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渇き。

7月4日公開予定だった『渇き。』の公開日が1週間前倒しされ、
本日6月27日が公開初日になりましたが、
同じく7月4日公開の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』も
いつの間にか今週末に先行公開されることになっていました。
これで7月4日に公開初日の作品がなくなっちゃいましたね。
ボクは公開週には観たい派なので、どちらも今週末に観ますが、
これで来週末に観る作品は7月5日公開の『マレフィセント』だけになりました。
ただでさえ今週末は『トランセンデンス』『her』『オールド・ボーイ』『呪怨』など、
観る予定の作品が多かったので、2作には予定通りの公開日でよかったのに…。

…と思ってましたが、急遽来週末に大事なお客さんが来ることになって、
映画なんて観ている場合ではなくなったので結果的によかったかも。
ただ今回はよかったけど、やはりなるべくなら予定通りに公開してほしいです。
ボクは映画を観る本数が多いので、鑑賞日や予算などかなり早めに決めるため、
あまり土壇場で公開日を変更されると、ちょっと困っちゃうので。
せめて変更するなら1カ月前にはお願いしたいところです。

ということで、今日は急きょ前倒し公開となった映画の感想です。
はじめはファーストデイでの興行をするためと思ってたけど、
苦戦が予想されるため『マレフィセント』との競合を避けただけかも?

渇き。
渇き。

2014年6月27日公開。
中島哲也監督が深町秋生の小説『果てしなき渇き』を映画化。

品行方正だった娘・加奈子(小松菜奈)が部屋に何もかもを残したまま姿を消したと元妻から聞かされ、その行方を追い掛けることにした元刑事で父親の藤島昭和(役所広司)。自身の性格や言動で家族をバラバラにした彼は、そうした過去には目もくれずに自分が思い描く家族像を取り戻そうと躍起になって娘の足取りを調べていく。交友関係や行動を丹念にたどるに従って浮き上がる、加奈子の知られざる素顔に驚きを覚える藤島。やがて、ある手掛かりをつかむが、それと同時に思わぬ事件に直面することになる。(シネマトゥデイより)



『告白』の中島哲也監督が同作以来4年ぶりに手がけた長編作品ということで、
期待して観に行ったのですが、かなり微妙だったかも。
中島哲也監督の作品は『告白』以外にも、『下妻物語』や『パコと魔法の絵本』など、
好きな作品が多かったのですが、ボクが観た中では本作が最悪。
本作は『告白』と同じように倫理的問題作ですが、
告白が予想以上の大ヒットしてしまって、その二匹目のドジョウを狙っている印象です。
ただ更なる倫理的な際どさを追い求めるあまり、中身の全くない、
ユーモアをはき違えたただただ暴力的でカルトな作品になってしまっていて、
本来の中島監督の良さを見失ってしまっているように思います。
彼らしくなさすぎて、三池崇史監督の作品を観ていると錯覚してしまうほどですが、
『告白』というよりも『悪の教典』に近い印象を受けたからかも。

とにかく内容が俗悪すぎます。
過激さばかり求めるエクスプロイテーション映画のような内容ですが、
不謹慎すぎるので、笑えないし、痛快感を得ることも出来ません。
公開初日からの8日間、学生は1000円で鑑賞できる
「学生早割キャンペーン」なるものを行っていますが、
それもそのはず、本作は完全にガキ向けの作品だからです。
こんなただ俗悪なだけの作品を楽しめるのはガキくらいのもので、
ドラマ性もなければ、テーマ性も全くないこんな薄っぺらい作品は、
いい大人の鑑賞に堪えうるものではありません。
第3回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した小説「果てしなき渇き」を
映画化した作品らしいですが、これのどこがミステリーなのか…。

本作の最大の問題点は、登場人物が一人残らず異常者であることです。
例えば『告白』は中学生の娘を殺された主人公の女教師が、
犯人に異常な方法で復讐する話でしたが、本作も高校生の娘が失踪した主人公が、
異常な方法で娘を捜し回って犯人に復讐する話で、主人公の立場は近いものがあるが、
娘を失ったことの深い悲しみがちゃんと伝ってくる『告白』の主人公に対し、
本作の主人公は娘にどんな感情を抱いているのかすらわかりません。
かなり必死で捜すのですが、その動機がイマイチ掴めません。
主人公は「娘を捜し出してぶっ殺す」なんて言ってるが、
それが本心かどうかも彼自身わかってないような印象を受けます。
そんな何を考えているかわからない主人公に感情移入なんてできないので、
物語に気持ちが全く乗らないんですよね。
主人公が徐々に異常になっていくのであれば、客もまだ同調できますが、
ここまで端っから異常さマックスでは、客は置いてかれてしまいます。
主人公演じる役所広司の演技もやりすぎで、演出過多だと思います。

そんな何を考えているかわからない主人公の藤島ですが、
彼はアル中で統合失調症で躁うつ病なので、異常者なのは当たり前ですが、
それでも彼がマシに見えてしまうほど、他の登場人物も狂った異常者ばかりです。
その異様さは日本が舞台の現代劇とは思えないほどのリアリティのなさで、
「もうコイツら全員死ねばいいのに」と思ってしまうほどで、
誰が酷い目に遭おうが死のうがどうでもいいような状況では、
どんな過激で刺激的な展開があっても退屈に思えてしまいます。
そもそも本作は藤島の娘・加奈子の異常性を描いた作品のはずですが、
こうも異常者ばかりでは、彼女の異常性は際立たず、本末転倒です。
それに加奈子が初めから異常であるように描くのもどうかと思います。
加奈子がどんな人間なのか、失踪した後で藤島が聞き込んで回る物語ですが、
ロクでもない奴なのは端からわかっちゃうので彼女の素顔に興味が持てません。
例えば傑作ミステリー『白ゆき姫殺人事件』のように、
失踪したヒロインが善人か悪人か序盤はわからないように描くべきですが、
本作は宣伝時点で「娘はバケモノでした」みたいなことを謳ってるし、
ミステリーの基本も知らないバカなのかと思ってしまいます。

本作は娘・加奈子を捜す藤島の物語と、
3年前(中学時代)に加奈子に翻弄された少年の物語が並行して描かれますが、
その2つの物語間の切り替えが頻繁に起こる上に、
精神が不安定な藤島の過去のフラッシュバックも頻繁にあるので、
非常に観にくく、状況の把握も困難になります。
それに登場人物もとても多くて、ことごとく狂った奴らなので、
その相関関係や個々の立場も非常に掴みづらいです。
日本映画でキャストにも馴染みがあるため、まだ何とか把握できますが、
これが外国映画だったら確実に混乱し、脱落しちゃうところでしょうね。
登場人物の煩雑さや頻繁に画面を切り替えて怒涛のテンポを演出することで、
緊迫感のある展開を装っていますが、それは雰囲気だけです。
とても観づらいので客は振り落とされまいと集中しなきゃいけないので、
なんだか緊迫感がある気がするだけで、内容はホントに薄っぺらい、
ただただ俗悪なだけでドラマもテーマもない物語です。
以下、ネタバレ注意です。

妻の浮気現場を目撃し、相手の男性を半殺しにする傷害事件を起こして、
退職した元刑事の藤島は、離婚して荒れた生活を送っています。
そんな折、元妻から「娘がいなくなった」という電話を受けます。
藤島が娘・加奈子の部屋にあった通学カバンを調べると、中から覚醒剤が…。
これでは警察には届けられないので彼は自分で加奈子を捜すことにして、
娘の高校の友達や中学の友達に聞き込みをして回るが…、という話。
藤島が娘捜しを開始した時点で失踪から5日ほど経っているので、
いくら覚醒剤があったとしても本当に娘が心配なら捜索願を出すと思うけど、
この両親は本当に娘を気に掛けているのか疑問です。
特に父親・藤島の心境は全くわからず、なんだかとても嬉しそうなんですよね。
娘が失踪したというのに元妻にレイプまがいのことをするし、
一体どうゆう心境で娘捜しをする気になったのか皆目わかりません。

加奈子の高校の同級生は薬物中毒だし、中学の同級生たちはバカガキばかりで、
そんな奴らとつるむ加奈子自身もロクなやつではなさそうだと早々にわかります。
そうなると、客としても不良少女の安否なんてどうでもよく思えます。
薬物に手を出す奴なんて死んでくれて結構ですからね。
藤島は別件のコンビニ殺人事件の被害者が、ある不良グループのメンバーで、
そのグループのひとり松永が、加奈子の中学時代の同級生と気付きます。
その不良グループはヤクザの石丸組と繋がっているので、
加奈子は松永経由で覚醒剤を手に入れたのだろうと推測した藤島は、
松永が失踪に関係していると考えて彼を捜すことにします。
うーん、藤島はたまたまコンビニ殺人事件の第一発見者でしたが、
そんな別件がたまたま自分の娘の失踪事件と繋がるなんて出来すぎですね。

松永を発見した藤島ですが、捕まえるつもりが逆に彼らのグループに拉致されます。
ところがそのグループも他の奴らの襲撃を受けて、藤島は辛くも助かります。
どうやら松永は加奈子絡みのことで石丸組に追われていたみたいです。
いくらヤクザと言えども、白昼堂々あんな派手な襲撃するのは不自然です。
辺り一面血まみれで、あの様子では当然死人も出ていたと思います。
そんな中、藤島だけがそれほど被害を受けていないのも不自然ですが、
現場に急行した警察が、藤島をそのまま返しちゃったのは更に不自然ですね。
(松永はその時拉致され、後に腹を裂かれて死にますが、グロ注意です。)
さらに意味不明なのは藤島のその後の行動で、彼はキャバ嬢らしき女をナンパし、
自宅(加奈子の家)に連れ込むのですが、そんなことをしている場合かと…。
すると自宅には石丸組が待っていて、キャバ嬢を射殺するのです。
石丸組は加奈子からある物を取り返すために、彼女を捜しているようです。
そのために藤島を脅すのですが、なぜか脅すだけで引き揚げます。
なぜキャバ嬢を殺す必要があったのか疑問ですが、
キャバ嬢が死んでるのに、この件は警察沙汰にすらならないのも不自然でした。

藤島は加奈子の高校の友達・長野から駅のコインロッカーの鍵を預かります。
そのロッカーの中には写真が数枚入っており、そこには加奈子を含む
未成年の少年少女がジジイ連中と性行している現場が写っており…。
藤島は当然ショックを受けますが、ボクもとても不愉快な気分になりました。
児童買春はたしかに衝撃的なネタですが、社会派作品ならともかく、
娯楽作品で扇情的に使われるのは不謹慎で不愉快さを感じます。
その写真自体はペドジジイが少年少女に覆いかぶさるような感じで、
キモチワルイもののあまり過激な写真ではありません。
でも本作には少年がペドジジイに掘られる生々しい描写もあり、
こんなものをR-15指定で上映する映倫の甘さにも反吐が出ます。
海外映画ならほぼ間違いなく成人指定ですが、
これだから日本は児童ポルノに甘いと海外から批判されるんですよ。

その後、長野が何者かに殺害されますが、彼女も写真に写っており、
どうやら警察官僚のジジイの相手をさせられていたようで、
藤島の元後輩刑事・浅井も、写真を隠蔽するため藤島を追いはじめます。
加奈子の精神科医のジジイも買春客のひとりでしたが、
児童買春するペドジジイたちは、どいつも社会的地位の高い奴らで、
その児童買春組織の元締めが趙という実業家です。
趙はどうやら石丸組と繋がりがあるようですが、警察内部にも手下がおり、
その刑事・愛川に人殺しなどの汚れ仕事をさせているみたいです。
どうやらコンビニ殺人事件や長野の殺害も愛川の仕業で、
藤島は当然彼が加奈子の失踪にも関与していると推測し、
愛川の妻をレイプし、妻子を人質に取り、彼をおびき出すのです。
コンビニ殺人事件の真相は本作の最初の謎でしたが、
まさかその犯人がこんなポンと出の人物だとは思いませんでした。
なにしろ藤島に呼び出されて初めて会ったシーンが彼の初登場ですからね。
犯人が真相が判明するまで登場しないミステリーなんてありますか?

しかも愛川は無茶苦茶な殺人狂で、助けに来たはずの妻まで殺しますが、
雇い主の趙まで殺してしまった、生粋のサイコキラーです。
そんな彼と互角の死闘を繰り広げる藤島も無茶苦茶ですが、
拳銃を撃ち合って戦うヤクザ映画並みにあり得ない展開で失笑ものです。
結局愛川は後輩刑事・浅井に暗殺されますが、浅井もかなり狂った男です。
いつも棒付キャンデー咥えてヘラヘラしている男で、
見た目と行動のギャップによる異常性は本作随一かもしれませんね。
愛川を殺した直後、浅井は藤島から車で轢き殺されますが、藤島もやはりサイコです。
そんな異常なサイコばかりの本作では、加奈子のサイコさも霞みますよね。

結局、愛川も加奈子を捜していたものの、失踪には関与してないようで、
ここで一旦すべての手掛かりがなくなってしまいます。
しかし、藤島は最後の最後で加奈子の失踪の真実に気付くのです。
加奈子は中学時代の担任・東に殺されていたのでした。
加奈子は自分も趙に売春する傍ら、少年少女らに売春を斡旋しており、
愛川に殺された長野も彼女に売春を強要されていたようですが、
なんと元担任・東の中学生の娘にも売春を斡旋しており、
それを知った東は逆上し、加奈子を殺害し、山中に埋めたのです。
娘がジジイと売春していたなんて知れば、東が怒るのは理解できますが、
理解できないのは、なぜ加奈子が東にその事実を告げたのかです。
そんなことをしたら殺されることは予想できそうなものですが…。
しかしそれ以上に理解できないのは、なぜ藤島がそのことに気付いたかです。
児童買春の写真の中に東の娘の写真があったのを見つけたからですが、
藤島が東の娘に会うシーンなんてなかったと思ったけど、
なぜその写真の子が東の娘だとわかったのか…。
コンビニ殺人事件の愛川についてもそうですが、伏線も張らずに真相を語られても、
そんな後付けのような展開では全く驚けないし、感心しようがないです。
これでミステリーを名乗るとはチャンチャラ可笑しいです。

加奈子がなぜ児童買春を始めたかですが、それは復讐のためだったようです。
彼女は中学時代に緒方という同級生の男子と付き合ってましたが、
ある日、緒方が学校の屋上から自殺します。
彼は不良グループの松永に目を付けられて、趙の所で児童買春を強要され、
それを苦に飛び降り自殺をしたそうです。
加奈子は緒方の敵を討つために、松永を籠絡し、趙に接近します。
趙のお気に入りになった彼女は、隙をついて児童買春の写真を持ち出します。
写真を公開し、趙を陥れるためだと思いますが、なぜかすぐに公開せず、
長野に預けているので、本当は一体何がしたかったのか疑問です。
その後、東に余計なことを言って殺されちゃうわけだけど、
サイコのやることは常人には理解できませんね。

復讐のために手を汚していたというのであれば聞こえはいいけど、
彼女は同級生に薬物を売ったり少年少女を拐かし児童買春を斡旋したりと、
積極的に石丸組や趙の児童買春組織に協力するんですよね。
写真を持ち出すためならそこまでする必要はないので、やはりロクでもない女です。
百歩譲って趙の信頼を勝ち取るため仕方なくやっていたとしても、
彼女は生まれ持っての魔性の魅力がある設定のはずなので、
そんなことをせずとも男女問わず誰でもたらし込むことができるはずです。
それにその魔性の魅力を使って、父親である藤島まで挑発するのですが、
その行為は緒方の復讐とは何の関係もないですよね。
やはり人間性の欠片も持ち合わせていない単なるサイコということでしょう。
そもそもそんな展開はいらないので、より刺激的で扇情的にするためだけに、
児童買春のみならず、近親相姦まで絡めようとする俗悪さに虫唾が走ります。

そもそもスクリーンから加奈子の魅力が全く伝わってこないので、
その設定に説得力が全くないんですけど。
加奈子演じるのは小松菜奈という新人女優ですが、可愛くないわけじゃないが、
共演者の橋本愛や二階堂ふみの方が明らかに魅力的なオーラを発しています。
加奈子役はもっと絶世の美少女じゃないとダメなはずです。
そこが小説の映像化の難しいところですが、
この原作自体が映像化には向かない内容だったのでしょうね。
児童買春、近親相姦、レイプ、いじめ、自殺、薬物など、倫理問題のデパートで、
まるでケータイ小説のような安易な脚本の本作の原作が、
この内容で「このミス」大賞を受賞できるはずないので、きっと原作者は
この内容でも読ませるだけの新人らしからぬ文才の持ち主でだったのでしょう。
しかし映像化しちゃえば分の上手さなんて関係なくなりますからね。
中島監督の独特の映像センスもこの原作とは相性が悪かったのでしょう。
監督には『告白』の呪縛を解いて、次回作はコメディで勝負してほしいです。

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