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呪怨 -終わりの始まり-

梅田ブルク7の普段カプセルトイが置いてあるエスカレーター裏に
期間限定で「呪われた廊下」という無料のアトラクションが設置されていました。
まぁ簡単に言えば、超短いお化け屋敷みたいなものです。
『呪怨 -終わりの始まり-』の公開を記念したものらしく、
その映画を観に同劇場を訪れたボクも入ろうかと思ったのですが、
しばらく入り口を見ていても、誰も入ろうとするお客さんはいなくて…。
これはもしかしたら、洒落にならないくらい怖いのかもと躊躇してしまい…。
もしそんなところで叫ぼうものなら、エントランス中に悲鳴が響き、大恥かきます。
でも、そんなことを考えると、逆にますます気になって、結局入ってみました。
で、中がどうなっていたかは伏せておきますが、正直微妙だったかも…。
無料なので『呪怨 -終わりの始まり-』以外の映画を観に来た人も入れますが、
どうせ設置するなら、もうちょっと頑張らないと宣伝になりませんよ。
まぁどのみちここに入ろうとするお客さんはあまりいないんだけど…。
ただ、梅田ブルク7はよくエントランスでイベントを展開していますが、
あの手この手で来場者を楽しませようとする姿勢は素晴らしいです。

ということで、今日は『呪怨 -終わりの始まり-』の感想です。

呪怨 -終わりの始まり-
呪怨 終わりの始まり

2014年6月28日公開。
Jホラー『呪怨』シリーズ最新作。

小学校3年生の学級担任になった結衣(佐々木希)は、不登校の生徒・佐伯俊雄の自宅に行ってから、理解不能な現象に悩まされていた。その家ではかつて凄惨(せいさん)な出来事が起きており、関わった者全員が亡くなるという呪われた場所だった。結衣は吸い寄せられるように、再び佐伯家に向かい……。(シネマトゥデイより)



『リング』と並ぶJホラーの代表作『呪怨』シリーズの最新作となる本作。
ハリウッドリメイク版『The Grudge』シリーズ3作や、
スピンオフ(?)『呪怨 白い老女』『呪怨 黒い少女』がありましたが、
一応本作が本家シリーズの3作目ということになるそうです。
なので前作である『呪怨2』からは十年以上経っていることになりますね。
2年前に『リング』シリーズの十数年ぶりの新作『貞子3D』が大ヒットし、
Jホラーの人気復調の兆しが見えましたが、
本作もそれを受けてシリーズ復活が決まったのかな?

…と思いきや、どうもそうではなさそうです。
Jホラー復調の兆しは確かにあり、『クロユリ団地』などもヒットしましたが、
昨年公開された『貞子3D』の続編『貞子3D2』が悲惨な出来で大コケしてしまい。
『リング』シリーズは暗礁に乗り上げ、Jホラーの人気も再び低迷したので、
それに肖って製作されたとは考えにくいです。
たぶん本作を製作する動機は、『呪怨』がハリウッドで再リメイクされるためです。
旧ハリウッドリメイク版『The Grudge』シリーズは、
1作目『THE JUON/呪怨』、2作目『呪怨 パンデミック』は全米1位の大ヒットでしたが、
その後、世界中を席巻したJホラーブームも終わり、
2009年の3作目『呪怨 ザ・グラッジ3』はビデオ映画として製作され、
人知れずリリースされてシリーズに幕を降ろしました。
それが今年に入り、リブートされることが正式発表されたのです。
それに便乗し、本家の日本でも先んじる形でリブートを開始したのでしょう。

本作は『呪怨』や『呪怨2』の続編ではなく、新たな物語として始まってますが、
それもリブートとして製作したからだと思われます。
今までシリーズを観たことがない人でも、本作から観始めて大丈夫です。
そのせいか客は女子中高生を中心に10代の学生が大半を占めています。
でも10代の彼女たちは『呪怨』シリーズに馴染みのなさそうなのに、
なぜ本作なんて観ようと思ったのかちょっと不思議ですね。
主演のひとりであるトリンドル玲奈が若い子に人気あるからかな?
彼女をスクリーンで観たのはアイドルお遊戯映画『BAD BOYS J』以来2回目ですが、
あまり役者には向いてないような気がします。
まぁアイドルの登竜門にも使われるホラー映画は、ほとんどセリフもないし、
あまり演技力は求められないので、不向きな彼女でもこなせてますけどね。
もうひとりの主演である佐々木希も、演技が上手い印象は全くないけど、
彼女はとにかく可愛いので、まぁいいかな。
ホラー映画のヒロインは演技力より容姿が重視されるものだし。

トリンドルを起用し、端から女子中高生狙いで製作されているためか、
ホラー映画としてあまり怖いとは言えません。
1作目の『呪怨』はJホラー最恐とも言われるほど怖い作品だったので、
(怖すぎて結果的にJホラーブームの寿命を短くしたと思えるほどでした。)
そのシリーズ最新作としては物足りない怖さだったと思います。
でも女子中高生はキャーキャー言ってたので、彼女たちには十分怖いのかも。
ボクが1作目を観た時は、ボクもまだ学生だったし、だから怖いと思っただけで、
ホラー映画に慣れてしまった今見返したら全く怖くないかもしれませんね。
ただ客観的に見て、本作には1作目より明らかに怖くなくなる要素が2つあり、
やっぱり怖さは減衰しているという確信があります。

怖くなくなる要素ひとつめは監督の交代です。
本作の落合正幸監督は『シャッター』でハリウッドにも挑戦した
代表的なJホラー監督のひとりではあるのですが、
最近は『学校の怪談』や『怪談レストラン』など中高生向け、
…いや、中小生向けの温いホラー映画ばかり撮っています。
一方、1~2作目の監督で、ハリウッドリメイク版の1~2作目もメガホンを取ったのは、
押しも押されぬJホラー界の第一人者の清水崇監督で、はっきり言って格が違います。
清水崇監督も最近は『魔女の宅急便』の実写化に手を出すなど迷走していて、
とても心配しているのですが、ことJホラーにおいては彼の右に出る人はいません。
せめてスピンオフの時のように監修だけでも彼にお願いするべきでした。

もうひとつの怖くなくなる要素は、内容的なものです。
『呪怨』シリーズにおいて、『リング』の山村貞子に当たる怨霊は佐伯伽椰子でしたが、
本作はその怨霊役を伽椰子の息子・俊雄くんが担っています。
俊雄くんも霊ではあるのですが、これまでは不気味だけど比較的無害な存在で、
登場人物を殺すのはほとんど伽椰子の役割だったはずです。
ところが本作では、なぜか俊雄くんが実行犯の役割を担います。
例えば一作目で布団をめくると中に伽椰子がいて引き摺り込まれるという場面があり、
多くの客のトラウマになったと言われるほどの最恐シーンでしたが、
本作にもそのオマージュと思われるよく似たシーンがあるのですが、
今回布団の中にいるのは伽椰子ではなく俊雄くんです。
はっきり言って、あそこは伽椰子だから怖いのであり、俊雄くんでは怖くないです。
なにしろ俊雄くんは小学生ですから、観ようによっては可愛いくらいです。
猫なで声(というか猫の鳴き声)で黒目がちな色白の男の子である俊雄くんは、
当時から可愛いと評判で、『呪怨』シリーズのマスコット的人気者になりましたが、
今更俊雄くんを怖いと感じることなんてできません。

というか、俊雄くんだけではなく子供の怨霊というのは、
外見的可愛さは度外しても、怖いというより可哀想という印象を受けてしまいます。
なのに『クロユリ団地』の勲くんや『貞子3D2』の凪ちゃんなど、
昨今のJホラーは小さい子供を怨霊として描くのが流行っているみたいで…。
おそらく女の怨霊ではどこまでいっても貞子の亜流でしかないので、
意識的に避けられるようになったのだと思いますが、女の怨霊こそがJホラーの華だし、
たまに違うタイプの怨霊がいてもいいけど、右倣えで子供の怨霊ばかりなのは安易。
安易なだけならいいが、明らかに女の怨霊より怖くないんだから本末転倒です。
それもそのはず、演出次第では子供の怨霊も怖くできる可能性はあると思うけど、
子役に無茶はさせられないし、残酷な描写は自主規制で描けませんからね。

俊雄くんが怨霊役では怖くなくなることくらい落合監督ならわかるはずですが、
本作の場合は伽椰子を実行犯にできない物語上の理由がありました。
中盤過ぎたあたりでその理由がわかるので、ボクも納得するしかないです。
本作は『呪怨』シリーズの伝統であるオムニバス形式を取っており、
呪いの家に係わって呪われてしまった6人、或は8人の人物のエピソードからなります。
その8本のエピソードは大きく2つに分かれており、
小学3年生の担任の結衣が、不登校児童の佐伯俊雄を心配して、
佐伯家に家庭訪問したことから始まる物語と、
女子高生4人が出ると噂の事故物件で肝試ししたことで呪われてしまう物語が、
並行して描かれる構成になっています。
女子高生のひとり七海は、肝試しした時に俊雄の怨霊に遭遇しますが、
つまりこの事故物件は結衣が家庭訪問した佐伯家と同じ家です。
なのでこの2つの物語は、並行して描かれるけど時系列通りではないことになります。
以下、ネタバレ注意です。

伽椰子の怨霊が出てくるのは結衣の物語の方だけで、
俊雄くんの怨霊が襲うのは七海たち女子高生4人だけなのですが、
それもそのはず、女子高生の物語の時系列では伽椰子の怨霊は存在せず、
俊雄くんの怨霊による恐怖を描くしかなかったのです。
結衣の物語では、佐伯俊雄は不登校児童なので、まだ生きているはず。
結衣が家庭訪問で会った彼の母親・佐伯伽椰子も当然生きていることになり、
伽椰子と俊雄くんの生前の話、つまり呪われた家になる過程が描かれます。
その呪われた家で肝試しして呪わてしまうのが、女子高生の物語なので、
女子高生の物語は当然結衣の物語の後日談だろうと思うはずです。
ところがこれが大どんでん返しで、実は女子高生の物語の後日談が、
結衣の物語だったという「あれれ?」な展開になるのです。

結衣の物語の舞台から遡ること19年前に、この家で児童虐待があり、
地域福祉課の職員が、押し入れで餓死した8歳の山賀俊雄の遺体を見つけます。
これがPOVで撮られた本作の冒頭のシーンだったわけですが、
これは結衣の物語の結末に続くシーンのように錯覚させられます。
その事件でこの家は事故物件となり、暫く空き家になるのですが、
そこに面白半分で肝試しに来たのが女子高生4人です。
彼女たちは餓死した山賀俊雄の怨霊に呪われ、次々と行方不明になります。
その後、この空き家を買ったのが佐伯伽椰子と佐伯剛雄の夫婦です。
伽椰子は不妊症で悩んでましたが、ある夜、山賀俊雄の霊が枕元に立ち、
彼女の体内に吸い込まれ、その後すぐに伽椰子は妊娠し、佐伯俊雄を出産します。
俊雄は伽椰子の子供として、再び受肉することに成功したわけですね。
しかし伽椰子にしか懐かない息子に、剛雄は本当に自分の子かと疑いを抱き、
伽椰子と俊雄とペットの黒猫を殺してしまうのです。
こうして伽椰子と俊雄は2人とも家に棲みつく怨霊になってしまいました。

だから女子高生を襲った俊雄くんは、まだ山賀俊雄の怨霊で、
その時はまだ佐伯伽椰子は普通に生きていたことになり、
伽椰子の怨霊が女子高生を襲えない展開も当然だったわけです。
たしかに女子高生の物語での俊雄くんは、黒猫と同化する前なので、
猫の鳴き声を発することもありませんでしたね。
その違和感に気付けば、2つの物語の時系列が逆なのにも気付けたのかも。
今までの作品では伽椰子も俊雄くんも同時に幽霊になったはずでしたが、
リブートされた本作では、まず俊雄くんの怨霊が存在していて、
伽椰子も彼に呪われて、後から怨霊化したことに変更されたのですね。

伽椰子と俊雄くんが死んだのは2005年だったので、
結衣の物語の10年ちかく前の出来事になりますが、
どうゆうわけか死んだはずの母子2人は普通に家で生活を続け、
俊雄くんも(不登校だけど)小学校に通っていたことになります。
結衣が家庭訪問で会った伽椰子も、生前にしてはすでに不気味な印象でしたが、
その時点ですでに怨霊で、伽椰子の遺体は天井裏にありました。
結衣が伽椰子から出されたお茶はカラッカラに干乾びていましたが、
家の中は佐伯家の事件当時のままだったのでしょう。
なぜ霊が小学校に籍を置けるのか謎ですが、
なかなか巧妙などんでん返しで、物語としては興味深かったです。

女子高生の物語の時は怨霊が俊雄くんしかいなかったので仕方ないけど、
結衣の物語の時には伽椰子も怨霊化しているので、俊雄くんはお役御免で、
結衣や恋人の直人を襲うのはいつも通り伽椰子の仕事になります。
やはり伽椰子の方が断然怖く、どんでん返し後はホラー映画としても盛り上がります。
俊雄くんの襲い方なんて、神出鬼没に現れ、驚かして連れ去るだけですが、
伽椰子は襲い方は、這って追いかけてきたり、天井にぶら下がったり、
首をねじ折ったりと多彩だし、あの独特の声も恐怖を煽ります。
まぁ俊雄くんの、日本の住宅の収納スペースを有効活用した出現方法も
なかなか面白いとは思いますけど、どこから現れても可愛いし、怖くはないです。
鏡台の引き出しから現れた時なんて、「ドラえもんか!」とツッコミたくなりました。

伽椰子の恐怖シーンの描き方はよかったのですが、
ちょっと気になったのはBGMが過剰すぎることです。
あれでは露骨すぎて、怖さを煽るどころか醒めちゃいます。
あとラストシーンで結衣を襲った怨霊が、伽椰子ではなく直人だったのも残念。
やはり最後は伽椰子の恐怖で締めてほしかったですが、
終盤に伽椰子から襲われたシーンはまるで夢オチみたいな展開で拍子抜けですが、
その後に出てきたのが直人の怨霊だったので、尚更ガッカリです。
声だけは伽椰子と同じだったので、てっきり伽椰子が再登場したかと思ったのに…。
いや、直人の怨霊が怖ければ問題ないけど、あの特殊メイクは悲惨すぎます。
怖いどころか吹き出すレベルの雑さで、作品が台無しになりかねないラストです。

もうちょっと怖くしてほしかったけど、物語はなかなか楽しめたので満足です。
せっかく復活したので、続編も期待したいと思いますが、長期シリーズ化を目指し、
2作目で座礁した『貞子3D2』の二の舞にはならないようにしてほしいです。
まぁ日本でのリブートが失敗しても、ハリウッドのリブートもあるけどね。
ハリウッドの方はまだどんな内容になるかわかりませんが、
旧リメイクのように伽椰子は登場しないことになるようです。
きっとアメリカ人の母子の怨霊に置き換えられるものと思いますが、
日本人キャストじゃなくなるのは残念だけど、長期シリーズ化を見据えれば、
アメリカ的にローカライズする方がいいかもしれません。
新ハリウッド版には清水崇監督も関わらないことになりそうかな。

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