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エスケイプ・フロム・トゥモロー

ボクはディズニー映画が好きなので、ディズニーファンだと自負していますが、
東京ディズニーランドには行ったことがないんですよね。(もちろんシーにも。)
関西住まいなので簡単には行けないこともあるけど、
関東住まいだったとしてもたぶん行こうとは思わないです。
だってディズニーランドに行く人の多くは、ディズニー映画好きではなく、
ミッキーマウスとかのディズニーキャラが好きなだけでしょ。
ディズニーの根幹は映画会社なので映画も観ずにディズニーファンとは言わせません。

今日まで世間は三連休で、ディズニーランドも大盛況だったでしょうが、
真のディズニーファンならば、この連休はディズニーランドなんかに行かずに
ディズニー映画『プレーンズ2 ファイアー&レスキュー』を観に行くはず。
もちろん『マレフィセント』はすでに観ているはずですよね。
ディズニー製作のアニメ映画やその実写化映画だけではなく、
マーベルのアメコミ映画『アベンジャーズ』シリーズや、
ドリームワークスの実写映画『ニード・フォー・スピード』など、
ディズニー配給作品はちゃんと鑑賞してこそディズニーファンです。

ということで、今日はディズニーのテーマパークを舞台にした映画の感想です。

エスケイプ・フロム・トゥモロー
Escape from Tomorrow

2014年7月19日日本公開。
某有名テーマパークを舞台に描いたダークファンタジー。

会社に突然クビを言い渡された中年男のジム(ロイ・エイブラムソン)は、口うるさい妻とわがままな2人の子供と共に人気テーマパークにやって来た。夢と魔法の国で何度も現実から逃げたくなる衝動に駆られたジムに、妄想と現実が入り交じった奇妙な出来事が次々と襲い掛かってくる。(シネマトゥデイより)



本作はフロリダのディズニーワールドやカリフォルニアのディズニーランドで
無許可でゲリラ撮影を行った異色のブラックファンタジー・ホラー映画です。
「夢の国」が、まさかの「悪夢の国」になる物語ですが、
本当に主人公の見た悪夢のように描かれているため、
虚実入り乱れる内容で、はっきり言ってチンプンカンプン…。
いったい、どうゆうオチなのか全くわかりませんでした。
それでもなかなか興味深い作品だと思います。

「究極のゲリラ映画」とまで称された本作。
とにかくディズニーは著作権に厳しいことで有名ですが、
その牙城の中でゲリラ撮影を行うなんて正気の沙汰ではありません。
なんでも出演者や撮影クルーは、シーズンパスを買って、
一般客になりすまし、隠し撮りでゲリラ撮影を敢行したそうです。
隠し撮りなので業務用ビデオカメラなんて持ち込めず、
市販されている動画撮影機能付きデジタル一眼レフカメラを使って、
まるで観光客が記念撮影するかのようにゲリラ撮影したのだとか。
音声の録音もスマートフォンのICレコーダー機能を使って録られたそうな。
アトラクションでかかっているBGMも一緒に録音されちゃうけど、
音楽はさすがに著作権が完全アウトなので、後から消したそうです。

ただ困ったのが目立つ照明機材が持ち込めないことで、
太陽の自然光を計算して撮影するしかなかったようですが、
光源がコントロールできないことを少しでも誤魔化すために、
本作はカメラのモノクロモードで撮影されています。
本作が白黒映画なのは、その方が趣があるとかいう演出的な問題ではなく、
技術的な問題でそうするしかなかったわけですね。
ところがモノクロ映像が功を奏し、華やかなアトラクションが白黒になることで、
得も言われぬ不気味さを醸し出しています。
『くまのプーさん』のライド型アトラクション(「プーさんのハニーハント」?)でも、
本来は可愛いはずのプーさんのアニマトロニクスなど、露骨に機械的に見え、
とてもシュールで不気味な印象になっています。

他にも「ジャングルクルーズ」など、いろいろなアトラクションが登場しますが、
一度や二度乗っただけではOKテイクは撮れないので、
「イッツ・ア・スモールワールド」にはなんと10回以上も乗ったのだとか。
そのたびに列に並んだのかと思うと、その苦労が慮られますが、
ディズニーワールドは東京ディズニーランドほどは混雑してないのかな?
「バズ・ライトイヤーのスペースレンジャースピン」は長蛇の列みたいですが…。
ゲリラ撮影は25日間にも及ぶのですが、夏休みの設定なのに、
ハロウィーンやクリスマスのデコレーションが始まってしまい、
翌年まで待ったシーンもあるのだそうで、予想以上の手間が掛かっています。
それでもやはり全て思い通りに撮影できなかったみたいで、
グリーンバックでの撮影を行い、ポスプロで隠し撮りの風景と合成したりもしたとか。
たしかに出演者だけが浮き上がって見える不自然な合成シーンも多かったです。
ポスプロはディズニーの目を逃れるために韓国で行い、
『グエムル 漢江の怪物』の会社が手掛けたそうですが、
まぁ韓国程度の技術ではあれが精いっぱいでしょうね。

いくら一般客になりすましてゲリラ撮影していても、やはり不審には思われ、
出演者が警備員から拘束されたこともあるとか。
でも映画の撮影をしているとまではわからなかったみたいで、
お忍びのセレブを撮っている芸能マスコミくらいに思われたのではないかと。
そんな不審がられながらも頑張って強行したゲリラ撮影ですが、
むしろ困難だと思えるのは、撮影すること自体よりも、
それがちゃんと上映できるのかどうかの法的な問題ですよね。
著作権に煩いディズニーだけに、せっかく映画が完成しても、
訴えられでもしようものなら上映差止めになる可能性も高いです。
そしたら映画としては低予算とはいえ、60万ドルを超える製作費がパーです。
法的にリスキーなので、まともにスポンサーも付かないと思うし、
それでも本作を撮ろうと思った監督の根性には感心します。

でも結局、本作はこうして無事劇場公開されているわけです。
サンダンス映画祭で初上映された時に、ディズニー関係者が乗り込んでくるのでは?
…なんて懸念もあったそうですが、特に何の混乱もありませんでした。
もちろんディズニーは本作の存在は知っていますが、
あえて無視することにしたみたいです。
前述のように、華やかなアトラクションを不気味に撮っていたり、
劇中のセリフで「売店で売られている七面鳥は、実はエミューだ」とか、
「園内のプリンセスは高級売春婦で、金持ちのアジア人客が買っている」とか、
ディズニーワールドに対するネガティブな表現も多いので、
「夢の国」を謳うディズニーとしては不愉快な作品に違いないです。
でもそれによって来場者が減るような営業妨害と言えるほどの内容でもないし、
法廷の遡上に上げることで、逆に本作の注目度が上がるのを良しとせず、
あえて騒がず、無視を決め込むことにしたのでしょうね。
どうせこんな低予算ホラーなんて、放っておけばヒットするわけないと考え、
歯牙にもかけなかったのかもしれません。

それにディズニーワールド内でのゲリラ撮影自体は、別に違法ではないのかも。
一般客の撮影した園内の映像は普通にネット動画に沢山転がってますが、
それをディズニーは黙認していますからね。
むしろバイラルマーケティング的に考えてるだろうから、もし本作を訴えて、
園内で撮影した映像を公開できない前例を作ってしまえば、ディズニーも損するかも。
本作はアメリカではたったの30館でしか上映されなかったので、
やはり大して話題にもなりませんでしたし、無視したディズニーの思惑通りかもね。

ただ日本で劇場公開されるのは予想外だったんじゃないかな?
本作を買い付けて公開した配給会社もなかなか根性がありますが、
わざわざディズニー映画の公開日にぶつけてくるのも粋ですね。
ただディズニーに少し配慮したのか、日本版のポスター(※)では、
ミッキーマウスらしき手の指が5本になっています。
ミッキーの指は4本が公式なので、「これはミッキーじゃない」と言いたいのかも。
ちなみに本作にはミッキーマウス(の着ぐるみ)はワンシーンしか登場しません。
撮影クルーもあまりミッキーに会えるチャンスがなかったのかもしれませんね。
もちろんミッキーの手が血で染まるようなシーンもありません。

つまり本作の興味深いところは、そんなゲリラ撮影の裏側であり、
「よくこんな映像が撮れたな」というのを楽しむもので、
ストーリーなんてのはどうでもいいのです。
というか、本当に意味不明なストーリーなのでこれを楽しむのは不可能です。
ホラーというには全く怖くなく、どちらかといえばナンセンス・コメディですが、
あまりにもシュールすぎて、どこで笑うべきなのかわかりません。
そもそも何をテーマにしているのか全く掴めないんですよね。
公式によれば、"人為的な完全性という幻想"にメスを入れつつ、
大衆エンタテインメントに執着する現代人の文化絶対主義を痛烈に揶揄し、
神格化されたカルチャーへのまなざしの相対化を試みる意欲作、
…と説明されていて、つまりどこが「夢の国」だよと皮肉る内容ということですが、
前述のように、本作はそこまでネガティブに踏み込んでいません。

監督が幼いころに父親とディズニーワールドを訪れたそうですが、
その原体験が本作を撮る動機だったみたいなので、父子の物語なのかな。
主人公ジムとその息子エリオットは、ちょっと微妙な関係の父子ですが、
「夢の国」の中ではひと時そのことを忘れて一緒に過ごせるという、
ディズニーワールドの特異な雰囲気を題材にしている気がします。
ジムは休暇で家族とディズニーワールドに遊びに来るのですが、
その直前に解雇通告の電話を受けたので、普通は休暇を楽しめる心境じゃないけど、
園内ではそのことも忘れてハシャギまくってますからね。
如何にディズニーワールドが現実逃避できる、まさに夢の国かわかります。
とはいえ、ジムはアトラクションに夢中になっているわけではなく、
園内で女の子を追い回しているだけですけど…。
以下、ネタバレ注意です。

妻エミリー、息子エリオット、娘サラとディズニーワールドに来たジムは、
モノレールで出会ったフランス人のセクシーな若い女の子2人組に惹かれ、
その後も行く先々のアトラクションで彼女たちと出会ったり、後を尾けたりします。
そんな中、ジムは妙な幻覚に襲われたり、体調を崩したりします。
この女の子たちは普通の人間ではなさそうで、ラストで妖精として登場しますが、
結局、彼女たちが一体何の目的で行動しているのかはわからず仕舞いで…。
正体不明な存在と言えば、サラを怪我させた車椅子の親子も不気味です。
怪我したサラを診てくれた医務室のセクシー看護婦さんも、
「猫インフルエンザに気を付けて」とか意味不明な発言しているし、
サラを誘拐した悪い女王みたいな恰好をした女も正体不明で、
わけのわからんやつらが次々と出てきます。

特に意味不明なのが、エプコットのスペースシップ・アース館にいた
アニマトロニクスのオッサンで、なにか重要なことを言ってるような気がするのに、
一体何が言いたいのか、全く理解できないんですよね。
イマジネーションの逞しいジムを何かの実験台にしたいようなのですが、
その昔ウォルト・ディズニーも同じ実験を受けたらしいです。
ジムは幼い時に父親とディズニーワールドに来たらしく、
その時に「ビッグサンダー・マウンテン」に乗り、列車がトンネルに入る時に、
乗客の首が飛んだのを見たそうですが、その話に何の関係があるのか…。
更にジムが解雇されたのも全て計画のうちで、彼の上司も陰謀に加担しているとか…。
例の女の子2人組は彼らの敵であるような話もしてましたね。
でも結局、何の話をしているのか全く理解できませんでした。
というか、意味ありげなだけで、本当な何の意味もない気も…。

結局、ジムはホテルのトイレで毛玉を吐いて、笑いながら死んでしまいます。
猫インフルエンザに感染していたということなのでしょうが、
どういうオチなのかさっぱりわかりません。
息子エリオットの奇妙な態度も気になりますが、何の説明もありません。
ディズニースタッフにより死体は運び出され、部屋をきれいに片づけられ、
ジムの死んだ痕跡は完全に消し去られ、また新しい客が来ます。
そしてエンドロールでディズニーっぽい歌が流れてお仕舞です。
上映終了後、お客さんも口々に「意味がわらなかった」と言ってましたが、
ボクも本当にさっぱりわかりませんでした。

きっと本作はゲリラ撮影することにだけ重点が置かれて、
そこで撮ることができた素材を繋いで作品を作っただけで、
端から脚本なんてないも同然だったのかもしれません。
せっかく頑張ってゲリラ撮影に挑戦したんだから、ストーリーも面白くできれば、
本当に「究極のゲリラ映画」として語り継がれる作品になったかもしれないのに、
なんだかゲリラ撮影の努力を無駄にしちゃうような内容で残念でした。
まぁもし本作がまともな映画に出来上がってしまって、ヒットでもしようものなら、
金にがめついディズニーが今度こそ黙ってないかもしれないので、
意味不明なカルト映画になったから、ディズニーも本作を脅威に思わず、
無視してくれたので、こうして上映できたのかもしれません。

(※)日本版ポスター
エウケープ・フロム・トゥモロー

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