成長していて、新旧AKBの中では最もマシな女優だと思います。
だけど本作の彼女は、ちょっと可愛そうなことになっています。

前田敦子演じるヒロインの西郷純ですが、
またしても堤監督の思い付きで、悲惨なキャラ設定を背負わされています。
言葉遣いが汚いという、展開上全く無意味な演出です。
週刊誌の記者で、エイトレンジャーを取材するために、
ヒーロー協会の秘書代理になるという設定なのですが、
そんな言葉遣いでは記者にも秘書にもなれるはずないと思うほどの
極端でリアリティ皆無のセリフばかりです。
そんなセリフでは、せっかく培ってきた演技力も活かせるはずもなく、
大根時代に逆戻りしてしまった印象まで受けます。
堤監督は『SPEC』でも元AKBの大島優子に酷いキャラ設定(吃逆)を与え、
まともにセリフを話させないようにして、大不評を買いましたが、
たぶん彼は「AKBが演技できるはずないから、なんとか誤魔化そう」と考え、
あえてリアリティのないセリフ回しを演出しちゃうのでしょうね。
たぶん本作はAKBファンは観ないだろうけど、これを観たジャニーズファンは、
「やっぱりAKBみたいな大根と共演させるべきじゃない」と思うことでしょう。
以下、ネタバレ注意です。

エイトレンジャーが悪の組織ダーク・クルセイドから八萬市を守ってから5年後。
市長が推進する「ゼロ・プロジェクト」によって年間犯罪発生率0%を達成した八萬市で、
エイトレンジャーは救世主として祭り上げられていました。
しかし犯罪発生率0%の裏で、年間100人以上もの行方不明者が発生していたのです。
「ゼロ・プロジェクト」は表向き、エイトレンジャーの治安活動によるものですが、
実は市長の息のかかった八幡警察が秘密裏に犯罪者を拉致しているのです。
犯罪者どころかポイ捨てなど些細なマナー違反者まで拉致しており、
そのため行方不明者が続出しているのです。
市長は刑務所の囚人を発電所に送り、彼らに強制的に人力発電させることで、
クリーンエネルギーを作っていたのですが、囚人だけでは電力需要を賄えず、
軽微な違反者まで拉致して、発電所に送っていたのでした。
うーん、たしかに人力発電なら安全でクリーンな発電方法ですが、
囚人の食費など経費が高すぎて、現実的じゃありませんよね。
仮にも近未来なんだから、もうちょっとマシな発電方法がありそうですが…。
それに軽微な違反者を拉致していたら、行方不明者年間100人ではきかないかと…。

偶然拉致現場を発見し、市長の陰謀に気付いたレッドは、
市長失脚を目論むダーク・クルセイド側に降り、爆弾テロを起こすのです。
エイトレンジャーは市長の命令でテロリストのレッドを捕まえようとするが、
失敗した彼らは、もう用済みとして市長から抹殺されそうになります。
この物語がどうにも中途半端な印象を受けるのは、
結局どこにも正義がないからかもしれません。
市長とその黒幕の総理がロクでもない奴らなのは間違いなく、
彼らに雇われて陰謀に加担しているエイトレンジャーにも正義はないが、
かといって市長に反抗するダーク・クルセイドに義があるわけでもなく、
ただダーク・クルセイド総統の総理に対する私怨で活動しています。
もちろんそれに加担し爆弾テロを起こすレッドも犯罪者に違いないです。

とはいえ、そもそも正義なんてものは立場によって変わるもので、
「ゼロ・プロジェクト」の影響で硫酸の海などの環境も正常化し、
実際に治安がよくなっているのだから、ある一定の正義はあるのかも。
なので善悪が曖昧な展開は、ある意味リアルではあるのですが、
ヒーローものとしては中途半端な印象になってしまいます。
その最たるものが総統と総理の相撃ちで、両黒幕が2人とも死ぬことで、
曖昧な幕引きが図られているのですが、なんだかモヤモヤします。

それでは物語に締まりがないと考えたのか、その後にヒロインの復讐劇が足されるが、
こんなの完全な茶番だし、蛇足としか思えないんですよね。
正直、客の大半は関ジャニ∞を観に来ているのであって、
前田敦子演じるヒロイン純がどうなろうとどうでもいいと思っているはずなので、
ブラックとレッドが和解したところで終わった方がよかったくらいです。
ベッキー演じるダーク・クルセイド幹部の桃子まで再登場させて、
ブラックと桃子のロマンスまで描かれますが、誰がそんな展開を望んでいるのか。
もし誰か望んでいたとしても、親の仇である桃子とブラックが親しくなるのは
いくらなんでも違和感ありすぎると思うんですよね。
桃子は純の恋人も殺害しており、その復讐に遭って彼女に撃たれるのですが、
そこにブラックが止めに入り、彼が代わりに撃たれてしまうのです。
(すでに桃子も一発被弾しているので、何を今更と思いましたが…。)
ブラックは一命を取り留め、入院するのですが、病室に純が訪れ謝罪します。
純がブラックに謝罪するのは当たり前だと思いますが、
純はなぜか憎むべき相手である桃子にまで謝罪するんですよね。
全くもって理解に苦しむ幕引きで、これなら総統と総理の相撃ちで、
モヤモヤしたまま幕を降ろしてくれた方がまだスッキリしていたくらいです。
あと、夏に恵方巻食べるって、どういうこと?

終盤の脚本の酷さは目に余るけど、自堕落なヒーローを描いた序盤は
コメディとして面白く、笑えるところもあったのでそれなりに楽しめました。
やはり関ジャニ∞ファンの好意的な客がほとんどなためか、
「この程度のネタで笑えるのか?」と思うところでも皆ケラケラ笑ってましたが、
その劇場の雰囲気だけでも不思議と楽しい気分になるものですね。
本作は悪くなかったけど、本当にこれで堤作品は最後にするつもりです。
あ、でも次回作『天空の蜂』は東野圭吾原作か…。ちょっと気になるかも…。

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